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本編
5 ディープキス
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結局両親の毎晩の情事に付き合いつつ、母乳という名の薬をもらうこと数十回。
今回は母乳が出るギリギリいっぱいまで元気でいることが出来た。
とはいえ、それは母乳が出ている間の話。
それからベッドに伏している生活に戻ったのだけれど、ある時変化が起きた。
激しい運動は出来ないけれど、屋敷内を軽く散歩したり食堂でご飯を食べられるようになったのである。
きっかけは凄く些細な事。
いや、些細じゃないかもしれない。
少なくとも、ギルバートを殴りたいとは思った。
9歳の誕生日に、まだ3歳の妹のアリアに熱烈なキスを貰ったのだ。
額でも頬でもなく、唇に。
それも触れ合うだけじゃなくて、ベロチュー。
エディフィールのファーストキスはアリアになった。
それはそれでどうなんだろう。
思わず唾液が甘かったとか、なんか怒鳴る元気が出たとか考えるより先に、アリアに何でキスをしたのかを聞いた。
答えは「とーたまとかーたま、ちゅー。だいすきのちゅーって。にーたますきー。」と満面の笑みで答えられた。
「父様?リーとリアの前では謹んで下さいと、僕は申しましたよね!?しかも子供になんてこと教えてるんですか!まだ子供なんですよ。早々にボーイフレンドを連れてきたら、父様の責任ですからね!!」
アリアは少々お転婆な気がするが、とっても可愛い天使のような女の子なのだ。
5歳のお披露目パーティーで、仲が良くなったからチューしようって言って、どこぞの貴族令息とディープキスしてくれたらどうすんだ。という怒りを籠めて詰め寄る。
エディフィールはシスコン・ブラコンである。
中々一緒に遊んであげれないエディフィールを慕ってくれる弟妹は可愛いし、目に入れても痛くないくらいだ。
ちょっとだけ、エディフィールにべったりな弟妹もそうなんじゃないかなと思うこともある。
「えーとだな、エディ?その、一応隠れて——。」
普段は威厳のあるギルバートが、珍しくたじたじだ。
だがこれは、情操教育に関わることである。
必要だからとなし崩しに母乳を飲まされ、効果が高いからと両親の情事に参加をしないといけなかったエディフィールとは違う。
しかもなんだかんだ言って、エディフィールには成人男性だった知識があるのだ。
もう常識とか貞操観念とかぶっ壊れかけだが、それでも基盤が何も無いよりはマシだったはずである。
無垢な幼女を汚すのとは大違いのはずである。
「隠れていようと、見つかった時点で同じです。そういうのは、夜!寝室でヤってください!まさか、それ以上の行為を見られたりしてませんよね?」
情事後の妻をそのまま息子の部屋に寄こすような父親だ。油断ならない。
コクコクと頷くギルバートに、誕生日会に呼ばれていたウィドニクスが助け舟を出す。
「エディフィール坊ちゃま。それだけ大声で叫ばれて大丈夫ですか?本日はあまり体調が良くなかったように思いますが。」
そっと薬湯を差し出され、受け取りながら確かにと思った。
「そういえば……。リアのキスが甘かった。関係あると思う?」
言った途端。
受け取ったばかりの薬湯がひったくられる。
「坊ちゃま、それは確かですか?もし本当でしたら、素晴らしい発見ですぞ!」
今度はウィドニクスが興奮気味だ。
と思ったら、薬湯をグイっと飲み干した。
——もしかしなくても鎮静剤だった?
