氷の王子様と微笑みの男装令嬢

芯夜

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第三章 王立学院中等部二年生

175 スタンピードに備える③

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Side:アシェル13歳 秋



「——以上が、冒険者や騎士団なども含めた配置予定だよ。」

大体の補給地点や救護地点が分かれば問題なかったのだが、思いのほか詳しく説明をしてくれた。
それもキルルやアベルたちがどこに配置されているかや、アシェル達の近くで戦う予定の顔見知りまで。というよりも、アシェル達が配属される予定地には、顔見知りしかいない。

まさかのグレイニールやアレリオンも、そしてアルフォードとアビゲイルまで、アシェル達が配置される激戦区に配置予定のようだ。
王家とメイディーの跡継ぎたちが、こぞって最前線で良いのだろうか。

エラートもマリクも一人っ子なので跡取りな上に、親であるロバートとキルルまで配置されている。まかり間違ってロバートとエラートが戦死などしたら、カドラス侯爵家は途絶えてしまう。

「分かりました。私達のパーティーがここですよね。最前線なのに、グレイ殿下もこちらで戦うのですか?」

「陛下は後ろだけれど、前線の戦力を少なくするわけにはいかないしね。」

「……分かりました。この範囲で僕らの結界を作りますので、殿下たちはここで補給して下さい。【朱の渡り鳥】にサポーターが居るのは分かっていることなので、元よりそのつもりだったと思いますが。それと、僕らの左右に一つずつ、一列後ろに四つの、計六つの使い捨てスクロールを用意します。これで範囲的には覆えますし、綺麗に張れば王都まで魔物は流れません。最前線は崩れたとしても最悪結界内で戦えば、それなりに対応はできるでしょう。如何でしょうか?」

地図の上をトントンと指し示していき、魔法の光で結界予定地を描いていく。

最前線の三つは間に少しずつ間を開けて、ぶつからなかった敵は後ろに流れるようになっている。
この最前線にはCランク以上の冒険者や、騎士団でも1~3までの騎士団と、魔法庁からもベテランが配置されている。

その後ろの列は結界を四つ、横繋ぎで隙間を無くすことで、冒険者達を通過しなくては王都まで辿り着けない仕組みだ。幻惑ファントムがかかっているので、上手く王都から引き返らせることができるはずだ。
仮に通り過ぎても、王都の門近くには第6騎士団が配置されている。

後列には冒険者ランクが低めだったり、騎士団や魔法庁の人間でも下の方の人員が配置されている。
頭数だけは多そうなので、一人一人の火力ではなく人海戦術でどうにかするのが目的だろう。

「そうだね。その配置が一番無駄が無く、もし魔物が通過しても被害が一番少ないと思うよ。アシェル殿が良いのであれば、その六つをお願いしたい。」

「分かりました。向こうで書き上げるので、トーマに僕らの配置位置の人員構成だけ教えて貰っても良いですか?救護テントなんかも、どんな道具をどれくらい持ち込むかなどを言っていただけたら、トーマが上手く采配してくれると思いますので。」

「分かった。手間をかけてしまってすまない。」

「いいえ、こちらこそすみませんでした。本来であれば、すんなり提供するべきなのは分かっているのですが、やはり僕の術式を知らない人が使うことに抵抗があるので。」

「いや、それはどんな術式研究者でも一緒だと思うよ。メイディーの薬のレシピと一緒だろう。アシェル殿が気にすることではない。」

「ありがとうございます。」

個室にかけていた防音サイレス解除キャンセルして、皆の待つテーブルへと戻る。

「お待たせ。僕は今からスクロールを書くから、申請だけしておいてもらっていい?あと、トーマ。グレイ殿下から、補給地点の説明とか受けてね。」

「分かりました。よろしくお願いします。」

しっかりとグレイニールに頭を下げたトーマを見て癒されて、アシェルは冒険者タグをアークエイドに預けた後、『ストレージ』から取り出した羊皮紙に術式を書き連ねていく。

アーニャが後ろまで来て覗き込んでいるが、流石にこれは見ても理解できないだろう。

今描いている術式はダミーをかなりたっぷりと含んでいる、嫌がらせの塊のような術式だ。
なんなら、本来の術式の方が描かれている量は少なくなる予定だ。

「アーニャも術式に興味があるの?……残念ながら、これを見ても全く分からないと思うんだけど。」

「はっ、お邪魔してすみません。興味はあるんですけど、まずは基礎から学ぶことすら難しくて。」

「さすがに平民向けの学校でも魔法に関して詳しくは教えてないだろうし、術式となると知らない人の方が多いだろうからね。今度、アーニャのよく使うウィンドカッターの術式で良ければ教えてあげるよ。詠唱もだけど、術式を理解すれば、どんな応用が出来るかの理解も深まるからね。基本の術式通りに発動させるのが4節詠唱で、その基本をさらに応用させることが出来るって思ってもらったら良いのかな。」

手を止めることなく話し続けるアシェルに、アーニャが是非!と熱意を伝えてくる。
アーニャの魔法好きは、術式にまで及ぶのかと感心する。

前に一節詠唱に成功したと言っていたが、もう無詠唱も出来るんじゃないだろうか。
そうなると、きっと術式の理解をすれば、さらに状況に合わせた使い方が出来るようになって便利だろう。

「じゃあ、スタンピードが終わってもまだ夏休みが残ってたら、講義してあげる。楽しみにしてて。あと、これは見ても無駄だから覚えようとしないでね。意味ないものが多いから。」

