りんごとじゃがいも

夏笆(なつは)

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視察

契り

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「何だか、嬉しいですね」 

 夕食も湯あみも終え、ゆったりとした気持ちで部屋の窓から見下ろす街は、未だたくさんの灯りが揺らめいていて、人々の楽しい息吹が伝わってきそうなほどだった。 

「そうだな。この街での事件は解決したし、既に使用済みだった小麦の量では洗脳に至らない、このまま摂取しなければ大丈夫だ、とも判明もしたからな」 

 今日、すべての調査結果があがり、国王への報告も終わったレオンス王子が一段落だ、と言ってから、少し困ったような笑みを浮かべる。 

「レオンスさま?どうかなさいましたか?」 

 リリアーヌが首を傾げれば、レオンスがそっとその身体を抱き寄せた。 

「いや。未だ魔術師を捕らえられていないとはいえ、この街に平穏が戻って、皆が笑顔を取り戻したのは喜ばしいことだが、酒宴に招かれるとは思わなかったからな」 

「お嫌だったのですか?」 

 その酒宴への参加は丁重に断ったものの、軍資金だ、と冗談のように言って援助金を出し、街の人々とも親しく話ししていたレオンス王子の言葉が意外だ、とリリアーヌが言う。 

「いいや。嬉しかったよ。だけれど、今回は結局事件解決だけで終わってしまったし、明日は王都へ戻らなければならないからね。今夜は、リリアーヌとふたりで過ごしたかったんだ」 

 そう言うと、レオンス王子はリリアーヌの首筋に顔を埋めた。 

「っ。くすぐったい、です」 

「くすぐったいの?本当に?」 

「んっ・・・いじわるしないでください」 

「していないよ・・・・うん、いい匂いだ。それに、甘い」 

 レオンス王子は、囁きながらリリアーヌの髪を撫で、首筋に印を刻んで耳を食む。 

「レオンス・・さま」 

 そんなレオンス王子の腕に縋るようにして、リリアーヌはそのままそこに顔を埋めた。 

「リリアーヌ。本当に無事でよかった。あんな場所に突入させるなんて、生きた心地がしなかった」 

 適任はリリアーヌしかいないと判っていて、リリアーヌならやりぬいてくれると信じていて、それでも尚、心配なものは心配だったと、レオンス王子は確かめるようにリリアーヌを抱き締める。 