「一先ず。一通りキスしていきましょう。アリアお嬢様とももう一度です。」
声は少し落ち着いたものの、研究者肌のウィドニクスは言いだしたら聞かない。
使用人達は希望者のみ。家族は全員。
片っ端からディープキスをした。
成人済みだった前世ですらしたことなかったのに。
中には以前、乳母を雇って母乳を飲ませて貰った時に感じた不快感を感じる人もいた。
母乳が薬になるならと、ユリア以外で試してみたことはあるのだ。
結果、実母ではないとダメという結論に至った。
そのデータに基づくなら、家族はOKでも他人はOUTなのではないかと思ったのだが。
希望者の半数程度の使用人達が、大なり小なり微かながら甘みを持っていたのだ。
そこから共通点を探していくと、甘みが無いのは他家から奉公に来ている使用人達。
逆に甘みがあるのは所謂分家だったり、遠縁でもなにかしら血縁関係にある使用人達だった。近いほど甘みが強い。
この誕生日をきっかけに、この虚弱体質に対する研究はさらに進んでいく。
ウィドニクスが主体の研究だったので、どういう経路で魔導士を呼んだのかは分からない。
でも魔力視が出来る魔導士が我が家に来て、エディフィールの魔力回路の流れの悪さを指摘した。
試しに家族や相性の良かった使用人を呼んで、順繰りキスをしていく。
視て貰って分かったのは、恐らく体液から相手の魔力を貰っているという事。
貰った魔力が満ちることで、魔力回路の流れがスムーズになること。
エディフィール自体の魔力量は、ギルバート以上に在りそうだが、それが上手く体内に回っていないことを指摘された。
血縁の方が身体に馴染むのは、魔力の質が近いからだろうと言われた。
逆に魔力の質が遠いと、エディフィール自体の魔力が余計な魔力を排除しようとして暴れるので、コントロールも循環も出来ていない魔力回路で2種類の魔力が暴れまわる。
それ故不快感がでたのだろうと。摂取しすぎると今まで以上の体調悪化の恐れがあるので、甘いという感覚は大事にするように言われた。
それから、体調が悪い時には周囲に協力してもらって魔力を吸う様にと。
魔力と生命力は密接に関わっていて、魔力回路から魔力が無くなる=死を意味するらしい。
ウィドニクスが母乳に辿り着いていたから良かったものの、起き上がれないレベルの日々が何年も続いていたら。
もしかしたら5歳を迎えていなかったかもしれない。という、遅まきながらの余命宣告のようなものまで頂いてしまった。
ウィドニクスが諦めないでいてくれたお陰で、今この命があるのだと思った。
ものすごーく変態街道を爆走しているけれど。
それから家族とディープキスをするのが習慣になった。
どんな習慣だよと思うが、それだけで普通に動けるほどには体調が良くなるのだ。
寝込んでいることが多かったので体力が無いし、無理をすると倒れることもあるので、あくまでも普通に生活する分には問題ない程度だ。
それでも今までに比べたら劇的な変化である。
魔力が関わると知って、両親は意図的に唾液に魔力を混ぜてくれているようだ。
母乳程では無いが、かなり甘い。
リールディアもアリアも、エディフィールの些細な体調の変化に気付いて、惜しみなくキスしてくれる。
最近は魔力の混ぜ方を学んだようで、甘くなってきている。
家族が仕事や社交関係で居ない時は、血縁関係のある使用人達が頑張ってくれる。
のだが、これはなるべく早めにエディフィールの自己申告が必要だ。
倒れる直前に魔力を貰って、何人か医務室送りにしてしまった。
どうやら魔力を吸い過ぎてしまって、魔力枯渇寸前まで追い込んでしまったようだ。
体調不良が常だったため、自分では調子が悪いという自覚が薄いのだ。
あ、寝込むかも。と思う寸前まで、元気だと思ってしまう。
家族の方がエディフィールの体調に敏感だ。
