18 / 55
第一章
15.街へお出かけ 2
しおりを挟む
店を出ると少し街中を観光程度に歩くことになった。
街に出たことの無い私は全てが新鮮に移る。
前世では日本から出たことがないため、日本とは全く違う景色に本当に観光気分だった。
言うなれば街並みはテレビでよく見る中世のヨーロッパのような面影があり、それでいてそこに異世界というなの魔法要素が加わっている。
しかし、建物は茶や赤が基本な訳ではなく、白だったり緑だったりと様々な色合いで華やかだ。
街を歩きながらアルはまるでガイドのように、一つ一つ私が訊ねたものに関して丁寧に説明してくれる。
これは、どのようなものを扱ってる店なのか、ここの路地は危ないから入ってはいけないだとか、すごく詳しい。
「リリ、楽しい?」
最初は気を遣っていたが、アルがあまりも楽しそうにしているので私も楽しくなってしまった。
それに、こんなに素敵な街に出て興奮しないはずがない。
「はい。楽しいです。」
こんなに笑えたのかと自分でも驚くくらいの笑顔で答える。
カフェを出てからすっとさりげなく伸びてきたアルの手は私の手を握っている。
握られた時は一瞬びくっとしたものの振り解ける訳もなく、あれからそのままの状態である。
たまに自分の手をアルの手から抜こうとしてみたが握る強さが強くなるだけだった。
「何か他に聞きたいことや見たいものはある?」
「あ、えーっと…」
「……王太子殿下ですか?」
足を止め、後ろの声のする方向を見ると綺麗なドレスを着飾ったアルと同じ年齢程の女の子がいた。
「あ、失礼しました。私、トリードル伯爵家三女のクレアと申します。お話宜しいでしょうか?」
「断る。」
アルは眉を顰め、その令嬢を睥睨した。
「殿下。お待ちください。」
「今、婚約者とデート中なんだ。分をわきまえては貰えないかな?」
そう言うとアルは距離を取ろうとしていた私の肩を抱き、近くに寄せた。
まだ婚約者じゃないんだけどな…
それにしてもアルによく気づいたと思う。
今のアルは外出用に黒髪のヴィッグを被り、王太子という存在感を消している。
整っている顔は隠しきれはしないが、王太子だと言われてやっと気づくくらいだろう。
クレアと名乗った令嬢は婚約者という言葉に反応し、殺気を放つような鋭い目で私を見た。
アルといることでこうなることは予想がついていた。見事に予想的中である。
令嬢を見ていた私はそんな彼女の視線が辛くて思わず顔を逸らした。
アルのそんな言動にも物怖じせずに彼女は続けた。
「私、3ヶ月ほど前の王宮で開催されたお茶会でお会いしたのですが、覚えていらっしゃいませんか?
」
「はぁ……いい加減にしてくれないかな?私は分をわきまえるよう伝えたはずだが、君は、国王か聖人なのかな?」
アルの口元は上がってはいるものの目が笑っていない。
「いいえ、先程も申しました通り、私はトリードル伯爵家のクレアと申しますわ。」
この子はわざとなのか天然なのか。
私ならアルのこの顔を見ただけで一目散に逃げ出していると思う。まず、王太子殿下に会っても声をかけようとすらしないだろうが。
私達の騒ぎが周囲にも伝わったのか、ざわざわとし始める。私達の格好は貴族には見えような服装をしているが、相手が派手なドレスである。
貴族に絡まれた平民か、それまた貴族同士の喧嘩として捉えられても可笑しくはない。
「あの…」
「どうしたのリリ?」
アルは、今までクレアを見ていた目とは全く違う優しい目をして、こちらを見た。
「周りが…」
「ああ、そうだね。少し場所を移そうか。せっかくのデートなのにごめんね。」
「アル、私のことはお気になさらないで下さい。」
「貴方。殿下のことを御名で呼ぶなんて図々しいにも程がありますわ!!」
相手は私のことをしらないのか、癇癪にも似た強い口調で話してくる。
目立たないように私もあのお茶会にいたけれど、最後にはあの騒ぎを起こしている。だからその前に帰ってしまったか、それかこの格好のせいで気づかないのか。けれど知られていない方が、私としては都合がよかった。
「実に不愉快だ。彼女が私のことをどう呼ぼうが君には関係ないだろう。」
「殿下…」
「リリ。どうして殿下なんて呼ぶの?言ったよね。私は返事をしないよって。」
「ですが……今は2人きりでは…ありません……」
