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第4章 ジェイド・サン・エーデルシュタイン編
第27話:兄弟のすれ違い
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(どうして、こんなことに……)
ディアは馬車に揺られながら、俯いていた。正面は向けなかった。何故ならジェイドが鬼のような顔でディアを睨んでいるからだ。推しの顔とはいえ、流石に近距離で睨まれてしまうと怯んでしまう。
「あのージェイド殿下。どうしてこんなことを?」
「うるさい。俺の許可なくしゃべるな、極悪令嬢」
「ごっ!?」
極悪令嬢。その言葉にディアは瞬きを繰り返す。そんなディアの様子にジェイドは苛立ちを隠さず、舌打ちをした。
「とぼけなくていい。お前が浮気しているのは既に知っている」
「浮気?」
「クリスという婚約者がいるというのにジークと浮気しているんだろう。俺の従者から報告が上がっている。頻繁にヤツと密室で密会していることもな」
「密会……あっ」
心当たりがあるディアは間抜けな声を上げる。
「待ってください、ジェイド殿下。まさか、私を監視して?」
「そうだ。お前は前々から信頼できないと思っていたからな。弟はお人好しだから簡単に騙せても、この俺の目は誤魔化せない」
「──ありがとう、ございます」
「は?」
ディアは涙を流しながら、手を合わせた。推しCPからの供給にただただ感謝を示す。
(ジェイド様が私を監視。つまりそれはクリス様のことを想ってのこと。表面ではすれ違っている二人だけれど、やっぱり本当はお互いを想っているのよ! 嗚呼、これこそジェイクリ……推しCPよ、永遠なれ)
「おい。何故泣く。気味が悪いな」
ディアは噛み締めるように上品に涙を拭く。
「ジェイド様はそんなにクリス様のことを想っているのに、どうしてそれを彼に伝えないのでしょうか?」
「……お前には関係ないことだ」
ジェイドは不機嫌そうに顔を背けた。ディアは眉を下げて、俯く。
(まぁ、そうよね。ほとんど初対面の私に弱みを見せてくれるわけないか。ジェイド様に心を許されるのはヒロインの特権だもの)
一応ジェイドルートも攻略した者として、一抹の寂しさはある。
(でも、クリス様とジェイド様をすれ違いのままにはさせない。そのために私は今まであの魔法の研究をしてきたんだから!)
するとその時だ。急に馬車が止まった。ディアは思わず前のめりになるが強く腕を引かれ、顔をぶつけずに済んだ。気づけばジェイドに抱きしめられていた。
「おい、怪我はないか」
「は、はいぃ!!」
「ならいい。お前はここにいろ。おい、テルキス! 何故馬車を止めた!」
ジェイドが馬車から降りていく。何やらトラブルでもあったのだろうか。
気になってディアもこっそり馬車の入り口を開け、話を聞いてみると……
「──なんだと!? クリスが攫われた!?」
「はい。ただいま、城にいる影の者達からそう連絡が入りました。クリス様がお一人で庭園を歩いている時を狙った魔族の襲撃があったそうです」
「魔族だと? 城にはジークの結界が張ってあるはず。それを突破するほどの……? ちっ! とりあえずすぐに向かう!」
ジェイドはすぐに馬車から天馬を離し、そのまま乗る。ジェイドの従者であるテルキスももう一頭の天馬に飛び乗った。ディアは慌てて馬車を飛び出す。
「ま、待ってください!」
「あぁ!? すぐにここに迎えを寄越すように連絡しておく! 大人しく馬車の中にいろ!」
「いいえ、そうではなく! 私も連れて行ってください!」
ディアの嘆願にジェイドは眉を顰める。
「クリス様が攫われたとお聞きしましたわ! ならば私も行きます! 私はクリス様の婚約者です! 助けに行く資格はあるはずですわ!」
「駄目だ。危険すぎる。それに天馬の上で吐かれたらかなわん」
「天馬なら以前長時間乗ったことがあります! それに最推し、いえ、クリス様が危険だって時にじっとなんかしていられませんわ!!」
「…………、」
ディアの真剣な表情にジェイドは数秒瞬きを繰り返し……ニッと口角を上げた。
そしてディアに手を差し出す。
「いいだろう。だが俺の足手まといになったら振り落とす」
「分かりました! ありがとうございます!」
ディアは力強くその手を握った。空気を読んだ天馬が軽く足を曲げてくれたので楽に乗ることができた。ジェイドはディアを後ろから抱きしめ、手綱を握る。
「そういえば、クリス様の位置は分かるのですか?」
ディアの素朴な疑問にジェイドはそっと自分の右手を見せる。その人差し指には青いサファイアブルーの宝石がキラキラ輝き──ある方角を指している。
「これは番の指輪だ。随分前にクリスに同じ指輪をくれてやってな。これで互いの位置が分かるようになっている」
「ぐふっ!!!!!!」
ディアは思わず鼻を抑えた。ディアの脳内で溢れ出した大量の“萌え”が許容量を超え、鼻血として体外へ放出されようとしたからだ。
ジェイドはディアの手からこぼれた血を見てギョッとする。
「おい、お前!」
「大丈夫です! ただの持病ですから!! それよりもクリス様を早く追いましょう!」
「持病だと……?」
ジェイドは少し考えると、天馬を走らせた。
天馬が飛び立った後、ポツリとディアに呟く。
「……身体が弱くても、意地でもクリスを助けようとするその根性は認めてやらなくもない」
「えっ!?」
(え、いや……ただ推しCPが尊すぎて鼻血が出てしまっただけなんですけれど!?)