因みにこの病気は魔力回路不全と名付けられた。
この病気で死ぬ子供は、平民だったとしても基礎魔力量が多めな子供が多かったらしい。
将来有望な子供が早死にしていたのだ。
根本的な治療法はないが命を落とさない方法として、母乳とは別に血縁者のキスについても指導されているとか。
治療方法はないが、そうやっていると身体が正しい魔力の流れを覚えて、体質が改善することがあるらしい。
治療開始時期が幼ければ幼いほど、体質が改善する可能性が高いことも発表された。
だが各種成果が出そろうのは、まだまだ先の話である。
今回は母乳が出るギリギリいっぱいまで元気でいることが出来た。
とはいえ、それは母乳が出ている間の話。
それからベッドに伏している生活に戻ったのだけれど、ある時変化が起きた。
激しい運動は出来ないけれど、屋敷内を軽く散歩したり食堂でご飯を食べられるようになったのである。
きっかけは凄く些細な事。
いや、些細じゃないかもしれない。
少なくとも、ギルバートを殴りたいとは思った。
9歳の誕生日に、まだ3歳の妹のアリアに熱烈なキスを貰ったのだ。
額でも頬でもなく、唇に。
それも触れ合うだけじゃなくて、ベロチュー。
エディフィールのファーストキスはアリアになった。
それはそれでどうなんだろう。
思わず唾液が甘かったとか、なんか怒鳴る元気が出たとか考えるより先に、アリアに何でキスをしたのかを聞いた。
答えは「とーたまとかーたま、ちゅー。だいすきのちゅーって。にーたますきー。」と満面の笑みで答えられた。
「父様?リーとリアの前では謹んで下さいと、僕は申しましたよね!?しかも子供になんてこと教えてるんですか!まだ子供なんですよ。早々にボーイフレンドを連れてきたら、父様の責任ですからね!!」
アリアは少々お転婆な気がするが、とっても可愛い天使のような女の子なのだ。
5歳のお披露目パーティーで、仲が良くなったからチューしようって言って、どこぞの貴族令息とディープキスしてくれたらどうすんだ。という怒りを籠めて詰め寄る。
エディフィールはシスコン・ブラコンである。
中々一緒に遊んであげれないエディフィールを慕ってくれる弟妹は可愛いし、目に入れても痛くないくらいだ。
ちょっとだけ、エディフィールにべったりな弟妹もそうなんじゃないかなと思うこともある。
「えーとだな、エディ?その、一応隠れて——。」
普段は威厳のあるギルバートが、珍しくたじたじだ。
だがこれは、情操教育に関わることである。
必要だからとなし崩しに母乳を飲まされ、効果が高いからと両親の情事に参加をしないといけなかったエディフィールとは違う。
しかもなんだかんだ言って、エディフィールには成人男性だった知識があるのだ。
もう常識とか貞操観念とかぶっ壊れかけだが、それでも基盤が何も無いよりはマシだったはずである。
無垢な幼女を汚すのとは大違いのはずである。
「隠れていようと、見つかった時点で同じです。そういうのは、夜!寝室でヤってください!まさか、それ以上の行為を見られたりしてませんよね?」
情事後の妻をそのまま息子の部屋に寄こすような父親だ。油断ならない。
コクコクと頷くギルバートに、誕生日会に呼ばれていたウィドニクスが助け舟を出す。
「エディフィール坊ちゃま。それだけ大声で叫ばれて大丈夫ですか?本日はあまり体調が良くなかったように思いますが。」
そっと薬湯を差し出され、受け取りながら確かにと思った。
「そういえば……。リアのキスが甘かった。関係あると思う?」
言った途端。
受け取ったばかりの薬湯がひったくられる。
「坊ちゃま、それは確かですか?もし本当でしたら、素晴らしい発見ですぞ!」
今度はウィドニクスが興奮気味だ。
と思ったら、薬湯をグイっと飲み干した。
——もしかしなくても鎮静剤だった?
