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第一章 非公式お茶会
25 前世の乙女トークは盛り上がる①
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Side:アシェル10歳 秋
昨夜非公式お茶会から帰宅し、友人を家に招きたいと言うと。使用人たちは大慌てで準備を始めた。
こじんまりしたものだから大丈夫と伝えたものの、体裁というものがあるらしい。
そして朝一から気合をいれて準備されているアシェル。
「ねぇ、ベル?わたくし、ただお友達とお喋りするだけなのよ?」
髪を梳くイザベルに非難がましい声をかけてみるが、最近アシェルの部屋付き侍女にまで昇格した乳兄妹は、素知らぬ顔でブラシを滑らせている。
「それはそれ、これはこれです。アシェル様からドレスでお茶会に参加すると言われたときの使用人達の感動……!綺麗に飾り立ててみせますからね!」
ぐっとガッツポーズをするイザベルに、もう何を言っても聞きはしないとがっくり肩を落とした。
飾り立てるといっても、あくまでも個人的なガーデンパーティーのようなものなのだ。夜会のような盛装ではなく、どちらかというと晩餐会で着るようなレベルのものだ。
それでもピアスとネックレスはつけられた。
ピアスは一つがアークエイドに貰った漆黒の守護ピアス。
それとは別に、冒険者登録前に右耳に一つ穴を開けておいた。
せっかくお守りをくれたのに魔道具を付ける度に外すのもどうかと思い、ピアス型魔道具のために開けておいたのだ。
右耳にはチェーンでゆらゆら揺れるドロップ型のアメジストが揺れている。
細いチェーンのネックレスのペンダントトップもドロップ型でお揃いだ。
髪の毛はハーフアップでまとめられ、上半分は複雑に編み込まれている。
編み込む際にドレスに合わせた紫色の髪紐を編み込んだようで、うっすら青みがかって見える銀髪にアクセントを加えていた。
「お友達に気合入れすぎって思われないかしら……。」
「大丈夫です!私の渾身の出来ですので!まずはお義兄様方に見せてきてください。多分泣いて喜びますよ。」
アレリオンとアルフォードは今帰省中で家にいる。
アレリオンは夜会に参加するために。両親と共に馬車で夜会へ向かうようだ。
アルフォードは夜会に合わせて学院が休みなのを良いことに、アレリオンにくっついて帰ってきていた。
まだデビュタントを済ませていない上に成人していないので、夜会に出るわけではない。
成人を迎える来年にデビュタントをする予定だそうだ。
アビゲイルがノアールにアプローチをかけている最中なので、ノアールが断るか、成人を迎えるかのタイミングを選択したらしい。
「でも先程お兄様方にお客様がいらしてたわ。見せに行くのは少し無理じゃないかしら?」
「見せないほうが悲しまれると思いますよ。とくにアレリオンお義兄様は夜会の準備もあるので、本日はいつでも会えるわけではないですし。」
小さい時に一緒に可愛がってもらったので、イザベルは二人の兄のことを名前にお義兄様をつけて呼ぶ。
生まれはたったの一週間違いだが、アシェルにとってイザベルはお義姉さんのような存在だ。
イザベルは王立学院でアシェルの侍女として仕えるべく、8歳目前にしてメイディー家の使用人になり、ようやく許可が出てアシェルの侍女になった。
イザベル自身が伯爵家の娘なので、自分に侍女を付けて学院に通うこともできるのに、アシェルの侍女をすると言って聞かない。
サーニャからも迷惑じゃなければ好きにさせてやってほしいと言われてしまっては、お手上げ状態だ。
イザベルが言うのなら、と重い腰を上げた。
ズボンと違ってドレスは物理的にも重たい。
「とりあえず応接間の入り口で、声だけはかけますわ。」
「それがよろしいかと思います。」
にこっと微笑んだイザベルは扉を開けてくれた。
コンコンッ。
「ご来客中のところ失礼致します。アレリオン様、並びにアルフォード様はご在室でしょうか?」
応接間の前に立つと、イザベルがさっと要件を述べてくれる。
扉からエリックという、アレリオン付きの侍従が顔を覗かせた。
「お急ぎの御用でしょうか?」
エリックはぺこりとこちらに礼をして、さらに言葉を続ける。
「いえ、恐らくお嬢様がお急ぎなわけではないですね。少々お待ちいただけますか?」
「話が早くて助かります。」
エリックとイザベルは分かりあったように頷き合い、エリックは再び扉の奥に消える。
落ち着く間もなく、バンッと扉が開いて二人の兄が出てきた。
「いつもに増して可愛いね。ちゃんと見せに来てもらえて嬉しいよ。」