ディアはそう心の中で突っ込んだが、ジェイドに褒められたのは素直に嬉しかったので真実は黙っておくことにした。
ディアは馬車に揺られながら、俯いていた。正面は向けなかった。何故ならジェイドが鬼のような顔でディアを睨んでいるからだ。推しの顔とはいえ、流石に近距離で睨まれてしまうと怯んでしまう。
「あのージェイド殿下。どうしてこんなことを?」
「うるさい。俺の許可なくしゃべるな、極悪令嬢」
「ごっ!?」
極悪令嬢。その言葉にディアは瞬きを繰り返す。そんなディアの様子にジェイドは苛立ちを隠さず、舌打ちをした。
「とぼけなくていい。お前が浮気しているのは既に知っている」
「浮気?」
「クリスという婚約者がいるというのにジークと浮気しているんだろう。俺の従者から報告が上がっている。頻繁にヤツと密室で密会していることもな」
「密会……あっ」
心当たりがあるディアは間抜けな声を上げる。
「待ってください、ジェイド殿下。まさか、私を監視して?」
「そうだ。お前は前々から信頼できないと思っていたからな。弟はお人好しだから簡単に騙せても、この俺の目は誤魔化せない」
「──ありがとう、ございます」
「は?」
ディアは涙を流しながら、手を合わせた。推しCPからの供給にただただ感謝を示す。
(ジェイド様が私を監視。つまりそれはクリス様のことを想ってのこと。表面ではすれ違っている二人だけれど、やっぱり本当はお互いを想っているのよ! 嗚呼、これこそジェイクリ……推しCPよ、永遠なれ)
「おい。何故泣く。気味が悪いな」
ディアは噛み締めるように上品に涙を拭く。
「ジェイド様はそんなにクリス様のことを想っているのに、どうしてそれを彼に伝えないのでしょうか?」
「……お前には関係ないことだ」
ジェイドは不機嫌そうに顔を背けた。ディアは眉を下げて、俯く。
(まぁ、そうよね。ほとんど初対面の私に弱みを見せてくれるわけないか。ジェイド様に心を許されるのはヒロインの特権だもの)
一応ジェイドルートも攻略した者として、一抹の寂しさはある。
(でも、クリス様とジェイド様をすれ違いのままにはさせない。そのために私は今まであの魔法の研究をしてきたんだから!)
するとその時だ。急に馬車が止まった。ディアは思わず前のめりになるが強く腕を引かれ、顔をぶつけずに済んだ。気づけばジェイドに抱きしめられていた。
「おい、怪我はないか」
「は、はいぃ!!」
「ならいい。お前はここにいろ。おい、テルキス! 何故馬車を止めた!」
ジェイドが馬車から降りていく。何やらトラブルでもあったのだろうか。
気になってディアもこっそり馬車の入り口を開け、話を聞いてみると……
「──なんだと!? クリスが攫われた!?」
「はい。ただいま、城にいる影の者達からそう連絡が入りました。クリス様がお一人で庭園を歩いている時を狙った魔族の襲撃があったそうです」
「魔族だと? 城にはジークの結界が張ってあるはず。それを突破するほどの……? ちっ! とりあえずすぐに向かう!」
ジェイドはすぐに馬車から天馬を離し、そのまま乗る。ジェイドの従者であるテルキスももう一頭の天馬に飛び乗った。ディアは慌てて馬車を飛び出す。
「ま、待ってください!」
「あぁ!? すぐにここに迎えを寄越すように連絡しておく! 大人しく馬車の中にいろ!」
「いいえ、そうではなく! 私も連れて行ってください!」
ディアの嘆願にジェイドは眉を顰める。
「クリス様が攫われたとお聞きしましたわ! ならば私も行きます! 私はクリス様の婚約者です! 助けに行く資格はあるはずですわ!」
「駄目だ。危険すぎる。それに天馬の上で吐かれたらかなわん」
「天馬なら以前長時間乗ったことがあります! それに最推し、いえ、クリス様が危険だって時にじっとなんかしていられませんわ!!」
「…………、」
ディアの真剣な表情にジェイドは数秒瞬きを繰り返し……ニッと口角を上げた。
そしてディアに手を差し出す。
「いいだろう。だが俺の足手まといになったら振り落とす」
「分かりました! ありがとうございます!」
ディアは力強くその手を握った。空気を読んだ天馬が軽く足を曲げてくれたので楽に乗ることができた。ジェイドはディアを後ろから抱きしめ、手綱を握る。
「そういえば、クリス様の位置は分かるのですか?」
ディアの素朴な疑問にジェイドはそっと自分の右手を見せる。その人差し指には青いサファイアブルーの宝石がキラキラ輝き──ある方角を指している。
「これは番の指輪だ。随分前にクリスに同じ指輪をくれてやってな。これで互いの位置が分かるようになっている」
「ぐふっ!!!!!!」
ディアは思わず鼻を抑えた。ディアの脳内で溢れ出した大量の“萌え”が許容量を超え、鼻血として体外へ放出されようとしたからだ。
ジェイドはディアの手からこぼれた血を見てギョッとする。
「おい、お前!」
「大丈夫です! ただの持病ですから!! それよりもクリス様を早く追いましょう!」
「持病だと……?」
ジェイドは少し考えると、天馬を走らせた。
天馬が飛び立った後、ポツリとディアに呟く。
「……身体が弱くても、意地でもクリスを助けようとするその根性は認めてやらなくもない」
「えっ!?」
(え、いや……ただ推しCPが尊すぎて鼻血が出てしまっただけなんですけれど!?)
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