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第二章 半蜥蜴人間と擬人刀。
第二十一話 互いの事情
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「やっと村に着いた....」
あれから数時間後、俺達は村に着いた。空は夕焼け色、日が沈む寸前だ。
エルフの村以来、久しぶりの村に感激する。
森の中では野営で硬い地面で眠ていたので、柔らかい布団の中で横になれると考えるといてもたってもられない。
「とりあえず宿に向かいましょう。この村は小さいですが、森へ向かう者達が身体を休める場所なので宿は綺麗ですよ。いつもお世話になっている所があるので案内しますよ」
宿に着いた俺達は、宿の主人の案内で部屋へ向かっていた。
アカツキのいった通り、宿は主人が念入りに掃除しているのか綺麗に整っていた。
ご主人の案内を受けているステーデがアカツキに気になる事でも合ったのか質問をしている。
「ここの村には....魔族の方と人間が一緒に住んでいるようですが、大丈夫なんですか? 人間は魔族を嫌っているはずでは....」
俺は人間に会ったことが無いが、どうやら魔族は人間から嫌われているらしい。
どうやら、かなり昔に魔族と人間は戦争を行っていたらしく、それが今でも、少なくとも人間側では引きずられているらしい。
しかし、この村ではその様な様子は見られない。今案内してくれている主人も人間だが何も気にしてないようだ。
「ああ、この辺は既にシノネア王国の領地ですし、この村はシノネア王国がアリーノ大森林へ向かう人々のために作られた場所ですからね」
「シノネア王国?」
俺が聞き返すとアカツキは丁寧に説明してくれた。
シノネア王国。
それは魔族との共存を望む、人間の国らしい。
その王国の人口の四十%は魔族が占めているらしく、国の民もそれを受け入れているとのこと。
アカツキ達が所属する魔族ギルドも、その国からの支援を受けて出来たものらしい。
そしてこの村も同じく国からの支援を受けている、とのこと。
案内された部屋は広くはないが、ベッドや机などの備品が全て揃った快適な部屋だった。
同じ部屋を二つ借り、男性と女性に分かれる。
自然な動作で俺が男部屋に入ろうとすると、グワシッと両腕を女性陣に掴まれる。
「....なんすか」
振り向くと、アイスウルフの群れぐらいなら逃げだしそうな、それはそれは真っ黒い笑顔が二つ。まぁ二人が言わんとすることは大方察してはいるけど。
「あなたはこっちでしょ? そんなトカゲといたら何されるか分からないわよ」
「....さっきから俺の事悪く言いすぎじゃないですかね?」
アカツキの講義を無視したエレンがグイグイ腕を引っ張って来る。
ここで俺の中が男だといっても....体は女だと言うだけだろうな。都合のいいように男と女を使い分けるのやめてくれよ。
エレンとステーデに顔を近づけてこっそりと、今考えた適当な言い訳を伝える。
「あの二人、特にアカツキには俺の転生について話しておいた方がいいだろ? あいつには悪いが、早めに俺が元男だと伝えておかないとな。後々気づかれたりでもされる方があいつのショックが大きくなるだろうし」
二人にそう伝えると納得してくれた。
「たしかに、元男だと分かってくれれば諦めてくれるかも....」
「そんな事せずに寝首をサッとかく方が早いですけど....」
うん、本当に寝首かかないでね。
てかステーデ。お前あれか、病んでるのか。お願いだからそういう事件は起こさないでくれよ。
俺は男性陣に話したいことがある事を伝え、男部屋に入る。
このまま鍵かけて籠っちゃダメかな。
俺は机のそばに有った椅子に座る。
向かいには同じく椅子に座るアカツキとベッドにドカッと座る一期。
「で、俺っち達に話したいことって何? あのお二人方が怖いから手短にお願いしたいんだけれど?」
「お前らというか、一番に話すべき相手はそこのロリk....アカツキなんだけど」
「クレイン様、今ロリコンと言いそうになりましたよね。言っておきますが、婚約に年齢は....」
