ぼっちの俺にはラブコメは訪れないんですか?

最東 シカル

文字の大きさ
22 / 60
第2章 ぼちお君、奮闘

第21話 偏愛マン

しおりを挟む
「なぁ、芦田。結局どうだったんだ?あの後」

「何もなかったよ」

 隣の席の西城が聞いてくる。
 先週のことを聞いているのだろう。祐樹の件を有耶無耶にしたことが相当気になっていたらしい。

「川添はあれからどうだ?」

「常に観察してる訳じゃないけど、見た感じ大丈夫そうだ」

「そうか・・・あの時は俺も少しカっとなり過ぎたわ」

 授業中、祐樹の挙動を見る限りでは特に怪しいことはしていなかった。だが、あいつはそもそも存在が怪しいので本末転倒である。

「いや、あいつの事を考えるともっと言った方が良かったかもな」

「?再犯するかも、っていうことか?」

「ああ・・・そうだ」

 俺はあいつにが、一番あれを引き摺っているのは・・・・・・祐樹自身だろう。未だ祐樹を縛り付けている鎖は、祐樹自身で断ち切る必要がある。そうでなければ、あいつは一生あのままだ。俺に出来ることは精々見守る事だけ。

「あっ、そういえば何だったんだ?古瀬さんに用があったて」

「いじめられた」

「・・・は?」

「間違えた」

「は?」

 つい本当の事言ってしまった・・・

「いや、言葉の綾だ。実は古瀬さん、ドSだったんだよ。それでめっちゃ俺を弄ってきた」

「・・・ぷㇷっ」

 こやつ笑いやがった。
 彼女がドSなのは事実なので言ってもいいだろう。古瀬さんは確かに綺麗な人だが、人間外見で判断しちゃいけないね。昨日も最後の最後で弄ってきたし・・・けどしっかり財布にインしました。千円は高価だし、貰えるもんは貰っとかないと。けど、なんか自分が乞食こじきみたいに見えてきて少し虚しくなった。

「で、でも、古瀬さんってそんな事する人だったか?もっと凛としてるっていうか、高嶺の花って感じがしたが・・・」

「知らん。古瀬さんの事最近知ったから」

「嘘下手かよ(笑)」

「・・・だろ?」

 話が伸びるから頷いとこう。

「でも、そうだな・・・絵里奈さんと古瀬さんは同い年だけどさぁ、やっぱり俺の守備範囲内なんだよな~。あ~付き合いてぇー」

 だから君の好みは聞いていない。


 ◇◆


――〈2年F組〉同時刻―― 


 あ”ぁーイライラする、イライラするイライラするイライラするっ。クソがっ。なんなんだよあの男っ。あの女は俺だけのモンだ。絶対に俺以外に渡してたまるか・・・
 流石に感づきやがったか、麻衣。護衛としてあの男を持ってきたつもりだろうが、あんなヘナヘナした奴に務まると思ってんのか?ほんと馬鹿だぜ。
 あの時は気が動転してたからな仕方ない、まさか俺が振られるとは思いもしなかったからな・・ははっ。

「どしたー?友也ともや?なんかイライラしてんなー(笑)」

「ぅ”っせー黙れ・・・」

「っご、ごめん、ごめん・・はは・・」

 クソがっ。黙れよイライラするなっ!
 どうすれば麻衣は俺のモンになるんだよっ!とりあえずカメラを設置してみたが、あいつ何も弱みになるような事しねーし、くそっ、なんで2時間もずっと同じ姿勢で読書できるんだよっ。ロボットかよあいつ・・
 オマケにあのヘナヘナ男が居るせいで行動がしにくくなった。あ”ぁー、なんでこんな思い通り行かねーんだよっ!麻衣、お前、お前だけだっ!俺が気に入った奴で俺に靡かないやつは!ちっとも俺のことを見ようとしない奴は・・・くそっ。



 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。

「はい。日直、号令」

 どうすればいい?どうすれば麻衣は俺のモンに・・どうすればっ

「起立」

 金で釣るか?いや、あいつはそんなものに興味はないはずだ・・・

「うん?・・・おい、槻谷つきたに、立て」

 弱みも握っていないし・・カメラの存在もバレたら俺に不利過ぎるな・・くそっ

「槻谷聞いてるかっ、もう授業始まってるぞっ!」

 っ!

「っす、すんません・・」

 くそがっ・・・・・あ”ぁっイライラする・・・・

 ◇◆



 やっと昼休みだ。今日は俺の苦手な世界史が4時限目にあったので、体力をごっそり持っていかれた。早速昼飯を食べよう。だが、その前に・・

「・・・それでどうしたの?武流君」

「あぁ、ちょっと頼みごとがあるんだが・・・」

 俺は今、出来れば関わりたくない相手――瀬口絵里奈――を前にして立っている。
 だがどうしても彼女にしか頼めない案件があるから仕方ない。教室だと目立ちすぎるので人目が居ない場所、特別教室棟の階段踊り場まで来てもらった。遠すぎるんですが、ここ。

「な、なに・・・?」

「俺が若山さんと付き合ってるって噂、あれをどうにかの力で止めてくれないか?」

「私が・・・?」

「ああ、絵里奈にしか出来ん」

 彼女以外に適役はいないだろう。カーストが高ければ高い人物ほど、学校という小さな世界の中での話に信憑性が増す。その分、絵里奈はこの高校でも有数のトップカースト勢だ。彼女の口からあの噂を否定してくれれば効果覿面はずだ。

「・・・うん。分かった」

「理解が早くて助かる。それとごめんな。面倒な役任せてしまって」

「ううん。武流君のお願いだもん。全然いいよ・・・」

「そうか」

 俺のお願いなら全然いいのか・・・・・・・今度えっちぃお願いしてみようかな。

「じゃあ、よろしく。ありがとう絵里奈」

 そう言って俺は絵里奈に背を向け、教室へ向かおうとする。だが、

「・・・たけるくん・・・私達、こんな形でじゃないと話せないの・・・?」

「・・・」

の事は悪かったと思ってるっ!ごめんなさいっ。でもっ、どうしても・・・私はっ・・・たけ」

「それを言うべき相手は俺か?・・・絵里奈、なんか勘違いしてるみたいだけど、俺は全く気にしてないぞ。ハッキリ言うけど、中学時代のいざこざを高校まで持ち越す事自体、幼過ぎるんだよ。ほんとに・・・少しは大人になりなさい」

 これホント。強がりとかじゃないからねっ。

「っ・・・」

「それに、その言葉を言ってやれば救われる奴が少なくとも一人、居るだろ・・・?」

「・・・」
 
 今にでも泣きそうな顔をゆっくりと伏せる絵里奈。
 泣くんじゃないぞ・・・男は女の涙に弱いんだ。流石にちょっと言い過ぎたかもしれんが・・・

「・・・ごめん、なさい」

 俯いたまま小さな声でそう呟き、その場を駆けるように離れた絵里奈。

「はぁ」

 最近、ため息ばっかり出てる気がするのは気のせいではないだろう。俺の身の周りで色々と起こり過ぎてるのが原因か。我が平穏はいずこへ・・・



 その後、涙ぐみながら教室へ戻った絵里奈を心配した周囲の人間が俺を敵視し、それを治めるのに絵里奈が必死に弁解したのはまた別の話。
 教室を出る際、2人で出たのはまずかったようです・・・もうHPがマイナス状態なんですけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。

失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?

さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。 しかしあっさりと玉砕。 クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。 しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。 そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが…… 病み上がりなんで、こんなのです。 プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...