神霊魔王の英雄談 〜転生先で性転換してしまいますが主人公を目指してます〜

メンゼ

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第一章 復讐の少女。

第十三話 反撃準備

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 一瞬の浮遊感。

 そして地に沈むような感覚を感じ、俺は自分が再生し終えたのだと察した。


 俺は目を閉じたまま思い出す。

 初めて死んだ後の暗闇の中、謎の少女の声。


『答えてる時間はない。魔王討伐、やってくれるな』


『ここでの記憶は転生後、忘れているかのしれない。だが、やってくれることを祈る』


『英雄となr....』


 ........駄目だ、まだ思い出せない所がある。


 だけど、俺が約束したことは思い出せた。あの声が誰のものか分からない。

 だが約束は約束だ。これからどう行動するか、考えないといけないな。

 ....それに俺が炎帝と対峙する意味もまた変わるな。

 だけど、まずは状況の確認だ。


 俺は目を開いた。


 知らない天井などではなく、知ってる胸が目の前に迫ってる。ていうかエレンの....むぎゅうッ!?

「クレインッ!! 気がついたのッ!? 良かった!! 良かったッ!!!」

「ムグムグッ、モガッ!!」

 い、息がッ、出来ないッ!!

 どうやらさっきまで膝枕されてて....今はエレンに抱き締められているようだ。

 それはいい。けど....俺の顔をその豊満な胸に埋めないでくださいッ、エレンさんッ!!。

 本当にまた意識を失いかけた所で、やっとエレンが解放してくれた。
 普通だったら嬉しい状況だったのだろうけど喜べないな....大きいのが苦手になる勢いだった......。


「本当に良かった....。クレインが居なくなったら私....」

 エレンが顔をクシャクシャにして今度は優しく抱いてくる。

 俺はそれを受け入れ、同じく抱きしめ....やっぱり子恥ずかしいから彼女の背中に軽く手を添えてあげる。

「ごめんなさいッ、私を庇ったせいであんな......」

 謝る彼女の背中を撫でてあげる。

「いいよ別に。俺は死なないみたいだしな。お前が無事で良かったよ」

「........ありがとう」


「で、今はどういう状況なんだ?」

 しばらくそうしていると、急にエレンが顔を赤くして放れていった。(多分事が終わったらなんで生き返ったのか問い詰められるんだろうなぁ)

 その後、俺の体は再生しても服は再生しないみたいで。裸の俺はエレンが持ってきてくれた服を着る。

 俺はエレン含む交戦していたエルフ達に今の状況を確認していた。

 村を守るエルフの戦士、狩りを生業にする者、その他の戦える者がここに集まった。

「黒兵は全員壊滅させました。こちらの被害は大きかったものの最後は数で押し勝つことが出来ました」

「避難していた女性や子供達は、今村に戻ってきているそうだ」

 どうやらもう村には脅威は無くなったらしい。だが、まだ気になることがある。

「炎帝はどうなった。それと、俺と居たフードを被った女の子も何処に?」

 俺がエレンを庇う前、俺は彼ステーデに森へ逃げろと伝えた。ここに彼女の姿はない。そして炎帝のいる気配も感じない。

「あの少女なら森へ向かったぞ。炎帝も彼女を追いかけていたな」

「そうか....分かった」

 とりあえずステーデの行方は分かった。安否も気になるが....今はまだ動くべきじゃない。

「俺は、彼女を助けに行く」

 俺がそう言うと皆がざわついた。
 それはそうだろう。炎帝の強さがどれほどか見に染みるほどに実感したのだから。

 皆が自殺行為だと止めてくる。エレンにいたっては泣きながら俺を絞め殺すぐらいの勢いでつかみかかって止めるほどだ。ていうか本当に苦しいから放せッ。

「ゲホッゲホッ。ま、まぁ話を聞いてくれ。俺には俺の理由があるんだ」

 俺は転生前、死んで直後の会話、そしてステーデとの約束を皆に話した。

「というわけでしてね、最悪倒せなくてもいい。せめてステーデのことを助けるだけ助けて、遠くへ逃げるさ」

 俺がそう言うと、皆はしぶしぶ了解してくれた。まだエレンが何か言っていたが今は無視。

 ステーデを助けるには炎帝と対峙する必要性が出てくる。なにか対策する為に、皆から炎帝について話を聞く。

「あの男はほぼ間違いなくオーガだろうな。それもオーガの中でもかなりの実力者だな」

 ライカンスロープと同じ戦闘種族《オーガ》。ランクはAを越え、個体数が少なく、他種族と関わりをあまり持たない種族。
 争い事が好きで有名で、強者と競い会う事を楽しみとしている。

