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僕の通う大学には、超絶イケメンでモデル並みにスタイルもよくて勉強も運動もできて老若男女問わず人気のあるアルファの同期がいる。
名前は東雲陽(しののめはる)くん。
とある大企業の社長の息子で、お父さんの跡を継ぐため日々勉強を頑張っているらしい。
東雲くんのお父さんは、親から引き継いだ、何代もそこそこの業績に留まっていた会社をたった数年で倍以上大きく発展させることに成功した敏腕社長だ。雑誌やテレビで何度か顔を見たことあるが、息子の東雲くんと似ていてすごくイケメンだ。きっと父子ともども、何でもできるハイスペック人間なのだろう。さすが、アルファの家系だ。
そんなすごい人をお父さんに持つ東雲くんだが、本人はそれをひけらかすことはしない。むしろ彼が家族のことやプライベートのことを話しているのを聞いたことがない。彼があの東雲家の長男であることが大学中に知れ渡ったのも、彼と同じ高校だった人が勝手に言いふらしたからだ。
それが原因で元々入学当初から顔がいい人がいると有名で人気だった東雲くんは更に人気者になり、常に周りに人がいる状況が生まれた。
クールで表情の変化が乏しめな東雲くんがそれをどう思っているかは読めない。ただ学内に特別仲が良い人もいないようで、他の人とは一線を引いている様子がうかがえた。
そんな態度を見て、家が金持ちでいい気になっていると陰口を言っている人もいる。ときには本人にも聞こえるような声量で。けれど東雲くんは自分の態度を変えたりはせず、いつも通り涼し気な顔で座っていた。
気にしていないフリなのか、本当になんにも気にしていないのかはわからないけれど、僕はそんな誰の意見にも流されない東雲くんに密かに憧れを抱いていた。
僕は彼と違って、気弱で自分の意見もまともに伝えられない。人の言いなりになってばかりだ。おまけに顔も普通で背も高くないし筋肉がつきにくい体質だから痩せ気味でひょろひょろ。勉強だって必死にして今の大学にぎりぎり入れたし、運動も苦手で友達もいない。何もかもが東雲くんとは正反対の、不器用で取り柄なんて全くない地味な男だ。
だから僕は、何でもできて自分という存在を確立させているかっこいい東雲くんに憧れているのである。
今日も今日とて、東雲くんの周りには人が集まっていた。
いろんな人に話しかけられているにも関わらず、操作しているスマホから視線を外さないマイペースさはいつも通りだ。
ただ座ってスマホを操作しているだけなのに、美しい絵画を眺めている感覚になる。美人は三日で飽きると言うけれど、東雲くんに関してはいつ見てもため息が出るくらいきれいで飽きる気がしない。
東雲くんとは同じ学部で取っている講義も似通っているからこうやって講義室で一緒になることは多くあるけど、彼とは一度も会話したことがない。憧れの人と烏滸がましくも話してみたいと思ったことはあったけど、話しかける勇気もないのでこうやって遠巻きに眺めているだけだ。
まぁそれだけでも十分いい思いをさせてもらってるんだけども。
今いる講義室での講義も終わり、僕はリュックに荷物を詰め込んでいた。
今日の予定は全て終えたので、あとはスーパーで買い出しをして帰るだけ。いつもより時間に余裕はあるがゆっくりはしていられない。
リュックを持って、さっさと講義室を後にしようと席から立ち上がったとき、床にパスケースが落ちていることに気が付いた。しかも、相変わらず東雲くんを取り囲んでいる人たちからほど近い場所に。
あそこにいる人たちのうちの誰かのものだろうか。聞いたほうがいいよね、大事な物だろうし。……でも、全く話したことのない人たちだからなぁ。
無視して講義室を出る、という選択肢もあったが、見つけてしまっては放っておけない。とりあえずパスケースを拾ってゆっくり少しずつ集団に近付く。
でもあがり症ゆえになかなか声をかけられなくて、どうしようかとおろおろしていたら、今までずっとスマホに視線を落としていた東雲くんがふと顔を上げ、僕を見た。
長い睫毛に縁取られた切れ長で目力のある瞳と視線が交わり、僕の心臓がどっと高鳴る。
「……どうかした?」
低く耳馴染みの良い声が自分に投げかけられたと気付かなくて彼の瞳を眺めていたんだけど、周りの人の視線が一気に僕の方に集まったことではっと我に返った。
「あっ、えっと、その……」
「……あっ!それ私のパスケース!」
東雲くんの近くにいた女子がそう声を上げたので、慌てて床に落ちていたことを言えば、女子は「ありがとう」と笑って僕からパスケースを受け取ってくれた。女子に手渡す際、たぶん東雲くんのであろう視線が痛いくらい刺さって、緊張で心臓が変にどくどくと鳴る。