「........わかったよ…ちょっと待っててね。」
アルは、はぁとため息を着くと、令嬢の方を向き不快そうなのは顔を露わにして、低い声を発した。
「下がれ。二度とその面を私に見せるな。」
令嬢はアルの鋭い視線にたじろぎ、私を睨むとふんっと鼻を鳴らし、踵を返した。
「リリ、不快な思いをさせてしまったね。実はああいう子達が少ない訳じゃないんだ。もう二度とそういう奴らをリリに近づけさせたりしないから。安心してね。」
人を人とも思わない目で見られるのは慣れている。
けれど、この世界に来てから優しい人達ばかりで、少し怯んでしまった。アルに握られている手が小刻みに震えてくる。
そんな私をアルはそっと抱き寄せて、ぎゅっと抱擁した。耳元からは安心させるような暖かい声が聞こえてくる。
「大丈夫だよ。私が守るから。」
アルよりも身長が低い私はすっぽりとアルの体の中に収まる。
「すみません。ありがとうございます。」
少し緊張から身体が解けてきたのか、周囲のがやがやとした雑音が聞こえてくる。
いま、この状況になっているのが街の中であると思い出し、顔が熱くなった。アルの腕から逃れようと、アルの胸元を押す。するとアルが腕の力を弱くなり、私がそっと離れると瞳を覗き込まれた。
「落ち着いた?」
「はい。すみません。」
「ごめんね。ちょっと待っててくれる?」
アルは私から完全に離れて、少し距離がある後ろに待機していた、アルの護衛の方に向かった。
私には聞こえないが、何やら話している。
アルの背から目線を逸らし、騒ぎを起こしたせいで大通りの方向が見れず、路地裏の方に目線をやる。すると私の視界に物凄い速さで細い路地裏を駆け抜けるひとつの物体が入った。
その物体は夜だったら闇に紛れて全く分からないであろう程に真っ黒だった。
その物体は、急にぴたっと止まったかと思うと、壁に寄りかかる。
その行動を終始眺めていた私は肩が跳ねた。
目が合った気がしたのだ。いや、確実に目が合った。
黒い物体は人だったのだ。黒いマントに身を包み、そのマントとは正反対の白い肌が浮いていた。
何より印象敵だったのは左右違った目の色。
右手で左腕を庇うようにしていて、顔には赤黒い何かが付いている。その赤黒いなにかは左手からそっと垂れ、地面へと滴り落ちた。
その人物は私に気づくと一瞬の間に姿を消した。
「リリ?行こうか。」
背後から聞こえた声にびくっとした。
そこにはアルがいて、ほっと胸を撫でる。
「どうしたの?」
「いいえ、なんでもないです。」
首を横に振り、何となく今見た物を説明するのを躊躇った。
「そう?何かあったら私に言ってね。…ふふ、今日のデートは失敗してしまったかな。また今度来よう。その時は今日よりも飛びっきりに楽しませてあげるから。」
気がつくと辺りは青色から茜色に染まりつつあった。
「今日はここまでかな。」
元来た道を引き返し門前まで戻ると、来た時と同様の馬車が用意されていた。それに乗り、貴族宅へ入る。そうして長い一日が終わった。
街に出たことの無い私は全てが新鮮に移る。
前世では日本から出たことがないため、日本とは全く違う景色に本当に観光気分だった。
言うなれば街並みはテレビでよく見る中世のヨーロッパのような面影があり、それでいてそこに異世界というなの魔法要素が加わっている。
しかし、建物は茶や赤が基本な訳ではなく、白だったり緑だったりと様々な色合いで華やかだ。
街を歩きながらアルはまるでガイドのように、一つ一つ私が訊ねたものに関して丁寧に説明してくれる。
これは、どのようなものを扱ってる店なのか、ここの路地は危ないから入ってはいけないだとか、すごく詳しい。
「リリ、楽しい?」
最初は気を遣っていたが、アルがあまりも楽しそうにしているので私も楽しくなってしまった。
それに、こんなに素敵な街に出て興奮しないはずがない。
「はい。楽しいです。」
こんなに笑えたのかと自分でも驚くくらいの笑顔で答える。
カフェを出てからすっとさりげなく伸びてきたアルの手は私の手を握っている。
握られた時は一瞬びくっとしたものの振り解ける訳もなく、あれからそのままの状態である。
たまに自分の手をアルの手から抜こうとしてみたが握る強さが強くなるだけだった。
「何か他に聞きたいことや見たいものはある?」
「あ、えーっと…」
