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準備

3話 報酬が貰えるコンテスト

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「アルファポリス以外で、PVページビュー報酬を手に入れられるのは一握りの時間に余裕がある人のみ。確実に報酬を得るには、報酬が貰えるコンテストへ応募する方が効率が良い」

「サラッと言うけど、受賞するのは大変だよ。簡単にそんなことを口にすると、恨み買うよ?」

「受賞実績あるから問題無い。説明進めるよ? お勧めはノベルバ」

「入選するとメールが届き、商品を獲得出来る」

「さっきはいいね数の状態について、思うことを聞かれたから言わなかったけど、<夕陽ゆうひ>の名前も<はゆ>なの?」

「そうだよ。君と同じ名前。コンテストについて、言いたいことはある?」

「どおりで名前を呼んでくれないわけだ。実績見せつけられると、ぐうの音も出ない。どんなコンテストがあるんだろう……」

「調べれば? ――と言いたいところだけど、2023年6月4日時点で応募可能なコンテストを一覧にしてあげる。説明用に自作したプログラムで生成したものだよ。コンテスト数が多いのはエブリスタ、小説家になろう、カクヨムの3サイト」

 エブリスタ

 小説家になろう

 カクヨム

 アルファポリス

 ノベルアップ+

「君も受賞歴はあるから知ってるだろうけど、テーマと字数、応募期間を満たせば応募要件を〈概ね〉満たすことが可能。あくまで〈概ね〉だよ」

「意味深な言い方……」

「まずは『カクヨム』の応募要件に着目しようか。過去に受賞した作品を応募することは出来ない。重要なことを言うよ。大事な作品は、コミカライズや書籍化されないコンテストで受賞しない方が良い」

「どんなコンテストでも、受賞する方が良いと思ってた」

「着目する文は、〝本コンテストの結果発表前に、応募作品が本コンテスト以外のコンテスト等で受賞した場合には、選考対象外となります〟の部分」

「次に着目する文は、コンテスト注意事項冒頭〝応募作品は、未発表かつオリジナルのものに限らせていただきます〟の部分」

「まずは《未発表》の定義について。〝応募者自身で作品の修正・削除等が可能な非営利目的の小説投稿サイト〟〝で制作・発行した同人誌で発表された作品は、未発表作品とみなされます〟とある」
 説明に無関係な、同人誌に関する記述は割愛して引用する<夕陽ゆうひ>。

「他サイトに掲載している行為自体は問題ではないということ。ただし、その先がある。問題になるのは他サイトの仕様。例えばノベルアップ+。ノベラポイントという《通貨》がある。同意した上で通貨を得る行為は、営利目的に該当する」

「ただし〝ノベラポイントを利用するには、ノベラポイント利用規約に同意していただく必要があり〟〝ノベルアップ+貢献ポイントプログラム利用規約に同意いただいていないユーザーが投稿した作品には、ノベラポイントを付与することができません〟と明記されている通り、非営利目的でノベルアップ+に作品を掲載することは可能」

「難しそう……」

「簡単に言うと、ノベラポイント利用規約に非同意であれば良い」

「ノベラポイントが付与されていないことは、客観的に判断することが可能。非営利目的であることが明らかであれば、証明する手間が掛からない」

「なるほど……」

  

「続いて着目するのは『エブリスタ』のコンテスト賞典。エブリスタでの受賞賞典〝作品へのアドバイス〟と寸志を得ることと引き換えに、カクヨムのコンテストへの応募権を喪失することになる」

「コミカライズや書籍化される可能性が消失して、〝墓地送りの作品〟となる。エブリスタのコンテストは、総じて〝検討〟するだけ。出版の話が流れるのは、このたぐいのコンテスト。受賞が無価値どころか、他のコンテストへ応募することが出来なくなる分マイナス。君の書籍化しょせきかが流れた受賞は、辞退することを勧める。賞金が欲しいのならば、複製権として同額で買い取ってあげる」




「複製権でいいの? 出版する権利ではなくて?」

「プロモーションのため、作品の一部内容を引用し紹介する行為を許諾してくれればいい。ちなみに出版権は、出版権者が原作を受け取ってから6ヶ月以内に出版する義務、および継続して出版する義務を負う。その義務を負いたくない企業が〝出版優先権〟とか、法令に定められていない言葉を作って使うんだよ」

  

「続いては『アルファポリス』のコンテスト」


「得られるものは、良くて〝書籍化の可能性〟。エブリスタと同様、確約ではない。問題点は〝受賞辞退は原則としてできません〟と明記されていること。出版する予定の無い受賞をすると〝墓地送りの作品〟となる。受賞とは、賞・商品・賞金等を受け取ることを指す言葉だから、奨励賞も受賞にあたる。《スコア》と引き換えに〝墓地送りの作品〟となるよ」

  

「続いて『ノベルアップ+』。優秀賞の商品は〝書籍化確約〟だよ。ただし、佳作も受賞にあたるから要注意。5,000円分のギフトカードと引き換えに〝墓地送りの作品〟となる」

「注意事項に〝他の公募企画・コンテストとの重複応募も可能〟とある。そして運営の要求として〝出版優先権〟を〝主張することを認めていただき〟とある。聞き覚えのある言葉だね。法令に定められていない権利を主張する行為は自由。好きにすれば良い。その上で、〝他の公募企画・コンテストからはご辞退いただけますよう、お願いいたします〟とある。あくまでお願い。他コンテストの辞退を要求する以上、こちらを辞退する選択肢もあるということ。運悪く佳作に選ばれてしまった場合、辞退すれば〝墓地送りの作品〟となることを避けられる。著者が作品の価値を5,000円だと考えているのなら問題は無いけれど、端金はしたがねで大切な作品を墓地送りにするなんて馬鹿げてると思う。大賞を取れる作品に育てる権利を放棄するんだもの」

「とはいえ、優秀賞のみをピンポイントで狙って応募するのは有りだよ」
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