これ以上は東雲くんだけでなく周りの視線にも耐えられなかったので、挨拶もせずそそくさと講義室を出てから大きく息を吐き出した。
き、緊張した……。
自分から声をかけたわけじゃないけど、あんな大勢の前で喋るとか、一生分の勇気を使ったかもしれない。
それに……初めて、東雲くんと目があった。しかも会話(?)までしてしまった。
東雲くんの顔や声を思い返しながら、にやけそうになる口元を懸命におさえる。
しばらくはこの感動で生きていけるかも。
なんて浮かれたことを思っていたとき、スマホに設定しておいたアラームが鳴った。周りの視線を感じながらも慌ててアラームを止める。
画面には「買い出し」の文字が表示されていた。次やることとか、時間の感覚を忘れないよう一応設定しているアラームだ。
そうだ、早く帰らなきゃ。
先程まではふわふわ浮かぶような心地だったのに、一気に現実に引き戻されてしまった。
でも仕方ない。実際、「こっち」が現実なんだから。
僕は小さくため息をついて、足早に大学をあとにした。
スーパーで夕食の買い出しをしてから急いで自身が暮らすタワーマンションの一室に帰る。
広い室内や風呂場を隅々まで掃除し、浴槽のお湯張り予約をしてから夕食の用意に取りかかった。
焼き魚の骨は全部取り除き、炒め物にはあの人の嫌いな食材は入れず、味付けは濃いめに。まだまだ手際は悪いけど、この家に来た頃よりは料理も上手くできるようになってきたと思う。
何品かを作り終え、あとはサラダを盛り付けるだけ、という段階になった時、玄関のドアの開く音がした。
やばい、帰ってきた。
僕は慌てて玄関に向かい、こちらに背を向けて靴を脱いでいるスーツ姿の男に頭を下げる。
「お帰りなさいませ、拓真さん」
この人は美作拓真さん。
東雲くんと同じくとある企業の跡取り息子であり、この部屋の家主でもある。
拓真さんは僕には目もくれず、疲れたように深くため息をついたあと僕の方に持っていた鞄を投げて寄こした。僕はそれを落とさないよう受け取り、廊下に脱ぎ捨てていかれたジャケットを拾い上げる。
今日はそのままリビングの方にむかったので、先に夕食を摂るらしい。拓真さんは大変気まぐれなので、その日によって行動が違うから予想が難しいのだ。
僕は急いで寝室のクローゼットにジャケットと鞄をしまいリビングの方に向かう。
既に拓真さんはダイニングの椅子に腰掛けていたので用意しておいた夕食の載った皿を出せば、「遅い」と悪態をつかれてしまった。
「ごめんなさい……」
「ったく、グズが」
もう一度謝ってから、キッチンの方に行って洗い物をする。それが終われば、なにか指示を出されてもすぐ行動できるよう拓真さんの近くで待機だ。立っての待機は疲れるけど、ようやく一息つける時間でもあるのでありがたい。
僕は、拓真さんに仕えてる家政夫……とかではなく、一応これでも婚約者だ。
お見合いなどは一切せず、両家の取り決めで婚約が決まり、拒否権などないので大学の入学と同時に拓真さんとの共同生活が始まった。
親からは、くれぐれも粗相のないよう、拓真さんをよくお世話するようにと言われている。拓真さんも、僕を婚約者というより使用人として扱っているので、ずっとこんな感じだ。
ただ、実家に帰りたいとは思わない。
家族には居ないものだったり、ストレスの捌け口だったりに使われる。どこに居たって僕の境遇は大して変わらないのだ。
どれもこれも、僕がオメガに生まれたから。
元々不出来で人に迷惑ばかりかけていて家族からの当たりは強かったが、オメガとわかってからは更に強くなった。
昔に比べてオメガへの差別は少なくなっている。先人の取り組みのおかげで、オメガの芸能人や政治家、企業でも役職を持つ人が増えたことが大きな要因だろう。
しかし、みんな心の底ではオメガを下に見ている。特にアルファは昔からその思想が強く、未だにオメガを嫌う傾向にある。その考え自体を改めてオメガの社会進出を支援している企業も多くあるが、美作や実家のオメガ嫌いは健在だ。
ではなぜ、そんな美作の長男である拓真さんと婚約を結ぶことになったのか。ざっくり言ってしまえば美作の業績不振だ。
うちの実家もそこそこの会社を経営しているので、跡取りでもない子どもを産める僕を引き入れることで美作は後ろ盾を作り、会社を立て直そうとしているのである。元々懇意にしていた会社でもあるから両親としても拒否をする理由はなく、厄介払いの意味も込めて婚約させたというわけだ。
拓真さんも可哀想な人だとは思う。親と会社の都合でオメガの僕なんかと婚約させられてしまったのだから、冷たくしたくなる気持ちも分からないでもない。
分からないでもない……のだけど。
「おい!」
「っ!は、はい!」
ぼーっと考え事をしており、拓真さんに呼ばれているのに気が付かなかった。いつの間にかごはんも食べ終えていたらしい。