「……王太子殿下ですか?」
足を止め、後ろの声のする方向を見ると綺麗なドレスを着飾ったアルと同じ年齢程の女の子がいた。
「あ、失礼しました。私、トリードル伯爵家三女のクレアと申します。お話宜しいでしょうか?」
「断る。」
アルは眉を顰め、その令嬢を睥睨した。
「殿下。お待ちください。」
「今、婚約者とデート中なんだ。分をわきまえては貰えないかな?」
そう言うとアルは距離を取ろうとしていた私の肩を抱き、近くに寄せた。
まだ婚約者じゃないんだけどな…
それにしてもアルによく気づいたと思う。
今のアルは外出用に黒髪のヴィッグを被り、王太子という存在感を消している。
整っている顔は隠しきれはしないが、王太子だと言われてやっと気づくくらいだろう。
クレアと名乗った令嬢は婚約者という言葉に反応し、殺気を放つような鋭い目で私を見た。
アルといることでこうなることは予想がついていた。見事に予想的中である。
令嬢を見ていた私はそんな彼女の視線が辛くて思わず顔を逸らした。
アルのそんな言動にも物怖じせずに彼女は続けた。
「私、3ヶ月ほど前の王宮で開催されたお茶会でお会いしたのですが、覚えていらっしゃいませんか?
」
「はぁ……いい加減にしてくれないかな?私は分をわきまえるよう伝えたはずだが、君は、国王か聖人なのかな?」
アルの口元は上がってはいるものの目が笑っていない。
「いいえ、先程も申しました通り、私はトリードル伯爵家のクレアと申しますわ。」
この子はわざとなのか天然なのか。
私ならアルのこの顔を見ただけで一目散に逃げ出していると思う。まず、王太子殿下に会っても声をかけようとすらしないだろうが。
私達の騒ぎが周囲にも伝わったのか、ざわざわとし始める。私達の格好は貴族には見えような服装をしているが、相手が派手なドレスである。
貴族に絡まれた平民か、それまた貴族同士の喧嘩として捉えられても可笑しくはない。
「あの…」
「どうしたのリリ?」
アルは、今までクレアを見ていた目とは全く違う優しい目をして、こちらを見た。
「周りが…」
「ああ、そうだね。少し場所を移そうか。せっかくのデートなのにごめんね。」
「アル、私のことはお気になさらないで下さい。」
「貴方。殿下のことを御名で呼ぶなんて図々しいにも程がありますわ!!」
相手は私のことをしらないのか、癇癪にも似た強い口調で話してくる。
目立たないように私もあのお茶会にいたけれど、最後にはあの騒ぎを起こしている。だからその前に帰ってしまったか、それかこの格好のせいで気づかないのか。けれど知られていない方が、私としては都合がよかった。
「実に不愉快だ。彼女が私のことをどう呼ぼうが君には関係ないだろう。」
「殿下…」
「リリ。どうして殿下なんて呼ぶの?言ったよね。私は返事をしないよって。」
「ですが……今は2人きりでは…ありません……」
「........わかったよ…ちょっと待っててね。」
アルは、はぁとため息を着くと、令嬢の方を向き不快そうなのは顔を露わにして、低い声を発した。
「下がれ。二度とその面を私に見せるな。」
令嬢はアルの鋭い視線にたじろぎ、私を睨むとふんっと鼻を鳴らし、踵を返した。
「リリ、不快な思いをさせてしまったね。実はああいう子達が少ない訳じゃないんだ。もう二度とそういう奴らをリリに近づけさせたりしないから。安心してね。」
人を人とも思わない目で見られるのは慣れている。
けれど、この世界に来てから優しい人達ばかりで、少し怯んでしまった。アルに握られている手が小刻みに震えてくる。
そんな私をアルはそっと抱き寄せて、ぎゅっと抱擁した。耳元からは安心させるような暖かい声が聞こえてくる。
「大丈夫だよ。私が守るから。」
アルよりも身長が低い私はすっぽりとアルの体の中に収まる。
「すみません。ありがとうございます。」
少し緊張から身体が解けてきたのか、周囲のがやがやとした雑音が聞こえてくる。
いま、この状況になっているのが街の中であると思い出し、顔が熱くなった。アルの腕から逃れようと、アルの胸元を押す。するとアルが腕の力を弱くなり、私がそっと離れると瞳を覗き込まれた。
「落ち着いた?」
「はい。すみません。」
「ごめんね。ちょっと待っててくれる?」
アルは私から完全に離れて、少し距離がある後ろに待機していた、アルの護衛の方に向かった。