「うるさいわロリコン。婚約に年齢の制限がないことぐらい知ってるわッ」
俺は前世で子供を庇って死んでしまったこと、転生後エルフの村で世話になったことを伝えた。
もちろん元男だとも。ていうかそれがメインなんだけど。
「というわけで、俺はお前にそういう興味は抱くことは無いから付き合えない。OK?」
最初、子供を庇ったと話した時は尊敬の眼差しを向けてきた。が、俺が男だと聞いた時の変化は劇的だった。
まるで生霊だ....、やつれるとかそんなレベルじゃない落ちこみ様だぞ。
アカツキは一気に五十は歳をとったかのように背を曲げ、俯いたまま部屋をフラフラと出て行った。
自殺とかしないよな、あいつ。
部屋の外から聞き覚えのある少女達の歓声が聞こえた。何してんだあいつら....。
「....いやぁ、まさか転生者だったなんてね。通りで挙動やしゃべり方が男っぽかった訳だ」
出ていくアカツキに声をかける訳もなく、ニヤニヤしていた一期が声をかけてきた。
「まぁ、 あいつには悪い気もするけど、俺が転生者だっていうのも、元男だというのも本当なんだ。お前らとはこれから付き合う仲になるだろうし黙ってる訳にはいかないだろう。特にアカツキにはな。親友を傷つけてしまったけど怒ったか?」
そう聞くと、彼はネックレスをならして首を横にふる。
「いやいや、話してくれて良かったと俺も思うよ。あいつはちょっと引きずってしまう所があるからな、早めにいってくれた方が助かるよ。俺からは君に伝えたい言葉はありがとうだけだね.....いや、これから弄るネタを提供してくれてありがとう」
なら良かった。一期とアカツキの二人は互いのことをを大切にし合う仲だろうし、これで俺たちとの関係性が崩れたら嫌だからな。
こうしてみると、チャラチャラしているものの面倒見のいい兄と真面目で空回りする弟、兄弟みたいだな。
そんなことを考えていると。、一期がいつものニヤついた顔を真剣味を帯びさせて向き直った。
「それじゃあ彼奴がいない間に....俺っち達、特にアカツキについても話しておこうかな。アカツキのことをトカゲって呼ぶのはいい。けどアイツの両親、リザードマンハーフになったきっかけについて話を振らないでやってほしいんだ」
アカツキの両親って言ったら....まぁ多分人間とリザードマンだな。で、この二人の間に産まれたのがリザードマンハーフのアカツキだとは予想はつくけど。
一期にそう聞くと「そうだよ」と頷く。
「これは別に君が転生者だと話してくれたからじゃない話すわけじゃない。君たちとは仲良くすることになるだろうからね、アカツキにはこの話をしてほしくないから伝えるだけだよ。まぁ、聞いてほしい」
アカツキの両親、母が人間で父がリザードマンだったらしい。ここだけ聞けばただ珍しい組み合わせ、物好きな人間がいたものだと話は終わった。
だが、アカツキは純愛で産まれたわけじゃなかった。
母が、父に強姦にあった結果産まれてきたのがアカツキだったらしいのだ。
アカツキの母は、俺の前世のアニメやゲームでもよく聞く冒険者と呼ばれる職に就いていたらしく....仕事帰りにたまたま通った場所がリザードマンの縄張りで、襲われた結果生き残ることができたが子を孕んでしまった。
リザードマンの子だが、それでも自分の子だと認め、アカツキを産み、育てていたらしい。
だが、アカツキが大きくなるにつれて、リザードマン特有の紅色の鱗が増え、人とは異なる瞳などの特徴が目立つようになり、次第に自分を襲ったリザードマンとアカツキを重ねて見るようになっていった。
そうなってからは日常的に虐待が続くようになり、およそ六歳のころに捨てられた....らしい。
その後は名のある鬼の鍛冶師に拾われ、育てられた。
「アカツキはまだこのことを気にしているんだよ。あいつも一度人間やリザードマンのもとへ保護を求めたことがったらしいがつま弾き。どちらにも仲間として認められなかったんだと。........だからまぁ、そういう過去があるからさ。この件については触れてやらないでほしい」
「....わかったよ。あいつらにも伝えておく」
「助かるよ」
仲間として認められず差別された....か。
そういえばアカツキと一期の二人っていつからの仲なんだ?
