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歌い手の為、呼び出し。
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「オトハ、あんたを城にと命令されたよ」
「え!?」
旅の仕度をしていた私に、雇い主で一座の座長である母さんぐらいの歳のアルマさんが青い顔でそう告げた。
「ど、どう言う事ですか! アルマさん!?」
動転して声を荒げた私を注意する事もなく、アルマさんは震える私の両手を取る。
私より背の高いアルマさんを見上げると、揺れる青色の瞳に真っ白になっている私の顔が映っていた。
「……あんたに歌って欲しいんだってさ。あんたも知っているだろう?」
私は諭す様なアルマさんの言葉に、全身を振るわせる。
どうして、私が……。
そんな問いが、私の心を支配した。
3ヶ月前、私は奏多先輩に《秘密の花園》から異世界に飛ばされた。
気付いたら森に居てその場で呆然としていると、ちょうど良く次の公演場所へ移動していたアルマさん達一座が通り掛り、 明らかに日本人と違う外国人な顔立ちとお伽話に出てきそうな洋風な服を身にまとったアルマさんが話し掛けくれた。
一か八か本当の事を話すと、アルマさんは変な顔をせず「そりゃあ、苦労したね」と反対に微笑んで労わりの言葉を掛けてくれて、 保護してくれた。
アルマさんの一座は、演奏や踊り、芸を見せて大陸を旅するのだと教えてくれて、 サーカス風な衣装を着て芸を少しだけ見せてくれた。
コスプレしている外国人御一行かとちょっぴり疑っていた私だけど、 アルマさんに声を掛けられて、荷馬車から見た街の建物や行き交う人々を見て異世界なのだと実感した。
《時空の司》は、“もしも”の世界とか、異世界とか行き来できるし、人も飛ばせる。
奏多先輩は、《時空の司》だったのかと、持っていた杖と姿見を思い出し納得した。
だって、魔城学園の図書室で一回見た事のある資料に載せられていた杖と姿見の絵が、 奏多先輩が持っていた杖と姿見に一致したからだ。
魔城学園に在学していた所為か、すんなり受け入れられた私は、 『働かざる者食うべからず』と言う母さんの教えに則り、お願いして一座で働かせてもらう事になった。
風を少ししか操れない私は、歌い手として働かせてもらっている。
だけど、ここはアウラ王国。運が悪かったのかもしれない。
アルマさんや皆は色々知っているけれど、この世界に来て少しの私にも耳に届くほどのとても有名な話が、 私の身にも今降り掛からんとしている。
その話は、一年半前、ある一人のとても綺麗な容姿の歌い手が、 今まさに居るこの国にふらりと来た事からはじまる。
いつも人気の無い場所で歌い手が歌っていても皆、自然と集まり耳を傾ける程だったと言う。
すぐにその歌い手は有名になり、城に招かれた。
歌い手は、とても素晴らしい歌を堂々と王様に披露した。
その歌声を気にいった王様は、こう言った。
『この宮廷に仕えてみないか?』
普通だったら、この国では滅多に無いという城入りの話。
だけど、歌い手は首を縦には振らなかった。
『私には、もう仕えているお方がいるのです』
と言って、突然現れた銀の髪の美形と城を出て行った。
その後の歌い手の行方は知れず、この国にその歌い手が現れる事はなくなったのだと言う。
それから、賢君と誉れ高かった二十六歳の若い王様は狂いはじめた。