そう言いながら髪をひと房掬い、チュッとキスするアレリオン。
「うん、アメジストの輝きにも負けないくらいアシェは綺麗だな。イザベルよくやった。」
キラキラの笑顔を向けてアシェルの髪を撫でるアルフォード。
髪のセットが崩れないように、今日は頭ではなく髪を撫でることにしたようだ。
褒められたイザベルの表情は自信たっぷりの笑顔だ。
「盛装とまではいきませんが、アシェルお嬢様の晴れ舞台ですもの。初めてお友達を招かれるのですから。」
「夜会なんかの盛装だと、これ以上に着飾るの?これでも十分派手なのだけれど……。」
小さく抗議するが誰一人聞いてくれなかった。
曰く。更にレースや刺繍、宝石がついた煌びやかなドレスになるらしい。
べたべたに褒めまくってくれる兄達に客人を待たせて大丈夫なのか聞いたが、気にしなくていいと言われた。
来客は気心の知れた学友だろうか。
そうして数分廊下で立ち話をしていると、執事長のウィリアムから声がかかった。
「アシェルお嬢様、お客様がいらっしゃいました。」
「ありがとうウィル。お出迎えのあとは庭の一番奥にあるガゼボでお茶をしようと思うの。人払いだけしておいていただける?」
「了承いたしました。」
ぺこりと頭を下げウィリアムは下がる。
これで庭師や他の使用人とかち合うこともないだろう。
「ベルはお茶とお菓子の用意だけお願い。魔道保温機とお水の入ったポットを置いておいてくれたらいいわ。お茶はわたくしが淹れるから。」
「かしこまりました。準備の為に下がらせていただきます。」
イザベルもぺこりと礼をしてキッチンの方へ消えていく。
「初めての社交頑張ってね。楽しんでおいで。」
「まぁ、友人だからそこまで気負わなくて大丈夫だ。困ったことがあったら俺達を呼んでくれたらいいからな。」
二人の兄に激励され、お兄様達にもお客様が来てるのに呼べないと思いつつ、ありがとうございます。と微笑みを残して玄関へと向かった。
「いらっしゃい、リリアーデ。デューク。歓迎するわ。」
使用人の手で玄関扉が開かれ、リリアーデとデュークの姿が目に入る。
アシェルの挨拶とカーテシーが終わると、今度はデュークが口を開いた。
「この度はお招きいただきありがとうございます。デューク・シルコットとリリアーデ・シルコットです。本日はよろしくお願いします。」
二人同時に優雅な礼を披露する。
二人とも正装しており、普段の非公式お茶会で見るよりキラキラしている。アシェルだけが着飾りすぎてないことにほっとした。
「こちらささやかな品ですが、お受け取りくださいませ。」
リリアーデが差し出した紙袋は使用人の手に渡った。
中身が問題なければ茶菓子として並ぶだろう。
「では早速ですけれどご案内しますわ。我が家自慢の庭の奥に、良い場所がありますの。」
こちらへ、とアシェルが先導し、その後ろをデュークにエスコートされたリリアーデが続く。
人払いを頼んでいるので、庭に出た時にはもう三人だけだ。
「ふふ、リリィ。もういつも通りで大丈夫よ。」
借りてきた猫のように大人しいリリアーデに声をかけると、エスコートされるのを止めふーっと大きく息を吐いている。
あっという間に猫はどこかに走り去ったようだ。
「緊張したわ。お宅訪問なんて初めてだもの。デュークは緊張した?」
「緊張はしたけど、リリィほどじゃないと思う。逆にリリィが何かしでかさないかのほうが心配だった。あと、アシェが想像以上にお嬢様しててビックリした。多分、リリィより遥かにお嬢様だ。」
「もう、失礼だわ。」
ぷんぷんと頬を膨らませるリリアーデに笑いが起こり、そのまま庭園を軽く説明しながらガゼボに到着する。
ガゼボではイザベルが一人待ってくれていて、三人が着席したのにあわせて紅茶を淹れ、そのまま下がってくれた。
——準備さえしてもらっていれば最初からアシェルが全てやるつもりだったのだが、後で最初だけは体裁の為にイザベルが淹れる必要があったと説明を受けた。
「人払いをしているわ。お茶のお替りが欲しかったら、わたくしに言ってくださいね。」
保温器とポットはあるので、念のため保温気に魔力を充填しておく。
これでいつでも紅茶を淹れることができるだろう。
「ありがとうアシェ。それにしても今のメイドさん、お若い方ね。同い年くらいかしら?」
「えぇ、イザベルは私の乳母の娘だから同じ年よ。乳兄妹なの。」
「リリィよりよっぽどしっかりしてそうだね。」
「デューク、酷くない?」
「事実だろう?」
もーと頬を膨らませるリリアーデにくすくすと笑いが漏れる。
最初の話題はメイディー家の庭園についてだった。
「それにしても広いお庭ね。うちの領地は家っていうか、防衛用の砦って感じだし。タウンハウスはめったに来ないけど、こんなに庭は広くないわ。」