少し気になり、話ついでに聞いてみる。
「ん、んー。別に隠すことじゃないし、話してもいいか」
どうやらアカツキを育てたオーガ、それが一期の生みの親らしい。
「びっくりしたよ! 親父が突然子供を拾ってくるんだからさ。その子供、最初は舐め腐ったガキだったんだがな、大きくなるにつれて清楚っていうか礼儀を学んできたていうか。それが今のアカツキだよ」
一期が生まれて数年、そのオーガがアカツキを拾ってきてもう十年以上の仲、もはや家族も同然と彼は言う。
「長く三人で暮らしてたんだがな、アイツがきて五年たったある日に親父が病気で倒れちまってさ。俺っち達も一生懸命金稼いで、医者雇って手を尽くしたんだが無駄だった。最後に親父は俺っちとアカツキにエキストラスキルを預けて逝っちまったよ」
「そうか....」
その後、親父....オーガの知り合いの紹介でシノネア王国へ入国、魔族ギルドへ加入したとのこと。
話し終えた一期はいつものニヤついた、明るい笑顔にもどった。
「まっ、こんなこともあったわけですよ。とにかくも、アカツキのこともよろしく頼むよ」
「ん、了解した。悪いな、話しずらいことまで」
「いいんだよ。そのかわり仲良くたのむぜッ」
ニカッと笑う一期。
チャラいし軽い態度で忘れがちだが、こいつも相当な美形だな。妬ましいのなんの。
....ま、この妬ましい美形男子二人組と仲良くさせてもらいますかね。
そう思い、よろしくを伝えようとしたその時。
バンッと大きな音と同時に部屋の扉が開かれ、アカツキが中へ入ってきた。
「ア、アカツキ!? どうしたんだ?」
そう聞くと、何やら晴れ晴れとした顔を俺に向けてくる。なんださっきの落ち込み様とこのギャップは。怖いぞ。
「クレイン様!!」
「は、はいッ!?」
「俺、諦めません!! 確かにあなたは男だったかもしれません。それに対して多少ショックを覚えてしまいましたが....、ですが俺は今のあなたが好きなんですッ!! その愛らしい姿も戦っている凛々しい姿も全てが好きなんですッ。だからこれからもよろしくお願いしますッ!!!」
「お、おおッ! よ、よろしくなッ」
な、なんだこの気迫は。さっきの落ち込んだ様子とのギャップが激しすぎるぞッ!? 怖いぞ、この短時間で何があったんだよ。
「あ、あのさ。どしたの急に?」
「先ほど落ち込んでいた俺にステーデさん....いえ、ステーデ様に説教され、目を覚ましたんですッ」
いわく「あなたの愛はこの程度のものなのですかッ? 元男だという事実だけで諦めてしまうものなのですかッ!?」と掴みかかるように叫ばれたらしい。
あのバカァァァァァァァァァァアッ!!
何余計なことしてくれてんの!? さっきまで出て行けオーラ前回だったくせに!! あいつが落ち込んでて喜びの歓声あげてたくせにッ!!
