18禁ゲームの貴族に転生したけど、ステータスが別ゲーのなんだが? えっ? 俺、モブだよね?

ライカ

文字の大きさ
40 / 101
第三章

商業小国 アパー

しおりを挟む

小さな馬車の荷台に揺られる事、早二日……
未だに目的地には付かず、のんびりと外を眺めているのだが……
ようやく本来の目的である主人公捜索に手を出せたのは大きな進展だ
これから向かう国は小国だが、商業を中心としており、国のあらゆる商業がそこに集っては売上競争をしている
【商業小国 アパー】……
その近郊での依頼をするのが冒険者としての初の仕事だ
仕事内容は簡単なモノで【アパー近郊に生えてる薬草の納品】だ

アパーはその土地が特殊で生えてる草や木々に微量ながら魔力が流れている
今回はその薬草を数個の納品が依頼だ

外はまだ森だが先ほどから雰囲気が変わり始め、見たことの無い木々が生えてるのが目に入ってきている事からアパー領土に入ったと見ていいだろう

視線を中に戻すとミュレーヌは馬車酔いでぐったりとしている
先程、酔い薬を飲ませたから暫くは大丈夫だろう
ネロは俺から貰った剣を改めて見ている
やっぱり将の娘なだけあって、剣には興味が惹かれるのであろう
さっきから剣を見ながら頬が緩みっぱなしだ

そしてユキは俺の膝を枕にして、ゴロゴロと甘えてきている
やる事が無くて暇なのか、俺の膝に急に寝転がると「撫でて」と言ってきたから片手でユキの頭を撫でている
ユキもすっかりリラックスしているのか、喉をゴロゴロと鳴らしながら目を閉じ、うっとりしている

「ふふふ すっかり仲良しね」  「母上……  屋敷に戻らなくていいんですか?」  「大丈夫よ シモンちゃん優先にするって、言ってきたから♪」  「おぅふ……」

そして……、何故だか知らないけど母上が付いてきた
母上は俺の前に座っていて、俺とユキを見ながら聖母のような笑みを浮かべていた

母上の言い草だとヌリークが無茶振りされたと見る……

(帰ったらマッサージでもしてやろう……
母上がすまない……)

そんなヌリークを憐れみながら心の中で謝罪していると母上が外を見た

「シモンちゃん 見えてきたわよ」

母上の言葉に俺も外を見ると森を抜け、少し離れた所に防壁が見えた
アパーの防壁は特殊なモノで、その特徴は黒い壁に赤い血管みたいな魔力が流れている
その製造方法は【古代魔術】が関わってる為、一般には公開されてないらしい……

「あれがアパーですか」  「えぇ 小さいけど王都等の国にとってはとても重要な小国よ」

俺が呟くと母上はそう言ってきて、杖を取り出した
いよいよ馬車を下りるのかと思ったがまだ距離がある
即ち……

「母上 馬車後方 左に三」

手短にそう伝えると母上は何かを唱えると言った方角から物凄い音がした
荷台の外を見ると大きな氷山に狼が三匹、氷漬けにされているのが見えた

「狼でしたか」  「シモンちゃんもいいサーチよ 私が手を出さなかったら、シモンちゃんが片付けてたかもね」

母上に褒められ、少し照れてるとまた《サーチ》に反応があった
数は六 隊列を整えてこちらに向かってきている

(盗賊か……  下手に邪魔なんてされたくねえしな
遠距離で速攻で沈める)

盗賊だと分かり、俺が魔法を構えようとした瞬間、俺の隣で召喚陣が現れ、見るとアモンが現れた

「失礼します 我らが主人様よ」  「アモン? どうした?」  「少し報告が……、と虫ケラが邪魔ですね」

アモンがそう言って、指を鳴らした瞬間、《サーチ》に反応があった盗賊の反応が消えた

「辺り一帯、吹き飛ばしてないよな?」  「安心してください 対象の上半身のみ、灰にしました」

俺が聞くとアモンは簡潔にそう言うとチラッと母上を見た
母上はアモンを見ても警戒せず、まるで「シモンちゃんの友達ね」と言わんばかりにニコニコとしている

やりづらそうだな……

「主人様 先程の続きで報告が……
ベルゼブブとベルフェゴールの二人から入りました」

「何?」

ベルゼブブとベルフェゴールからの報告と聞いて、俺は思わず聞き返した
恐らくだがミュレーヌ達の調査の件だと思うが頼んだのはベルゼブブだけのはず……

「ベルゼブブがベルフェゴールに協力を要請した模様で、二人別の箇所を調査しているみたいです」

きっと俺の表情を見て、察したのだろうか、アモンが簡潔に報告してくれた
確かに二箇所を調べるのにベルゼブブの部隊だけじゃ足りないか……

(いや、足りるよな?
アイツの全軍合わせて、一万は居るんだぞ?)