まずい。帰ってきた時から感じていたけど、今日の拓真さんは機嫌が悪い。このままじゃ……。
拓真さんは僕の方まで歩み寄ってくると、強い力で僕の髪の毛を掴んだ。
「オメガのくせに俺を無視するのか!?」
「っ、ご、ごめんなさい!ぼーっとしてて……決して無視したわけじゃ……!」
「口答えするな!」
髪を強引に引っ張られ、寝室まで連れていかれる。そのままベッドに突き飛ばされ、拓真さんにのしかかられた。
「お前も俺のことを見下しているんだろ!出来損ないのオメガのくせに!」
バチンっと室内に音が響くほどの力で左頬を叩かれる。じんじんとした痛みが後からやってきて、無意識に涙がポロッとこぼれた。
下着と一緒にズボンを剥ぎ取られるが、体が金縛りにあったかのように動かなくなり、声も出ない。こうやって拓真さんにのしかかられると、いつも何もできなくなってしまう。
僕の脚の間に体を滑り込ませた拓真さんは自身の前を寛げ、ろくに慣らしてもいない僕の窄まりに宛てがい、割り開くように押し込んだ。
「っ!ぃッ……ぐっ……!」
揺すられるたび、気絶してしまいそうになるくらいの痛みが下半身を襲う。自分のそこは濡れるとは言え、こうも無理やり突っ込まれては痛みが先行してしまう。潤滑油無しでは苦しいだけだ。
もれそうになるうめき声を歯を食いしばって必死に堪える。なんとか気を紛らわせようと、手の甲に爪をたてた。
早く……早く終われ。
心が嫌だと泣き叫んでいるのに、体は相変わらず自分の意思で動いてくれない。僕は痛くて怖いだけのこの行為を、終わりがくるまで、歯を食いしばって耐えるしかないのだ。
何回か僕の中で果てた拓真さんが、僕に悪態をつきまだ何やらぶつぶつ言いながら寝室から出ていった。おそらくお風呂に入りに行ったのだろう。
僕は主に下半身から発せられるじくじくした痛みに耐えながらベッドから降り、拓真さんの下着や寝巻き、バスタオルを用意する。
今日は一段と機嫌が悪かったのか、行為中でも何度か顔を叩かれた。表情が気に食わないとか言って。後ろもいつもより容赦なく出し入れしてたから痛みがおさまらない。これは明日にも影響が出てしまうかも。椅子にちゃんと座れるか不安だ。
「うぅッ……」
脱衣所に拓真さんの着替えを置きに行こうと廊下を歩いていたら、後ろに出された精液がどろりとこぼれ僕の太ももを伝った。
いつも拓真さんが寝た後しかお風呂に入れないので、ベッドのシーツを交換してからトイレで掻き出そう。このままは流石に気持ち悪い。
……あと、避妊薬も飲まなきゃ。
男のオメガは発情期以外の妊娠率は低いが、ゼロというわけではない。まだ大学生で婚約段階の今、不用意に妊娠しては外聞も悪いし後々面倒だ。僕や拓真さんの親からも妊娠だけはまだしないようにときつく言われている。
やることを一通り終わらせ、避妊薬を水で流し込む。
同じ薬箱に入った抑制剤にも視線を移すが、僕はそれには手をつけず薬を仕舞った。
「出来損ないのオメガ、か……」
家族や周りの人に散々言われてきた言葉で、それに関しては自認もしている。
生殖に長けた性であるオメガに必ずあるもの、つまり発情期が、僕にはないのだ。出来損ないと言われるのもうなずける。
なぜ僕は、オメガなんかに生まれてきたんだろう。
こんな僕がオメガとして生まれた意味ってなんだろう。
アルファがいいとは言わない。せめてベータであれば、僕はこんな扱いを受けなかったのだろうか。
第二次性が発覚してから何年も繰り返している自問を心のなかで呟いたとき、ふと、東雲くんの顔が思い浮かんだ。
今日初めて真正面から見た彼の瞳は、とてもきれいだった。力と意思のある人の目をしていた。
低く落ち着きのある声も、とても耳に馴染んで心地よかった。あの声で耳元で囁かれたら、腰が抜けてしまうかも。
……って、何を考えてるんだ、僕は。
きっともうこの先、彼と目を合わせたり会話したりすることなんかないって言うのに。
「……はぁ……」
自分で言い聞かせておいて自分でちょっとショックを受けてしまった。
そのとき丁度、脱衣所のドアが開く音がした。拓真さんがお風呂から上がったのだ。
もしまた何か言われても早く対応できるように、もう余計なことは考えないでおこう。
これ以上、殴られたくもないしね。
翌日。
僕は授業が行われている講義室で、昨日東雲くんと目を合わせたとき以上の緊張を味わっていた。
なぜなら、いつも講義室の後ろのほうに座っている東雲くんが、何故か前方の端っこの方で静かにしている僕の隣りに座っているからだ。
謎状況すぎる。
確かに今日は珍しく授業が始まる直前に東雲くんが講義室に現れて、空いている席が本当に一番前か僕の隣りだけだったけれども。東雲くんの友達が後ろの方で、こっち座っていいよって声かけてたのに、なんで断って僕の隣りに座った?