私には聞こえないが、何やら話している。
アルの背から目線を逸らし、騒ぎを起こしたせいで大通りの方向が見れず、路地裏の方に目線をやる。すると私の視界に物凄い速さで細い路地裏を駆け抜けるひとつの物体が入った。
その物体は夜だったら闇に紛れて全く分からないであろう程に真っ黒だった。
その物体は、急にぴたっと止まったかと思うと、壁に寄りかかる。
その行動を終始眺めていた私は肩が跳ねた。
目が合った気がしたのだ。いや、確実に目が合った。
黒い物体は人だったのだ。黒いマントに身を包み、そのマントとは正反対の白い肌が浮いていた。
何より印象敵だったのは左右違った目の色。
右手で左腕を庇うようにしていて、顔には赤黒い何かが付いている。その赤黒いなにかは左手からそっと垂れ、地面へと滴り落ちた。
その人物は私に気づくと一瞬の間に姿を消した。
「リリ?行こうか。」
背後から聞こえた声にびくっとした。
そこにはアルがいて、ほっと胸を撫でる。
「どうしたの?」
「いいえ、なんでもないです。」
首を横に振り、何となく今見た物を説明するのを躊躇った。
「そう?何かあったら私に言ってね。…ふふ、今日のデートは失敗してしまったかな。また今度来よう。その時は今日よりも飛びっきりに楽しませてあげるから。」
気がつくと辺りは青色から茜色に染まりつつあった。
「今日はここまでかな。」
元来た道を引き返し門前まで戻ると、来た時と同様の馬車が用意されていた。それに乗り、貴族宅へ入る。そうして長い一日が終わった。
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
愛されない王妃は、お飾りでいたい
夕立悠理
恋愛
──私が君を愛することは、ない。
クロアには前世の記憶がある。前世の記憶によると、ここはロマンス小説の世界でクロアは悪役令嬢だった。けれど、クロアが敗戦国の王に嫁がされたことにより、物語は終わった。
そして迎えた初夜。夫はクロアを愛せず、抱くつもりもないといった。
「イエーイ、これで自由の身だわ!!!」
クロアが喜びながらスローライフを送っていると、なんだか、夫の態度が急変し──!?
「初夜にいった言葉を忘れたんですか!?」
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
番は君なんだと言われ王宮で溺愛されています
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私ミーシャ・ラクリマ男爵令嬢は、家の借金の為コッソリと王宮でメイドとして働いています。基本は王宮内のお掃除ですが、人手が必要な時には色々な所へ行きお手伝いします。そんな中私を番だと言う人が現れた。えっ、あなたって!?
貧乏令嬢が番と幸せになるまでのすれ違いを書いていきます。
愛の花第2弾です。前の話を読んでいなくても、単体のお話として読んで頂けます。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。
クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。
皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。
こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。
私のこと気に入らないとか……ありそう?
ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
絆されていたのに。
ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。
――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。
第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
不定期更新です。
他サイトさまでも投稿しています。
10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる