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第二章
93話:霧島への報告①
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日が落ちた頃、2人は『HALTE』に到着した。
渋谷乗り換えで恵比寿に移動する間、久遠はこれまで霧島にどういうふうにお世話になっていたのかを神永に語った。霧島がいなかったら、久遠は今も向き合うことを恐れていたかもしれないということも。
バーの本来の店名を覆うように貼られた『HALTE』の看板を確認すると、神永は久遠の手を引いて扉を開けた。
そこには、こじんまりとした空間いっぱいに既に温かな活気が満ちていた。ガーリックとハーブの食欲をそそる香りが漂い、数組の先客たちが楽しげに声を弾ませている。
霧島は、キッチンで調理をしていた。カウンター席の客と笑い合いながら器用にフライパンを振っていた霧島が、ドアベルの音に顔を上げる。
「いらっしゃい。……って、え?」
霧島の手が、目に見えて止まった。 視線の先にあるのは、神永と久遠。――そして、2人の間で繋がれている手。店に入ってすぐ、久遠が自然に離そうとした神永の手は、強固に久遠の手を解放しようとしなかった。
霧島は数秒ほど呆然としたあと、ちょうど2席分空いていたカウンターの中央を指差した。
「……おー、まじか。思ってたよりだいぶ早かったな」
ニヤリと微笑んでくれる。自然な祝福の言葉のように感じられ、久遠は気恥ずかしくも、胸にじわりと温かいものが広がった。
霧島さんはニヤリと笑うと、3つのグラスをカウンターの台に並べた。 忙しそうにしていたはずなのに、手際よく準備してくれる。
「はい、座りな。お祝いの乾杯しないと」
促され、神永と進みカウンターに座らせてもらう。
「連絡もしないで急に来て悪いね。霧島がどんな顔するか見たくって」
神永は楽しそうに言うと、霧島もおどけるように肩を竦めて2人の一瞥し、ワインを注ぎ始めた。淡い薔薇色の液体がしゅわしゅわと弾けていく。
「そりゃあ驚きましたよ。俺のさっきの顔で満足した?」
「うん、だいぶ。霧島のあんな驚いた顔って、初めて見たかも」
2人がここまで朗らかに会話している様子を初めて見た久遠は、普通に仲良いんだ……と内心驚いていた。
すると、霧島が久遠に目線を移して言う。
「てか久遠、一瞬誰か分かんなかった。スーツじゃなかったから」
久遠は、あ、と言いながら自分の装いを見下ろす。日中神永がプレゼントしてくれたホワイトコーデに身を包む自分の姿は、久遠自身もまだ見慣れない。
「デートのための服?可愛いじゃん」
二ッと笑うので、霧島の八重歯がちらりと覗いた。
恥じらいもなくストレートに褒められ、久遠の笑顔が固まる。1歳しか違わないとは思えない大人の余裕と、横にいる人の心情を想像することが、両方とも怖いからだ。
「か、彼が選んでくれて。プレゼントしてくれたんです、今日」
「ふーん、やるじゃん。さすがのセンスだな」
霧島から爽やかな笑顔で純粋に褒められるも、複雑な思いの神永は「うん、ありがとう」と笑顔だが無機質な声で返答している。
日が落ちた頃、2人は『HALTE』に到着した。
渋谷乗り換えで恵比寿に移動する間、久遠はこれまで霧島にどういうふうにお世話になっていたのかを神永に語った。霧島がいなかったら、久遠は今も向き合うことを恐れていたかもしれないということも。
バーの本来の店名を覆うように貼られた『HALTE』の看板を確認すると、神永は久遠の手を引いて扉を開けた。
そこには、こじんまりとした空間いっぱいに既に温かな活気が満ちていた。ガーリックとハーブの食欲をそそる香りが漂い、数組の先客たちが楽しげに声を弾ませている。
霧島は、キッチンで調理をしていた。カウンター席の客と笑い合いながら器用にフライパンを振っていた霧島が、ドアベルの音に顔を上げる。
「いらっしゃい。……って、え?」
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霧島は数秒ほど呆然としたあと、ちょうど2席分空いていたカウンターの中央を指差した。
「……おー、まじか。思ってたよりだいぶ早かったな」
ニヤリと微笑んでくれる。自然な祝福の言葉のように感じられ、久遠は気恥ずかしくも、胸にじわりと温かいものが広がった。
霧島さんはニヤリと笑うと、3つのグラスをカウンターの台に並べた。 忙しそうにしていたはずなのに、手際よく準備してくれる。
「はい、座りな。お祝いの乾杯しないと」
促され、神永と進みカウンターに座らせてもらう。
「連絡もしないで急に来て悪いね。霧島がどんな顔するか見たくって」
神永は楽しそうに言うと、霧島もおどけるように肩を竦めて2人の一瞥し、ワインを注ぎ始めた。淡い薔薇色の液体がしゅわしゅわと弾けていく。
「そりゃあ驚きましたよ。俺のさっきの顔で満足した?」
「うん、だいぶ。霧島のあんな驚いた顔って、初めて見たかも」
2人がここまで朗らかに会話している様子を初めて見た久遠は、普通に仲良いんだ……と内心驚いていた。
すると、霧島が久遠に目線を移して言う。
「てか久遠、一瞬誰か分かんなかった。スーツじゃなかったから」
久遠は、あ、と言いながら自分の装いを見下ろす。日中神永がプレゼントしてくれたホワイトコーデに身を包む自分の姿は、久遠自身もまだ見慣れない。
「デートのための服?可愛いじゃん」
二ッと笑うので、霧島の八重歯がちらりと覗いた。
恥じらいもなくストレートに褒められ、久遠の笑顔が固まる。1歳しか違わないとは思えない大人の余裕と、横にいる人の心情を想像することが、両方とも怖いからだ。
「か、彼が選んでくれて。プレゼントしてくれたんです、今日」
「ふーん、やるじゃん。さすがのセンスだな」
霧島から爽やかな笑顔で純粋に褒められるも、複雑な思いの神永は「うん、ありがとう」と笑顔だが無機質な声で返答している。
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