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第一章
23.悪魔との再会
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家に着くと、考え事をしたいがために自室へと戻る。ニケには申し訳ないが、部屋には呼ばない限り来ないように言った。
部屋のソファに座る。
考え事は今朝、父様に言われた婚約の事だった。
アルの婚約者になる。
それを意味するのは、国母になるということ。
その重圧に、周りの威圧に耐えきれるのか。
あの令嬢のように私を蹴落とそうとしてくる人は何人にも増えるのだ。
何度も何度もあの頃から考えていた事を考え直した。
「よっ。」
窓の方からいきなり声が聞こえ、振り返る。
そこに居たのはあの夜に来た男だった。
明るいところで見ると男の童顔がよくわかる。
男というよりも少年と例えた方があっているような気がしてきた。
あの時はもっと大きく感じたのに…
よくよく考えると私は今、幼女だった。
そうしたら大きく見えてしまうのは当たり前なのだろう。
「あの…あの時の?」
「…まぁ、あの時はありがとな。」
「ど、どういたしまして……?」
少年は頬を掻きながらちかづいてくる。
「なんで疑問形なんだ?」
「本当に私が貴方の呪いを解いたと思えなくて…」
あの時何が起こったのか全然わからなかった。
「いや、確かにあんたが解いたと思うぞ。見てみろよ。」
少年は服を捲り始めた。その行為を見て思わず、目線を逸らしてしまった。
「え、ちょっと何してるんですか……!?」
「何って…いいから……あんたこそ何してんだよ。」
ゆっくりと少年に視線を戻す。
すると、少年は自分の胸元に指を指した。
「確かに呪いをかけられた時、ここに呪いの魔法陣が紅く浮かび上がっていたんだ。でも今はなくなってる。どういうことかわかるだろ?間違いなくあんたが俺の呪いを解いたんだ。」
「そうなんですね…教えていただいてありがとうございます。」
真剣な目付きをし、こちらを見据える少年は童顔な顔からでは想像もつきそうにない顔をする。
「いや、ありがとうというのはこっちだ。まぁ、厄介なものには捕まっちまったがな…」
「そ、それは私のせいですか?す、すみません。」
ぼそっと少年が呟いた言葉を聞き逃さなかった。
厄介なもの、一応私は侯爵家の娘で、ここはその屋敷、そこに侵入したとすれば何かあるには違いない。
「あの、父様や衛兵などには上手くいっておきますので……大丈夫です。貴方の命に関わることだったのでしょうし、仕方の無いことですから。むしろ、ここに来ていただいて、1人の命を救えたので役得かと……」
「はははははははははははは」
少年は物凄い勢いで笑い出す。もしかしたら、部屋の外まで聞こえてるんではなかろうか。
「大丈夫大丈夫。防音の魔法使ってるからちっとやそっとじゃ聞こえねぇよ。」
私の考えがお見通しだったかのように、少年は笑い泣きした跡を拭い答える。
「はぁ。あんた面白いな。それに気にすんな。父様にも衛兵にも別に見つかってねぇしよ。あんたが心配するようなことは何もない。」
「なら、良かったです。」
その言葉にさっきまで笑っていた少年は、くるっと表情を変える。
「良くねぇよ。あんたさ、自分の立場分かってる?あんたは侯爵家の娘。いつ襲われたって殺されたってわからないんだよ。だから衛兵やらこの屋敷の周りには多く付いてんだ。俺の呪いが嘘であんたを殺しにきたとしたら、どうするつもりなんだよ。現に俺は暗殺者の1人だ。あんたなんてどうにだってできる。」
鋭い視線を感じるが、何故かあの時のような恐怖はない。
「けれど…そうやって…教えてくれるから…貴方は私を殺さない……と思い…ます…多分……。それに…私がいなくなっても誰も悲しまない…」
現世の父様と母様は、私がいなくなったら悲しんでくれる…?
