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第2章 もう1つの世界
課せられた運命
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「どうぞ、座って。」
「はっ、はい。」
神殿からすぐの所って言ってたけど、本当にすぐだった。濃霧の中をちょっと歩いていくと大きな岩が積み重なっている所があって、そこを登っていった。もちろん、霧は晴れている。今俺はそのてっぺんで、シルウァさんの隣に座っている。
「良い景色ですね…。」
最初の崖ほどではないけど、それなりに高さがあるから景色を見渡せる。でも、困ったことに、俺はかなり緊張していた。学校でも女子と話すことなんてほとんどない。ましてや、こんな綺麗なお姉さんなんて尚更だ。その人の隣に俺は座っているんだ…。
「でしょ? 私のお気に入りの場所なの。心を落ち着けたいときによく来るの。」
えーと、なんか言った方が良いのかな…。ダメだ、緊張して言葉が出てこない…。
「ねぇ、東山くん。自然てなんだと思う?大地を、海を、気象を....誰が支配しているんだと思う?」
「えーーーと、それは…。」
誰が支配? 人間ってことなのかな…。人間が結局、自然を利用して生活を得ている気がする。
「...人間?…」
「なるほどね、間違ってはないわ。確かに人間は自然を上手く利用して文明を築き上げた。でも、人間って真の自然の力に勝てると思う?」
「無理だと思います。」
真の自然の力.....何となくシルウァさんが言いたいことはわかった。
「私もそう思う。大地や海…人知を超えた力に、人間が太刀打ちすることなんて決してできない。」
「はい.....。」
確かに、地震とか竜巻、津波、それに火山の噴火とかは人が何とかできるものじゃない。
「自然の他にも人知を超えた力を持つものがある。予想つく?」
「人知を超えた力?」
人知を超えた力…何だろ?
「正解は運命、時間、空間、生命…。誰もこれらの概念を正確に説明することなんてできないと思わない? 」
「えっ、でもそれは.....」
科学的に説明ができる。それに、人の思い込みでできたってのもあるんじゃ…。
「人間の世界を成り立たせているこれらの概念は、科学でも思い込みでも説明できない。これらは創られたものなの。」
「創られた!?」
「そう。無から創造神と呼ばれる神々が創り上げた…。」
「それじゃ、シルウァさんは…。」
シルウァさんが創造神? そう言いたかったけど、言葉がつまった。すると、シルウァさんが笑い出して言った。
「違う違う! 私は自然の想像者! 自然の創造神"ウィリディス様"に仕えている身。」
「それじゃ、創造神はどこにいるんですか?」
「このヴァスィリオこそが、創造神が存在する世界よ。今私たちがいるのは自然の創造神が統べるエリア。辺りは山々に囲まれているでしょ? それを越えていくとまた別の創造神のエリアになる。」
「どこに…その自然の創造神はいるんですか?」
神様なんて神話の中の話だけだと思っていたけど、本当にいるなら是非見てみたい。
「このエリアの全てが自然の創造神よ。向こうが必要としない限り、実体として見ることはできないけどね。神殿を通してなら干渉はできるけど。」
この全てが創造神? なんだか常に見張られている気分になってきた。
「その創造神じゃなくて....シルウァさんの言う想像者っていうのは一体なんなんですか?」
何がどう違うのだろうか。別にシルウァさんが神だって言われても俺は納得してしまうと思う。
「どの創造神にも、必ず私みたいな想像者と呼ばれる者たちが仕えているの。簡単に言うと人間世界を守る手伝いをしているのよ。」
「何から守るんですか?」
世界を守る? いまいちよくわからない。
「東山くん。このヴァスィリオがあるように世界は1つではないの。お互い重なり合っていないだけで様々な世界が存在する。その中には当然、世界を成り立たせている事象を脅かすようなものもある。その脅威と戦っているのよ。ちょうど君を襲った怪物が良い例ね。」
思い出すだけでゾッとする。あんな化け物と戦っているのか…。
「それじゃ、シルウァさんみたいな無敵の力を持った人があと何人かいるんですね?」
シルウァさんみたいな人が他にもいる....創造神と呼ばれる神は一体何かすることがあるのだろうか? ふと疑問に思った。
「ええ、そうよ。でも、無敵ではないわね。あくまで想像者は想像で思い描いたものを力に変えているだけ。無から概念そのものを創り出す創造神とは天と地の差。それに、もとはみんな人間だしね。」
天と地の差か…。自然そのものを創り出す力…どれほど強大なんだろ。ますます見張られている気がして怖くなってきた。
ん? ちょっと待てよ...
