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第2章 乱破
206 Phobos×初期値
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「大阪急性期・総合医療センターに侵攻した、Phobos乱波はどんな乱波? 名前が出て来んで気になった」
説明を始めたのは胡蝶。
「二〇一八年に確認した乱波。Dharma乱波とよう似とる。両乱波ともMicrosoft屋のRDPの不具合CVE-2019-0708、BlueKeepを利用するタイプ。初期設定のまま使っとるような阿呆が標的やお」
また出た、阿呆。普段使わない単語だからか、気になって仕方ない。
「初期設定?」
「ポート番号。リモートデスクトップを許可する場合、初期設定では三三八九番ポートが使用される。もしも帰蝶が攻撃する側の立場やったら何番ポートを見る?」
「三三八九番」
「やろ。番号変えずに使用しとる奴は、標的にされるってわかっとって放置しとるんやで、鴨やお。危機管理する能力があらへん相手やで、総当たり攻撃してもええけど、BlueKeepを利用すれば、認証せんでも攻撃用データを送信出来る。管理者権限を奪って、後はやりたい放題」
「自業自得やん」
「そうやお。番号変えるか、セキュリティパッチを適用しとれば防げるんやで、被害に遭うのは阿呆だけ」
「ちなみに、管理者権限を奪った後、どんなことをするん?」
「問題。暗号化した後に、されたくないことは?」
「復号」
「そう。やで、暗号化開始前にシャドーコピーを削除して、簡単に復元出来んようにする」
vssadmin delete shadows /all /quiet
wmic shadowcopy delete
胡蝶入力(にゅうりょく)したコードが、画面に表示される。
「これは本物?」
「おかしなこと聞くね。嘘を書く必要無いやん」
「ドラマとかアニメでは、それっぽいことを雰囲気でやっとるだけやし……」
吉乃にされたように頭を振られると思い、咄嗟に頭に手にやり身構える。
「痛っ!!」
胡蝶は吉乃の頭を叩いた。
「吉乃! 帰蝶にトラウマ植え付けたことを謝罪しろ!」
「ごめんなさい」
「あら。許さないって。一〇回回って、三〇秒頭振ってからやり直し」
吉乃の謝罪の後、間髪入れずに無茶振りする胡蝶。
「わあああぁぁ……」
無茶振りに応え、ふらふらしながら地面にストンと腰を落とし、頭を下げる吉乃。
「許さ……」
「許します!」
胡蝶の声よりも大きな声を重ね、打ち消す。
何事も無かったかのように、説明に戻る胡蝶。
「フィクションと混同したらあかん。これは現実や。で、バックアップに関する詳細情報を削除する」
wbadmin delete catalog -quiet
何食わぬ顔で入力する胡蝶を見て、切り替えの早さに驚く。
「ウイルス対策やバックアップに関する、攻撃者にとって邪魔なプロセスを終了させて、サービスは止める。ファイルを掴まれとると暗号化に支障があるで、データベースとかドキュメント編集ソフトなんかの、書込みに邪魔なプロセスを終了させる。対象のプロセス名はリストになっとるで、順番に止めてくだけやお。他にはnetshコマンドを使って、ファイアウォールを無効化する。記述は、こんな感じやな」
netsh advfirewall set currentprofile state off
netsh firewall set opmode mode=disable
「ファイルを暗号化する時に使う公開鍵はハードコードしてあるで、インターネット接続しとらんでも暗号化出来る。終わるのを待って、最後に身代金要求メッセージファイルを生成しておしまい。自動実行設定したりとか、細かいことは端折った。二重脅迫型やないし、しとることはシンプル。漏洩リスクがあらへんで、バックアップを適切に取っとれば、恐るるに足らん地味なやつ」
帰蝶の応答を待つことなく、間髪入れずに進む説明。
聞き漏らさないよう、耳に全神経を集中する。
説明を始めたのは胡蝶。
「二〇一八年に確認した乱波。Dharma乱波とよう似とる。両乱波ともMicrosoft屋のRDPの不具合CVE-2019-0708、BlueKeepを利用するタイプ。初期設定のまま使っとるような阿呆が標的やお」
また出た、阿呆。普段使わない単語だからか、気になって仕方ない。
「初期設定?」
「ポート番号。リモートデスクトップを許可する場合、初期設定では三三八九番ポートが使用される。もしも帰蝶が攻撃する側の立場やったら何番ポートを見る?」
「三三八九番」
「やろ。番号変えずに使用しとる奴は、標的にされるってわかっとって放置しとるんやで、鴨やお。危機管理する能力があらへん相手やで、総当たり攻撃してもええけど、BlueKeepを利用すれば、認証せんでも攻撃用データを送信出来る。管理者権限を奪って、後はやりたい放題」
「自業自得やん」
「そうやお。番号変えるか、セキュリティパッチを適用しとれば防げるんやで、被害に遭うのは阿呆だけ」
「ちなみに、管理者権限を奪った後、どんなことをするん?」
「問題。暗号化した後に、されたくないことは?」
「復号」
「そう。やで、暗号化開始前にシャドーコピーを削除して、簡単に復元出来んようにする」
vssadmin delete shadows /all /quiet
wmic shadowcopy delete
胡蝶入力(にゅうりょく)したコードが、画面に表示される。
「これは本物?」
「おかしなこと聞くね。嘘を書く必要無いやん」
「ドラマとかアニメでは、それっぽいことを雰囲気でやっとるだけやし……」
吉乃にされたように頭を振られると思い、咄嗟に頭に手にやり身構える。
「痛っ!!」
胡蝶は吉乃の頭を叩いた。
「吉乃! 帰蝶にトラウマ植え付けたことを謝罪しろ!」
「ごめんなさい」
「あら。許さないって。一〇回回って、三〇秒頭振ってからやり直し」
吉乃の謝罪の後、間髪入れずに無茶振りする胡蝶。
「わあああぁぁ……」
無茶振りに応え、ふらふらしながら地面にストンと腰を落とし、頭を下げる吉乃。
「許さ……」
「許します!」
胡蝶の声よりも大きな声を重ね、打ち消す。
何事も無かったかのように、説明に戻る胡蝶。
「フィクションと混同したらあかん。これは現実や。で、バックアップに関する詳細情報を削除する」
wbadmin delete catalog -quiet
何食わぬ顔で入力する胡蝶を見て、切り替えの早さに驚く。
「ウイルス対策やバックアップに関する、攻撃者にとって邪魔なプロセスを終了させて、サービスは止める。ファイルを掴まれとると暗号化に支障があるで、データベースとかドキュメント編集ソフトなんかの、書込みに邪魔なプロセスを終了させる。対象のプロセス名はリストになっとるで、順番に止めてくだけやお。他にはnetshコマンドを使って、ファイアウォールを無効化する。記述は、こんな感じやな」
netsh advfirewall set currentprofile state off
netsh firewall set opmode mode=disable
「ファイルを暗号化する時に使う公開鍵はハードコードしてあるで、インターネット接続しとらんでも暗号化出来る。終わるのを待って、最後に身代金要求メッセージファイルを生成しておしまい。自動実行設定したりとか、細かいことは端折った。二重脅迫型やないし、しとることはシンプル。漏洩リスクがあらへんで、バックアップを適切に取っとれば、恐るるに足らん地味なやつ」
帰蝶の応答を待つことなく、間髪入れずに進む説明。
聞き漏らさないよう、耳に全神経を集中する。
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