「あぁ、メイディー家の庭は特殊だと思うわ。邸に近いほうの庭園は観賞目的ですけれど、そこを過ぎれば薬草園になってるのよ。温室もありますわ。ここまで広い庭があるタウンハウスはうちくらいじゃないかしら。邸より庭の方が広いくらいよ。」
「へぇ、そういえばメイディー家って、特化した属性が無い代わりに凄く器用で錬金術が得意……なんだっけ?」
授業で習ったことを思い出すようにしながらリリアーデに問われ、うーんと頭を悩ませる。
「錬金が得意というか、そもそも錬金のためには細かい魔力操作が必要になるし。うちの加護の性質でマナポーションを自力で作れるかどうかが死活問題になるから……。必然的に得意になる感じかしら?」
「あれでしょ、錬金術ってフラスコとか試験管とか使って色が変わる液体を……間違えたらぼんっってやつ。」
「リリィの知識は偏ってるわ。それって絶対前世の記憶でしょ?」
くすくすと笑えば、そうよと開き直った様子のリリアーデ。
デュークは聞き役に徹している。
「違うわ。ちょっと待ってね。」
アシェルは『ストレージ』を開き、必要な薬草を取り出す。
「本当は器具を使って創薬するのだけれど、わたくしはもう器具なしで作れるからこのままやっちゃうわね。」
一度深く深呼吸して、頭の中で小さな『水球』を思い浮かべる。
描いた通りに浮かんだそこに材料を投入していく。
一つだけ投入しなかったものは『風魔法』でみじん切りにして、『回転する風』の塊の中で『乾燥』させておく。
水球の方を火魔法で『加熱』して沸騰させたら、水魔法の『冷気』をあててぬるま湯まで冷ましたところに、みじん切りにしておいた材料を投入。
そのままぐるぐる『水流でかき混ぜ』ながら『圧縮』し、薬液の濃度を上げていく。
土魔法で作った『ろ過機』を通してでてきた液体を薬瓶に詰めていく。
あっという間にマナポーションの出来上がりだ。
「ふぅ。これでマナポーションの出来上がり。確かに途中で少し色が変わったりしたけど、爆発要素はなかったでしょう?うっすら青いのがマナポーションよ。材料を替えればうっすら赤っぽいヒールポーションも作れるわ。」
できたマナポーションをプレゼントよ、とリリアーデの手に乗せてあげる。
双子は驚き固まってしまっているようだ。
「えっと。錬金はこんな感じなのだけれど。」
「すごい、すごいわアシェ!!魔法もすごいって思ってたけど、錬金もものすごくファンタジーだわ!なんかこう、理科の実験みたいなものだと思ってたのよ!」
「確かに、これだけのことがすんなりできるのか……。」
デュークからも感心したように呟かれ、恥ずかしくなってしまう。
「や、本来は理科の実験みたいなものよ?ただ、メイディー直系だと、練習すれば器具なしでもできるようになるっていうだけで……。挑戦する人もいるけど、魔力操作精度と魔力量とで断念するみたいだって聞いたわ。魔法を器具の代わりにしちゃってる感じかな。」
なるほど、と双子が同時に頷いた。
「そういえば、お茶会の度に魔物素材を欲しがるけれど、あれも薬の材料になるの?」
「えぇ、今のは庭にある薬草だけでできるけれど、魔物素材が必要なお薬も沢山あるわ。」
「冒険者登録したのよね?どんな感じ??」
「登録しただけで、ランクアップは目指してないから……ようやく研修期間が終わったから、次の冒険が楽しみなの。目的の素材が手に入って楽しいわ。冒険の後、手に入れた素材で実験するのがとても楽しいのよね。」
つい実験を思い出して、ふふふと笑いが浮かぶ。
「アシェってマッドサイエンティスト?」
「失礼ね。実験が好きなのは否定しないけれど。」
冗談めかしていえば笑いが漏れる。
「それって昔から?」
昔というのは前世のことを聞いているのだろうか。
「前世という意味ならノーね。勉強は必死にやってたけれど、特別化学が好きだったわけではないし。」
「そうそう、前世と言えば趣味はなに?」
「普段は勉強ばかりだけど、小説を読んだりしてたわね。」
「どんなの?わたくしはファンタジーとか、恋愛ものとか。なんならBLも行けるわ。」
わくわくと身を乗り出して聞いてくるリリアーデとは対照的に、デュークの顔が曇って行く。
今まで何度となく付き合ってきたであろうことを察して、助け船を出した。
「デューク、庭でよければ自由に散策してもらって構わないわよ。こういってはなんだけど、女同士の会話ってあっちこっちに話題が飛ぶから、男から見てあまり楽しめないと思うのよね。」
苦笑してそういえば、デュークはありがとう、と一言残して席を立った。
