1人の少年と託された7つの予言 〜失われた自然〜

MINATO

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第2章 もう1つの世界

思い描くままに

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 だいぶ霧が濃くなってきた。たぶんここら辺は、崖から見えたちょうど霧で見えなかった部分なんだろう。それにしても、やっぱりここは違う世界なんだと改めて実感した。道中では川が緩やかに流れ、爽やかな風が吹いていた。それに、季節はわからないけど綺麗な植物がいっぱいだった。神秘的っていうのはこういうことなんだなと思った。


「もう目の前よ。」


 シルウァさんは少し急ぎ足だ。崖から落ちてからここまでどれくらい時間がかかったのか知りたいけど、それがわからない。割とすぐ気づいたんだけど、腕時計が18時30分で止まったままなんだ。壊れたのかなぁ? まぁ、とにかくあてにはならないってことだけは確かだ。それにしても、霧がホントに濃くなってきた。前にいるシルウァさんを見失わないように、俺は全神経を集中させていた。ここに来て迷子ってのはちょっと御免だ。


「これか…」


 霧の中から建物がうっすらと見えてきた。すごい…。なんていうか、神殿というだけあって迫力がある。天沢と見つけた神社とは違って、恐怖は感じなかった。これを幻想的っていうのかな…。


「後で話すけど、ここは創造神と繋がっている場所なの。心を落ち着けていてね。」


「わかりました。」


 とにかく、とっても神聖な場所みたいだ。見ればわかるけど…。それにしても、ここから中に入るのかな? 門みたいなのは閉まってるけど。


「シルウァでございます。ウィリディス様。例の子を連れて参りました。」


 すると、門が勝手に開いた。考えない、考えない。たかがシルウァさんが周りに誰もいないのに、誰かに話しかけて門が勝手に開いただけじゃないか…。気にしない、気にしない。


「さぁ、入るわよ。」


 シルウァさんのあとを追って階段を上り、俺は神殿の中に入った。





 おぉ、すごい…。俺は周りを見渡していた。門が閉まったときはどうなるかと思ったけど、中が暗くなることはなかった。奥の通路の方からの淡い青色の光が神殿の中を照らしてくれている。そんなに明るくはないけど。
 今、俺とシルウァさんは円形の広間みたいなところにいる。そこから1本の通路が出ていて、淡い光と滝?の音が漏れている。それと、よく見ると俺が立っている床には細かい溝があって水が流れていた。


「あの滝から流れ出ている水よ。心配しないで。」


 全く、この人は俺の考えが読めるのだろうか。


「あの滝が目的地。行くわよ。」

「はい。」


 俺は広間から通路を通って、滝の音が聞こえる方へと歩いた。


「やっと着いた…。始めるよ。」


 滝が神殿の中にあるってことは…。外の岩場とかとくっついてるのかな…。いいっか、そんなことは。って、シルウァさん今何て言った?


「東山くん。今から君にこの滝の力を取り込んでもらう。」


「取り込む!?」


 なんだ。取り込むって…。


「大丈夫よ。取り込むといっても浴びてもらうだけだから。

「あぁ、なるほど…。」

「良い? 浴びたらわかると思うけど、心で思い描いたものを素直にぶつけるのよ。自分に嘘をついてはだめ。」

「は、はい?」


 全然意味がわからない。


「さっ、早く。時間は限られているの。」

「ちょっ、服着たままなんですけど良いんですか?」

「大丈夫よ。私はあの広間で待ってるから決着が着いたら来てね。」


 もうわけがわからない。


「えっ、ちょっ、待って…」


 そのとき、シルウァさんからまたあのオーラみたいなのが出て、俺のことを滝の方へと突き飛ばした。そして、視界が真っ暗になった。





 

 滝の中だよな?…。俺は水の中にいた。何も見えない。苦しい.....息もできないし、体も動かない。誰か、助けて…。


    (お前は、何を思い浮かべる?)


 誰だ?..........頭の中に直接響いてくる。思い浮かべるものを......素直にぶつける......。なぜか、そのとき心に浮かんできたものは、家,ばあちゃん,じいちゃん,父さん,友達,........ではなく、裏山で遊んでいる俺だった。小さい頃から裏山が唯一の遊び場だった。頂上まで登って景色を一望し、風に吹かれる。これほど爽快で心が晴れる瞬間はない。
 俺は、山が、風が、緑が、自然が大好きだ。あの景色を眺めながらそよ風に吹かれる感覚が鮮明になってきた。と、同時に体が熱くなってきて、体の内側から爆発した気がした。


「グハッ。ガハッ、ハァーーー、ハァー。」


 何も見えない。でも、何かがどんどん俺を取り巻いてくるのがわかる。少しずつだけど体の中に入ってくる。俺は深呼吸をした。その取り巻いてくるものを呼ぶようにして、手を、そして全身を舞うようにして動かした。取り巻いてくるものがなくなったとき、視界も晴れた。


「シルウァさん!?」


 俺の目の前にはシルウァさんが立っていた。


「予想以上ね.....どんな気分?」

「えっと…。」


 どう言えば良いんだろう。


「そうですね......もう1回あの崖から飛び降りれる気がしてきました。」

「フフッ、自分の姿をよく見てみて。」

「姿?」


 体を見てみた。


「うゎ!!! 光ってる!!!!」


 俺の体は、まるでシルウァさんが最初に現れたときの姿みたいに輝いていた。それも、同じようにエメラルドグリーン色に。


「とにかく、これでやっと話ができるわ。神殿からすぐそこに眺めが良い所があるの。そこに移動しましょ?」


「わかりました!」


 やっと知ることができる。今までのことも。ここのことも。俺が一体何者なのかも…。
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