私は昔から家族というものが分からない。
「何故、そこまで自分を卑下するんだ?あんたくらいの貴族の子は自分の身分を笠に着て自慢したりするもんだろ。」
「笠に着るだなんて…偉いのは侯爵である父様で私自身は偉くなんてありません。ただの金魚の糞みたいなもので……」
「そうだな。だけど、それをわかってないやつらばかりなんだよ。貴族の奴らは。」
「それは……ごめんなさい。」
暫くの沈黙の後、俯いた私の頭上から笑い声が聞こえてくる。
「くくくっ…はぁ、あんたが謝る必要はねぇよ。貴族なのに貴族らしくなくて俺はいいと思う。てか、なんだよ…ははは…まじで傑作。金魚の糞…くくくっ…そうだな、確かに金魚の糞だわ。ひひひひっ…はぁ…あんた本当はもっと年齢いってんじゃないの?」
面白おかしくて仕方の無い様子でずっと笑っている。何かおかしな言動をしていただろうか。
悪い癖だと思う。他人の常識ではなく、自分の常識をまず先に疑ってしまう。
それに、年齢を偽っていると言われても仕方ないかもしれない。私の精神年齢は今の年齢に加えて前世の享年の17が上乗せされる。それに普通ではない境遇だったし…
「はぁ、おもしれぇ。いいよ。なんかよくわからんけど、悪い気はしないよ。まぁ、そうだな。少し、話を聞いてくれるか?」
「え?あ、はい。もちろん。…あの……座りますか?」
話をするというのなら立ちっぱなしもなんだからとソファへと促す。
その動作にまたも少年は笑いだした。
「いや、このままでいい。」
そういうと少年は今までにあったことを話し始めた。
部屋のソファに座る。
考え事は今朝、父様に言われた婚約の事だった。
アルの婚約者になる。
それを意味するのは、国母になるということ。
その重圧に、周りの威圧に耐えきれるのか。
あの令嬢のように私を蹴落とそうとしてくる人は何人にも増えるのだ。
何度も何度もあの頃から考えていた事を考え直した。
「よっ。」
窓の方からいきなり声が聞こえ、振り返る。
そこに居たのはあの夜に来た男だった。
明るいところで見ると男の童顔がよくわかる。
男というよりも少年と例えた方があっているような気がしてきた。
あの時はもっと大きく感じたのに…
よくよく考えると私は今、幼女だった。
そうしたら大きく見えてしまうのは当たり前なのだろう。
「あの…あの時の?」
「…まぁ、あの時はありがとな。」
「ど、どういたしまして……?」
少年は頬を掻きながらちかづいてくる。
「なんで疑問形なんだ?」
「本当に私が貴方の呪いを解いたと思えなくて…」
あの時何が起こったのか全然わからなかった。
「いや、確かにあんたが解いたと思うぞ。見てみろよ。」
少年は服を捲り始めた。その行為を見て思わず、目線を逸らしてしまった。
「え、ちょっと何してるんですか……!?」
「何って…いいから……あんたこそ何してんだよ。」
ゆっくりと少年に視線を戻す。
すると、少年は自分の胸元に指を指した。
「確かに呪いをかけられた時、ここに呪いの魔法陣が紅く浮かび上がっていたんだ。でも今はなくなってる。どういうことかわかるだろ?間違いなくあんたが俺の呪いを解いたんだ。」
「そうなんですね…教えていただいてありがとうございます。」
真剣な目付きをし、こちらを見据える少年は童顔な顔からでは想像もつきそうにない顔をする。
「いや、ありがとうというのはこっちだ。まぁ、厄介なものには捕まっちまったがな…」
「そ、それは私のせいですか?す、すみません。」
ぼそっと少年が呟いた言葉を聞き逃さなかった。
厄介なもの、一応私は侯爵家の娘で、ここはその屋敷、そこに侵入したとすれば何かあるには違いない。
「あの、父様や衛兵などには上手くいっておきますので……大丈夫です。貴方の命に関わることだったのでしょうし、仕方の無いことですから。むしろ、ここに来ていただいて、1人の命を救えたので役得かと……」
「はははははははははははは」
少年は物凄い勢いで笑い出す。もしかしたら、部屋の外まで聞こえてるんではなかろうか。
「大丈夫大丈夫。防音の魔法使ってるからちっとやそっとじゃ聞こえねぇよ。」
私の考えがお見通しだったかのように、少年は笑い泣きした跡を拭い答える。
「はぁ。あんた面白いな。それに気にすんな。父様にも衛兵にも別に見つかってねぇしよ。あんたが心配するようなことは何もない。」
「なら、良かったです。」
その言葉にさっきまで笑っていた少年は、くるっと表情を変える。
「良くねぇよ。あんたさ、自分の立場分かってる?あんたは侯爵家の娘。いつ襲われたって殺されたってわからないんだよ。だから衛兵やらこの屋敷の周りには多く付いてんだ。俺の呪いが嘘であんたを殺しにきたとしたら、どうするつもりなんだよ。現に俺は暗殺者の1人だ。あんたなんてどうにだってできる。」
鋭い視線を感じるが、何故かあの時のような恐怖はない。
「けれど…そうやって…教えてくれるから…貴方は私を殺さない……と思い…ます…多分……。それに…私がいなくなっても誰も悲しまない…」
現世の父様と母様は、私がいなくなったら悲しんでくれる…?
私は昔から家族というものが分からない。
「何故、そこまで自分を卑下するんだ?あんたくらいの貴族の子は自分の身分を笠に着て自慢したりするもんだろ。」
「笠に着るだなんて…偉いのは侯爵である父様で私自身は偉くなんてありません。ただの金魚の糞みたいなもので……」
「そうだな。だけど、それをわかってないやつらばかりなんだよ。貴族の奴らは。」
「それは……ごめんなさい。」
暫くの沈黙の後、俯いた私の頭上から笑い声が聞こえてくる。
「くくくっ…はぁ、あんたが謝る必要はねぇよ。貴族なのに貴族らしくなくて俺はいいと思う。てか、なんだよ…ははは…まじで傑作。金魚の糞…くくくっ…そうだな、確かに金魚の糞だわ。ひひひひっ…はぁ…あんた本当はもっと年齢いってんじゃないの?」
面白おかしくて仕方の無い様子でずっと笑っている。何かおかしな言動をしていただろうか。
悪い癖だと思う。他人の常識ではなく、自分の常識をまず先に疑ってしまう。
それに、年齢を偽っていると言われても仕方ないかもしれない。私の精神年齢は今の年齢に加えて前世の享年の17が上乗せされる。それに普通ではない境遇だったし…
「はぁ、おもしれぇ。いいよ。なんかよくわからんけど、悪い気はしないよ。まぁ、そうだな。少し、話を聞いてくれるか?」
「え?あ、はい。もちろん。…あの……座りますか?」
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