あまりにもすんなり立ち去ったので、余程長話に付き合うのが嫌だったと思われる。
「さぁ、話の続きにしましょう。」
後姿を見送った後リリアーデに向き直り、お喋りに花を咲かせる。
前世の趣味の話では、好みの男性の話になった。
もちろん二次元のだ。
「乙女ゲーのハーレムなんてありえないと思うけど、あれは二次元だからこそ胸キュンしちゃうわよね。いろんなタイプの男性から口説かれて愛を囁かれるって、現実ではありえないもの。」
「ゲームはやったことないけれど、小説ではよく見たわね。確かにいろんなタイプの男性から好かれて口説かれて……ありえないからこそ萌えるわよね。分かるわ、その気持ち。わたくしは長髪の男性に好みのタイプが多かったわね。」
「こっちと違って、ロン毛男子なんて二次元ならではだものね。わたくしは草食系より肉食系にガっと来てほしいわ。」
「俺様系?」
「んー。俺様ほどプライドは高くなくていいわ。年上でもショタでもいいから、グイグイ攻めてきてほしいわ。それにときめきたいの。キュン死しそうなほど萌えたいわ。」
「なるほど、それで肉食系なのね。……デュークはどんなタイプなの?」
「シスコン腹黒ね……過保護すぎるのよ。過保護って普通、お兄ちゃん属性じゃない?」
「まぁ、うちのお兄様達も過保護でシスコンだけど、腹黒設定はないかしら。ベタ甘溺愛系ね。」
「そういうアシェはどんな人がタイプなの?」
「クーデレとかツンデレかしら?こう……わたくしにだけデレてくれるギャップ萌えがいいのよね。あんなのは二次元だからこそぐっとくるものだけれど……実際にクーやツン状態のがいたら、恋愛フラグが立つ前にイライラする自信があるわ。」
「確かにね。ああいうキャラ設定はあくまでも二次元だからこそよねぇ。」
ふふふと二人でひとしきり笑う。
リリアーデと話せば話すほど、前世の趣味の記憶が少しずつ蘇ってきて楽しかった。
(辛い記憶ばかりでなくて良かったわ。)
お互いのカップが空になっているのを見て、新しい紅茶を注ぐ。
「そういえばなんでアシェは男装してるの?確かにキリっとした顔つきだから男装が似合うけど、ドレスでも十分可愛いわよ?前世では男の子だったとか、女性が好きとか?やたらと様になってるけど。」
「んんと、誓って前世は男じゃないし、女好きでもないわよ?れっきとしたノンケですからね?説明は難しいのだけれど。継母と良好な関係を築くために始めたのよね。今じゃすっかり慣れちゃって、ドレスを着たほうが落ち着かないくらいだわ。」
苦笑してみせれば、リリアーデも「そういえば後妻さんだっけ。」と呟いた。
「それに割と男装して過ごすのも気に入ってるのよね。皆と集まってお喋りするのも遊ぶのも楽しいし。王都組は毎月のように会ってるから、男同士って思ってもらった方が楽しめるし。エトなんて、女相手だと目に見えて手加減するでしょ?負ける気はないくせに。手加減の隙をついて勝っても嬉しくないもの。」
「ぷっ、たしかに。わたくし相手だと地味に動きが悪いものね。それに勝てないから余計にイライラしちゃうけど。魔法だけの対戦なら、絶対に負けない自信あるのに。」
「リリィは魔法使いタイプだったかしら?」
「そうよ。剣術や体術はあまり得意ではないわね。魔法ってスペルとかキーワード関係なく使えるじゃない?アシェなら分かってくれるかしら?」
恐る恐るという風に尋ねられる。
この世界の魔法は基本的に四節詠唱で、一節の魔法名までが詠唱短縮、そして言葉にせずに魔法を使うのは無詠唱と呼ばれる。
術式や詠唱文が決まっているような魔術は無詠唱でも発動しやすいし、別に決まっていない事象でもイメージ力と魔力があれば実現可能だ。
「えぇ、魔法はイメージ力だと思ってるわ。さっきの錬金だって、別に呪文を唱えたわけでは無くてイメージを発現させたものだもの。」
同意して見せるとほっとしたようだ。
「わたくしの推測だけれど、キーワードはその魔法の指向性や強さを確定して安定させるためのものってところじゃないかしら。呪文は足りない魔力やイメージ力を補うものでしょうね。魔術で組み上げられた魔法陣に魔力を通した状態を発現させる。という流れと一緒ね。」
「じゃあ無詠唱魔法はそういうのが一切ないから、イメージ力で魔力を練り上げて発現?」
「恐らくそうだと思うわ。該当するキーワードがない現象でも、頑張れば起こすことができるもの。魔力消費量が多くなるから、なるべくキーワードで唱えたほうが効率はいいけれどね。」
そう説明すれば、思い当たる節があるのかリリアーデの顔色が変わる。
魔力枯渇を起こす原因になっているのだろうと予測した。
「あまりデュークに心配かけないようにね?」
「はぁい。ところで前世の生活ってどんな感じだったの?」