「あのオーガ、炎帝は噂通り、強力な炎を操っていた。奴には普通の物理攻撃もスキルでの攻撃も通用しなかった。剣は溶ける、スキルは熱で霧散した。余程強力な一撃を叩き混まない限りダメージは通らないだろうな」

 だろうな。俺の体も熱を感じる前に燃え尽きた。もし中途半端に体を焼かれていたと考えると恐ろしい。

 話を聞くなかで少し気になったことがあった。

「水や氷属性のスキルは? 水で消えたり、氷で炎を越えたりは出来ないの?」

「水属性は一瞬で蒸発した。氷属性は幾らか弱体化したが通ることは通った。が、それでも上位のスキルでの攻撃だ。すぐに発動できない、通っても致命打にならない、炎帝の技量で簡単にかわされる....と、あてにならない」

「そうか....」

 水が一瞬で蒸発....氷属性も上位のものが弱体化してやっと通る....。

 ..............あれを起こすにはどれだけの量が要るんだったかな。あれが出来れば炎帝を倒せる....かも。だけど炎帝に俺の意図に気づかれるかも知れない....。

 そういえば、さっき何か新しいスキルを手に入れていたな。

 俺が幻書を開いてスキルを確認する。そのスキルに俺は目を見開く。

「どうしたんですか、クレインさん?」

 俺の様子の変化に一人が話しかけてくる。

 俺は暫く思案し、覚悟を決める。

 捨て身になるがどうせ死なない体だ。痛いのは一瞬、それぐらい我慢する。問題はステーデを逃がす時間稼ぎだが......それもやってやる。

「皆、今から言うスキルが使える奴を急いで連れてこい!! それと避難している人達を急がせてくれ!!」


 +   +   +


 僕は森の中で逃げていた。相手は魔王軍幹部の炎帝。僕等ライカンスロープを越える強さを持つ種族であるオーガが相手だ。

 【潜伏】しているがいつまで隠れていられるか分からない。最悪の場合、この森を焼き払う可能性もある。

 そうはさせない為、時折【潜伏】を解除して気配だけ晒す。

 森に火が付けば村が危険。再び村に炎帝が戻っても駄目だ。

 だから、僕は炎帝を引き付けながら逃げる。死んだクレインさんの頼みだから。

 炎帝の声が遠くから聞こえてくる。

「おい、黒狼族の女ッ。そろそろ姿を現してはくれないか!! 面倒になってきたもんでな、抵抗するならかかってこいッ。もしくは大人しくついてこいッ!!」

 めんどくさいから終わらせたい、だが戦いたいから姿を見せろとさっきからこればかりだ。ライカンスロープにも居たが、戦闘狂とういうのは本当に嫌な人種だ。

 このままだと本当に森に火を着けるんじゃないか心配だ。

 そんな事を考えていると突然、頭の中、思考に直接語りかけてくる声が聞こえた。

『おい、ステーデ!! 聞こえるなら返事をしてくれ!!』

「クレインさん!? 死んだ筈じゃ....」

『やっと届いた....俺は不死身の体なんだよ。それより今どこだ!?』

 喜びや不審やら、他にも色々気になることもあるが、今はそれどころじゃないと思い直す。

「今日来た丘の外れですッ。そろそろ炎帝が暴れだしそうです、どうすればッ!?」

『分かった、俺も急いでそこに向かうッ。出来るだけ引き付けてくれ、頼むぞッ!!』

「待ってくださいッ、何を始める気なんですか!?」

 僕がそうたずねる。その答えは、


 『炎帝をぶっ倒すッ!!』


 彼女はそう伝えるとブツッという音と同時に声が途絶えた。

「炎帝を倒す....?」

 本気で言っているのだろうか。力になると言うだけ言って勝手に死んで、死んだと思ったら生き返って炎帝を倒すぞだなんて本当に勝手な....。

 それでも、僕はそんな勝手なクレインさんに頼らざるえないんですね。

「分かりました、クレインさん」

 彼女を信じ、僕は炎帝を引き付ける。
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