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第二幕
蠢く闇 シャルロッテ防衛せよ
しおりを挟むシャルロッテの部屋から抜け出すと近くの広場に来ると俺はチャットを開いて、カゲイチを呼び出した
「主人」 「動きは?」
手短にそう伝えるとカゲイチはさっとこの王都のマップを映し出せば、赤い点が複数で動いているのが見てわかる
「敵は総勢三十の先鋭 容姿から見て暗殺及びそう言った犯罪をやってきている奴らだと認定
城を囲うように展開し、侵入する可能性大」
マップを見る限りには確かに城周辺の場所にゾロゾロと敵マーカーが動いているのが分かる
それを確認してから俺は「《召喚 デスアライブスパイダー》」と唱えると大体、小屋より大きな蜘蛛が現れた
この蜘蛛は【デスアライブスパイダー】と言って、アルタナシア・ドリームの中でも強ボスと言われている
その強さはトップ10入りする程の強さで攻撃するにも、とあるギミックを攻略してからでないとダメージを与えられないと言う鬼畜ってぷりだ
だが、その一匹を俺がテイムしているがな
「久しぶりだな すまないがまた力を貸してくれ」
デスアライブスパイダーの頭を撫でながら告げるとデスアライブスパイダーは右前脚を上げ、召喚陣が一斉に展開すると人サイズだったり、通常のサイズより少し小さかったりと様々なサイズのデスアライブスパイダー達が現れた
その数はざっと見ると150くらいいる気がするが、正確なのは分からない
「よし これより城の防衛をする
全員はカゲイチの分身達と共に行動してもらい、敵を糸で拘束しろ
隠密かつ迅速にな」
そう指示するとデスアライブスパイダー達は一斉に散っていった
その光景はまさに【蜘蛛の子を散らす】とはこの事だろうと、言える光景だった
「カゲイチ 悪いがお前にはもう一仕事だ
奴らを雇ったヤツとその協力者をこっそり拘束して晒し上げろ」
彼らが散って姿が見えなくなると俺は振り返って、カゲイチに指示を言うとカゲイチはすぐに影に溶け込むと去っていった
「俺たちも行動するぞ
……そういやお前の名前、決めてなかったな」
俺たちも行動しようとデスアライブスパイダーを見るとふと、コイツの名前を決めてなかった事に気付いた
そう言えばテイムしてから、名前を決めようとしていたが後回しにしていたな……
「よし、お前の名前は【スパ】さんだ」
あんまり時間がないからざっと思い浮かんだ名前の案から一つ、選んでデスアライブスパイダーに向かって言うと突然、ディスプレイが出てくるとデスアライブスパイダーのステータスが映し出され、名前の欄にスパと追加された
(こんな簡単な名前になってしまったが何か嬉しそうでいいか)
どことなく嬉しそうにしているスパさんを見ながら名前に付いては気に入った様子だから名付けについての考えを置いて、さっさと配置についた
暗い廊下に誰も居なくて、静寂が支配している時間帯……
だが、その静寂の暗闇を蠢く影が5人……
足音も立てずに廊下を素早く動くと、とある部屋前で止まった
そしてその中の一人がゆっくりと後ろの影に合図を送ると後ろに居た影が腰からナイフを取り出すと、ゆっくり扉に手をかけた
しかしその瞬間、後ろの3人が糸で包まれると上に上がっていった
その事に気付き、前の二人は振り返ったがその瞬間には糸が彼らを包み込むと3人と同じように上がっていった
人の大きさの繭が五個、天井に吊るされていた
そのすぐ側にはデスアライブスパイダーが十匹程、繭がきっちり作られてるか、隙間が無いかを確認すると一斉に右足を上げて任務完了を確認した
別の所で部屋の中ではユーリ兄さんとローリアス姉様が身を寄せ合い、ただキスをしたりしてる中……
その窓の外では既に10人くらいの敵を糸で拘束、繭状にすると人目がつかない所に五十匹程のデスアライブスパイダーが吊るしていた
またある所では部屋では性臭を漂わせながら交わる二つの人影が動く中、部屋前の廊下では15人程の敵が音も立てずに繭にされると天井に吊るされた
(やっぱりデスアライブスパイダーの糸は厄介この上ないな
何がやばいって、この拘束力だ
一度でも拘束されると動けなくなるだけならいんだが、デバフ効果もあるからソロだと苦戦するんだよな)
マップを確認しながら現状を把握すると俺は思い出すと苦笑いを浮かべた
あの頃はまだ初心者全開でレベル差など関係なく、高レベル帯のエリアに突っ込めば瞬殺されるなんて事は日常茶飯事だったな
そんな中でデスアライブスパイダーに出会って、すぐに糸で拘束されたのを昨日のように思い出す
あの動けない状態で頭を噛み砕かれるのはある種のトラウマを生むだろうな……
