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2話 目撃された!
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翌週の放課後、俺はまた居残りになった。
もちろん鈴ちゃんの指示である。
先生曰く、クラスの平均点を著しく低下させている生徒がいるそうだ。
担当クラスの評価は担任教諭の評価。
鈴ちゃんの為にも、成績の低い生徒を看過できないらしい。
それって生徒の為じゃないだろ。
そんな文句を脳内で展開しつつ、目の前のプリントに解答を書き込んでいく。
教室には、俺と朝霧の二人だけ。
つまり、俺達二人がクラスの平均点を下げている原因なのだ。
早々と問題を解くことを放棄した朝霧が隣の席から話しかけてきた。
「うふふ、今日も一緒だね」
「そうだな、答えは見せないぞ」
俺は横も見ずに答えた。
そんな俺の様子に構うことなく、朝霧は話を続ける。
「九条って、女子と付き合ったことあるの?」
「……ない……」
「やっぱり、女子に慣れてないと思ったのよね」
「……妹はいるぞ……」
「へえー、仲いいの?」
「最近は仲は良くない……」
「お兄ちゃんとしては辛いよね」
「話しかけてくんな。プリントできないだろ」
「えー!」
朝霧が話しかけてくるから、集中して問題を解けない。
チラリと横を見ると、両腕の上に顔を乗せ、彼女はジーっと俺を見ていた。
それがなんだか恥ずかしく、俺は目の前のプリントに視線を戻した。
それからも暇そうに、何度も朝霧は話しかけてくる。
それを適当にあしらいながら、俺はプリントの問題を解いていく。
「俺の個人的な話なんて面白くないだろ」
「そんなことないよ。気になってるから聞いてるんじゃん」
「俺なんて、普通のモブ学生だよ」
「そんなことないよ。私が興味を持ってるんだからさ」
「!?」
そんな言い方をされると変な妄想をしてしまうから勘弁してくれ。
朝霧のこういう軽口が、男子達を誤解させるんだろうな。
それから一時間ほど経つ頃、やっと俺は数枚あるプリントを終えた。
隣の朝霧といえば、もちろん全く解答を書いていない。
俺は大きく息を吐いて、プリントを手に持って、朝霧の方へ差し出した。
「これ、写すんだろ。待っててやるから早く終わらせろ」
「え、いいの? 私、今日は手も握ってないよ?」
「そんなあざとい、ご褒美は要らん」
「えー、ちょっと傷つくー」
毎回毎回、プリントを写させる度に、手を握ってもらい、胸に手を置いてもうのも変だろ。
それって、まるで俺が要求しているみたいじゃないか。
仏頂面の俺に向けて、朝霧はニコリと笑う。
「九条、ありがと。大好きー!」
「ハイハイ、さっさと帰ろうぜ」
それから三十分程して、彼女はプリントを書き写し終えた。
教材を鞄に詰め込み、俺はさっさと席を立ち、ドアに向かって数歩歩く。
「鈴ちゃんが待ってる。職員室に行くぞ」
「ちょっと待って」
朝霧は机の上も片づけずに立ち上がり、俺を後ろから抱きしめた。
二つの柔らかい弾力が……
俺の背中に彼女の体の温もりが伝わってくる。
「お礼がまだでしょ。先に教室から出ないで」
「だからいいって、体を離してくれ」
「ヤーだ!」
俺は体を揺すって朝霧を放そうとするが、彼女はしがみついたまま離れない。
激しく体を動かしたことで、彼女の柔らかな胸の感触が……
マズイ、このままだと下半身が反応してしまう。
「頼むから、体を離して!」
「どうして、何を焦ってるのかな?」
こいつ、絶対にわざとやってるだろ!
