【完結】深窓の公爵令息は溺愛される~何故か周囲にエロが溢れてる~

芯夜

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本編

6 お披露目パーティー

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10歳の誕生日を迎えた。

いつも通り家族で小さな誕生日パーティーを開いた後、エディフィールは初となる貴族としてのお披露目パーティーを開いた。

普通であれば公爵家ともなれば誕生日パーティーですら、沢山の貴族を呼んで盛大に祝う。

でもエディフィールにはその体力が無いから、ずっと家族だけの小さなパーティーだった。

両親に申し訳ないと言われたが、前世では祝ってあげることはあっても、祝われたことが無かった。
家族がお祝いしてくれるだけで幸せなのだ。

両親や兄妹の誕生日パーティーは、勿論盛大に行われている。
でもそれにエディフィールは参加できないので、家族だけの小さなパーティーもやっている。

それが今日。
初めて沢山の貴族に会うのだ。
はじめましてばかりの。

本来であればパーティー形式にもよるが、各テーブルにホストがまわる事が多いらしい。
でもエディフィールの体力を鑑みて、エディフィールは座ったまま対応できるようにセッティングされた。

招待客に挨拶に来させるスタイルだ。
その招待客には、王族が含まれている。

不敬罪と言われないと良いなと、少し思考を飛ばした。

更に異例なのは、エディフィールの左右にリールディアとアリアが常に控えていることである。
二人はエディフィールの回復要員だ。

本来ならお披露目会に兄妹は参加しないらしいので、最初は断った。

だが、家族全員に押し切られた。

限界を感じて魔力を吸って、侍女をぶっ倒れさせる気かと。

前科持ちである上に、初めて招待するお客様も多い。
使用人達もてんてこ舞いなので、迷惑をかけないように。
エディフィールの体調不良にすぐに気付ける二人を配置することになった。

なにもかもエディフィールの体調を第一に考えてくれていて、公爵家としての威厳とか、マナーとか、体面とか。色々大丈夫なんだろうかと心配してしまう。

そんなこんなで、エディフィールの為に工夫を凝らしたお披露目パーティー。

大声は出せないし、魔法だって習っていない。
そのため父であるギルバートが、挨拶を代わって音頭を取ってくれる。
本来であれば、エディフィールが『拡声』して挨拶しなければならないのだ。

ギルバートの紹介に合わせて礼をして、あとは挨拶に来てくれるのを待つだけだ。

順番はバラバラ。
それでも暗黙の了解なのか。

どうも下位貴族から順番に挨拶に来てくれている気がする。

家名が寄り子の領地なので、その伝手でパーティーに参加してくれたのだろう。

一言二言、当たり障りのない会話をして、段々と顔ぶれが豪華になっていく。

医務官長の息子、騎士団長の息子、魔法師団長の息子、各種大臣系の息子、それから第二王子と第三王子までパーティーに参加してくれていた。

ちなみにエディフィールは、宰相の息子である。
大体バンホーテン公爵家の嫡男が宰相に就くようだが、もし権力的な繋がりをと思っているならリールディアと顔を繋いだ方が良いと思う。
どう考えても跡取りはリールディアだ。

当たり障りなく受け答えしていたが、同じ歳だという騎士団長の息子と、魔法師団長の息子、第三王子だけがエディフィールのテーブルに残る。

騎士団長の息子、ガント・カットラスト。
紅色の目立つ短髪に、キリッとした瞳は山吹色。日焼けなのか地肌か分からないが、こんがり日焼けしている小麦肌。
見ただけで快活そうな少年だ。

魔法師団長の息子、フィリス・ムーンティア。
胸元まで伸ばされた深緑の髪の毛を三つ編みにしていて、丸眼鏡の奥には思慮深いはしばみ色の瞳が見える。
日焼けもしていないし、落ち着いた文官系の少年なんだろうなと思う。

レイフォール王国第三王子、シリウス・レイフォール。
全体や襟足が少し長めではあるもののサッパリとした髪型で、王族である黄金色の髪の毛。笑みを浮かべた瞳はエメラルドグリーン。
絵本から抜け出してきた王子様を、そのまま連れてきたような少年だ。