「わたくしも。後方から見ているだけは辛かったです」 

「リリアーヌ」 

 互いに互いを求め重なった唇。 

 その重なりが深くなり、リリアーヌが息苦しさに藻掻く頃、レオンス王子はそのふくふくと柔らかい耳に、ふっ、と息を吐きかけた。 

「今日、リリアーヌは大活躍だったから、ご褒美をあげる」 

「ご活躍されたのは、レオンスさまです」 

 囁きに返される、あえかな声。 

「なら、俺にも褒美をくれる?」 

「はい。レオンスさま」 

 恥じらいながらも、リリアーヌはそう言ってレオンス王子の胸に頭を凭せ掛けた。 

「リリアーヌ。愛している」 

 そっとリリアーヌを抱き上げ、レオンス王子はその身をベッドへと優しく下ろすと、そのまま並んで座り、手を繋ぎ合って唇を重ねる。 

 やがて繋いでいた手が解かれ、そっとリリアーヌの身体を撫でるレオンス王子の手が、そのふくよかな胸元で止まった。 

「リリアーヌ。ここに、禁浮の魔術陣を刻みたい」 

 優しく胸のふくらみに触れながらのレオンス王子の言葉に、リリアーヌは一も二も無く頷く。 

「はい。レオンスさま。刻んでくださいませ」 

 禁浮の魔術陣。 

 それは、術を施した相手以外との性交を不可能にするもの。 

「ありがとう。それで、俺にはリリアーヌが刻んで欲しい」 

「レオンスさま。それは」 

 自分に禁浮の魔術陣を刻まれることは即決で了承したリリアーヌが、レオンス王子のそれには反対の意を示した。  

「どうして?互いに刻んだ魔術陣を同時に発動させれば、より強力なものになる。だから、同時がいいと思う」 

「同時でも同時でなくとも、レオンスさまはそのようなもの、刻む必要はございません」 

 そういう問題ではない、とリリアーヌはきりりと言い切る。 

「リリアーヌは、俺に独占欲を持ってくれないのか?」 

「それは・・・ですが、もしわたくしに子ができなかった場合」 

「それは、俺に子種が無いのかも知れないな」 

「レオンスさま!」 

 悲鳴のような声をあげたリリアーヌに、レオンス王子は悪戯っぽくさえある笑みを浮かべた。 

「俺は、リリアーヌしか孕ませたくないし、リリアーヌには俺の子だけ産んで欲しい。なに、俺達に子が生まれない場合は、アルノーの子をひとり養子に貰えばいいだけだ」 

 未だ生まれてもいないどころか、結婚さえしていないアルノーの子どもに継がせる、これで即解決だと言って、レオンス王子はリリアーヌの頬を指でつつく。 

「レオンスさま」 

「とは言うものの。俺、頑張るから、リリアーヌも頑張って。まあ、第一、子どもが欲しいからリリアーヌを抱くわけじゃないし」 

「レオンスさま」 

「俺が欲しいのはリリアーヌ。だから、リリアーヌも俺を欲しがってくれると嬉しい」 

 そう言うと、レオンス王子はリリアーヌの身体と自分の身体を合わせるようにして、何かを確かめた。 

「レオンスさま?」 

 何をしているのか、と問いかけるリリアーヌの胸のふくらみにレオンス王子が触れる。 

「リリアーヌのこの辺りに魔術陣を刻むとすると、俺はこの辺りに魔術陣を刻むといいと思う」 

 禁浮の魔術陣についての知識はあったリリアーヌだが、それを同時に発動させる方法については未知で、レオンス王子の説明を深刻に聞き、真面目な表情で深く頷いた。 

「つまり、お互いに刻み合った魔術陣が重なり合うような形で、その・・・前回のようなことになればいい、のですね」 

「そう。まあ、今回は、きちんと心も身体も繋がり合っている必要がある、という違いはあるけれどね」 

 リリアーヌの髪を優しく撫で、耳まで真っ赤になりながらも拒否する様子の無いリリアーヌを愛しく思いながら、レオンス王子はその寝衣の細紐を解き、下着ごと、肩からするりと引き落とす。 