ムカっとして彼女の両腕をギュッ掴む。
「痛い、優しくして!」
その声に反射的に両手を放した。
二人で、そんなことをやっていると教室の出入口から声が聞こえてきた。
「大人しく居残りしてると思ったら、お前達、何やってんだ?」
「俊司、慎、どうして学校にいるんだ?」
俺の問いに答えず、姿を現した友人達はニヤニヤと笑っている。
二人の名前は黒沢俊司(くろさわしゅんじ)と佐伯慎(さえきしん)。
中学校からの腐れ縁で、クラスの数少ない俺の友人だ。
俺と朝霧を交互に見て、俊司は興味深々で、目を輝かせる。
「俺達のことより、宗太、朝霧といつの間にそういう仲になったんだ?」
「何にもないって。一緒に居残ってプリントをしていただけだ」
「さっきからイチャイチャしていたのを、俺達は見てるんだけどな」
俺の言い訳に、慎が冷静に突っ込みを入れる。
「二人共、見ていたなら、もっと早くに声をかけろよ」
「何か、いい雰囲気になっているのに邪魔できないだろ」
「私達、二人ってお似合いに見えるかな?」
まだ抱き着いたまま、朝霧は上目遣いで俺を見てくる。
目が笑ってるし、この状況を絶対に楽しんでるな。
「そんな訳ないだろ。さっさと手を放して、離れろよ」
「ヤーだ!、ヤーだ!」
「クソー、宗太だけ、いい思いをしやがって。ちょっとムカついてきたぞ」
「何言ってんだ。俺は迷惑しているだろうが!」
「俊司は正しい。これは鈴ちゃんに報告しないとな」
「いやいや、待て待て待て!」
「きゃはは、九条って面白ーい!」
「笑いごとじゃない!
俺が大声を上げると、朝霧は両手を離し、クルリと身を翻し、自分の席へ向かう。
そして黙々と教材を片付け、鞄を持って、教室の前のドアへと歩いていく。
「おい、プリントを置いてどこに行くんだよ。二人で職員室に行かないと鈴ちゃんに怒られるぞ」
「いいのいいの、邪魔も入ったし、またね九条。今日は帰るね」
朝霧は笑顔で、は小さく手を振り、ドアを開けて廊下へと消えていった。
取り残された俺達三人はその後ろ姿を呆然と見送る。
すると俊司が俺の方に顔を向けてジロリと目を細める。
「邪魔が入ったってどういうことだ?」
「俺に聞かれてもわかるはずないだろ」
「現状からすると、俺達が来たことで、二人でイチャイチャできなくなって意味だろうな」
「いやいや、違うって。俺がからかわれただけだって」
冷静に推論を述べる慎に、俺は慌てて突っ込んだ。
状況を分析するなら、朝霧の性格も考慮してくれ。
それにしても解答を写しかけのプリントを放置して、職員室で鈴ちゃんに怒られるのは俺なんだぞ。
もちろん鈴ちゃんの指示である。
先生曰く、クラスの平均点を著しく低下させている生徒がいるそうだ。
担当クラスの評価は担任教諭の評価。
鈴ちゃんの為にも、成績の低い生徒を看過できないらしい。
それって生徒の為じゃないだろ。
そんな文句を脳内で展開しつつ、目の前のプリントに解答を書き込んでいく。
教室には、俺と朝霧の二人だけ。
つまり、俺達二人がクラスの平均点を下げている原因なのだ。
早々と問題を解くことを放棄した朝霧が隣の席から話しかけてきた。
「うふふ、今日も一緒だね」
「そうだな、答えは見せないぞ」
俺は横も見ずに答えた。
そんな俺の様子に構うことなく、朝霧は話を続ける。
「九条って、女子と付き合ったことあるの?」
「……ない……」
「やっぱり、女子に慣れてないと思ったのよね」
「……妹はいるぞ……」
「へえー、仲いいの?」
「最近は仲は良くない……」
「お兄ちゃんとしては辛いよね」
「話しかけてくんな。プリントできないだろ」
「えー!」
朝霧が話しかけてくるから、集中して問題を解けない。
チラリと横を見ると、両腕の上に顔を乗せ、彼女はジーっと俺を見ていた。
それがなんだか恥ずかしく、俺は目の前のプリントに視線を戻した。
それからも暇そうに、何度も朝霧は話しかけてくる。
それを適当にあしらいながら、俺はプリントの問題を解いていく。
「俺の個人的な話なんて面白くないだろ」
「そんなことないよ。気になってるから聞いてるんじゃん」
「俺なんて、普通のモブ学生だよ」
「そんなことないよ。私が興味を持ってるんだからさ」
「!?」