舞台…果ては、国の端にある村のパブに居る歌い手など、歌が上手いという国中の歌い手を月一、 一人呼び出して披露させた。
それは良い。
そこまでは、良かった。
でも、問題はここからだ。
歌い始めた歌い手に、王様は右手だけで制する。
『もう良い。連れて行け』
王様の言うそれは、死刑判決のような命令。
そう言われた歌い手は牢屋に入れられ、ボロボロになるまで仕置きをされるという。
しかも、最後まで王様の前で歌い終えた歌い手は、今まで居ない。
だから、絶対に今回も……。
私は俯いて首を横に振る。
「むり……。そんなの、無理です!」
「この国の王様が噂の歌い手を求めているなら、無理だろうね」
振るえが激しくって、カチカチと歯を鳴らす私をアルマさんが抱き締めた。
ひしっと抱締めてくれる包容力の強さに、少しの安堵すると、アルマさんに呼ばれて私は顔を上げる。
そこには、慈愛の籠った――けれど、悲しみを湛えた目がこちらをに向けられていた。
「お前は歌が飛び出て上手い。だから今回、召されたんだろう。 ……ごめんよ、オトハ。あんたも一座も、国の者ではないから召されないと軽く思っていたアタシが悪かったんだ」
「そんな事、言わないでください!!」
「ただ、ただね、オトハ。あんたは、本当に歌が上手い。アタシは、噂の歌い手がどんなに上手いかなんて知らないよ。 でもあんたは、アタシが聞いてきた歌い手の中で飛びぬけて上手い。 だから、助かる見込みは絶対にないわけじゃあない。本当は、アンタを肩に担いででも逃げたい。 でも突然で、もうこの周りを包囲されちまった。もう逃げられないんだよ、オトハ。 ――なぁに、心配する事無いさ。アタシも一緒に行くから、お前はいつもの様に歌いな」
アルマさんは、落ち着かせるようににっこり笑って、私の頭を撫でる。
けど、アルマさんの手は震えていて、顔も青い。
私は、歌は普通に歌えるだけだ。アルマさんは、私を勇気付けようとしてくれているんだ。
アルマさんは私の雇い主だけど、母さんのように優しくって、見も知らずの私に温かいご飯と寝床と服を与えてくれて、 しかも仕事までくれた恩がある。
私が恩なんて言うのは、差し出がましい様な気がするでもないけど、何か返したいと思っているのは確かだ。
だから、答えは決まってしまった。
「アルマさん、私……」
ここで恩返しが、出来るなら良いと思う。
怖いけれど、アルマさんは絶対、ううん。一座の皆に迷惑を掛けられない。
だって、良い人達なんだ。
――皆ともここでお別れか……。
噂で、一座の歌い手を呼んで歌わせた話は無かった。
だから、私が王様に駄目だしされたら、皆も牢屋に入れられてしまうかもしれない。
そう思ったから、私は一人で行く事にした。
私は、一つ頷く。
「私、一人で行きます」
「オトハ、お前……」
私の言葉を聞いて、アルマさんは震える手で口を押さえた。
「じゃあ、私も行く!」
「ラナ姉さん」
手を勢い良く上げて私達の前に飛び出した五歳年上のラナ姉さんが言い出すと、一歩離れていた皆もどっと押し寄せて来た。
「皆……?」
女の人も男の人もこの世界では背が高くて、私は見上げた。
すると、皆、口々に言う。
「この際、良いから逃げようよ」
「私達が囮になるからその隙に!」
「そうだ、それが良い!」
「ちょ、皆、まって!!」
そうだそうだ。という皆に慌てる。
本当は嬉しい。
けど、状況が状況なだけに皆の思いは受け止められないと首を横にぶんぶんと振った。
――皆まで捕まっちゃう!