ベルゼブブの配下を思い出したが数えると一万は超えていた
何故、NPCのベルゼブブに配下があるかと言うとテイムした際にベルゼブブの補助機能という事で解放された軍勢でレベルはベルゼブブより低いが、それでも高レベル帯が一万はいる
アルタナシア・ドリームではあまり活躍させてやる機会がなかったが……

「まぁ、いいか アモン 報告を」

「は、まずはベルゼブブよりの報告で[王都教会内の不正事実及び、本当の聖女を追放し、新たになった聖女には力が無いのと真っ黒だったよ]との事
この事から察するに主人様の奴隷であるミュレーヌはその偽物の聖女にあらぬ罪を背負わされ、追放
その後に奴隷となったと考えられます」

ベルゼブブの報告の後、アモンの見解を聞くと俺は「確かに……」と納得した
あのミュレーヌの拒絶ぶりは恐らくだが、あらぬ罪を背負わされた際に教会に何らかの刑罰、罵詈雑言、最悪的には性便器にさせられ、最後には奴隷として売られたと考えられる……

それでトラウマを持ち、あんなに拒絶反応を示したとしか考えられない……

「そしてベルフェゴールからの報告では[ガンボルト将軍の汚職罪は虚偽のモノ……  犯人特定済み 指示を待つ]との事です
この事からガルボルト将軍に罪を着せ、それで一族を消し、その後釜を狙う輩の線を私は推します」

ベルフェゴールからの報告とアモンの見解に俺は顎に手をやると考えた
確かにアモンの見解はわかるが、それをその国の王が見抜けぬ筈がない……
何故ならネロの性格を見て、ガンボルト将軍の中身が見えた
彼は恐らく職務に忠義を尽くし、汚職などする筈がない
一族を消すと言っていたが現にネロは奴隷になっている
逃げてる途中で捕まったか、戦って捕まり、売られたかの二択だ……

「……アモン ベルゼブブに伝えろ
王都で一人 頼れるヤツが居る
ソイツにこの件の事を伝えろ 恐らくだが奴はすぐに動き出す 第一王子のアルフレットを頼れ
ベルフェゴールには証拠が集まり次第、いつも通りにやれと伝えろ」

「承知しました」

アモンは俺の言葉を聞き、すぐに行動すべく戻っていった

「うーん、シモンちゃんが立派でお母さん……  涙出てきちゃった……」  

母上を見ると感涙の涙を流している
そんな事で泣かないでください!?
せめて俺が結婚するか、功績残したらの時におもいっきり泣いてください!?

母上の反応にツッコミを入れつつ、ふと視線を感じ、見るとミュレーヌとネロが俺を見てきていた
まぁ、先ほどの内容を聞けば当然か

「安心しろ お前らが思ってるような事にはならねえよ
最後まで面倒みる」

彼女達の表情を見ると一目当然、(捨てられる)と思った絶望顔をしていたから、そう伝えると打って変わって満面の笑みを浮かべた

こんな性格になっちまった原因があるとするならその元凶にはキツイ仕置きをしてやらねえとな……

(あとでベルゼブブ達にチャットしとくか
[出来る限り.痛ぶり、苦しませ、簡単に死ねないという絶望を刻み込め]てな)

正直、こう思ってるが躊躇いがないのは元からだ
元より悪魔王である彼らをテイムした際にそういうロールプレイをしていたからな
悪魔の誓約者ならこれくらい残酷で充分だろう……

(でも……  これでもアイツには届かなかったんだよな……
悪魔王全員を召喚したが全部、跳ね除けられ、タイマンに持ってかれた……)

今でも目を閉じるとその光景が目に浮ぶ……
動き出した瞬間、ベルゼブブとベルフェゴールの首が飛び、一瞬にしてルシファー以外が全滅……
ルシファーも反応できたが結局の所、心臓を貫かれてた

その時の絶望感は計り知れない……  あん時ほど頭に来たこともなかった……

「あっ、アパーに入るわ」

昔を思い出していると母上の声に窓の外を見る
空は快晴……  あの時と同じように雲が無い……

そんな空を俺は少し恨んでしまった……

しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...