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本編
3 妹が産まれたらやっぱり
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あの真夜中の突撃以来。
リールディアのおっぱいの時間の後に、残りをエディフィールが貰うことになった。
正直なところ物凄く恥ずかしい。
恥ずかしいけれど、ウィドニクスの言う通り。
母乳を飲めば身体が楽になるのだ。
今までどんな薬を飲んでも、具合がいい日はベッドの上で本を読んで過ごせる程度だった。
家族が揃う食堂に足を運ぶことなんてなかった。
それがあの日から1年ちょっと。
邸の中や、一番体調が良い時には庭を歩けるくらいまで回復した。
両親やウィドニクスに限らず。邸に仕える使用人たちまで感激し、喜んだのは言うまでもない。
だがそれは、あくまでも母乳があるからだった。
赤ちゃんが乳離れして、母乳は次第に出が悪くなり出なくなる。
母乳が出なくなるギリギリいっぱいまでエディフィールは薬代わりに貰っていたが、母乳を出すには妊娠・出産が必要なのだ。
そして次の妊娠には、母体が回復している必要がある。
どれだけ頑張って仕込んでも、次にユリアの母乳が出るまでに1年以上空くことになる。
そんなわけで、5歳の誕生日にはいつものように寝込んでいた。
元気な間に簡単な護身術の稽古や、貴族に必須と言われるダンスの簡単なステップくらいは教えて貰えた。
だが寝込んでしまうとそれも難しくなり、今は座学ばかりだ。
そして色々学ぶ内に、エディフィールは高位貴族と呼ばれる公爵家の長男だったと知る。
本来であれば5歳の誕生日前後のどこかで、付き合いのある貴族や領地の寄り子となる下位貴族を招いて成長を祝うパーティーをするものらしい。
公爵家ともなれば、王族も招待対象らしい。
だがエディフィールの体調では無理と判断され、次に貴族としてのお披露目会があるのは10歳だと言われた。
エディフィールとしては失礼に当たらないかと思ったのだが、バンホーテン公爵家の嫡男の虚弱体質は周知の事実だそうだ。
父であるギルバートは「エディはそんな難しいことを気にしなくて良いよ。」と言ってくれた。
3歳下のリールディアは元気いっぱいで、あまり部屋から出れないエディフィールのことをとても慕ってくれている。
一緒に遊んであげることも出来ないのに。
ちょっぴり羨ましいと思わないでもないが、弟は元気に生まれて来てくれて良かったと思った。
これでリールディアまで虚弱体質だったら、バンホーテン公爵家のお先真っ暗である。
健康的な跡継ぎが産まれたのだ。エディフィールは厄介になることはあれど、バンホーテン公爵家の繁栄には貢献できないだろう。
ベッドの上で過ごし、体調が良い日はリールディアに絵本の読み聞かせをしてあげる。
それでも暇であれば、ベッドの上で編み物や刺繍をした。
本当は貴族令嬢に必須の技術らしいが、本を読むだけの毎日は退屈なのだ。
割と細かい作業は向いていたらしく、新しい作品が出来上がるのは楽しかった。
エディフィールが6歳。リールディアが3歳になった頃。
今度は妹が生まれた。
妹はアリアと名付けられた。
エディフィールは母親であるユリアと瓜二つで、キラキラとした銀髪に湧き水のように淡い水色の瞳をしていた。
対してリールディアとアリアは父親似で、ギルバートと同じ蜂蜜色の金髪に明るいエメラルドグリーンの瞳だった。
少し色合いは異なるが金髪と、エメラルドグリーンの瞳は王家の特徴とも言われている。
ギルバートの祖母が王族だったらしく、当時のバンホーテン公爵家に降嫁したそうだ。
度々王家の血が混じるので、公爵を名乗っているらしい。
そんな見た目の問題は置いておいて。
妹が産まれたのである。
となれば待っているのは——。
「さぁ、エディ。おっぱいの時間ですよ。」
アリアが産まれて2週間。
ユリアの突撃が無かったので、今回はこの嬉し恥ずかしいイベントは無くなったのだと思っていた。
それが今。
エディフィールの部屋でいつか見た光景が広がっている。
「母様?さすがにもう6歳でおっぱいは……。」
前世では小学生である。
乳離れできない小学生なんて、ちょっと気味が悪くないだろうか。
「もうリアに必要な分はあげ終わったわ。またリーの時みたいに、リアの後におっぱい飲みましょうね。」
必要な分とは?と聞く前に、いつぞやのようにユリアに抱き抱えられる。
流石に重たいだろうと思うが、この世界には魔法がある。
エディフィールは習っていないけれど。
身体強化を使えば、ユリアでも大の男一人くらい抱えられるらしい。
羞恥心から押し問答したものの、ユリアのにっこりと微笑んだ圧からは逃れられなかった。
今回も付いてきたウィドニクスから「薬と思って諦めてくだされ。」と諭されて、渋々突き出された突起を口に含んだ。
結論から言うと——。
物凄く身体が楽になった。
そして美味しかった。
なんだか変態への道を爆走している気がする。
一応ウィドニクスから、エディフィールの体質は研究中だと聞いている。
そしてもう十分に考えを喋ることが出来る口がある。
毎回普段との違いがどうかとか、味その他諸々。
詳細に聞かれるのはとてつもなく恥ずかしかったが、自分は治験をしているんだ。もしかしたら同じように苦しむ子供が助かるかもしれない。ソレだけを胸に、羞恥心に耐えた。
