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第二幕
夏の始まり
しおりを挟む気温がどんどん上がり、外に出るだけで汗が滲み出してくる日々になってきた
近くの森は緑が多くなり、屋敷から遠くの方を見れば、畑が一面に実っていた
そんな中、俺は……
「《雷千牙》!!」「うふふ~、凄いです~」
《拳気・雷鳴》を使い、《雷千牙》を発動させ、両腕を広げたワカメの腹を当てたが、ワカメはいつものように二ヘラっと笑い、頭を撫でてきた
《拳気専用スキル 雷千牙
拳気・雷鳴状態の時にしか、発動できない
両拳を相手に当て、千の雷の牙を浴びせ大ダメージを与える事が出来る》
「っ………、流石にワカメ相手にバフ無しだと、この程度か
ゲームの性能、ステータスは変わってないと分かったが、お前らもそのままコッチに来てるんだな」
今、ワカメ相手にステータスやスキルの確認をしながら誓約獣達のステータス等に変化ないか、確認をしていた
何故、ワカメ相手にしているのかと言えば、ワカメはユニークスキル《ワンノック》と言うスキルを持っていて、そのスキルの効果は自分が受けるダメージを強制的に1にする効果だ
だからワカメ相手にバフをかけずに試せてるんだが……
どうやらワカメの様子を見る限り、誓約獣達も俺と同じアルタナシア・ドリームのステータスのままのようだ
「そうです~、誓約者様~と同じなんて~嬉しい~です~ね~」
ワカメの緩い話し方に頬を緩めながら、《拳気・雷鳴》を解除した
「さてと、そろそろ五時近くだから戻らないとな」
そう言い、ディスプレイを操作すれば、ヒビが走った地面が綺麗に元通りになり、コロシアムが元の綺麗な状態になった
ちなみに俺達が居るのは《クリエイトエリア》の一つでもある
《食堂屋 ゆる~ず》と言う俺が所属してるギルドがあるエリアでその施設の一つでもあるギルドメンバーの腕試し場で使用しているコロシアムだ
本来なら誓約獣はこのエリアに召喚は出来ないが、試しに呼んでみたら出来てしまった
(俺が買ったクリエイトエリアの8つも確認したけど、変わってなくてよかった……
特に自宅……、アソコには、かなりのゼニーを投資して、過ごし易さMAX、設備の向上、趣味全開にしたんだ……
あの苦労が水の泡となったら……、立ち直れない……)
そんな想像をして、顔が青ざめていたが頬を叩いて、気持ちを入れ替えた
「さて、ワカ」
そろそろ戻ろうとワカメに伝えようと振り返れば、その口をワカメが塞いだ
気付けば、ワカメにキスをされていた
少ししてワカメが離れれば、舌先で自分の唇を舐めれば、色気を帯びた笑みを浮かべた
「久しぶりの~誓約者様の一撃で~、興奮しましたが~、これで~治りました~」
「そ、そうか」
完全な不意打ちな為、少し顔が熱くなるが、ワカメは気にせず俺を見てきた
「それより~戻った方が~いいと~、思います~」
「っ と、そうだな
ワカメは自分で戻れるな?」
「はい~」
ワカメの言葉に頷けば、俺はすぐに《クリエイトエリア》から自室に戻ってきた
部屋に戻れば、まだ日が上り、明るくなってきていた
(ったく、ワカメのヤツ……
いきなり過ぎだろ……)
先程の光景を思い出して、俺は思わず頭を掻いた
元々、ワカメはダンジョンボスで、テイムも低確率とかなり辛いボスだった
そしてそのダンジョンの名前が【性愛の天使】とか言う……
だから俺がワカメをテイムして、しばらくして、なつき度がMAXになった時、思いっきりワカメは俺の唇を奪った
(性愛って、単語である程度の予測はつけられてたけど、NPCの行動だからと受け入れてたが……
まさかソレが仇となるとは……)
ワカメは悪くない……
彼女は自分に書き込まれた設定を忠実に守っているだけだ
(今更、止めろって言ったら、悲しむよな……
なら、これまで通りに受け入れてやるか……、人前を避けるように言うけど……)
そんな決意をして、ベットに腰掛け、両手を後ろに置き、楽な体制になろうとしたが右手に何か柔らかいムニュッとした触り心地と小さな「ひゃあ」と言う声が聞こえた
俺は小さく溜息を吐くと右手を離して、ケットを捲った
「…………」 「あ、えっと……、お、おはよう、お兄様」
捲ればそこにはフローラが居て、俺を見るとアワアワと焦りながらそう言ってきた
先程、右手の感触はフローラの胸だろう……
その証拠にフローラが胸元を恥ずかしそうに隠している
「……フローラ 今日で俺の部屋に潜り込んだのは何回目だ?」
「え、えっと……、今月は……、17回「父上達に行って、部屋に入るの禁止に」やだーーーーーーーー!?」
そして保身の為に言うと俺が《クリエイトエリア》に向かうまで、フローラはこの部屋には居なかった……
呆れながらそう言うとフローラはギャン泣きで俺にしがみついてきた
最近……、フローラが俺の部屋に毎日と言っていいほど、潜り込んでは俺と一緒に眠っている事が多い……
と、いうか確実に多くなっている…
俺の前でも裸になる事に躊躇がなくなっているし、どうも、一緒に風呂に入ると妙にフローラの視線が俺を上から下まで舐め回すように見てきている気がする……
「フローラ 最近、どうしたんだ?
