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第一章

主人公ズ メインストーリーに関わるイベントに介入す

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エルミナが10歳になってから、二年が過ぎた…………
ゾールスも10歳を超え、ボードを作り、今は、2人でギルドに行き、鍛錬をしているとの事…………

そして俺達も、村を広げたり、他村と交流をしたりと充実した日々を過ごしていた
そんなある日、2人が村を訪れてきた
しかも深夜に、神妙な面持ちで……………


「で、話を聞かせてもらったが…………
あり得るのか?」

「えぇ、この前のローザスバッファの凶暴化に出会って、もしかして、と思って、忍スキルの影分身を至る所に放って、情報を掻き集めたり、ギルドの情報を集めた結果…………、二つのゲームの始まりとも言えるイベントが、起きそうなのよ」

エルミナが、テーブルの上に広げられた二つのゲームのシナリオが書かれている表を見ながら、スー、と指を動かし、ある一点を指差した

「このイベントは、本編前、簡潔に言えば、この二つのゲームのストーリーが始まるキッカケとなるの
それは、本来なら、私…………、エルミナ達が14歳になった後に起こるはずのイベントよ」

そう言いながら、俺も表を見た
そこには、【プロロー村盗賊団襲撃】と【プロロー村魔物総襲来】と書かれていた

このシナリオの表は、ゲーマーのツッキーと、二つのゲームをやったエルミナ、ゾールスが書き上げた完璧なモノ…………、らしいが、俺は、全然、やってないから正直、分からない…………

だが、この二つのイベントの名前には、見覚えがあった
【貴光】と【プリセレ】のプロローグで大々的に書かれ、そこで、ヒロインと主人公が力に目覚めた、と、二つの物語の始まりの地点だ

「なるほど…………、二年後のイベントがすぐにでも起こるかもしれねぇって事か…………
しかも同時に、か…………」

ツッキーの言葉にエルミナが頷けば、ゾールスが、すぐに口を開いた

「あぁ、その村には、ヒロインが居る
そして【プリンセス・セレナーデ】の主人公が居るはずだ
その二つが同時に起きちまったら、流石のヒロインと主人公でもあっという間にポックリ、逝っちまうかも知れねえからな」

ゾールスが、そう言えば、俺は、ふと、気になった事があった

「待て、その場合、主人公の職業は、どうなる?
勇者は、ゾールス、お前になってるだろう?」

「そうなってんだが……………」

聞けば、ゾールスは、苦虫を噛み潰したような表情をしながらボードをテーブルに置いた
ゾールスがボードを作った際、職業の所が、エルミナと同じで、勇者と決まってしまい、ゾールスは、思わず飲んでた紅茶を天井に向かい、噴き出してしまったと聞いている

「正直、分かんねえ…………
この世界のルールでは、勇者は、一人と言う決まりがあるのか、それとも勇者と言う職業が複数あるのかも、全く、な…………」

「一応、お父様に尋ねたり、書物を読み漁ったけど、勇者が過去に存在したって、文献は何一つ無かったわ」

ゾールスが、首を振りながらお手上げと言わんばかりに、手を挙げれば、エルミナが補正も兼ねてそう言ってきた

「勇者…………
万が一、勇者と言うのが、ゾールスのみだった場合、【プリセレ】の主人公は、別の職業になって、学園に行く事になる…………
だが、その場合、主人公は、シナリオと同じように進んでいくとしたら、些か問題がある………」

「ましてや、勇者だから、って場面が毎回、ブッ込まれたイベントだってあるんだぜ?
そう考えると、主人公も勇者って、考えて良いかもな…………」

ツッキーの言葉に、四人して、首を捻り、悩んでいるが、俺は、息を吐きながら、座ってて、固まった首をゴキゴキ、と鳴らしながら立ち上がった

「ともかく…………、その二つのイベントが、起きると、するなら、対応出来るのは、俺達…………
いや、この村の兵力しかないって事だな?」

「……………そうね
私もそう思ってたのだけれど………、いいの?
根拠のない事なのに、彼らが動いてくれるかしら?」

「それを言うならこの国のギルドや騎士は力にならねぇな…………
根拠のない情報で動くとは、考えにくい」

ツッキーの言葉に、ゾールスは、頷く
確かに起こるかも分からない事に騎士達が動くとは、考えにくい…………
それはギルドもそうだ…………

「私達はその前日にお父様に連れられて、城に行く事になってるの
時間帯が深夜の一時と考えると、抜け出すのに時間がかかるわ」

「なら、それまでの間、俺達が、対応しよう
とにかく盗賊が先か、魔物が先か…………
少なくとも、四部隊は、最低でも必要か…………」

プロロー村は、広さ的に、俺とツッキーのみで対応するのは、流石にキツい事を考えると、ここの警備隊を四部隊程、連れて行く事にして…………

「お前達も覚悟は、出来てるよな?
下手すると、ストーリー前にヒロイン達に会う事になるぞ?」

ツッキーがそう言えば、エルミナとゾールスは、ニヤリと笑った

「そんなんだったら、貴方達にこの話をすると思う?」

「コッチは、この世界に転生してから、覚悟決まってんだよ」

それを聞けば、満足そうにツッキーは、頷き、俺を見てきた

「よし…………、ならプロロー村の祭りは、今から五日後…………
イベントに介入するぞ」

俺の言葉に三人は、頷き、それぞれの行動に入った
こうしてプロローグ前のストーリーイベントへの介入が決定された
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