ぼっちの俺にはラブコメは訪れないんですか?

最東 シカル

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第2章 ぼちお君、奮闘

第33話 メイド喫茶

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「おっはよう、アッシー」

 教室に入ると、女子数人で集まって談笑してる神咲さんに挨拶された。

「お、おはよう」

「今日も遅いねー」

 いつもこの時間帯なのだが、朝はほんとに苦手だ。

「朝は苦手で」

「それ私も~」

 神咲さんとは最近、偶にではあるが話すようになった。もちろんその周りの女子生徒達とも。あの笑われ尽くされた事件が発端というのは少し頂けないが・・・。
 だが、悪くない。いやむしろ良き。これが友達と言うものなのか・・・・。

 千恵と買い物行った日から、数週間が経った。ストーカー君の件も沈着し、俺の平凡で最高な、ぐーたら生活が舞い戻ってきた。・・・少し、寂しい気持ちが胸中を彷徨ったが、俺にはこれが性に合っている。普通が一番である。

「よう芦田」

 神咲さん達と一通り挨拶が終わり、自分の席に着くと、となりの西条が声を掛けてきた。

「おはよう」

「お前この前まで、友達なんかいらない、とか言ってなかったか」

 ニヤニヤしながら俺に質問してくる西条。その顔ウザイ。
 確かに言ったような気もしないでもないような・・・・・・そういう感じなこと言いましたね。はい。
 ただ今回の場合は不可抗力というか成り行きというか、なんとなく仕方がないような気もする。しかも、友達と決まったわけじゃない。朝挨拶を交わすくらい、友達でなくてもするだろう。まぁ、俺はしてなかったけどね。そもそも最近までクラスメイトに挨拶されたことなかった。悲しい事実である。

「いらないとは言ってない」

「・・まぁいいけどよ。俺は良いと思うぜ?芦田に友達が出来るのは」

「そう・・」

「ああ。芦田面白いからな・・・ぷㇷっ・・何てったって、ハイタッチからのチョキだもんな?」

 あの出来事を思い出しているのか、笑って答える西条。
 こいつ馬鹿にしやがって・・・・俺だって出来ればあんな醜態晒したくなかったに。コミュニケーションとは難しいものである。

「・・ボケに決まってんだろ」

「流石にそれは分かってるよ(笑)素でやってたらガチでヤバい奴じゃん」

「・・・そうですね」

 すみませんね、ヤバい奴で。

 ◇
 

「おーい、静かにしろ」

 1時限目のLHR。教壇に立った先生が話し始めた。

「今日は委員長を中心に、文化祭でのクラス発表、及びクラス展示について話し合ってもらう。今回の文化祭は、お前ら2年生が中心となって活動する必要がある。3年生にとっては高校最後の文化祭だからな。くれぐれも、適当な事をしないように」

 委員長あとは宜しく、と言って教室を出た先生。

「それではまず、クラス発表について話し合いたいと思います。何か案がある人は挙手でお願いします」

 委員長が前に立ち、会議を始める。

「・・・・それでは、5分間近くの人と話し合ってください」

 誰も手を挙げないので、委員長は常套句を言う。

「ねぇさやっち、2年生って毎年劇なんだよね?」

 話し合いの途中で、陽キャギャルこと神咲さんが手を挙げ、委員長に質問した。
 クラス発表は基本何でもいいって聞いたんだけど、どうなのだろう。

「うん。だけど、それは風習がそうさせてるだけで、必ず劇をしなければならないということではないわよ。あと、私の名前は紗耶香ね」

「へぇーそうなんだ。知らなかったや。さすがさやっち!」

「だから・・・はぁ」

 諦めた方がいいと思いますよ。

「でもやっぱり劇の方が面白くね?」

 一人の男子生徒が言う。

「うん、一回してみたかったんだ劇」 「あ、俺も」 「私何役しよっかなー」

 みな口々に、劇について話し合い始めた。

「では、劇をするということでいきます。どんな内容をするか話し合ってください」


 その後話し合いの結果、やる内容は童話の『ヘンゼルとグレーテル』をすることになった。なぜこの劇をすることになったかというと、ひとえに委員長が推しに推したからである。
 いつまで経っても決まらないため、痺れを切らした委員長が自分の好きな童話を推してきたのだ。クラスメイトの反応は最初は「・・・?」だったが、委員長が内容を話す内に物語に引き込まれ、皆一様に賛成の嵐だった。・・・・すごいね委員長。絶対読み聞かせ上手い(確信)。

