18禁ゲームの貴族に転生したけど、ステータスが別ゲーのなんだが? えっ? 俺、モブだよね?

ライカ

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第二幕

森の薬師

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時刻はお昼を過ぎた辺りだ…………
暖かい日差しで少し汗ばんでくるほどだ

「シモン様!! 本当に危なかったら戻ってきてくださいね!!」

「わかったから、メル
俺を信じて?ね?」

メルに思いっきし抱きつかれ、少し痛いくらいだが、俺がメルの両頬を掴み、じっと目を見れば、信じてくれたみたいで離してくれた

「ロジャード メルを頼むな?」

「あいよ 坊ちゃんも気をつけろな」

ロジャードに言われ、頷けば、俺は振り返り、森へと入っていった

俺が向かったのは、【瑠璃の森】だ
この森は魔物の目撃は、少ないが住み着いてるのは確かでもある
そして何故、瑠璃と言う事かと言えば、この森はある一定の時期になれば、瑠璃色に光り輝くと不思議な現象が発生する
だから、ここは瑠璃の森と言われている……

そんな中、俺が目指す場所は、この森の奥……
少し入り組んでて分かりずらいが、この森の奥に小さな屋敷みたいな建物がある
恐らくだがそこに薬師が居ると考えられる

何で分かるかって?
さっきから《サーチ》のスキルで、おもいっきり森全体をマッピングしているからだよ
熟練度がカンストしてるから《サーチ》一回で、大体、ダンジョンの一階層目の構造が一回でマップ化するから、なかなか使い勝手の良いスキルだ

森に入り、少し進めば、ジャンプをして、木の枝に着地した
視線の先には地面に細かにだが、ワイヤーみたいなモノが張り巡らせてある
恐らく……、薬師の罠だろうと思うが、じゃあ何で薬師はこの罠を踏んだか?
答えは、NOだ
恐らく森の夜道であれば、例え張った本人ですら、引っかかるはずだ
じゃあどうやって薬師はここを通ったか?

答えは、簡単……
現に俺がやってるみたいに道を通ってないからだ

木を飛び移りながら更に進んでいくと、木々の影から、人工物が見えた
木から下りて、ソッと近付けば、そこは、ボロボロの廃邸となった建物がそこにあった
だが、廃邸となっているが何処となく人の手で修理された箇所が見える
警戒しながら邸に近付いて行けば、全容が分かった
邸と言っても、現代で言えばちょっと大きなコテージみたいな建物だが、裏に植物を育てるのに最適な温室がある
前を向けば、少しボロいが玄関が見えた
近付いてノックをした

「すみません 誰か居ますか?」

声をかけ、しばらく待ても反応が無い……
もう一度、ノックをしようとすれば、首筋に冷たいモノが押し当てられた

「動くな 動けば首を落とすぞ?」

首筋にあるのが小さなメスであるのに気付きながら、俺は両手を上げた
声からして、女性であることはわかった

「急にお邪魔して、申し訳ございません
私はフェルストリー伯爵家が三男 シモン・フェルストリーと言います」

「フェルストリーの……、それが何でここに居る?
目的は何だ?」

「目的は二つ……
一つは貴女の薬で命を助けられましたのでそのお礼を……
二つ目はぜひ、貴女と取り引きがしたい」

そう言い、しばらくしてメスが離れれば、振り返った
そこには褐色の肌をし、瞳孔は少し縦長になっている
そして目に入ったのは、ヒトより伸びた鋭い犬歯だ

「面白い子供だ
この私と取り引きしたいとはな
それにメスを押し付けられ、殺気を飛ばしたのに平然としている所を見るに、お前は少なくとも街の子供と比べると異常なまでに精神が成長しているな」

「それに関しては最近、父上にも言われました」

「ふふふ 実に面白い」

女性はそう言い、胸を張れば、ご立派な胸が揺れた

「私はヒュレム・オーリクス
見ての通り、吸血鬼だ」


邸の中に入れば、ヒュレムに案内され、居間に来た
外から見た邸はボロボロだが、中は意外にもソファー等の製品は新品だ

「待たせたな シモン
人に茶を入れるなど、何百年ぶりでな」

そう言い、ヒュレムは少し不器用に紅茶を差し出した

【ヒュレム・オーリクス】
彼女は、かなり髪がボサボサとしているが、それでもかなり美人と言っていいほど
の美貌を持っている
そして改めて俺は確信した
この目の前の吸血鬼が攻略キャラだということを……