「それはね……。」
こうやって色々な話をしながら、女子会の会話は弾んだ。
昨夜非公式お茶会から帰宅し、友人を家に招きたいと言うと。使用人たちは大慌てで準備を始めた。
こじんまりしたものだから大丈夫と伝えたものの、体裁というものがあるらしい。
そして朝一から気合をいれて準備されているアシェル。
「ねぇ、ベル?わたくし、ただお友達とお喋りするだけなのよ?」
髪を梳くイザベルに非難がましい声をかけてみるが、最近アシェルの部屋付き侍女にまで昇格した乳兄妹は、素知らぬ顔でブラシを滑らせている。
「それはそれ、これはこれです。アシェル様からドレスでお茶会に参加すると言われたときの使用人達の感動……!綺麗に飾り立ててみせますからね!」
ぐっとガッツポーズをするイザベルに、もう何を言っても聞きはしないとがっくり肩を落とした。
飾り立てるといっても、あくまでも個人的なガーデンパーティーのようなものなのだ。夜会のような盛装ではなく、どちらかというと晩餐会で着るようなレベルのものだ。
それでもピアスとネックレスはつけられた。
ピアスは一つがアークエイドに貰った漆黒の守護ピアス。
それとは別に、冒険者登録前に右耳に一つ穴を開けておいた。
せっかくお守りをくれたのに魔道具を付ける度に外すのもどうかと思い、ピアス型魔道具のために開けておいたのだ。
右耳にはチェーンでゆらゆら揺れるドロップ型のアメジストが揺れている。
細いチェーンのネックレスのペンダントトップもドロップ型でお揃いだ。
髪の毛はハーフアップでまとめられ、上半分は複雑に編み込まれている。
編み込む際にドレスに合わせた紫色の髪紐を編み込んだようで、うっすら青みがかって見える銀髪にアクセントを加えていた。
「お友達に気合入れすぎって思われないかしら……。」
「大丈夫です!私の渾身の出来ですので!まずはお義兄様方に見せてきてください。多分泣いて喜びますよ。」
アレリオンとアルフォードは今帰省中で家にいる。
アレリオンは夜会に参加するために。両親と共に馬車で夜会へ向かうようだ。
アルフォードは夜会に合わせて学院が休みなのを良いことに、アレリオンにくっついて帰ってきていた。
まだデビュタントを済ませていない上に成人していないので、夜会に出るわけではない。
成人を迎える来年にデビュタントをする予定だそうだ。
アビゲイルがノアールにアプローチをかけている最中なので、ノアールが断るか、成人を迎えるかのタイミングを選択したらしい。
「でも先程お兄様方にお客様がいらしてたわ。見せに行くのは少し無理じゃないかしら?」
「見せないほうが悲しまれると思いますよ。とくにアレリオンお義兄様は夜会の準備もあるので、本日はいつでも会えるわけではないですし。」
小さい時に一緒に可愛がってもらったので、イザベルは二人の兄のことを名前にお義兄様をつけて呼ぶ。
生まれはたったの一週間違いだが、アシェルにとってイザベルはお義姉さんのような存在だ。
イザベルは王立学院でアシェルの侍女として仕えるべく、8歳目前にしてメイディー家の使用人になり、ようやく許可が出てアシェルの侍女になった。
イザベル自身が伯爵家の娘なので、自分に侍女を付けて学院に通うこともできるのに、アシェルの侍女をすると言って聞かない。
サーニャからも迷惑じゃなければ好きにさせてやってほしいと言われてしまっては、お手上げ状態だ。
イザベルが言うのなら、と重い腰を上げた。
ズボンと違ってドレスは物理的にも重たい。
「とりあえず応接間の入り口で、声だけはかけますわ。」
「それがよろしいかと思います。」
にこっと微笑んだイザベルは扉を開けてくれた。
コンコンッ。
「ご来客中のところ失礼致します。アレリオン様、並びにアルフォード様はご在室でしょうか?」
応接間の前に立つと、イザベルがさっと要件を述べてくれる。
扉からエリックという、アレリオン付きの侍従が顔を覗かせた。
「お急ぎの御用でしょうか?」
エリックはぺこりとこちらに礼をして、さらに言葉を続ける。
「いえ、恐らくお嬢様がお急ぎなわけではないですね。少々お待ちいただけますか?」
「話が早くて助かります。」
エリックとイザベルは分かりあったように頷き合い、エリックは再び扉の奥に消える。
落ち着く間もなく、バンッと扉が開いて二人の兄が出てきた。
「いつもに増して可愛いね。ちゃんと見せに来てもらえて嬉しいよ。」
そう言いながら髪をひと房掬い、チュッとキスするアレリオン。
「うん、アメジストの輝きにも負けないくらいアシェは綺麗だな。イザベルよくやった。」
キラキラの笑顔を向けてアシェルの髪を撫でるアルフォード。