「一先ず。一通りキスしていきましょう。アリアお嬢様とももう一度です。」
声は少し落ち着いたものの、研究者肌のウィドニクスは言いだしたら聞かない。
使用人達は希望者のみ。家族は全員。
片っ端からディープキスをした。
成人済みだった前世ですらしたことなかったのに。
中には以前、乳母を雇って母乳を飲ませて貰った時に感じた不快感を感じる人もいた。
母乳が薬になるならと、ユリア以外で試してみたことはあるのだ。
結果、実母ではないとダメという結論に至った。
そのデータに基づくなら、家族はOKでも他人はOUTなのではないかと思ったのだが。
希望者の半数程度の使用人達が、大なり小なり微かながら甘みを持っていたのだ。
そこから共通点を探していくと、甘みが無いのは他家から奉公に来ている使用人達。
逆に甘みがあるのは所謂分家だったり、遠縁でもなにかしら血縁関係にある使用人達だった。近いほど甘みが強い。
この誕生日をきっかけに、この虚弱体質に対する研究はさらに進んでいく。
ウィドニクスが主体の研究だったので、どういう経路で魔導士を呼んだのかは分からない。
でも魔力視が出来る魔導士が我が家に来て、エディフィールの魔力回路の流れの悪さを指摘した。
試しに家族や相性の良かった使用人を呼んで、順繰りキスをしていく。
視て貰って分かったのは、恐らく体液から相手の魔力を貰っているという事。
貰った魔力が満ちることで、魔力回路の流れがスムーズになること。
エディフィール自体の魔力量は、ギルバート以上に在りそうだが、それが上手く体内に回っていないことを指摘された。
血縁の方が身体に馴染むのは、魔力の質が近いからだろうと言われた。
逆に魔力の質が遠いと、エディフィール自体の魔力が余計な魔力を排除しようとして暴れるので、コントロールも循環も出来ていない魔力回路で2種類の魔力が暴れまわる。
それ故不快感がでたのだろうと。摂取しすぎると今まで以上の体調悪化の恐れがあるので、甘いという感覚は大事にするように言われた。
それから、体調が悪い時には周囲に協力してもらって魔力を吸う様にと。
魔力と生命力は密接に関わっていて、魔力回路から魔力が無くなる=死を意味するらしい。
ウィドニクスが母乳に辿り着いていたから良かったものの、起き上がれないレベルの日々が何年も続いていたら。
もしかしたら5歳を迎えていなかったかもしれない。という、遅まきながらの余命宣告のようなものまで頂いてしまった。
ウィドニクスが諦めないでいてくれたお陰で、今この命があるのだと思った。
ものすごーく変態街道を爆走しているけれど。
それから家族とディープキスをするのが習慣になった。
どんな習慣だよと思うが、それだけで普通に動けるほどには体調が良くなるのだ。
寝込んでいることが多かったので体力が無いし、無理をすると倒れることもあるので、あくまでも普通に生活する分には問題ない程度だ。
それでも今までに比べたら劇的な変化である。
魔力が関わると知って、両親は意図的に唾液に魔力を混ぜてくれているようだ。
母乳程では無いが、かなり甘い。
リールディアもアリアも、エディフィールの些細な体調の変化に気付いて、惜しみなくキスしてくれる。
最近は魔力の混ぜ方を学んだようで、甘くなってきている。
家族が仕事や社交関係で居ない時は、血縁関係のある使用人達が頑張ってくれる。
のだが、これはなるべく早めにエディフィールの自己申告が必要だ。
倒れる直前に魔力を貰って、何人か医務室送りにしてしまった。
どうやら魔力を吸い過ぎてしまって、魔力枯渇寸前まで追い込んでしまったようだ。
体調不良が常だったため、自分では調子が悪いという自覚が薄いのだ。
あ、寝込むかも。と思う寸前まで、元気だと思ってしまう。
家族の方がエディフィールの体調に敏感だ。
因みにこの病気は魔力回路不全と名付けられた。
この病気で死ぬ子供は、平民だったとしても基礎魔力量が多めな子供が多かったらしい。
将来有望な子供が早死にしていたのだ。
根本的な治療法はないが命を落とさない方法として、母乳とは別に血縁者のキスについても指導されているとか。
治療方法はないが、そうやっていると身体が正しい魔力の流れを覚えて、体質が改善することがあるらしい。
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