そんな言い方をされると変な妄想をしてしまうから勘弁してくれ。
朝霧のこういう軽口が、男子達を誤解させるんだろうな。
それから一時間ほど経つ頃、やっと俺は数枚あるプリントを終えた。
隣の朝霧といえば、もちろん全く解答を書いていない。
俺は大きく息を吐いて、プリントを手に持って、朝霧の方へ差し出した。
「これ、写すんだろ。待っててやるから早く終わらせろ」
「え、いいの? 私、今日は手も握ってないよ?」
「そんなあざとい、ご褒美は要らん」
「えー、ちょっと傷つくー」
毎回毎回、プリントを写させる度に、手を握ってもらい、胸に手を置いてもうのも変だろ。
それって、まるで俺が要求しているみたいじゃないか。
仏頂面の俺に向けて、朝霧はニコリと笑う。
「九条、ありがと。大好きー!」
「ハイハイ、さっさと帰ろうぜ」
それから三十分程して、彼女はプリントを書き写し終えた。
教材を鞄に詰め込み、俺はさっさと席を立ち、ドアに向かって数歩歩く。
「鈴ちゃんが待ってる。職員室に行くぞ」
「ちょっと待って」
朝霧は机の上も片づけずに立ち上がり、俺を後ろから抱きしめた。
二つの柔らかい弾力が……
俺の背中に彼女の体の温もりが伝わってくる。
「お礼がまだでしょ。先に教室から出ないで」
「だからいいって、体を離してくれ」
「ヤーだ!」
俺は体を揺すって朝霧を放そうとするが、彼女はしがみついたまま離れない。
激しく体を動かしたことで、彼女の柔らかな胸の感触が……
マズイ、このままだと下半身が反応してしまう。
「頼むから、体を離して!」
「どうして、何を焦ってるのかな?」
こいつ、絶対にわざとやってるだろ!
ムカっとして彼女の両腕をギュッ掴む。
「痛い、優しくして!」
その声に反射的に両手を放した。
二人で、そんなことをやっていると教室の出入口から声が聞こえてきた。
「大人しく居残りしてると思ったら、お前達、何やってんだ?」
「俊司、慎、どうして学校にいるんだ?」
俺の問いに答えず、姿を現した友人達はニヤニヤと笑っている。
二人の名前は黒沢俊司(くろさわしゅんじ)と佐伯慎(さえきしん)。
中学校からの腐れ縁で、クラスの数少ない俺の友人だ。
俺と朝霧を交互に見て、俊司は興味深々で、目を輝かせる。
「俺達のことより、宗太、朝霧といつの間にそういう仲になったんだ?」
「何にもないって。一緒に居残ってプリントをしていただけだ」
「さっきからイチャイチャしていたのを、俺達は見てるんだけどな」
俺の言い訳に、慎が冷静に突っ込みを入れる。
「二人共、見ていたなら、もっと早くに声をかけろよ」
「何か、いい雰囲気になっているのに邪魔できないだろ」
「私達、二人ってお似合いに見えるかな?」
まだ抱き着いたまま、朝霧は上目遣いで俺を見てくる。
目が笑ってるし、この状況を絶対に楽しんでるな。
「そんな訳ないだろ。さっさと手を放して、離れろよ」
「ヤーだ!、ヤーだ!」
「クソー、宗太だけ、いい思いをしやがって。ちょっとムカついてきたぞ」
「何言ってんだ。俺は迷惑しているだろうが!」
「俊司は正しい。これは鈴ちゃんに報告しないとな」
「いやいや、待て待て待て!」
「きゃはは、九条って面白ーい!」
「笑いごとじゃない!
俺が大声を上げると、朝霧は両手を離し、クルリと身を翻し、自分の席へ向かう。
そして黙々と教材を片付け、鞄を持って、教室の前のドアへと歩いていく。
「おい、プリントを置いてどこに行くんだよ。二人で職員室に行かないと鈴ちゃんに怒られるぞ」
「いいのいいの、邪魔も入ったし、またね九条。今日は帰るね」
朝霧は笑顔で、は小さく手を振り、ドアを開けて廊下へと消えていった。
取り残された俺達三人はその後ろ姿を呆然と見送る。
すると俊司が俺の方に顔を向けてジロリと目を細める。
「邪魔が入ったってどういうことだ?」
「俺に聞かれてもわかるはずないだろ」
「現状からすると、俺達が来たことで、二人でイチャイチャできなくなって意味だろうな」
「いやいや、違うって。俺がからかわれただけだって」
冷静に推論を述べる慎に、俺は慌てて突っ込んだ。
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