せっかく双子で恋愛ゲームの主人公に転生したのに兄は男に妹は女にモテすぎる。

風和ふわ

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第一学年 第一学期

11 せっかく魔法学校に入学したのに王太子の犬になるとか悲しすぎる。【蓮SIDE】

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 一体どうして、こうなってしまったのか。

「おい駄犬、早く余の荷物を持て!」
「は、はい! た、ただいまお持ちさせていただきますですーっ!」

 入学してから夢の魔法学校生活一日目。それだというのに、俺の心は雷雨であった。

 ……なぜかって? そりゃ相部屋があのレックスだったって時点で最悪だけど、そのレックスが予想以上に俺様野郎だったのさ。出会って早々俺に「今日からお前は俺の犬だ」なんて宣言しやがった。俺はそりゃ断りたかったさ。でもレックスの野郎、「余の言うことが聞けない駄犬はこの学園にいる資格はない」なんて言ってきやがったので渋々従うしかなかったんだ。ばあさんにも桜にも迷惑をかけたくなかった。
 そして断り切れなかった俺にレックスは口角を上げ、あれこれ命令してくるようになった。
 一番腹が立ったのはこいつとの相部屋の寝室だ! なんと俺とレックスの寝室にはベッドが一つしかない。その分馬鹿でかいベッドがどーんと寝室を占領している。つまりどういうことかというと、下民の俺は床で寝ろってわけだ。それならもう、レックスは特別待遇で一人部屋にしろって話。もうわけわかんねぇ。結局本当に床に布しいて寝た。床は固くて冷たくてもう最悪だった。これからの学園生活、俺はレックスの犬として過ごしていくなんて地獄にもほどがある。

 でも、いつかこいつと桜が結ばれるかもしれないんだ。兄として仲良くなっておくべきだろう。桜がレックスを攻略しやすいように俺がサポートしなきゃいけない時も来るかもしれない。そのためにも、今はレックスの犬になるしかない……。……つか、兄としてはこんな我が儘野郎に桜を渡したくないんだけど。
 まじない学の授業が終わり、俺はすぐにレックスの教科書諸々を鞄に押し込んでレックスの後をついていった。

「遅いぞ犬! 余の次の授業はなんだ」
「え、えぇっと……」

 昨夜レックスから渡されていたレックスの週間スケジュールを目に通す。って、俺はこいつの秘書かマネージャーかっての! 犬だけど!

「じゅ、授業はとってないみたいです。その代わり、オディオさんと会談があるって……」
「あぁ、そうだったな。ついてこい間抜け」
「~~~~っ」

 俺はそのイケてる金髪を今にも毟ってやりたい欲でいっぱいになったが、唇を噛みしめなんとか我慢した。
 ……ふっ、桜がお前を推していてよかったなレックス。じゃないとお前、HAGEになっていたぜ……。
 それにしても桜の方は大丈夫なんだろうか。同じ授業を選択しなかったのか、全然会わない。まぁ、俺も妹離れするべきなんだろうけどさ……。
 そんなことを考えていると、なんともまぁ〝貴族らしさ〟が出ている扉の前に辿り着く。ゲームで背景としてよく見たことがある扉だったのですぐにここが生徒会室だと分かった。学校の運営や企画はレックスが王になるために必要な経験だろうってことで確かレックスは高等部一年生ながらに生徒会長に任命されたはず。そこで思い出したのだが、先程でてきたオディオという名前。あれは確か──。
 レックスがそっと扉の魔法陣に手を当てる。すると扉が勝手に開いた。

「余に続けて入れ」
「は、はい」

 置いていかれないように必死についていけば、扉がまた勝手に閉まる。部屋の中は大体が整理整頓はされていたものの、中央にある大きな円卓テーブルにはぎっしりとなんらかの書類が積まれていた。俺はその円卓テーブルの一角に人影を見つける。

「オディオ、すまないな。一人で仕事を任せてしまったか」
「! レックス様」

 眼鏡をかけた銀髪頭のインテリイケメン──オディオ・アゴニー・ヘイトリッド。何故俺がこいつの名前をすぐに分かったというと、勿論こいつもレックスに続く攻略対象キャラであるからだ。確かレックスの最有力側近候補で、レックスが最も信頼している男なんだっけ。レックスより一つ年上で、レックスが来るまではオディオが生徒会長を努めていたとかなんとか。
 そんなオディオはレックスの後ろにいる俺を見るなり、不快そうに顔を歪めた。

「レックス様。その下民は一体?」
「あぁ、こいつは余の犬よ。貴族共を傍につかせてもよいが、あいつらはキャンキャンうるさくてかなわんし、何より下心が見え透いていい気分はしないしな。派閥やらなんやらにも関係ない下民を侍らせるのが一番楽でよかろう」
「……それならば僕の方が適任では?」
「お前は働き過ぎだ」

 オディオはぐっと唇を噛みしめた。そして俺のことをキッと睨む。
 なんだこいつ。俺だって好きでこいつの犬やってんじゃねーっての! ばーかばーか!
 心の中で小学生みたいな悪態をつくと、レックスは俺に手のひらを掲げ、「待て」と言った。

 ……聞きましたか皆さん? この金髪野郎、俺に今「待て」っつったよ? 「待て」って!! なんだよ待てって俺は犬か! 犬だけど!!

 がっくりと肩を下ろす。頭を抱えて、埃臭い部屋の隅の方に寄りかかった。
 レックスとオディオを見れば、書類を見ながら何やら難しい単語を投げやって会話している。生徒会の仕事ってやつだろうな。
 ゆっくりする時間ができた今気づいたのだが、レックスのやつ、今日一日どうにもしっかり休んでいないような気がする。授業の合間があればああやって何らかの仕事をしたり、はたまた自習をしたり……。それをあんな涼しそうな顔でこなすんだから大したヤツだ。
 画面上では、生徒会長とか次期国王とか簡単に言えるけど、本当は一人の人間に背負えるようなものではないってことをしみじみ感じる。

 ……ま、俺には関係ないけど。
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