以上三名は、どうやら数年後に入学する王立学院の同級生で、更には第三王子の側近候補としてこのテーブルに集まっているようだ。
そこに何故エディフィールが入るのかは分からない。
リールディアとの顔繋ぎ役だろうか。

以前から顔見知りらしい三人の会話に相槌を打つ。

学問的な事であれば、これでも割と学んでいると思っている。
なんせ普通なら剣術や乗馬、ダンスに当てる時間もずっと座学だったのだから。

でも、今三人が話しているような社交関係は全く分からない。
魔法の実践的な部分での共感もできない。

ただただ、話を聞いていますというアピールの為に相槌を打つだけだ。

(はぁ……お花摘みとか言って抜け出したい……。トイレの概念が無いから、無理なんだけど。)

エディフィールは小さい時、あれ?トイレ行ってなくない?催したりしないんだけど??
と、新たな病気かと焦って、書庫から初心者向けの医学書(今思えば、子供向けの人体のしくみ解説本)を持ってきてもらい読み込んだ。

一応エディフィールの息子も、肛門も排泄機関らしい。
でも、もし前世のように排泄するのだとしたら。それは身体にとって有害なものを摂取したということになるらしい。身体の毒素を排出するための器官だ。

じゃあ、普段の食事はどうなるのか。
これは体内で分解吸収されて、魔力に変換されるらしい。

魔力を使い過ぎた場合の回復方法は、基本的に休息だ。
どれだけ枯渇に近くても、6時間も寝れば満タンになるらしい。

それが出来ない時は、手っ取り早く食事を沢山摂ることが推奨される。
それも魔素をたっぷり含んでいるものが望ましい。強い魔物肉とか。因みに魔素の含有量が多いほど美味しい。

魔力は体内を巡り意志で動かせるもの、魔素は外に溢れている意志ではどうにもならないものという位置づけだそうだ。

つまり、今お花摘みへ。なんて言おうものなら。
高確率で毒物混入が疑われ、大騒ぎになる。

中座することも出来ず、訳の分からない話に相槌を打つだけは退屈だ。
かといって勉学系の話を振っても、お子様には退屈だろう。
エディフィールは精神年齢大人なので、空気を読んで相槌を打つくらいは出来るのだ。理解のできない話だったとしても、コミュニケーションを円滑に行うためには必須のスキルだ。

7歳になったリールディアは真剣にシリウス王子たちの話を聞いているので、やっぱりここに居るべきはエディフィールではなくリールディアなのではないかと思う。

4歳のアリアはおやつに夢中だ。

(良いなぁ。僕ももっとオヤツ食べたい。)

家族が惜しみなくキスをして魔力を分けてくれるので、小食ながらそこそこ食べれるようになった。

それでも一回で食べ過ぎたり飲みすぎたりすると気分が悪くなるし、まず摂るべきはオヤツよりご飯だ。
魔力回路不全は、体内で食事を魔力に変換する機能も弱いのかもしれない。

折角料理人達が作ってくれたので、アリアにお願いしてクッキーを一欠け食べさせてもらった。
でもそれ以外は、砂糖をたっぷり溶かした紅茶で我慢している。

「エディにーさま。キスいたしましょう。」

羨ましいなぁとアリアを見ていたら、視線の合った妹にキスをしようと言われる。

こんな異様な状況にも慣れてしまったし、全てはエディフィールの為なのだ。

分かってはいても、何の恥じらいもなくキスを。それもディープキスをする気のアリアを見ていると、将来の旦那様に謝りたくなってくる。

いや、そもそもこれも子供向け医学書で知ったが、この世界の雌雄は見た目や構造上の差でしかないらしい。
男女問わず妊娠・出産可能。結婚もお互いが良ければ性別問わず。
しかも出産は胎児ではなく産卵である。

——ねぇ、神様。ここってどんな世界なの?どういうコンセプトで作ったの??