今では修正されて、そのトラウマは減ったがな
(それにしても指揮をしている奴はどうやら居ないみたいだな
まぁ、本命はわかってるがな)
今まで拘束した奴らは如何も下っ端と見ていいだろう
マップでもどんどん敵マーカーが減っていく様子が見て取れる
ちなみに何でバレないかと言うと作戦前に城を包む程の《静寂》の結界を張ったからだ
対象以外には音は聞こえないようにしてるから部屋の中に居ても、拘束時の音は聞こえない仕様になってる
だから部屋の中に居るユーリ兄さん達には気づかれてない
まぁ、巡回している騎士がいるがその騎士には悪いが少し寝てもらったけどな
城の彼方此方で敵が拘束されていくとマップには一つの敵マーカーだけになった
その敵マーカーはゆっくり動きながらシャルロッテの部屋に向かっている
そしてシャルロッテの部屋前の廊下を影が通ると俺はスパに合図を送り、スパが糸を出すと影は糸に気付くと素早く動き、避けると廊下から飛び出して、内庭に転がった
「チェックメイトだ」
その影の首筋に剣を押し付け、そう告げた
影は俺をチラッと見ると動きを見ているのか、ジッとしている
「お前らの目的も、お前らに依頼したヤツも把握している
お前の仲間は既にこっちで拘束済みだ
武器を捨ててくれ そしてシャルロッテの為に降伏してくれ」
動きに注意しながらそう告げると影はゆっくりと動き、振り返ってきた
その時、月明かりが内庭に差し込んできて、目の前に居る者の姿を現した
「シャルロッテの従者 ナターシャ殿」
月明かりで現したのはこの城でシャルロッテと会った際、シャルロッテが笑顔で抱きついたメイド……
シャルロッテの従者であるナターシャだった
「……シモン様 何故、私だと気付いたのですか?」
「シャルロッテがお前に抱き付くのを見た
その時にお前の右手首にチェーンが巻き付いてるのが見えた
そのチェーンは言わば《服従》が施されてる魔道具だ
それが他の奴らにもあったから分かった
いや、俺はこの城に来た際に色々とお前達の魔力とかを把握してたからな」
《服従》のチェーンとは所謂なら奴隷より軽いがそれを付けられたら、その付けた奴に服従してしまう恐ろしい魔道具だ
それがナターシャに付いているのを見るにナターシャはどのタイミングだか知らないが何者かに付けられたのだろう
「シャルロッテ様は?」 「今は眠ってもらってる」
ナターシャがシャルロッテのことを聞いてきたからそう答えるとナターシャは何処か安心したように微笑んだ
「シモン様 お願いです
私を……、殺して」
安心した笑顔を浮かべたまま、ナターシャがそう告げると腰にある短剣を抜くと俺に突っ込んできた
だから俺はソレを避けずにナターシャの短剣を腹で受け止めた
「え、何を!?」
ナターシャは俺の行動に驚いた声を上げるが俺はナターシャが俺に密着するこの瞬間を待っていた
俺はナターシャを左手で押さえ、離れないようにすると右手でナターシャの右手首に付いてるチェーンを掴んだ
「《ディスペルブレイク》!!」
スキルを唱えるとチェーンは一瞬でヒビが走ると砕け散った
《解除スキル ディスペルブレイク
呪い系の魔法、魔術またはソレ類のアイテムを解除と破壊を同時に行う事が出来る》
「シモン様!! 何故です!?
何故、避けなかったのですか!?」
ナターシャは俺の体を支えるように抱き止めてるが俺はナターシャを見ると微笑んだ
「お前がシャルロッテの従者だからだ
避ける必要はないし、それ以外に助ける理由はあるか?」
ナターシャはその言葉に言葉を無くしてるが俺は腹に刺さった短剣を抜くとインベントリから回復ポーションを取り出して、瓶を砕くと傷口に吸い込まれ、傷が癒えた
「貴方は無茶苦茶です
私はシャルロッテ様を誘拐し、王家に害をなそうとしたのですよ」
「それはお前の意思じゃねえだろ
だったらお前は無罪だ
それでも罪の感じるならシャルロッテの側で従者し続けろ
アイツが大人になっても側で支えてやれ」
顔を下げて言うナターシャに俺は「つまらねえ事を気にしてんじゃねえ」と言わんばかりにそう告げてからマップとチャットを確認した
マップには敵マーカーはゼロ、チャットでは特に問題は……
[城の上空に反応あり]
無いと思ったがクリアバタフライのチャットが入ってその考えは無くなった
ため息混じりに俺は空を見ると月明かりの明るい星空に蠢く影とその影を狙い、何度も光線が走るのが見えた
「ナターシャ 少し隠れてろ
スパ ナターシャを頼む」
ナターシャに振り返って、そう告げてからスパにナターシャを任せると彼女が何か告げる前に空へ向かって飛んだ
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