髪のセットが崩れないように、今日は頭ではなく髪を撫でることにしたようだ。
褒められたイザベルの表情は自信たっぷりの笑顔だ。
「盛装とまではいきませんが、アシェルお嬢様の晴れ舞台ですもの。初めてお友達を招かれるのですから。」
「夜会なんかの盛装だと、これ以上に着飾るの?これでも十分派手なのだけれど……。」
小さく抗議するが誰一人聞いてくれなかった。
曰く。更にレースや刺繍、宝石がついた煌びやかなドレスになるらしい。
べたべたに褒めまくってくれる兄達に客人を待たせて大丈夫なのか聞いたが、気にしなくていいと言われた。
来客は気心の知れた学友だろうか。
そうして数分廊下で立ち話をしていると、執事長のウィリアムから声がかかった。
「アシェルお嬢様、お客様がいらっしゃいました。」
「ありがとうウィル。お出迎えのあとは庭の一番奥にあるガゼボでお茶をしようと思うの。人払いだけしておいていただける?」
「了承いたしました。」
ぺこりと頭を下げウィリアムは下がる。
これで庭師や他の使用人とかち合うこともないだろう。
「ベルはお茶とお菓子の用意だけお願い。魔道保温機とお水の入ったポットを置いておいてくれたらいいわ。お茶はわたくしが淹れるから。」
「かしこまりました。準備の為に下がらせていただきます。」
イザベルもぺこりと礼をしてキッチンの方へ消えていく。
「初めての社交頑張ってね。楽しんでおいで。」
「まぁ、友人だからそこまで気負わなくて大丈夫だ。困ったことがあったら俺達を呼んでくれたらいいからな。」
二人の兄に激励され、お兄様達にもお客様が来てるのに呼べないと思いつつ、ありがとうございます。と微笑みを残して玄関へと向かった。
「いらっしゃい、リリアーデ。デューク。歓迎するわ。」
使用人の手で玄関扉が開かれ、リリアーデとデュークの姿が目に入る。
アシェルの挨拶とカーテシーが終わると、今度はデュークが口を開いた。
「この度はお招きいただきありがとうございます。デューク・シルコットとリリアーデ・シルコットです。本日はよろしくお願いします。」
二人同時に優雅な礼を披露する。
二人とも正装しており、普段の非公式お茶会で見るよりキラキラしている。アシェルだけが着飾りすぎてないことにほっとした。
「こちらささやかな品ですが、お受け取りくださいませ。」
リリアーデが差し出した紙袋は使用人の手に渡った。
中身が問題なければ茶菓子として並ぶだろう。
「では早速ですけれどご案内しますわ。我が家自慢の庭の奥に、良い場所がありますの。」
こちらへ、とアシェルが先導し、その後ろをデュークにエスコートされたリリアーデが続く。
人払いを頼んでいるので、庭に出た時にはもう三人だけだ。
「ふふ、リリィ。もういつも通りで大丈夫よ。」
借りてきた猫のように大人しいリリアーデに声をかけると、エスコートされるのを止めふーっと大きく息を吐いている。
あっという間に猫はどこかに走り去ったようだ。
「緊張したわ。お宅訪問なんて初めてだもの。デュークは緊張した?」
「緊張はしたけど、リリィほどじゃないと思う。逆にリリィが何かしでかさないかのほうが心配だった。あと、アシェが想像以上にお嬢様しててビックリした。多分、リリィより遥かにお嬢様だ。」
「もう、失礼だわ。」
ぷんぷんと頬を膨らませるリリアーデに笑いが起こり、そのまま庭園を軽く説明しながらガゼボに到着する。
ガゼボではイザベルが一人待ってくれていて、三人が着席したのにあわせて紅茶を淹れ、そのまま下がってくれた。
——準備さえしてもらっていれば最初からアシェルが全てやるつもりだったのだが、後で最初だけは体裁の為にイザベルが淹れる必要があったと説明を受けた。
「人払いをしているわ。お茶のお替りが欲しかったら、わたくしに言ってくださいね。」
保温器とポットはあるので、念のため保温気に魔力を充填しておく。
これでいつでも紅茶を淹れることができるだろう。
「ありがとうアシェ。それにしても今のメイドさん、お若い方ね。同い年くらいかしら?」
「えぇ、イザベルは私の乳母の娘だから同じ年よ。乳兄妹なの。」
「リリィよりよっぽどしっかりしてそうだね。」
「デューク、酷くない?」
「事実だろう?」
もーと頬を膨らませるリリアーデにくすくすと笑いが漏れる。
最初の話題はメイディー家の庭園についてだった。
「それにしても広いお庭ね。うちの領地は家っていうか、防衛用の砦って感じだし。タウンハウスはめったに来ないけど、こんなに庭は広くないわ。」
「あぁ、メイディー家の庭は特殊だと思うわ。邸に近いほうの庭園は観賞目的ですけれど、そこを過ぎれば薬草園になってるのよ。温室もありますわ。ここまで広い庭があるタウンハウスはうちくらいじゃないかしら。邸より庭の方が広いくらいよ。」