「でも、さっきリーに魔力貰ったばかりだよ?まだまだ元気だし。」

「ちーにーさまがキスしたのは知ってますわ。でもほきゅーが必要です。エディにーさまの元気は、全くあてになりませんからね?」

可愛いジト目で見られる。

ちなみにちーにーさまは、小さいお兄様という意味でリールディアのことだ。
リーと呼ぶと自分の愛称に似ているからと、ちーにーさま呼びしている。

「リアが言うなら、魔力貰っておこうかな。ありがとう。」

「これくらいお安い御用ですわ。」

まだ小さいとはいえ、それでも当時のエディフィールよりは大きなアリアを抱っこして。
小さな唇と唇を重ねる。

リールディアと比べると小さな舌が入ってきて、それと同時に口の中に甘さが広がる。

ピチャ、クチュとなるべく音を立てないようにと思っても、卑猥な水音が零れ落ちる。

パーティーが始まってすぐよりも長く口付け、ようやく唇が離れた。

つぅっと唾液の糸が引き、慌ててハンカチでアリアの口元を拭ってあげる。

ほんのり染まった頬で浮かべる笑みは、幼女らしくない色香がある。
あまり家族以外に見せたくないので、落ち着くまでアリアはエディフィールの膝の上だ。
リールディアなら、すぐに表情が切り替わるのだけれど。

「リア。兄上にあと何回位必要だと思う?」

魔力の補給が終わったのを確認して、リールディアが声を掛けてくる。

それにアリアは少し悩んで答えを出した。

「ちーにーさまは2回。わたくしは、もしかしたら2回ですわ。」

「えっ?パーティーはあと1時間ちょっとでしょ?そんなに——。」

「兄上は黙っててください。どうせ自分の体調のことなんて、元気としか思ってないんですから。リア、少しお留守番しててね。厨房で軽食を頼んでくるよ。足りてないだろ?」

「お腹ぺこぺこです。ちーにーさま、お願いしますわ。」

普段は慕ってくれる弟妹なのに、エディフィールの体調関連になるととても厳しい。

リールディアが断りを入れて席を立つ。

そんな兄妹のやり取りを黙って見ていた三人は、首を傾げていた。

今日のパーティーで度々みられる兄妹での大人のキス。
時折やってくるバンホーテン夫妻も、同じようにエディフィールにキスをしていく。

最近の論文発表で、魔力回路不全の症状や対処方法が大々的に発表されたので、子供だってソレが治療行為だと分かっている。
特にエディフィールは名前まで発表されていたので、魔力回路不全だと貴族には知れ渡っている。

それでも、こんなに頻回にキスをしなくてはいけないのだろうか。

「アリア嬢はえらく食べてるけど……まだ入るのか?」

アリアの食欲に驚いているのは、騎士団長の息子であるガントだ。

確かにアリアはひたすらケーキスタンドのおやつを食べ続けている。

定期的に使用人達が補充していくので、見た目にはあまり減っているように見えないが。
4歳児のどこに消えるのかというくらい食べ続けている。

それはリールディアも一緒だった。

「まだ入るどころか、お腹が減る一方ですわ。魔力を使っているので仕方ありませんけれど。」

そう言いながらも、エディフィールの膝から降りたアリアはスコーンを食べている。

弟妹達はエディフィールに分け与えた魔力を補う為に、ひたすらオヤツを食べ続けているのだ。

分け与えられている当の本人は、魔力を扱うことに関しては全く分かっていない。
だが同じテーブルに座る三人は、どれだけ魔力を譲渡しているのかと心配になってしまう食べっぷりだ。

「魔力を沢山使うと、お腹が減るもんね。それにしても……アリア嬢もリールディア殿も、魔力の揺らぎが見えているの?」

今度は魔法師団長の息子であるフィリスの問いだ。
この話しぶりを聞くに、彼も魔力視を持っているようだ。

アリアはきょとんと首を傾げる。

「魔力は見えないけれど、エディにーさまの体調なら分かるわ。」

「勘か、普段から見ているからこそ、なのかな。凄く的確に治療を始めるから、ずっと気になっていて。エディフィール殿は魔力が揺らぎ始めた自覚はあるの?」

先程まで会話をしていてもどこか控えめだったフィリスが、積極的に質問を飛ばしてくる。
もしかしたら、ウィドニクスのように研究者肌の人物なのかもしれない。

「ううん。僕は元気だって思ってるから、家族の方が気付くのが早いよ。もう論文発表は終わってるから、知ってるかもだけど……。キスで魔力を貰ってるんだけど、僕が体調不良に気付いてから魔力を貰うと、少し遠縁の侍女じゃ倒れちゃうんだよね。そうならないように、なるべく家族が魔力を分けてくれてるんだ。」