何か、前より甘えん坊になってる気がするんだが……」
俺が聞けば、俺の体に顔を埋めているフローラはグシグシと顔を動かした
俺の服で顔を拭かないでもらいたいんだが……
「だってぇ……、お兄様が離れちゃうぅ~……」
「離れる?」
フローラの言葉に首を傾げるとフローラが顔を上げて、俺を見た
「お兄様が事故に遭った時、お兄様が居なくなっちゃうって思ったら私の中で、何かが無くなっちゃうと思って……
あの時だって、お兄様がお腹を刺された時も……、同じのを感じて……
ヤなの……、私の中のお兄様が消えちゃうのヤなの……」
フローラはそう言い、また泣き出したので、俺はフローラを抱き寄せた
俺は姉が居たけど双子じゃないから、そんな風には思わなかったが、双子は片方がピンチになったら、もう片方もピンチを感じるとか、聞いた事がある…
フローラが感じたのは恐らく兄の俺が死ぬほどの経験がフローラの中では俺が消えると感じたのだろう……
それで不安になって、ずっと俺に付き纏ってたのだろう……
(すっかりトラウマになってしまったな……)
そりゃそうだ……
フローラは、2回……、兄が目の前で死にそうになってんだから、ブラコンが強まるのも無理もない……
「フローラ、大丈「だから私、決めました」っりょ!?」
安心させようと言っていたがフローラがそれを遮ると、俺を押し倒した
「私……、お兄様の為に強くなります
お兄様をお守りできるくらいに強く………」
「そ、そうか
む、無理は「そしてお兄様の子供を産みます!!」するぶぇぇえ~~!?」
フローラの言葉に素直に受け止め、無理はしないようにと約束を結ばせようとしてるとフローラの口からとんでもない言葉を聞いて、思わず変な声が出た
「お兄様のお嫁さんになれるなら努力なんて、いくらでもやれます!!
フォルティナお姉様には負けますが、絶対に負けません!!
私とお兄様は血の繋がりがあり、普通なら結婚は出来ませんが側室ならば、兄妹でも結婚出来るとお母様から聞きました!!」
フローラは早口で話して、目をキラキラとさせてるが、俺は思わずワナワナと叫びそうになっていた
(何を言ってるのですか!?
母上!?)
「それにお母様が教えてくれました……」 「ちょっ!?」
フローラは頬を赤らめるとゴソゴソと手を動かして、俺の股間を触ってきた
「お兄様のココを私のお腹に入れて、子種を入れてくれれば、お兄様の赤ちゃんを産めるのですよね?」
「本当に何を仰ってるのですか!?母上ぇぇ!?」
フローラの暴走を止めることもそうだが、母上があまりにも乗り気な事に驚きつつ、(フローラになんて事を教えてるんですか!?)ともはやツッコミよりもクレームをおもっきり心の中で叫んでいた
「私……、いっぱい勉強もします
だから、お兄様のココから子種が出るようになったら、フローラの初めてをもらってね?お兄様」
そう言い俺の上で寝転がると俺に抱きついて、笑ってるフローラに対し、俺はあまりにも苦笑いを浮かべてるのに気づいた
(ちょっと待ってくれよ……
モブとして、過ごしたいのに攻略キャラのフローラの好感度がカンストしてる風なんだが……
モブとして、生きていけるのかな……)
展開が急展開過ぎて、この先が不安になった俺だったが、今日一日は始まったばかりだ……
そして(やっぱりエロゲー世界なんだな…………)と痛感した……
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