考え直してもらおうと説得しようとしたけど、皆、私の話なんか聞いてくれない。
「お前達、いい加減におし!! オトハの気持ちを考えな!」
そんな騒ぎを目を瞑って黙っていたアルマさんが、怒鳴った。
皆、困ったような顔をしているだろう私を見て押し黙った。
そして、アルマさんまでも私をヒタッと見据える。
「あんた、本当にそれで良いのかい?」
「はい」
「怖かったら、正直に言いな。アタシも付いて行くから」
「アルマさん。本当に大丈夫です。だって、アルマさんが認めてくれた歌声ですよ?」
自分で言ってなんですけどね。そう言って、皆を安心させるように私は微笑むと、皆もぎこちなくだけど微笑んでくれた。
「わかった。お前がそう言うなら、一人でお行き。さあ、お前達、発つ準備をしな!」
ポロリと目から涙を零したアルマさんが絞り出した声に、皆しぶしぶ準備を始めた。
「え!?」
旅の仕度をしていた私に、雇い主で一座の座長である母さんぐらいの歳のアルマさんが青い顔でそう告げた。
「ど、どう言う事ですか! アルマさん!?」
動転して声を荒げた私を注意する事もなく、アルマさんは震える私の両手を取る。
私より背の高いアルマさんを見上げると、揺れる青色の瞳に真っ白になっている私の顔が映っていた。
「……あんたに歌って欲しいんだってさ。あんたも知っているだろう?」
私は諭す様なアルマさんの言葉に、全身を振るわせる。
どうして、私が……。
そんな問いが、私の心を支配した。
3ヶ月前、私は奏多先輩に《秘密の花園》から異世界に飛ばされた。
気付いたら森に居てその場で呆然としていると、ちょうど良く次の公演場所へ移動していたアルマさん達一座が通り掛り、 明らかに日本人と違う外国人な顔立ちとお伽話に出てきそうな洋風な服を身にまとったアルマさんが話し掛けくれた。
一か八か本当の事を話すと、アルマさんは変な顔をせず「そりゃあ、苦労したね」と反対に微笑んで労わりの言葉を掛けてくれて、 保護してくれた。
アルマさんの一座は、演奏や踊り、芸を見せて大陸を旅するのだと教えてくれて、 サーカス風な衣装を着て芸を少しだけ見せてくれた。
コスプレしている外国人御一行かとちょっぴり疑っていた私だけど、 アルマさんに声を掛けられて、荷馬車から見た街の建物や行き交う人々を見て異世界なのだと実感した。
《時空の司》は、“もしも”の世界とか、異世界とか行き来できるし、人も飛ばせる。
奏多先輩は、《時空の司》だったのかと、持っていた杖と姿見を思い出し納得した。
だって、魔城学園の図書室で一回見た事のある資料に載せられていた杖と姿見の絵が、 奏多先輩が持っていた杖と姿見に一致したからだ。
魔城学園に在学していた所為か、すんなり受け入れられた私は、 『働かざる者食うべからず』と言う母さんの教えに則り、お願いして一座で働かせてもらう事になった。
風を少ししか操れない私は、歌い手として働かせてもらっている。
だけど、ここはアウラ王国。運が悪かったのかもしれない。
アルマさんや皆は色々知っているけれど、この世界に来て少しの私にも耳に届くほどのとても有名な話が、 私の身にも今降り掛からんとしている。
その話は、一年半前、ある一人のとても綺麗な容姿の歌い手が、 今まさに居るこの国にふらりと来た事からはじまる。
いつも人気の無い場所で歌い手が歌っていても皆、自然と集まり耳を傾ける程だったと言う。
すぐにその歌い手は有名になり、城に招かれた。
歌い手は、とても素晴らしい歌を堂々と王様に披露した。
その歌声を気にいった王様は、こう言った。
『この宮廷に仕えてみないか?』
普通だったら、この国では滅多に無いという城入りの話。
だけど、歌い手は首を縦には振らなかった。
『私には、もう仕えているお方がいるのです』
と言って、突然現れた銀の髪の美形と城を出て行った。
その後の歌い手の行方は知れず、この国にその歌い手が現れる事はなくなったのだと言う。
それから、賢君と誉れ高かった二十六歳の若い王様は狂いはじめた。
舞台…果ては、国の端にある村のパブに居る歌い手など、歌が上手いという国中の歌い手を月一、 一人呼び出して披露させた。
それは良い。
そこまでは、良かった。
でも、問題はここからだ。