ようやくエディフィールも会話らしい会話が出来た。

「確か魔力の相性があるんでしたよね。不謹慎な話ですが、エディフィール殿とウィドニクス卿のお陰で、市井の死亡率が下がりそうです。それにかなり優秀な魔導士の卵も混じっていそうなんですよね。長い目で見る必要はあるでしょうが、これから先が楽しみですね。」

「同じように苦しむ子供達が、少しでも健やかに過ごせたらいいなと思っています。」

次いで口を開いたのは、第三王子殿下であるシリウスだ。

「此度は祝いの席だが、体調が悪いのであれば早めに切り上げても構わないのだぞ?このパーティーの参列者は、エディフィールが魔力回路不全だと知っている。誰も咎めたりすまい。」

どうやら心配してくれているらしいが、エディフィールは元気なのだ。
話題についていけてなかっただけで。

「お気遣いありがとうございます、シリウス殿下。ですが、体感では元気ですし。家族や使用人以外との交流は初めてなので、凄く楽しみだったんです。その……社交に出ていないので無知な部分も多いですが、もう少し皆様とお話しできるように勉強しますね。」

「申し訳ない。主賓を置き去りにしていたようだ。」

「い、いえっ。お気になさらず。どんな会話を選べば良いのかや、茶会のマナーは、とても勉強になりますから。」

少し嫌味っぽかっただろうかと、慌てて否定する。

訳の分からない会話は退屈だが、別にパーティーそのものが嫌だったわけではないのだ。
逆にエディフィールの分かる話題を振ると、招待客が退屈する可能性の方が高い。

それなら、招待客同士で楽しく会話してもらった方が良い。

「いや、私達も気遣いが足りていなかった。深窓の公爵令息が、社交界に詳しくないことくらい、少し考えれば分かることだったのに。」

「……深窓の公爵令息?」

「お身体が弱いからだと思いますが、バンホーテン卿も愛息子を自慢していらしゃいますし、対外的にお姿をお見せになられたのは今回が初めてですから。とても大事にされているのだろうと。」

シリウスの言葉に突っ込んだエディフィールに、フィリスが丁寧な解説を付けてくれた。

だがエディフィールを自慢する意味が分からない。
跡継ぎとしては出来損ないなので、自慢をするのならばリールディアなのではないかと思う。

「バンホーテン卿は愛妻家として有名だし、バンホーテン夫人にそっくりだもんなぁ。」

ガントの言葉に、それなら納得できる気がした。
ギルバートがユリア大好きなのは、公爵邸に居れば誰でも知っているレベルの話だ。

「確かに父様は母様のことが大好きですから。僕としては、父様似だったらもう少し健康的に見えたのになって思っちゃいます。」

体調が悪い時は青白くなってしまう肌は、銀髪だと物凄く不健康に見える。
すぐに儚くなってしまうのではないかと思うくらい。エディフィールから見たら、幽霊扱いされてしまうのではないかと思うくらいだ。

「エディフィールはとても綺麗だ。夫人に似て、美しいと思う。」

「ありがとうございます、シリウス殿下。」

男に対して美しいはどうかと思うが、素直に誉め言葉を受け取る。

リールディアもサンドイッチを持って戻ってきて、それからはエディフィールも参加できる内容でお喋りをした。
しっかりと合間でキスという魔力補給もしながら。

ガントともフィリスともシリウスとも友人と呼べるくらいには仲良く出来た。
なんとシリウスからは、愛称呼びまで許可してもらえた。

今日は対外的なパーティーなので二人も殿下呼びだったのだが、普段から交流のある二人は愛称で呼んでいるらしい。

エディフィールをお茶会に呼ぶのは難しいので、これからは三人は公爵邸に遊びに来てくれるようだ。

初めてのお友達が出来たお披露目会は、無事に終了した。
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