「っ」 

「きれいだ、リリアーヌ」 

 未だ、照明を落としていない室内。 

 恥ずかしさに素肌を桃色に染め、目を潤ませるリリアーヌの可愛さは強烈で、レオンス王子は昂ぶりを堪えるように、リリアーヌの胸の頂に唇を寄せた。 

「レオンス・・さま」 

 そうして、そのまま唇でリリアーヌの胸を辿りたくなる気持ちを押さえ、レオンス王子はそこに禁浮の魔術陣を刻む。 

「避妊の魔術陣よりずっと小さいから、すぐに済むよ」 

 そう言った通り、幾許も無く描き終わった魔術陣に、リリアーヌは、ほっと息を吐いた。 

「じゃあ、リリアーヌ、俺にも頼む」 

 そして、レオンス王子は思い切りよく自分の寝衣を脱ぎ捨てる。 

「・・・・・・」 

 現れたのは、見事に鍛え上げられた筋肉。 

 それなのに、とてもしなやかそうに見えて、リリアーヌは思わず手を伸ばした。 

「っ・・・リリアーヌ!?」 

 魔術陣を描くのに、直接触れる必要は無い。 

 なので、まさかリリアーヌに触れられると思っていなかったレオンス王子が驚きの声をあげる。 

「すみません。余りに、きれいで」 

 リリアーヌにうっとりと見上げられ、レオンス王子は咄嗟に押し倒しそうになった手を握り込んだ。 

「きれいなのは、リリアーヌだよ。さあ、早く刻んでくれ」 

 込み上げる熱を堪えて言えば、リリアーヌは真顔になって頷き、慎重な様子でレオンス王子の胸より下の辺りに魔術陣を刻んで行く。 

「できました」 

 満足そうに微笑むリリアーヌの頬を手の甲で撫で、レオンス王子はその唇に自分のそれを重ねた。 

「んっ・・・」 

 少し鼻にかかった甘い声に誘われるよう、レオンス王子はリリアーヌの唇を舌で舐め、軽くつついて開かせるとそのまま舌を潜り込ませる。 

「レオンス・・・さま」 

 愛らしくレオンス王子を呼びながら、リリアーヌがレオンス王子の口づけに懸命に応え、レオンス王子を真似るかのように、その髪を撫でる。 

「可愛い・・・俺のリリアーヌ」 

 感嘆するようにリリアーヌの名を呼び、レオンス王子はその身体が撓るほどに抱き締め、足を絡めてもっとと唇を貪った。 

 触れるリリアーヌの素肌は、しっとりと吸い付くように滑らかで、レオンス王子の昂ぶりを更に刺激する。 

 魔術陣を刻んだ乳房に指を沈み込ませ、そのまま掴み上げるように揉みしだけば、リリアーヌが可愛い声で啼いた。 

「ああ・・・リリアーヌ」 

 その声をもっと聞きたい、とレオンス王子は手で変幻自在に乳房の形を変えながら、その頂に唇を寄せ、吸いあげたまま歯を立てる。 

「あっ・・・あああっ・・・・っ」 

 身を捩らせ、リリアーヌが何かを耐えるように足を蠢かせた。 

「リリアーヌ・・・・・っ」 

 その紅に染まった肌が、潤んだ瞳が、堪らない欲をレオンス王子に感じさせる。 

「レオンスさま・・・行かないで」 

 そうして、レオンス王子が自分の下衣を脱ぐために一旦身を起こせば、リリアーヌがそう言って縋りついて来て、レオンス王子はその可愛さに悶絶した。 

「何処にも行かないよ」 

「ほんとう・・・・?」 

「ああ。俺は、リリアーヌの傍に居るよ。ずっと、いつまでも」 

「うれしい」 

 禁浮の魔術陣が刻まれたレオンス王子の素肌に手を這わせ、心底幸せそうにリリアーヌが微笑む。 

「リリアーヌ・・・・っ!」 

 その手を、ぐっ、と握り引き寄せて、レオンス王子は自分の背へと回させた。 

「んあっ・・・・っ」 

 互いの素肌に刻んだ魔術陣が重なるよう、レオンス王子はリリアーヌを抱き締め、その上半身を押さえつけるようにしながら、下半身を強く擦り合わせる。 

「あっ・・・あっ・・・」 

 そして、リリアーヌの秘所が濡れているのを確認したレオンス王子は、指を滑らせて肉芽を抓み悶えさせると、そのまま隘路へと差し込んだ。 

「んあっ・・・っ!」 

 その衝撃にリリアーヌの背が撓り、白い喉がくっきりと浮かび上がる。 

「リリアーヌ・・・っ」 

 指を動かし、なかを解しながら、レオンス王子はリリアーヌの身体に舌を這わせて、ぴくぴくと反応し続けるリリアーヌをもう片方の手で抱き締め、逸らされた喉に口づけた。 

「レオンス・・さま・・・っ」 

 絶え間なく与えられる快楽に、リリアーヌの心も身体もぐずぐずに溶けて行く。 

「リリアーヌ・・・っ」 

 深く口づけながら、レオンス王子は己の怒張を、すっかり解けたリリアーヌの秘所へと宛がった。 

「あっ・・・ふぁっ・・・っ」 