「へぇ、そういえばメイディー家って、特化した属性が無い代わりに凄く器用で錬金術が得意……なんだっけ?」
授業で習ったことを思い出すようにしながらリリアーデに問われ、うーんと頭を悩ませる。
「錬金が得意というか、そもそも錬金のためには細かい魔力操作が必要になるし。うちの加護の性質でマナポーションを自力で作れるかどうかが死活問題になるから……。必然的に得意になる感じかしら?」
「あれでしょ、錬金術ってフラスコとか試験管とか使って色が変わる液体を……間違えたらぼんっってやつ。」
「リリィの知識は偏ってるわ。それって絶対前世の記憶でしょ?」
くすくすと笑えば、そうよと開き直った様子のリリアーデ。
デュークは聞き役に徹している。
「違うわ。ちょっと待ってね。」
アシェルは『ストレージ』を開き、必要な薬草を取り出す。
「本当は器具を使って創薬するのだけれど、わたくしはもう器具なしで作れるからこのままやっちゃうわね。」
一度深く深呼吸して、頭の中で小さな『水球』を思い浮かべる。
描いた通りに浮かんだそこに材料を投入していく。
一つだけ投入しなかったものは『風魔法』でみじん切りにして、『回転する風』の塊の中で『乾燥』させておく。
水球の方を火魔法で『加熱』して沸騰させたら、水魔法の『冷気』をあててぬるま湯まで冷ましたところに、みじん切りにしておいた材料を投入。
そのままぐるぐる『水流でかき混ぜ』ながら『圧縮』し、薬液の濃度を上げていく。
土魔法で作った『ろ過機』を通してでてきた液体を薬瓶に詰めていく。
あっという間にマナポーションの出来上がりだ。
「ふぅ。これでマナポーションの出来上がり。確かに途中で少し色が変わったりしたけど、爆発要素はなかったでしょう?うっすら青いのがマナポーションよ。材料を替えればうっすら赤っぽいヒールポーションも作れるわ。」
できたマナポーションをプレゼントよ、とリリアーデの手に乗せてあげる。
双子は驚き固まってしまっているようだ。
「えっと。錬金はこんな感じなのだけれど。」
「すごい、すごいわアシェ!!魔法もすごいって思ってたけど、錬金もものすごくファンタジーだわ!なんかこう、理科の実験みたいなものだと思ってたのよ!」
「確かに、これだけのことがすんなりできるのか……。」
デュークからも感心したように呟かれ、恥ずかしくなってしまう。
「や、本来は理科の実験みたいなものよ?ただ、メイディー直系だと、練習すれば器具なしでもできるようになるっていうだけで……。挑戦する人もいるけど、魔力操作精度と魔力量とで断念するみたいだって聞いたわ。魔法を器具の代わりにしちゃってる感じかな。」
なるほど、と双子が同時に頷いた。
「そういえば、お茶会の度に魔物素材を欲しがるけれど、あれも薬の材料になるの?」
「えぇ、今のは庭にある薬草だけでできるけれど、魔物素材が必要なお薬も沢山あるわ。」
「冒険者登録したのよね?どんな感じ??」
「登録しただけで、ランクアップは目指してないから……ようやく研修期間が終わったから、次の冒険が楽しみなの。目的の素材が手に入って楽しいわ。冒険の後、手に入れた素材で実験するのがとても楽しいのよね。」
つい実験を思い出して、ふふふと笑いが浮かぶ。
「アシェってマッドサイエンティスト?」
「失礼ね。実験が好きなのは否定しないけれど。」
冗談めかしていえば笑いが漏れる。
「それって昔から?」
昔というのは前世のことを聞いているのだろうか。
「前世という意味ならノーね。勉強は必死にやってたけれど、特別化学が好きだったわけではないし。」
「そうそう、前世と言えば趣味はなに?」
「普段は勉強ばかりだけど、小説を読んだりしてたわね。」
「どんなの?わたくしはファンタジーとか、恋愛ものとか。なんならBLも行けるわ。」
わくわくと身を乗り出して聞いてくるリリアーデとは対照的に、デュークの顔が曇って行く。
今まで何度となく付き合ってきたであろうことを察して、助け船を出した。
「デューク、庭でよければ自由に散策してもらって構わないわよ。こういってはなんだけど、女同士の会話ってあっちこっちに話題が飛ぶから、男から見てあまり楽しめないと思うのよね。」
苦笑してそういえば、デュークはありがとう、と一言残して席を立った。
あまりにもすんなり立ち去ったので、余程長話に付き合うのが嫌だったと思われる。
「さぁ、話の続きにしましょう。」
後姿を見送った後リリアーデに向き直り、お喋りに花を咲かせる。
前世の趣味の話では、好みの男性の話になった。
もちろん二次元のだ。