「エーーー!!!! 人間!? シルウァさんが?」
初めて会ったときから、その姿、口調からして人間だとはこれっぽちも思ってなかった。てっきり、妖精か何かかと.....
「フフッ、どの想像者もみんなそうよ。元は人間。想像者になった時点で半分になるけどね。選ばれた人間はここに導かれるの。」
「えっ、でもシルウァなんて名前…」
「想像者になると創造神から名前が与えられる。コードネームみたいなものね。私の場合はシルウァ。ちなみに想像者としているときは、自分の本名は名乗らない決まり。人間世界でのことも一切ね。」
えっ...てことは、まさか。
「それじゃ、シルウァさんとは会おうとすれば人間世界でも会えるんですか?」
どうしても気になった。
「それは無理ね。想像者として導かれる人間は時代・場所を選ばれない。場所はともかく、東山くんの住む時代と私の住む時代とが同じとは限らないでしょ?」
「なるほど....」
不思議な心境だ。今俺が話している目の前の綺麗な女性は、俺が生まれる前の時代の人かもしれないし、後の時代の人かもしれないんだ…。
「私はウィリディス様の指示で東山くんを助けにいった。ある少年を救い出せってね。でも普通、他の次元の者が特定の人間を襲うなんてことないのよ。それに、ウィリディス様は東山くんのことを何か気にかけているようだった。なぜ襲われたのかはまだわからないけど、はっきりしていることがある。あなたは普通の人間じゃない。」
「普通の人間じゃない?.....」
「ここにあなたを連れてきた目的は、まず安全を確保するためだった。普通の人間はこの世界に連れてきても認知すらできない。だから、ある程度したら君も眠らしたまま人間世界に返すつもりだった…。それなのに、君はものの数秒でこの世界に適応した。この時点で普通じゃないとは確信したわ。だからこそ神殿に連れていき、その素質を確かめてみた。」
「素質、 何の....素質ですか?」
シルウァさんは何か言いにくそうな顔をしている。
「あなたは想像者になれる素質を持っている。それも…歴代最強のね。」
「はっ、はい。」
神殿からすぐの所って言ってたけど、本当にすぐだった。濃霧の中をちょっと歩いていくと大きな岩が積み重なっている所があって、そこを登っていった。もちろん、霧は晴れている。今俺はそのてっぺんで、シルウァさんの隣に座っている。
「良い景色ですね…。」
最初の崖ほどではないけど、それなりに高さがあるから景色を見渡せる。でも、困ったことに、俺はかなり緊張していた。学校でも女子と話すことなんてほとんどない。ましてや、こんな綺麗なお姉さんなんて尚更だ。その人の隣に俺は座っているんだ…。
「でしょ? 私のお気に入りの場所なの。心を落ち着けたいときによく来るの。」
えーと、なんか言った方が良いのかな…。ダメだ、緊張して言葉が出てこない…。
「ねぇ、東山くん。自然てなんだと思う?大地を、海を、気象を....誰が支配しているんだと思う?」
「えーーーと、それは…。」
誰が支配? 人間ってことなのかな…。人間が結局、自然を利用して生活を得ている気がする。
「...人間?…」
「なるほどね、間違ってはないわ。確かに人間は自然を上手く利用して文明を築き上げた。でも、人間って真の自然の力に勝てると思う?」
「無理だと思います。」
真の自然の力.....何となくシルウァさんが言いたいことはわかった。
「私もそう思う。大地や海…人知を超えた力に、人間が太刀打ちすることなんて決してできない。」
「はい.....。」
確かに、地震とか竜巻、津波、それに火山の噴火とかは人が何とかできるものじゃない。
「自然の他にも人知を超えた力を持つものがある。予想つく?」
「人知を超えた力?」
人知を超えた力…何だろ?