 その熱に、リリアーヌが怯える間も無く。 

「リリアーヌ・・・っ。俺に爪を立てていい!」 

 レオンス王子が、リリアーヌの狭い入口を抉るように怒張した男根を侵入させた。 

「んくっ・・・ああっ・・・んんんっ・・・ああ・・」 

 衝撃に、レオンス王子の背から離れそうになるリリアーヌの腕を絡ませ直し、レオンス王子は腰を揺らめかせてリリアーヌの奥を探る。 

「あっ・・・んんっ・・・」 

「リリアーヌ・・・しっかり掴まっておいで」 

 そうして、己を阻むかのように立ち塞がる壁に行き当たったレオンス王子は、リリアーヌをしっかりと抱き締め直し。 

「あああっ・・・!!」 

 その膜を、一息に突き破った。 

「リリアーヌ・・・っ・・・リリアーヌっ」 

「あ・・・んく・・・いっ・・・」 

 そのまま突き上げたい衝動を堪え、リリアーヌに馴染ませるよう自身を含ませながら、レオンス王子は痛みに涙を流すリリアーヌの、その瞳に口づける。 

「リリアーヌ・・・」 

 そうして暫く優しい抱擁を繰り返していると、リリアーヌのなかが変化し、レオンス王子を煽るかのように蠢き出した。 

「や・・・っ・・・んあぅっ・・・なっ・・・」 

 その、自身の変化に戸惑うリリアーヌは、縋るようにレオンス王子を見つめる。 

「動くよ、リリアーヌ」 

 安心させるように囁き、律動を始めたレオンス王子は、初めて感じる蕩けるような快感に、己の理性が瓦解するのを感じた。 

「んあっ・・・!」 

「リリアーヌ!」 

 奥を突き、引き抜くかの動作をすれば、リリアーヌの内部が絡みついてそれを拒む。 

 周りに擦り付けるように差し込み、腰を動かせばリリアーヌが切なく啼いた。 

「あっ・・・あっ・・・あっ・・・」 

 やがて、短く喘ぐばかりになったリリアーヌのそのやわらかな胸に刻んだ魔術陣と、己の身に刻まれた魔術陣。 

 レオンス王子は、そのふたつを重ね合わせるよう身体の位置を調節し、更に激しい抽挿を始めた。 

「あっ・・・んくっ・・・あっ・・ああっ・・・あああっ・・・・」 

 レオンス王子にしがみつくようにして、喘ぎ続けるリリアーヌ。 

「リリアーヌ・・・っ・・・いくよ・・・っ」 

 その髪に指を絡め、頭を強く抱き込むと、レオンス王子は思い切り腰を打ち込んで、リリアーヌのなかを強く突きあげた。 

「あっ・・・あああああっ・・・!」 

 一際高くあがった嬌声。 

 その声を心地よく聞きながら、レオンス王子もリリアーヌのなかに熱い飛沫を迸らせる。 

「あっ・・あっ・・・」 

 どくどくと注がれる熱いもの。 

 初めて体験するそれに戸惑うリリアーヌのなかで、レオンス王子は最後の一滴まで注ぐべくゆるりと腰を動かした。 

「リリアーヌ・・・愛している」 

 力の抜けたその身体を抱き締め、レオンス王子は愛しい想いの溢れるままに口づける。 

「ああ・・・魔術陣・・が・・・」 

 そっとリリアーヌが触れたレオンス王子の肌。 

 そこにあった魔術陣が、美しい光となって消えて行く。 

「リリアーヌ」 

「レオンス・・・さま」 

 抱き締め合い、口づけ合って想いを交わす。 

「リリアーヌ」 

 そうしながら、レオンス王子はリリアーヌに洗浄の魔法をかけた。 

「レオンスさまには・・・わたくしが」 

 そして自分にもかけようとしたレオンス王子を止め、リリアーヌがレオンス王子に洗浄の魔法をかける。 

「リリアーヌ」 

「レオンスさま」 

 そうするうち、リリアーヌの瞼が眠たげに重くなった。 

「疲れただろう。ゆっくりおやすみ」 

 他者と身体を繋げるのが初めてだったうえ、魔術陣まで描き発動させたリリアーヌの体力と気力は限界で、レオンス王子は咎めることなくそう言うと、リリアーヌに優しく口づける。 

「でもまだ・・・寝衣を・・・」 

 未だ素肌を晒したままな事を気にかけるリリアーヌだったが、睡魔には勝てず、その瞼が完全に落ちた。 

「リリアーヌ」 

 これまでも、リリアーヌのことは可愛く愛しく想っていたレオンス王子だが、身体を繋げた今、その想いは更に強く揺るぎないものとなったのを感じる。 

 生涯、必ず大切にしよう。 

 そう決意も新たに、レオンス王子は、まずは、とリリアーヌの寝衣を整え、その身をそっと抱き締めて、自分も眠りに就いた。 

  


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