ああ....もうめんどくさいッ、もうどうにでもなれよ....。
「....風呂、入ろっかな......」
宿の主人に南京錠的な錠前借りれるかな....。
宿泊者は俺達以外居ないみたいだしアイツら縛っておけば個人浴になるだろうし....念のため鍵かけておこう。
はぁ....と心の底の疲れを吐き出したい思いで、深いため息をつきながら部屋を出る。
今更ながらにため息をつく頻度が急増していることに気付くのだった。
あれから数時間後、俺達は村に着いた。空は夕焼け色、日が沈む寸前だ。
エルフの村以来、久しぶりの村に感激する。
森の中では野営で硬い地面で眠ていたので、柔らかい布団の中で横になれると考えるといてもたってもられない。
「とりあえず宿に向かいましょう。この村は小さいですが、森へ向かう者達が身体を休める場所なので宿は綺麗ですよ。いつもお世話になっている所があるので案内しますよ」
宿に着いた俺達は、宿の主人の案内で部屋へ向かっていた。
アカツキのいった通り、宿は主人が念入りに掃除しているのか綺麗に整っていた。
ご主人の案内を受けているステーデがアカツキに気になる事でも合ったのか質問をしている。
「ここの村には....魔族の方と人間が一緒に住んでいるようですが、大丈夫なんですか? 人間は魔族を嫌っているはずでは....」
俺は人間に会ったことが無いが、どうやら魔族は人間から嫌われているらしい。
どうやら、かなり昔に魔族と人間は戦争を行っていたらしく、それが今でも、少なくとも人間側では引きずられているらしい。
しかし、この村ではその様な様子は見られない。今案内してくれている主人も人間だが何も気にしてないようだ。
「ああ、この辺は既にシノネア王国の領地ですし、この村はシノネア王国がアリーノ大森林へ向かう人々のために作られた場所ですからね」
「シノネア王国?」
俺が聞き返すとアカツキは丁寧に説明してくれた。
シノネア王国。
それは魔族との共存を望む、人間の国らしい。
その王国の人口の四十%は魔族が占めているらしく、国の民もそれを受け入れているとのこと。
アカツキ達が所属する魔族ギルドも、その国からの支援を受けて出来たものらしい。
そしてこの村も同じく国からの支援を受けている、とのこと。
案内された部屋は広くはないが、ベッドや机などの備品が全て揃った快適な部屋だった。
同じ部屋を二つ借り、男性と女性に分かれる。
自然な動作で俺が男部屋に入ろうとすると、グワシッと両腕を女性陣に掴まれる。
「....なんすか」
振り向くと、アイスウルフの群れぐらいなら逃げだしそうな、それはそれは真っ黒い笑顔が二つ。まぁ二人が言わんとすることは大方察してはいるけど。
「あなたはこっちでしょ? そんなトカゲといたら何されるか分からないわよ」
「....さっきから俺の事悪く言いすぎじゃないですかね?」
アカツキの講義を無視したエレンがグイグイ腕を引っ張って来る。
ここで俺の中が男だといっても....体は女だと言うだけだろうな。都合のいいように男と女を使い分けるのやめてくれよ。
エレンとステーデに顔を近づけてこっそりと、今考えた適当な言い訳を伝える。
「あの二人、特にアカツキには俺の転生について話しておいた方がいいだろ? あいつには悪いが、早めに俺が元男だと伝えておかないとな。後々気づかれたりでもされる方があいつのショックが大きくなるだろうし」
二人にそう伝えると納得してくれた。
「たしかに、元男だと分かってくれれば諦めてくれるかも....」
「そんな事せずに寝首をサッとかく方が早いですけど....」
うん、本当に寝首かかないでね。
てかステーデ。お前あれか、病んでるのか。お願いだからそういう事件は起こさないでくれよ。
俺は男性陣に話したいことがある事を伝え、男部屋に入る。
このまま鍵かけて籠っちゃダメかな。
俺は机のそばに有った椅子に座る。
向かいには同じく椅子に座るアカツキとベッドにドカッと座る一期。
「で、俺っち達に話したいことって何? あのお二人方が怖いから手短にお願いしたいんだけれど?」
「お前らというか、一番に話すべき相手はそこのロリk....アカツキなんだけど」
「クレイン様、今ロリコンと言いそうになりましたよね。言っておきますが、婚約に年齢は....」
