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火山を越えて

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一度、夜を過ごし、明朝…………
日が昇らない内に俺達は、山を登り始めた

「ゴーラ殿
一つ、質問が………」

「如何された?」

「何故、日が昇らない内に登るのですか?
日が昇ってからでも」

「日が出てからでは、気温も上がって、熱で体力を奪われる
だから明朝の寒い間に登っておきたいのだ
それに暗いとはいえ、我が照らしているから問題なかろう」

「そうですか」

スミャルは納得したように頷いている
まぁ、俺も暑い中、山なんぞ、登りたくねぇし、だったら寒い中でも登っておいた方がいいしな
それに魔法で照らしてるから足場が見えてるし、暗くても問題なし
改めて便利だなぁ………

「なぁ?
魔法で気温を封じれば、昼でも良かったんじゃねえのか?」

「言わないでくれ…………
たった今、思ったんだからよぉ…………」


隣を歩くミラに耳打ちをされ、確かにと思い、シュン………、と肩を窄めれば、ミラが笑いながら俺の肩を叩いた

「お前はそう言うところが直ってないよな」

「うっせぇ」

昔からお前はそう言うのをイジってくるよな………
断るごとになぁ!!

溜息を殺しながら左腕を見れば、マソラとアイシャがお互いに抱き合いながら寝ている
登る際、起こさないようにおんぶしようとしたが上手くいかなかったから、抱っこしているが、うん…………
まぁ、悪くねぇな

「あぅー…………、登りキツイぃぃい…………」

俺達から少し遅れてるアスカが汗を拭い、息を切らしながらそう言っている
まぁ、確かにこの山登りなんぞ、疲労が凄いらしいしな…………

「スミャルよ
巨人の国へは、行ったことはあるか?」

「はい、ただ数回だけですが
あそこの王は、志は我らが王と何ら変わらず、人である私も周りと変わらず接してくれます
まぁ…………、クセが強いのですが…………」

そう言って、スミャルは苦虫を潰したような顔をした
……………きっと凄い性格なんだろうな

「おい、ゴーラ
そろそろ日が昇ってきたぞ」

ミラの声に空を見れば、確かに空は白み始め、脇目から太陽の日が差し込んできた

「よし、計算通り
山頂だ」

そしてそれと同時に山頂に到着した
すると、山を下った先の山脈に大きな壁が見えた

「あれが…………」

「はい、巨人の国
【デットブリンク】国でございます」


「で、あるか
なら、このまま進めば、昼くらいには着くであろう」

俺がそう言えば、後ろから腕を掴まれた

「その前に………、休憩!!」

「…………分かったから」

振り返れば、汗だくで凄い睨みをしたアスカが居た為、俺は頷くしかできなかった
まるで般若だな………

「誰が般若よ」

「ナチュラルに心を詠むな」

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