「それでは次、クラス展示は何をしますか?」

 そうかクラス展示もあるんだったね。劇とクラス展示って、結構なハードスケジュールじゃない?大丈夫かな。

「はいっ」

「どうぞ」

「メイド喫茶!」

 数分間話し合った後一人の男子生徒が挙手し、そんな発言をした。

「・・・メイド、喫茶?ってなに?」

 知らないんかい・・

「女子がメイドの格好をする喫茶店の事」

「・・・・却下で」

「えぇっ!?なんでっ!」

「・・あなたが考えていることが目に見えて分かるから。どうせはしたない事でも考えているんでしょ?」

「い、いやそんなことないよ・・・?」

 ちなみに、手を挙げた男子生徒とは隣の西条君である。・・・ちょっときもい。もはや隣の席であることにすら恥ずかしさを覚えそう。
 よくもまぁ、そんな堂々と発言出来たものだ。その点だけ凄いと思う。

「でもよくない?さやっち。メイド喫茶って面白そうじゃんっ」

 却下と思われた時、ギャルっ娘神咲さんが賛同の声を上げる。

「うん、良いと思うよ!」「絶対楽しいじゃんっ」「メイド喫茶いいねぇ」

 神咲さんに続く形で、クラスメイト達が声を上げる。
 このクラスの女子生徒は、俺から見てもかなりかわいい人が多いように思える。絵里奈を頂点として、可愛い系が多い。

「で、でも・・・」

 委員長はやはり、まだメイドの服装に抵抗があるようだ。

「さやっち可愛いから絶対似合うよっ」

「・・・・そう」

 照れてる。彼女でも照れるのね。まぁ、でも実際委員長は可愛いから頷ける。

「・・・では、多数決で決めたいと思います。メイド喫茶に賛成の人は挙手してください」

 ・・・瞬間的挙手。満場一致で決定だ。俺は別に何でもいいから、基本人数が多い方に乗っかる。

「・・・・わ、分かりました。では、クラス発表の内容は『ヘンゼルとグレーテル』クラス展示の内容はメイド喫茶、ということで決定します。演劇の役は後日決めましょう」

 そう言って、教壇を下りた委員長。

「よっしゃー、絵里奈さんのメイド姿拝めるぜっ・・・・」

「・・・よかったね」

 あぁ、そのためにメイド喫茶を推したのか西条・・・。そういえばこいつ、絵里奈が好きだったね。精々頑張り給え。

 ◇
 

「あ、あの芦田君」

「どうした?」

 放課後、すぐさま帰宅しアニメでも見ようと思っていたら、若山さんがトコトコと俺の席に寄ってきた。

「あの・・な、なんで最近図書室に来てくれないんですか・・・?」

「なんでって、あの件は解決したから」

「そ、そうですけど・・・・」

「うん?また変な奴現れたの・・・?」

 槻谷の後継者とかやめてよね。

「ち、違います。その、最近はと一緒に帰っているんですが、私にはどこか違和感を感じていて・・・その、3人で帰っていた時はもっと楽しかったというか・・・」

 おぉ、ここ数週間の内にかなり仲が深まったように見える。誰にでも敬語で話す若山さんが、ちゃん付けするという事はかなり進展したのだろう。なんかこっちが嬉しいね。

「あっ、そのっ、決して麻衣ちゃんと一緒に居るのがつまらないという訳ではないですよっ、なんて言えばいいんでしょう・・・しっくりこないというか、ぅうー、分からない・・・」

「・・・うん、分かってるよ」

 ・・・何も分からないけど。
 結局若山さんは何が言いたいのだろう。俺が居た方がしっくりくる?俺みたいなボッチがか?・・・・そんなことないと思うけどな。若山さんのその感じから、古瀬さんとの仲はかなり良いのだろう。俺が居たら不純物極まりないと思うけどね。まるで、色彩豊かなキャンバスに、ポツンと黒い絵の具が落ちたような感じだろう。・・・・・・・自分で妄想して勝手に落ち込むこの癖を、早く卒業したい今日この頃。

「・・・芦田君は、もう、図書室に来てくれないんですか?」

「・・・・あぁ、行く必要ないしね」

 仮に、もし仮にだが、俺が居ないことで彼女たちに違和感を与えているのならば、それは・・・・・・・嬉しいことだ。俺みたいな存在でも、彼女たちに影響を与えることができたのだから。・・影響の良し悪しは置いといて。
 ただそれでも、俺は彼女たちとは一緒に居れない。自分が自分のことを一番知っている。友達が欲しいだとか、一緒に居たいだとか、俺は思っていない。何の行動も移さない、何対しても意欲が湧かない。そんな奴が居ていい場所ではない。

「・・・」

「帰るね、じゃあまた明日」

「・・・私はっ・・・あし」

 若山さんが何かを言おうとした時、それを遮る者が居た。 

「ねぇアッシー!今日暇?」

 言わずもがな、陽キャギャル娘こと神咲さんである。

「え、えぇまぁ」

 まずい、反射的に頷いてしまった・・・・アニメ鑑賞という大事な用事があるのに・・・・・・・・



「まじっ?じゃあさ、今日一緒に遊び行かない?」

「・・・はい?」

 ・・・・・どゆこと?
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