友達の席を後から来た自分が取るのは申し訳ないと思ったのかな。
いや、まぁ、いずれにせよ深い意味はきっと無い。一番前の席はなんか嫌だもんね、目立って。うん、今日だけ、今日だけだ。ひとまず今は教授の話に集中しよう。
そう意識を逸らすため教授の方を向き直したとき。
「では、今隣りに座っている人とペアワークをしてもらいます。プレゼン日までに各自資料をまとめてくるように」
なんて衝撃的なことを言われた。
ぎりぎり声を上げずにすんだが今僕は石像のように固まってしまってる。
だって、今の僕の隣りって、あの東雲くんなんだぞ?
え、うそだよね?
僕、東雲くんとペアワークするの?
教授が残りの時間も資料集めの時間に使って良いと言ったので、静かだった講義室内が生徒たちの声で賑やかになる。
おそるおそる、ちらりと東雲くんの方を見れば丁度彼も僕の方を見て、また目が合った。昨日よりも近い距離で。
「ペアワーク、よろしく」
「はっ……はひ……」
返事になっているようななっていないような、情けない声が出る。
これは現実なのだろうか。昨日から信じられないことばかり起こってる。
頭が混乱しながらも、きっと彼は僕のこと知らないよね、自己紹介とかしなきゃだよね、と冷静に考えてる自分がいて、どきどき心臓が高鳴って妙に震える唇を必死に開けて声を発そうとした。
「えーっ!私、陽と組みたかったぁ!」
しかし後ろからそんな声が聞こえて、僕は咄嗟に口を閉じる。
今の、東雲くんの友達だよね。振り向いたら目が合ってしまいそうだから振り向けないけど、きっとそう。
どうしよう、席を交換したほうがいいのかな。よくよく考えたら、東雲くんも僕じゃなく見知った人とペアを組んだほうがやりやすいよね。
僕以外にも、彼とペアワークをやりたいと思ってる人は沢山いる。東雲くんとペアを組めるって浮かれて、他の人の気持ちを考えられてなかった。
自分勝手な考えを反省しつつ、席の交換を教授に交渉してみようと東雲くんに提案するため彼の方を向く。まだ緊張して目は合わせられないから、ちょっとうつむき加減に。
「あ、あの、東雲くん、ペアなんだけど……」
「変えなくていい」
「……えっ?」
予想打にしなかった言葉に思わず顔を上げる。
東雲くんは変わらず、真っ直ぐに僕を見ていた。
「俺ずっと、西條と話してみたいって思ってたんだ」
「えっ……あ、な、名前……」
「西條、だろ?西條依月(さいじょういつき)」
「……!」
驚いて目を見開く。
知ってたんだ、僕の名前。
東雲くん、僕のことを知ってくれてたんだ。
やっと落ち着いてきていた心臓が、また早鐘を打ち始める。
「あれ、違った?」
「う、ううん!合ってる!その、久しぶりに人から名前を呼ばれたから、びっくりしちゃって」
「…………」
いつも拓真さんには「おい」か「お前」だし、家族にもほとんど名前を呼ばれたことがない。だから自分の名前ってあんまり馴染みがなかったんだけど……彼の声に乗せられただけで、自分の名前がなんだか、特別なモノのように感じた。
ほんのちょっとのことで、こんなにも人を喜ばせることができるなんて。東雲くんってやっぱりすごい人だ。
「で、ペアワークのことだけど。俺と一緒にやってくれる?」
「!……うん、もちろん!僕で良ければ!」
彼の申し出に、僕はすぐに頷いた。
すると東雲くんは一瞬目を丸くして、けれどすぐにその口元に笑みを浮かべた。
初めてだった。彼が笑みを浮かべているのを見るのは。
東雲くんって、こうやって笑うんだ。
些細なことではあるけれど、いつもは遠くから眺めるだけだった彼のことをひとつ知れたことに、僕の胸は喜びに震えた。
名前は東雲陽(しののめはる)くん。
とある大企業の社長の息子で、お父さんの跡を継ぐため日々勉強を頑張っているらしい。
東雲くんのお父さんは、親から引き継いだ、何代もそこそこの業績に留まっていた会社をたった数年で倍以上大きく発展させることに成功した敏腕社長だ。雑誌やテレビで何度か顔を見たことあるが、息子の東雲くんと似ていてすごくイケメンだ。きっと父子ともども、何でもできるハイスペック人間なのだろう。さすが、アルファの家系だ。
そんなすごい人をお父さんに持つ東雲くんだが、本人はそれをひけらかすことはしない。むしろ彼が家族のことやプライベートのことを話しているのを聞いたことがない。彼があの東雲家の長男であることが大学中に知れ渡ったのも、彼と同じ高校だった人が勝手に言いふらしたからだ。
それが原因で元々入学当初から顔がいい人がいると有名で人気だった東雲くんは更に人気者になり、常に周りに人がいる状況が生まれた。
クールで表情の変化が乏しめな東雲くんがそれをどう思っているかは読めない。ただ学内に特別仲が良い人もいないようで、他の人とは一線を引いている様子がうかがえた。
そんな態度を見て、家が金持ちでいい気になっていると陰口を言っている人もいる。ときには本人にも聞こえるような声量で。けれど東雲くんは自分の態度を変えたりはせず、いつも通り涼し気な顔で座っていた。
気にしていないフリなのか、本当になんにも気にしていないのかはわからないけれど、僕はそんな誰の意見にも流されない東雲くんに密かに憧れを抱いていた。
僕は彼と違って、気弱で自分の意見もまともに伝えられない。人の言いなりになってばかりだ。おまけに顔も普通で背も高くないし筋肉がつきにくい体質だから痩せ気味でひょろひょろ。勉強だって必死にして今の大学にぎりぎり入れたし、運動も苦手で友達もいない。何もかもが東雲くんとは正反対の、不器用で取り柄なんて全くない地味な男だ。
だから僕は、何でもできて自分という存在を確立させているかっこいい東雲くんに憧れているのである。
今日も今日とて、東雲くんの周りには人が集まっていた。
いろんな人に話しかけられているにも関わらず、操作しているスマホから視線を外さないマイペースさはいつも通りだ。
ただ座ってスマホを操作しているだけなのに、美しい絵画を眺めている感覚になる。美人は三日で飽きると言うけれど、東雲くんに関してはいつ見てもため息が出るくらいきれいで飽きる気がしない。
東雲くんとは同じ学部で取っている講義も似通っているからこうやって講義室で一緒になることは多くあるけど、彼とは一度も会話したことがない。憧れの人と烏滸がましくも話してみたいと思ったことはあったけど、話しかける勇気もないのでこうやって遠巻きに眺めているだけだ。
まぁそれだけでも十分いい思いをさせてもらってるんだけども。
今いる講義室での講義も終わり、僕はリュックに荷物を詰め込んでいた。
今日の予定は全て終えたので、あとはスーパーで買い出しをして帰るだけ。いつもより時間に余裕はあるがゆっくりはしていられない。
リュックを持って、さっさと講義室を後にしようと席から立ち上がったとき、床にパスケースが落ちていることに気が付いた。しかも、相変わらず東雲くんを取り囲んでいる人たちからほど近い場所に。
あそこにいる人たちのうちの誰かのものだろうか。聞いたほうがいいよね、大事な物だろうし。……でも、全く話したことのない人たちだからなぁ。
無視して講義室を出る、という選択肢もあったが、見つけてしまっては放っておけない。とりあえずパスケースを拾ってゆっくり少しずつ集団に近付く。
でもあがり症ゆえになかなか声をかけられなくて、どうしようかとおろおろしていたら、今までずっとスマホに視線を落としていた東雲くんがふと顔を上げ、僕を見た。
長い睫毛に縁取られた切れ長で目力のある瞳と視線が交わり、僕の心臓がどっと高鳴る。
「……どうかした?」
低く耳馴染みの良い声が自分に投げかけられたと気付かなくて彼の瞳を眺めていたんだけど、周りの人の視線が一気に僕の方に集まったことではっと我に返った。
「あっ、えっと、その……」
「……あっ!それ私のパスケース!」
東雲くんの近くにいた女子がそう声を上げたので、慌てて床に落ちていたことを言えば、女子は「ありがとう」と笑って僕からパスケースを受け取ってくれた。女子に手渡す際、たぶん東雲くんのであろう視線が痛いくらい刺さって、緊張で心臓が変にどくどくと鳴る。
これ以上は東雲くんだけでなく周りの視線にも耐えられなかったので、挨拶もせずそそくさと講義室を出てから大きく息を吐き出した。
き、緊張した……。
自分から声をかけたわけじゃないけど、あんな大勢の前で喋るとか、一生分の勇気を使ったかもしれない。
それに……初めて、東雲くんと目があった。しかも会話(?)までしてしまった。
東雲くんの顔や声を思い返しながら、にやけそうになる口元を懸命におさえる。
しばらくはこの感動で生きていけるかも。
なんて浮かれたことを思っていたとき、スマホに設定しておいたアラームが鳴った。周りの視線を感じながらも慌ててアラームを止める。
画面には「買い出し」の文字が表示されていた。次やることとか、時間の感覚を忘れないよう一応設定しているアラームだ。
そうだ、早く帰らなきゃ。
先程まではふわふわ浮かぶような心地だったのに、一気に現実に引き戻されてしまった。
でも仕方ない。実際、「こっち」が現実なんだから。
僕は小さくため息をついて、足早に大学をあとにした。
スーパーで夕食の買い出しをしてから急いで自身が暮らすタワーマンションの一室に帰る。
広い室内や風呂場を隅々まで掃除し、浴槽のお湯張り予約をしてから夕食の用意に取りかかった。
焼き魚の骨は全部取り除き、炒め物にはあの人の嫌いな食材は入れず、味付けは濃いめに。まだまだ手際は悪いけど、この家に来た頃よりは料理も上手くできるようになってきたと思う。
何品かを作り終え、あとはサラダを盛り付けるだけ、という段階になった時、玄関のドアの開く音がした。
やばい、帰ってきた。
僕は慌てて玄関に向かい、こちらに背を向けて靴を脱いでいるスーツ姿の男に頭を下げる。
「お帰りなさいませ、拓真さん」
この人は美作拓真さん。
東雲くんと同じくとある企業の跡取り息子であり、この部屋の家主でもある。
拓真さんは僕には目もくれず、疲れたように深くため息をついたあと僕の方に持っていた鞄を投げて寄こした。僕はそれを落とさないよう受け取り、廊下に脱ぎ捨てていかれたジャケットを拾い上げる。
今日はそのままリビングの方にむかったので、先に夕食を摂るらしい。拓真さんは大変気まぐれなので、その日によって行動が違うから予想が難しいのだ。
僕は急いで寝室のクローゼットにジャケットと鞄をしまいリビングの方に向かう。
既に拓真さんはダイニングの椅子に腰掛けていたので用意しておいた夕食の載った皿を出せば、「遅い」と悪態をつかれてしまった。
「ごめんなさい……」
「ったく、グズが」
もう一度謝ってから、キッチンの方に行って洗い物をする。それが終われば、なにか指示を出されてもすぐ行動できるよう拓真さんの近くで待機だ。立っての待機は疲れるけど、ようやく一息つける時間でもあるのでありがたい。
僕は、拓真さんに仕えてる家政夫……とかではなく、一応これでも婚約者だ。
お見合いなどは一切せず、両家の取り決めで婚約が決まり、拒否権などないので大学の入学と同時に拓真さんとの共同生活が始まった。
親からは、くれぐれも粗相のないよう、拓真さんをよくお世話するようにと言われている。拓真さんも、僕を婚約者というより使用人として扱っているので、ずっとこんな感じだ。
ただ、実家に帰りたいとは思わない。
家族には居ないものだったり、ストレスの捌け口だったりに使われる。どこに居たって僕の境遇は大して変わらないのだ。
どれもこれも、僕がオメガに生まれたから。
元々不出来で人に迷惑ばかりかけていて家族からの当たりは強かったが、オメガとわかってからは更に強くなった。
昔に比べてオメガへの差別は少なくなっている。先人の取り組みのおかげで、オメガの芸能人や政治家、企業でも役職を持つ人が増えたことが大きな要因だろう。
しかし、みんな心の底ではオメガを下に見ている。特にアルファは昔からその思想が強く、未だにオメガを嫌う傾向にある。その考え自体を改めてオメガの社会進出を支援している企業も多くあるが、美作や実家のオメガ嫌いは健在だ。
ではなぜ、そんな美作の長男である拓真さんと婚約を結ぶことになったのか。ざっくり言ってしまえば美作の業績不振だ。
うちの実家もそこそこの会社を経営しているので、跡取りでもない子どもを産める僕を引き入れることで美作は後ろ盾を作り、会社を立て直そうとしているのである。元々懇意にしていた会社でもあるから両親としても拒否をする理由はなく、厄介払いの意味も込めて婚約させたというわけだ。
拓真さんも可哀想な人だとは思う。親と会社の都合でオメガの僕なんかと婚約させられてしまったのだから、冷たくしたくなる気持ちも分からないでもない。
分からないでもない……のだけど。
「おい!」
「っ!は、はい!」
ぼーっと考え事をしており、拓真さんに呼ばれているのに気が付かなかった。いつの間にかごはんも食べ終えていたらしい。
まずい。帰ってきた時から感じていたけど、今日の拓真さんは機嫌が悪い。このままじゃ……。
拓真さんは僕の方まで歩み寄ってくると、強い力で僕の髪の毛を掴んだ。
「オメガのくせに俺を無視するのか!?」
「っ、ご、ごめんなさい!ぼーっとしてて……決して無視したわけじゃ……!」
「口答えするな!」
髪を強引に引っ張られ、寝室まで連れていかれる。そのままベッドに突き飛ばされ、拓真さんにのしかかられた。
「お前も俺のことを見下しているんだろ!出来損ないのオメガのくせに!」
バチンっと室内に音が響くほどの力で左頬を叩かれる。じんじんとした痛みが後からやってきて、無意識に涙がポロッとこぼれた。
下着と一緒にズボンを剥ぎ取られるが、体が金縛りにあったかのように動かなくなり、声も出ない。こうやって拓真さんにのしかかられると、いつも何もできなくなってしまう。
僕の脚の間に体を滑り込ませた拓真さんは自身の前を寛げ、ろくに慣らしてもいない僕の窄まりに宛てがい、割り開くように押し込んだ。
「っ!ぃッ……ぐっ……!」
揺すられるたび、気絶してしまいそうになるくらいの痛みが下半身を襲う。自分のそこは濡れるとは言え、こうも無理やり突っ込まれては痛みが先行してしまう。潤滑油無しでは苦しいだけだ。
もれそうになるうめき声を歯を食いしばって必死に堪える。なんとか気を紛らわせようと、手の甲に爪をたてた。
早く……早く終われ。
心が嫌だと泣き叫んでいるのに、体は相変わらず自分の意思で動いてくれない。僕は痛くて怖いだけのこの行為を、終わりがくるまで、歯を食いしばって耐えるしかないのだ。
何回か僕の中で果てた拓真さんが、僕に悪態をつきまだ何やらぶつぶつ言いながら寝室から出ていった。おそらくお風呂に入りに行ったのだろう。
僕は主に下半身から発せられるじくじくした痛みに耐えながらベッドから降り、拓真さんの下着や寝巻き、バスタオルを用意する。
今日は一段と機嫌が悪かったのか、行為中でも何度か顔を叩かれた。表情が気に食わないとか言って。後ろもいつもより容赦なく出し入れしてたから痛みがおさまらない。これは明日にも影響が出てしまうかも。椅子にちゃんと座れるか不安だ。
「うぅッ……」
脱衣所に拓真さんの着替えを置きに行こうと廊下を歩いていたら、後ろに出された精液がどろりとこぼれ僕の太ももを伝った。
いつも拓真さんが寝た後しかお風呂に入れないので、ベッドのシーツを交換してからトイレで掻き出そう。このままは流石に気持ち悪い。
……あと、避妊薬も飲まなきゃ。
男のオメガは発情期以外の妊娠率は低いが、ゼロというわけではない。まだ大学生で婚約段階の今、不用意に妊娠しては外聞も悪いし後々面倒だ。僕や拓真さんの親からも妊娠だけはまだしないようにときつく言われている。
やることを一通り終わらせ、避妊薬を水で流し込む。
同じ薬箱に入った抑制剤にも視線を移すが、僕はそれには手をつけず薬を仕舞った。
「出来損ないのオメガ、か……」
家族や周りの人に散々言われてきた言葉で、それに関しては自認もしている。
生殖に長けた性であるオメガに必ずあるもの、つまり発情期が、僕にはないのだ。出来損ないと言われるのもうなずける。
なぜ僕は、オメガなんかに生まれてきたんだろう。
こんな僕がオメガとして生まれた意味ってなんだろう。
アルファがいいとは言わない。せめてベータであれば、僕はこんな扱いを受けなかったのだろうか。
第二次性が発覚してから何年も繰り返している自問を心のなかで呟いたとき、ふと、東雲くんの顔が思い浮かんだ。
今日初めて真正面から見た彼の瞳は、とてもきれいだった。力と意思のある人の目をしていた。
低く落ち着きのある声も、とても耳に馴染んで心地よかった。あの声で耳元で囁かれたら、腰が抜けてしまうかも。
……って、何を考えてるんだ、僕は。
きっともうこの先、彼と目を合わせたり会話したりすることなんかないって言うのに。
「……はぁ……」
自分で言い聞かせておいて自分でちょっとショックを受けてしまった。
そのとき丁度、脱衣所のドアが開く音がした。拓真さんがお風呂から上がったのだ。
もしまた何か言われても早く対応できるように、もう余計なことは考えないでおこう。
これ以上、殴られたくもないしね。
翌日。
僕は授業が行われている講義室で、昨日東雲くんと目を合わせたとき以上の緊張を味わっていた。
なぜなら、いつも講義室の後ろのほうに座っている東雲くんが、何故か前方の端っこの方で静かにしている僕の隣りに座っているからだ。
謎状況すぎる。
確かに今日は珍しく授業が始まる直前に東雲くんが講義室に現れて、空いている席が本当に一番前か僕の隣りだけだったけれども。東雲くんの友達が後ろの方で、こっち座っていいよって声かけてたのに、なんで断って僕の隣りに座った?
友達の席を後から来た自分が取るのは申し訳ないと思ったのかな。
いや、まぁ、いずれにせよ深い意味はきっと無い。一番前の席はなんか嫌だもんね、目立って。うん、今日だけ、今日だけだ。ひとまず今は教授の話に集中しよう。
そう意識を逸らすため教授の方を向き直したとき。
「では、今隣りに座っている人とペアワークをしてもらいます。プレゼン日までに各自資料をまとめてくるように」
なんて衝撃的なことを言われた。
ぎりぎり声を上げずにすんだが今僕は石像のように固まってしまってる。
だって、今の僕の隣りって、あの東雲くんなんだぞ?
え、うそだよね?
僕、東雲くんとペアワークするの?
教授が残りの時間も資料集めの時間に使って良いと言ったので、静かだった講義室内が生徒たちの声で賑やかになる。
おそるおそる、ちらりと東雲くんの方を見れば丁度彼も僕の方を見て、また目が合った。昨日よりも近い距離で。
「ペアワーク、よろしく」
「はっ……はひ……」
返事になっているようななっていないような、情けない声が出る。
これは現実なのだろうか。昨日から信じられないことばかり起こってる。
頭が混乱しながらも、きっと彼は僕のこと知らないよね、自己紹介とかしなきゃだよね、と冷静に考えてる自分がいて、どきどき心臓が高鳴って妙に震える唇を必死に開けて声を発そうとした。
「えーっ!私、陽と組みたかったぁ!」
しかし後ろからそんな声が聞こえて、僕は咄嗟に口を閉じる。
今の、東雲くんの友達だよね。振り向いたら目が合ってしまいそうだから振り向けないけど、きっとそう。
どうしよう、席を交換したほうがいいのかな。よくよく考えたら、東雲くんも僕じゃなく見知った人とペアを組んだほうがやりやすいよね。
僕以外にも、彼とペアワークをやりたいと思ってる人は沢山いる。東雲くんとペアを組めるって浮かれて、他の人の気持ちを考えられてなかった。
自分勝手な考えを反省しつつ、席の交換を教授に交渉してみようと東雲くんに提案するため彼の方を向く。まだ緊張して目は合わせられないから、ちょっとうつむき加減に。
「あ、あの、東雲くん、ペアなんだけど……」
「変えなくていい」
「……えっ?」
予想打にしなかった言葉に思わず顔を上げる。
東雲くんは変わらず、真っ直ぐに僕を見ていた。
「俺ずっと、西條と話してみたいって思ってたんだ」
「えっ……あ、な、名前……」
「西條、だろ?西條依月(さいじょういつき)」
「……!」
驚いて目を見開く。
知ってたんだ、僕の名前。
東雲くん、僕のことを知ってくれてたんだ。
やっと落ち着いてきていた心臓が、また早鐘を打ち始める。
「あれ、違った?」
「う、ううん!合ってる!その、久しぶりに人から名前を呼ばれたから、びっくりしちゃって」
「…………」
いつも拓真さんには「おい」か「お前」だし、家族にもほとんど名前を呼ばれたことがない。だから自分の名前ってあんまり馴染みがなかったんだけど……彼の声に乗せられただけで、自分の名前がなんだか、特別なモノのように感じた。
ほんのちょっとのことで、こんなにも人を喜ばせることができるなんて。東雲くんってやっぱりすごい人だ。
「で、ペアワークのことだけど。俺と一緒にやってくれる?」
「!……うん、もちろん!僕で良ければ!」
彼の申し出に、僕はすぐに頷いた。
すると東雲くんは一瞬目を丸くして、けれどすぐにその口元に笑みを浮かべた。
初めてだった。彼が笑みを浮かべているのを見るのは。
東雲くんって、こうやって笑うんだ。
些細なことではあるけれど、いつもは遠くから眺めるだけだった彼のことをひとつ知れたことに、僕の胸は喜びに震えた。
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