因みに必要な分とは、初乳と呼ばれる免疫を含んだお乳を赤ちゃんにあげる為だったらしいと、後でウィドニクスに聞いて知った。
リールディアのおっぱいの時間の後に、残りをエディフィールが貰うことになった。
正直なところ物凄く恥ずかしい。
恥ずかしいけれど、ウィドニクスの言う通り。
母乳を飲めば身体が楽になるのだ。
今までどんな薬を飲んでも、具合がいい日はベッドの上で本を読んで過ごせる程度だった。
家族が揃う食堂に足を運ぶことなんてなかった。
それがあの日から1年ちょっと。
邸の中や、一番体調が良い時には庭を歩けるくらいまで回復した。
両親やウィドニクスに限らず。邸に仕える使用人たちまで感激し、喜んだのは言うまでもない。
だがそれは、あくまでも母乳があるからだった。
赤ちゃんが乳離れして、母乳は次第に出が悪くなり出なくなる。
母乳が出なくなるギリギリいっぱいまでエディフィールは薬代わりに貰っていたが、母乳を出すには妊娠・出産が必要なのだ。
そして次の妊娠には、母体が回復している必要がある。
どれだけ頑張って仕込んでも、次にユリアの母乳が出るまでに1年以上空くことになる。
そんなわけで、5歳の誕生日にはいつものように寝込んでいた。
元気な間に簡単な護身術の稽古や、貴族に必須と言われるダンスの簡単なステップくらいは教えて貰えた。
だが寝込んでしまうとそれも難しくなり、今は座学ばかりだ。
そして色々学ぶ内に、エディフィールは高位貴族と呼ばれる公爵家の長男だったと知る。
本来であれば5歳の誕生日前後のどこかで、付き合いのある貴族や領地の寄り子となる下位貴族を招いて成長を祝うパーティーをするものらしい。
公爵家ともなれば、王族も招待対象らしい。
だがエディフィールの体調では無理と判断され、次に貴族としてのお披露目会があるのは10歳だと言われた。
エディフィールとしては失礼に当たらないかと思ったのだが、バンホーテン公爵家の嫡男の虚弱体質は周知の事実だそうだ。
父であるギルバートは「エディはそんな難しいことを気にしなくて良いよ。」と言ってくれた。
3歳下のリールディアは元気いっぱいで、あまり部屋から出れないエディフィールのことをとても慕ってくれている。
一緒に遊んであげることも出来ないのに。
ちょっぴり羨ましいと思わないでもないが、弟は元気に生まれて来てくれて良かったと思った。
これでリールディアまで虚弱体質だったら、バンホーテン公爵家のお先真っ暗である。
健康的な跡継ぎが産まれたのだ。エディフィールは厄介になることはあれど、バンホーテン公爵家の繁栄には貢献できないだろう。
ベッドの上で過ごし、体調が良い日はリールディアに絵本の読み聞かせをしてあげる。
それでも暇であれば、ベッドの上で編み物や刺繍をした。
本当は貴族令嬢に必須の技術らしいが、本を読むだけの毎日は退屈なのだ。
割と細かい作業は向いていたらしく、新しい作品が出来上がるのは楽しかった。
エディフィールが6歳。リールディアが3歳になった頃。
今度は妹が生まれた。
妹はアリアと名付けられた。
エディフィールは母親であるユリアと瓜二つで、キラキラとした銀髪に湧き水のように淡い水色の瞳をしていた。
対してリールディアとアリアは父親似で、ギルバートと同じ蜂蜜色の金髪に明るいエメラルドグリーンの瞳だった。
少し色合いは異なるが金髪と、エメラルドグリーンの瞳は王家の特徴とも言われている。
ギルバートの祖母が王族だったらしく、当時のバンホーテン公爵家に降嫁したそうだ。
度々王家の血が混じるので、公爵を名乗っているらしい。
そんな見た目の問題は置いておいて。
妹が産まれたのである。
となれば待っているのは——。
「さぁ、エディ。おっぱいの時間ですよ。」
アリアが産まれて2週間。
ユリアの突撃が無かったので、今回はこの嬉し恥ずかしいイベントは無くなったのだと思っていた。
それが今。
エディフィールの部屋でいつか見た光景が広がっている。
「母様?さすがにもう6歳でおっぱいは……。」
前世では小学生である。
乳離れできない小学生なんて、ちょっと気味が悪くないだろうか。
「もうリアに必要な分はあげ終わったわ。またリーの時みたいに、リアの後におっぱい飲みましょうね。」
必要な分とは?と聞く前に、いつぞやのようにユリアに抱き抱えられる。
流石に重たいだろうと思うが、この世界には魔法がある。
エディフィールは習っていないけれど。
身体強化を使えば、ユリアでも大の男一人くらい抱えられるらしい。
羞恥心から押し問答したものの、ユリアのにっこりと微笑んだ圧からは逃れられなかった。
今回も付いてきたウィドニクスから「薬と思って諦めてくだされ。」と諭されて、渋々突き出された突起を口に含んだ。
結論から言うと——。
物凄く身体が楽になった。
そして美味しかった。
なんだか変態への道を爆走している気がする。
一応ウィドニクスから、エディフィールの体質は研究中だと聞いている。
そしてもう十分に考えを喋ることが出来る口がある。
毎回普段との違いがどうかとか、味その他諸々。
詳細に聞かれるのはとてつもなく恥ずかしかったが、自分は治験をしているんだ。もしかしたら同じように苦しむ子供が助かるかもしれない。ソレだけを胸に、羞恥心に耐えた。
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