「乙女ゲーのハーレムなんてありえないと思うけど、あれは二次元だからこそ胸キュンしちゃうわよね。いろんなタイプの男性から口説かれて愛を囁かれるって、現実ではありえないもの。」
「ゲームはやったことないけれど、小説ではよく見たわね。確かにいろんなタイプの男性から好かれて口説かれて……ありえないからこそ萌えるわよね。分かるわ、その気持ち。わたくしは長髪の男性に好みのタイプが多かったわね。」
「こっちと違って、ロン毛男子なんて二次元ならではだものね。わたくしは草食系より肉食系にガっと来てほしいわ。」
「俺様系?」
「んー。俺様ほどプライドは高くなくていいわ。年上でもショタでもいいから、グイグイ攻めてきてほしいわ。それにときめきたいの。キュン死しそうなほど萌えたいわ。」
「なるほど、それで肉食系なのね。……デュークはどんなタイプなの?」
「シスコン腹黒ね……過保護すぎるのよ。過保護って普通、お兄ちゃん属性じゃない?」
「まぁ、うちのお兄様達も過保護でシスコンだけど、腹黒設定はないかしら。ベタ甘溺愛系ね。」
「そういうアシェはどんな人がタイプなの?」
「クーデレとかツンデレかしら?こう……わたくしにだけデレてくれるギャップ萌えがいいのよね。あんなのは二次元だからこそぐっとくるものだけれど……実際にクーやツン状態のがいたら、恋愛フラグが立つ前にイライラする自信があるわ。」
「確かにね。ああいうキャラ設定はあくまでも二次元だからこそよねぇ。」
ふふふと二人でひとしきり笑う。
リリアーデと話せば話すほど、前世の趣味の記憶が少しずつ蘇ってきて楽しかった。
(辛い記憶ばかりでなくて良かったわ。)
お互いのカップが空になっているのを見て、新しい紅茶を注ぐ。
「そういえばなんでアシェは男装してるの?確かにキリっとした顔つきだから男装が似合うけど、ドレスでも十分可愛いわよ?前世では男の子だったとか、女性が好きとか?やたらと様になってるけど。」
「んんと、誓って前世は男じゃないし、女好きでもないわよ?れっきとしたノンケですからね?説明は難しいのだけれど。継母と良好な関係を築くために始めたのよね。今じゃすっかり慣れちゃって、ドレスを着たほうが落ち着かないくらいだわ。」
苦笑してみせれば、リリアーデも「そういえば後妻さんだっけ。」と呟いた。
「それに割と男装して過ごすのも気に入ってるのよね。皆と集まってお喋りするのも遊ぶのも楽しいし。王都組は毎月のように会ってるから、男同士って思ってもらった方が楽しめるし。エトなんて、女相手だと目に見えて手加減するでしょ?負ける気はないくせに。手加減の隙をついて勝っても嬉しくないもの。」
「ぷっ、たしかに。わたくし相手だと地味に動きが悪いものね。それに勝てないから余計にイライラしちゃうけど。魔法だけの対戦なら、絶対に負けない自信あるのに。」
「リリィは魔法使いタイプだったかしら?」
「そうよ。剣術や体術はあまり得意ではないわね。魔法ってスペルとかキーワード関係なく使えるじゃない?アシェなら分かってくれるかしら?」
恐る恐るという風に尋ねられる。
この世界の魔法は基本的に四節詠唱で、一節の魔法名までが詠唱短縮、そして言葉にせずに魔法を使うのは無詠唱と呼ばれる。
術式や詠唱文が決まっているような魔術は無詠唱でも発動しやすいし、別に決まっていない事象でもイメージ力と魔力があれば実現可能だ。
「えぇ、魔法はイメージ力だと思ってるわ。さっきの錬金だって、別に呪文を唱えたわけでは無くてイメージを発現させたものだもの。」
同意して見せるとほっとしたようだ。
「わたくしの推測だけれど、キーワードはその魔法の指向性や強さを確定して安定させるためのものってところじゃないかしら。呪文は足りない魔力やイメージ力を補うものでしょうね。魔術で組み上げられた魔法陣に魔力を通した状態を発現させる。という流れと一緒ね。」
「じゃあ無詠唱魔法はそういうのが一切ないから、イメージ力で魔力を練り上げて発現?」
「恐らくそうだと思うわ。該当するキーワードがない現象でも、頑張れば起こすことができるもの。魔力消費量が多くなるから、なるべくキーワードで唱えたほうが効率はいいけれどね。」
そう説明すれば、思い当たる節があるのかリリアーデの顔色が変わる。
魔力枯渇を起こす原因になっているのだろうと予測した。
「あまりデュークに心配かけないようにね?」
「はぁい。ところで前世の生活ってどんな感じだったの?」
「それはね……。」
こうやって色々な話をしながら、女子会の会話は弾んだ。
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