「うるさいわロリコン。婚約に年齢の制限がないことぐらい知ってるわッ」
俺は前世で子供を庇って死んでしまったこと、転生後エルフの村で世話になったことを伝えた。
もちろん元男だとも。ていうかそれがメインなんだけど。
「というわけで、俺はお前にそういう興味は抱くことは無いから付き合えない。OK?」
最初、子供を庇ったと話した時は尊敬の眼差しを向けてきた。が、俺が男だと聞いた時の変化は劇的だった。
まるで生霊だ....、やつれるとかそんなレベルじゃない落ちこみ様だぞ。
アカツキは一気に五十は歳をとったかのように背を曲げ、俯いたまま部屋をフラフラと出て行った。
自殺とかしないよな、あいつ。
部屋の外から聞き覚えのある少女達の歓声が聞こえた。何してんだあいつら....。
「....いやぁ、まさか転生者だったなんてね。通りで挙動やしゃべり方が男っぽかった訳だ」
出ていくアカツキに声をかける訳もなく、ニヤニヤしていた一期が声をかけてきた。
「まぁ、 あいつには悪い気もするけど、俺が転生者だっていうのも、元男だというのも本当なんだ。お前らとはこれから付き合う仲になるだろうし黙ってる訳にはいかないだろう。特にアカツキにはな。親友を傷つけてしまったけど怒ったか?」
そう聞くと、彼はネックレスをならして首を横にふる。
「いやいや、話してくれて良かったと俺も思うよ。あいつはちょっと引きずってしまう所があるからな、早めにいってくれた方が助かるよ。俺からは君に伝えたい言葉はありがとうだけだね.....いや、これから弄るネタを提供してくれてありがとう」
なら良かった。一期とアカツキの二人は互いのことをを大切にし合う仲だろうし、これで俺たちとの関係性が崩れたら嫌だからな。
こうしてみると、チャラチャラしているものの面倒見のいい兄と真面目で空回りする弟、兄弟みたいだな。
そんなことを考えていると。、一期がいつものニヤついた顔を真剣味を帯びさせて向き直った。
「それじゃあ彼奴がいない間に....俺っち達、特にアカツキについても話しておこうかな。アカツキのことをトカゲって呼ぶのはいい。けどアイツの両親、リザードマンハーフになったきっかけについて話を振らないでやってほしいんだ」
アカツキの両親って言ったら....まぁ多分人間とリザードマンだな。で、この二人の間に産まれたのがリザードマンハーフのアカツキだとは予想はつくけど。
一期にそう聞くと「そうだよ」と頷く。
「これは別に君が転生者だと話してくれたからじゃない話すわけじゃない。君たちとは仲良くすることになるだろうからね、アカツキにはこの話をしてほしくないから伝えるだけだよ。まぁ、聞いてほしい」
アカツキの両親、母が人間で父がリザードマンだったらしい。ここだけ聞けばただ珍しい組み合わせ、物好きな人間がいたものだと話は終わった。
だが、アカツキは純愛で産まれたわけじゃなかった。
母が、父に強姦にあった結果産まれてきたのがアカツキだったらしいのだ。
アカツキの母は、俺の前世のアニメやゲームでもよく聞く冒険者と呼ばれる職に就いていたらしく....仕事帰りにたまたま通った場所がリザードマンの縄張りで、襲われた結果生き残ることができたが子を孕んでしまった。
リザードマンの子だが、それでも自分の子だと認め、アカツキを産み、育てていたらしい。
だが、アカツキが大きくなるにつれて、リザードマン特有の紅色の鱗が増え、人とは異なる瞳などの特徴が目立つようになり、次第に自分を襲ったリザードマンとアカツキを重ねて見るようになっていった。
そうなってからは日常的に虐待が続くようになり、およそ六歳のころに捨てられた....らしい。
その後は名のある鬼の鍛冶師に拾われ、育てられた。
「アカツキはまだこのことを気にしているんだよ。あいつも一度人間やリザードマンのもとへ保護を求めたことがったらしいがつま弾き。どちらにも仲間として認められなかったんだと。........だからまぁ、そういう過去があるからさ。この件については触れてやらないでほしい」
「....わかったよ。あいつらにも伝えておく」
「助かるよ」
仲間として認められず差別された....か。
そういえばアカツキと一期の二人っていつからの仲なんだ?