「正解は運命、時間、空間、生命…。誰もこれらの概念を正確に説明することなんてできないと思わない? 」
「えっ、でもそれは.....」
科学的に説明ができる。それに、人の思い込みでできたってのもあるんじゃ…。
「人間の世界を成り立たせているこれらの概念は、科学でも思い込みでも説明できない。これらは創られたものなの。」
「創られた!?」
「そう。無から創造神と呼ばれる神々が創り上げた…。」
「それじゃ、シルウァさんは…。」
シルウァさんが創造神? そう言いたかったけど、言葉がつまった。すると、シルウァさんが笑い出して言った。
「違う違う! 私は自然の想像者! 自然の創造神"ウィリディス様"に仕えている身。」
「それじゃ、創造神はどこにいるんですか?」
「このヴァスィリオこそが、創造神が存在する世界よ。今私たちがいるのは自然の創造神が統べるエリア。辺りは山々に囲まれているでしょ? それを越えていくとまた別の創造神のエリアになる。」
「どこに…その自然の創造神はいるんですか?」
神様なんて神話の中の話だけだと思っていたけど、本当にいるなら是非見てみたい。
「このエリアの全てが自然の創造神よ。向こうが必要としない限り、実体として見ることはできないけどね。神殿を通してなら干渉はできるけど。」
この全てが創造神? なんだか常に見張られている気分になってきた。
「その創造神じゃなくて....シルウァさんの言う想像者っていうのは一体なんなんですか?」
何がどう違うのだろうか。別にシルウァさんが神だって言われても俺は納得してしまうと思う。
「どの創造神にも、必ず私みたいな想像者と呼ばれる者たちが仕えているの。簡単に言うと人間世界を守る手伝いをしているのよ。」
「何から守るんですか?」
世界を守る? いまいちよくわからない。
「東山くん。このヴァスィリオがあるように世界は1つではないの。お互い重なり合っていないだけで様々な世界が存在する。その中には当然、世界を成り立たせている事象を脅かすようなものもある。その脅威と戦っているのよ。ちょうど君を襲った怪物が良い例ね。」
思い出すだけでゾッとする。あんな化け物と戦っているのか…。
「それじゃ、シルウァさんみたいな無敵の力を持った人があと何人かいるんですね?」
シルウァさんみたいな人が他にもいる....創造神と呼ばれる神は一体何かすることがあるのだろうか? ふと疑問に思った。
「ええ、そうよ。でも、無敵ではないわね。あくまで想像者は想像で思い描いたものを力に変えているだけ。無から概念そのものを創り出す創造神とは天と地の差。それに、もとはみんな人間だしね。」
天と地の差か…。自然そのものを創り出す力…どれほど強大なんだろ。ますます見張られている気がして怖くなってきた。
ん? ちょっと待てよ...
「エーーー!!!! 人間!? シルウァさんが?」
初めて会ったときから、その姿、口調からして人間だとはこれっぽちも思ってなかった。てっきり、妖精か何かかと.....
「フフッ、どの想像者もみんなそうよ。元は人間。想像者になった時点で半分になるけどね。選ばれた人間はここに導かれるの。」
「えっ、でもシルウァなんて名前…」
「想像者になると創造神から名前が与えられる。コードネームみたいなものね。私の場合はシルウァ。ちなみに想像者としているときは、自分の本名は名乗らない決まり。人間世界でのことも一切ね。」
えっ...てことは、まさか。
「それじゃ、シルウァさんとは会おうとすれば人間世界でも会えるんですか?」
どうしても気になった。
「それは無理ね。想像者として導かれる人間は時代・場所を選ばれない。場所はともかく、東山くんの住む時代と私の住む時代とが同じとは限らないでしょ?」
「なるほど....」
不思議な心境だ。今俺が話している目の前の綺麗な女性は、俺が生まれる前の時代の人かもしれないし、後の時代の人かもしれないんだ…。
「私はウィリディス様の指示で東山くんを助けにいった。ある少年を救い出せってね。でも普通、他の次元の者が特定の人間を襲うなんてことないのよ。それに、ウィリディス様は東山くんのことを何か気にかけているようだった。なぜ襲われたのかはまだわからないけど、はっきりしていることがある。あなたは普通の人間じゃない。」
「普通の人間じゃない?.....」
「ここにあなたを連れてきた目的は、まず安全を確保するためだった。普通の人間はこの世界に連れてきても認知すらできない。だから、ある程度したら君も眠らしたまま人間世界に返すつもりだった…。それなのに、君はものの数秒でこの世界に適応した。この時点で普通じゃないとは確信したわ。だからこそ神殿に連れていき、その素質を確かめてみた。」
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