「それで?
私と取り引きしたいとはどんなのだ?」

「まずはお礼を……
貴女の薬で荷台の下敷きになった私の命が救われました
感謝します」

「いいのよ
あんなのは材料が揃えば作れるのだから」

俺が礼を言い、頭を下げれば、ヒュレムは照れたように返してきた

「ですが、貴女の薬師としての腕は本物
貴女のおかげで救われた事は事実なのです」

「あー……、分かった
分かったからこれ以上は言わないでくれ……
恥ずかしくて堪らないんだ……」

ヒュレムは頬を赤くしながらパタパタと手で顔を仰いでいた
どうやら褒め慣れていないようだ

「ほ、ほら、私と取り引きとは何だ?」

また褒められたら堪らないと言わんばかりに、ヒュレムは、話題を変えてきた
まぁ、そっちの方が話しやすい

「ガドラー院長から話を聞いて、貴女の薬師としての腕は分かりました
そして貴女がこの森の奥で、暮らしている事から貴女の事情も理解しました」

彼女の目を見ながら話せば、ヒュレムは、少し驚いたような表情をしたが、構わず話した

「貴女の腕を利用しようと、狙っている輩が居るのは分かっております
そこで貴女を私の名で、フェルストリー家の薬師として雇うという形で、貴女を保護すると言うのはどうでしょう?」

そう、俺の考えはヒュレムをウチで雇ってしまうと言う事だ
ヒュレムがウチで薬師として、腕を奮ってくれれば、フェルストリー領土内で、病気などで苦しんでる人たちを救えると思った
それに俺も薬師の職をレベルカンストさせてるから、ヒュレムレベルの薬を作れるが、俺がそれをボンボン作ってしまえば、流石に怪しまれるからな

「薬を作るのに必要な道具、素材、場所
その他にも必要な物があるならば、私が用意します
必要であるならば、利益が入れば、そちらで使ってもらって構いません
いかがでしょうか?」

ヒュレムはじっと俺を見てくる
そしてゆっくりと首を動かし、頷いた

「嘘を言ってるわけではなさそうだな
それに裏がある様子もない
私としても嬉しい限りだが………」

少し言い淀めば、意を決したのか ヒュレムの口が動いた

「だが、いいのか?
少なくともお前達、フェルストリー家に利益は無いと言ってるような内容だぞ?」

「はい フェルストリー家の利益なんて無くて構いません
貴女の薬で、病に苦しむ人が救われるなら、その利益は全て貴女に使っていただいてもらった方がいいと父上も思うでしょうから」

そう言えば、ヒュレムはソッと俺に近付けば、膝を付いて、俺の手を取った

「なら、お前の元で雇わせてくれないか?
私はお前の、フェルストリー領土の為に働くことを誓うと約束しよう」

「もちろんです
これからよろしくお願いしますね ヒュレムさん」

「ふふふ ヒュレムで良い」

嬉しそうにヒュレムは立ち上がれば、部屋を見渡した

「少し待っててくれ
必要なモノをアイテムボックスに詰めてくる
すぐに準備を済ませてくる」

そう言い、早足で居間から出ていった
その時にスカートが捲れてしまったから、見えてしまったが……

(ノーパンかよ……)

まずはヒュレムには下着とかを用意した方がいいな、と思った俺だった

「シモン 待たせた」

少ししてヒュレムが準備を済ませてきた
ヒュレムの格好は外に出る用のローブを着ていて、小さなバックを持っているだけだった

「忘れ物とかないか?」

「あぁ おっと、一つだけ忘れてたな」

聞けば、ヒュレムはハッとしてから邸に向かって、頭を下げた

「今まで世話になった
ありがとな」

そう言っているヒュレムを見れば、彼女の人柄がよく分かる
彼女は物一つでも大事にする人だ
それが例え小さな物だとしても…………

「さぁ、行こうか
そろそろ夕暮れになってしまう」

「そうだな、帰ろう」

そう言い、来た道を歩き出せば、その後ろをヒュレムが付いてくる

チラッと邸を見ると瑠璃色の光が集まり、人の形をして、コチラに手を振って、見送っていたのは、気のせいだろうか…………

いや、違うな
ヒュレムの物を大事にする暖かな思いが、起こした光景だろう

その事は、ヒュレムには、あとで伝えようと思い、俺は忘れないようにその暖かい光景を目に焼き付けた


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