少し気になり、話ついでに聞いてみる。
「ん、んー。別に隠すことじゃないし、話してもいいか」
どうやらアカツキを育てたオーガ、それが一期の生みの親らしい。
「びっくりしたよ! 親父が突然子供を拾ってくるんだからさ。その子供、最初は舐め腐ったガキだったんだがな、大きくなるにつれて清楚っていうか礼儀を学んできたていうか。それが今のアカツキだよ」
一期が生まれて数年、そのオーガがアカツキを拾ってきてもう十年以上の仲、もはや家族も同然と彼は言う。
「長く三人で暮らしてたんだがな、アイツがきて五年たったある日に親父が病気で倒れちまってさ。俺っち達も一生懸命金稼いで、医者雇って手を尽くしたんだが無駄だった。最後に親父は俺っちとアカツキにエキストラスキルを預けて逝っちまったよ」
「そうか....」
その後、親父....オーガの知り合いの紹介でシノネア王国へ入国、魔族ギルドへ加入したとのこと。
話し終えた一期はいつものニヤついた、明るい笑顔にもどった。
「まっ、こんなこともあったわけですよ。とにかくも、アカツキのこともよろしく頼むよ」
「ん、了解した。悪いな、話しずらいことまで」
「いいんだよ。そのかわり仲良くたのむぜッ」
ニカッと笑う一期。
チャラいし軽い態度で忘れがちだが、こいつも相当な美形だな。妬ましいのなんの。
....ま、この妬ましい美形男子二人組と仲良くさせてもらいますかね。
そう思い、よろしくを伝えようとしたその時。
バンッと大きな音と同時に部屋の扉が開かれ、アカツキが中へ入ってきた。
「ア、アカツキ!? どうしたんだ?」
そう聞くと、何やら晴れ晴れとした顔を俺に向けてくる。なんださっきの落ち込み様とこのギャップは。怖いぞ。
「クレイン様!!」
「は、はいッ!?」
「俺、諦めません!! 確かにあなたは男だったかもしれません。それに対して多少ショックを覚えてしまいましたが....、ですが俺は今のあなたが好きなんですッ!! その愛らしい姿も戦っている凛々しい姿も全てが好きなんですッ。だからこれからもよろしくお願いしますッ!!!」
「お、おおッ! よ、よろしくなッ」
な、なんだこの気迫は。さっきの落ち込んだ様子とのギャップが激しすぎるぞッ!? 怖いぞ、この短時間で何があったんだよ。
「あ、あのさ。どしたの急に?」
「先ほど落ち込んでいた俺にステーデさん....いえ、ステーデ様に説教され、目を覚ましたんですッ」
いわく「あなたの愛はこの程度のものなのですかッ? 元男だという事実だけで諦めてしまうものなのですかッ!?」と掴みかかるように叫ばれたらしい。
あのバカァァァァァァァァァァアッ!!
何余計なことしてくれてんの!? さっきまで出て行けオーラ前回だったくせに!! あいつが落ち込んでて喜びの歓声あげてたくせにッ!!
ああ....もうめんどくさいッ、もうどうにでもなれよ....。
「....風呂、入ろっかな......」
宿の主人に南京錠的な錠前借りれるかな....。
宿泊者は俺達以外居ないみたいだしアイツら縛っておけば個人浴になるだろうし....念のため鍵かけておこう。
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