歌い始めた歌い手に、王様は右手だけで制する。
『もう良い。連れて行け』
王様の言うそれは、死刑判決のような命令。
そう言われた歌い手は牢屋に入れられ、ボロボロになるまで仕置きをされるという。
しかも、最後まで王様の前で歌い終えた歌い手は、今まで居ない。
だから、絶対に今回も……。
私は俯いて首を横に振る。
「むり……。そんなの、無理です!」
「この国の王様が噂の歌い手を求めているなら、無理だろうね」
振るえが激しくって、カチカチと歯を鳴らす私をアルマさんが抱き締めた。
ひしっと抱締めてくれる包容力の強さに、少しの安堵すると、アルマさんに呼ばれて私は顔を上げる。
そこには、慈愛の籠った――けれど、悲しみを湛えた目がこちらをに向けられていた。
「お前は歌が飛び出て上手い。だから今回、召されたんだろう。 ……ごめんよ、オトハ。あんたも一座も、国の者ではないから召されないと軽く思っていたアタシが悪かったんだ」
「そんな事、言わないでください!!」
「ただ、ただね、オトハ。あんたは、本当に歌が上手い。アタシは、噂の歌い手がどんなに上手いかなんて知らないよ。 でもあんたは、アタシが聞いてきた歌い手の中で飛びぬけて上手い。 だから、助かる見込みは絶対にないわけじゃあない。本当は、アンタを肩に担いででも逃げたい。 でも突然で、もうこの周りを包囲されちまった。もう逃げられないんだよ、オトハ。 ――なぁに、心配する事無いさ。アタシも一緒に行くから、お前はいつもの様に歌いな」
アルマさんは、落ち着かせるようににっこり笑って、私の頭を撫でる。
けど、アルマさんの手は震えていて、顔も青い。
私は、歌は普通に歌えるだけだ。アルマさんは、私を勇気付けようとしてくれているんだ。
アルマさんは私の雇い主だけど、母さんのように優しくって、見も知らずの私に温かいご飯と寝床と服を与えてくれて、 しかも仕事までくれた恩がある。
私が恩なんて言うのは、差し出がましい様な気がするでもないけど、何か返したいと思っているのは確かだ。
だから、答えは決まってしまった。
「アルマさん、私……」
ここで恩返しが、出来るなら良いと思う。
怖いけれど、アルマさんは絶対、ううん。一座の皆に迷惑を掛けられない。
だって、良い人達なんだ。
――皆ともここでお別れか……。
噂で、一座の歌い手を呼んで歌わせた話は無かった。
だから、私が王様に駄目だしされたら、皆も牢屋に入れられてしまうかもしれない。
そう思ったから、私は一人で行く事にした。
私は、一つ頷く。
「私、一人で行きます」
「オトハ、お前……」
私の言葉を聞いて、アルマさんは震える手で口を押さえた。
「じゃあ、私も行く!」
「ラナ姉さん」
手を勢い良く上げて私達の前に飛び出した五歳年上のラナ姉さんが言い出すと、一歩離れていた皆もどっと押し寄せて来た。
「皆……?」
女の人も男の人もこの世界では背が高くて、私は見上げた。
すると、皆、口々に言う。
「この際、良いから逃げようよ」
「私達が囮になるからその隙に!」
「そうだ、それが良い!」
「ちょ、皆、まって!!」
そうだそうだ。という皆に慌てる。
本当は嬉しい。
けど、状況が状況なだけに皆の思いは受け止められないと首を横にぶんぶんと振った。
――皆まで捕まっちゃう!
考え直してもらおうと説得しようとしたけど、皆、私の話なんか聞いてくれない。
「お前達、いい加減におし!! オトハの気持ちを考えな!」
そんな騒ぎを目を瞑って黙っていたアルマさんが、怒鳴った。
皆、困ったような顔をしているだろう私を見て押し黙った。
そして、アルマさんまでも私をヒタッと見据える。
「あんた、本当にそれで良いのかい?」
「はい」
「怖かったら、正直に言いな。アタシも付いて行くから」
「アルマさん。本当に大丈夫です。だって、アルマさんが認めてくれた歌声ですよ?」
自分で言ってなんですけどね。そう言って、皆を安心させるように私は微笑むと、皆もぎこちなくだけど微笑んでくれた。
「わかった。お前がそう言うなら、一人でお行き。さあ、お前達、発つ準備をしな!」
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