「分かりました。楽しみにしてますねっ。えへへ、魔法のことがもっと知れるっ。」

スキップしそうな喜びようで、アーニャが自分の席へと戻っていく。

その間にバンが合同パーティーでの受注処理をしてくれ、薬品の配布や注意事項の伝達、さらにはアシェル達の位置で戦うグループの説明までしてくれている。

それを聞き流しながら、黙々と羊皮紙に万年筆を滑らせていく。



気付けばスクロールを描くことに夢中になりすぎて、6枚目を描き終えた時には各自飲み物と軽食を用意してつまんでいた。
どれくらい時間が経ったのだろうか。

「アシェ、お疲れ様。飲み物は温かいのと冷たいの、どっちが良いかい?」

「アン兄様、ありがとうございます。じゃあ、温かいので。」

アレリオンが紅茶を淹れてくれている間に、出来上がった6枚の羊皮紙をグレイニールへと渡す。

「グレイ殿下、こちらが結界スクロールになります。市販のものと同じで、このマークを予定地の四隅へ、その上に魔石を置いてください。使い捨てですので、効果が切れた後は術式が消えるようになっています。延長する場合は、必ず丸七日経つ前に魔力を補充してください。効果や消費魔力量などの説明は要りますか?」

「本当にありがとう、アシェル殿。先程話していた内容と変わりないなら、説明は不要だよ。これだけで非戦闘員の生存率が格段に上がる。医療班を各所に待機させることが出来るから、重傷者の生存率もだ。」

「それは良かったです。」

「はい、どうぞ。余計な労働をさせちゃってごめんね。何か欲しいものはあるかい?可能な限り、アシェの好きなものを用意するけど。」

コトリと目の前に淹れたての紅茶が置かれる。

それとお皿に入ったサンドイッチが置かれた。
パンが主食なので、サンドイッチは皆よく食べている。きっと前世のおにぎり的な位置づけなのだろう。

最初から金銭を提示しないのが、アシェルのことをよく分かっているなと思う。

「でしたら僕の好きなチョコレートケーキを、寮まで持ってきてください。今回の報酬はそれで良いです。」

「そんなことで良いのかい?」

メイディー邸へ帰らずして、アシェルの大好きな料理長お手製のチョコレートケーキの補充が出来るのだ。
アシェルにとって、お金よりもチョコレートケーキのデリバリーの方が嬉しい。

「はい。部屋に来たついでに充電させてもらえると、もっと嬉しいです。」

「ふふ、可愛いお願いだね。それくらいお安い御用だよ。ついでにチョコレートケーキに合う茶葉を持って、今夜お邪魔させてもらおうかな。邸で見かけてないけど、イザベルはどうしてるの?」

「……ベルには暇を出したんですけど……遊びに来てますって言って、僕の部屋に居ます。皆で僕の部屋で寝泊まりしてるんで、皆のお世話してますよ。」

「じゃあイザベルの好きなイチゴのタルトも、追加で持っていくよ。大人数ならたっぷりとね。」

「ベルも喜ぶと思います。」

「これだけの仕事をしてもらって、金銭などではないのか?」

グレイニールは少し困惑しているが、アシェルはお金の稼ぎ口には困っていない。
錬金で作った薬を売ったり、冒険者業で稼いだりと、やりようはあるのだ。それに錬金の素材を買う以外に、お金を使う趣味もない。

「定期的に薬を販売してるので、収入は十分なんです。」

そんなアシェルの言葉に、ガルドが「そんな言葉言ってみてぇ。」と言っている。
だが、冒険者は必要物品の用意や維持にお金がかかるが一般市民よりも実入りは良いので、ガルド達でも富裕層になるはずだ。

「それじゃあ、思ったよりも収穫が多かったし、そろそろ私達は城に戻ろうかな。トーマ殿。当日は知らない人間ばかりで迷惑をかけるかもしれないが、宜しく頼む。」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

グレイニールの言葉に臆することもなく、トーマがにこりと笑って返事をしている。
ガルドとは大違いだ。

「じゃあね、アシェ。また今夜に。」

「はい、アン兄様。また後で。」

アシェルもアレリオンに別れを告げ、アシェルがスクロール書きに没頭している間に雑談で仲良くなっている面々を見る。

女性陣とリリアーデは三人で固まってお喋りを楽しんでいるし、デュークもガルドやジンと打ち解けているようで言葉を交わしている。
バンは既に居なかった。

「トーマ。当日は僕らの知り合いが大勢なんだけど、準備とか必要な事があったら教えてね。こっちで用意できる物資なら、ちゃんと用意するから。」

「いいえ、殿下から話を聞きましたが、あちらで用意していただくモノや人材を考えると、僕の手持ちで十分ですよ。ありがとうございます。なんていうか……凄く豪華なんですね。豪華すぎて大丈夫なのか心配なんですけど。皆さん聞いてたんですが、あんまり心配してなさそうなんですよね。」

「うん。実力とか殲滅速度の問題だろうけど……僕も豪華すぎてちょっと心配なんだよね。」

「ですよね。そうでなくても【宵闇のアルカナ】のお二人は第一子ですし。【エアリアル】のお二人は第一子と第二子で婚約者なので、二人揃ってですもんね。」

トーマもアシェルと同じことを心配しているらしい。
貴族じゃないのに気付いてくれて、さらに心配してくれるなんて、本当にトーマは良い子だ。

「何が心配なんだ?」

「アークは気にならないの?……僕らの最前線、まかり間違って全滅しようものなら、跡取りが居なくなる家も、途絶える家もあるんだけど。しかも王族が三人とも最前線って……これ、どうにかならなかったの?」

「あぁ、そんなことか。これだけの豪華メンバーで、全滅したほうが奇跡だ。」

確かに戦力的にはかなり高いだろう。

王立学院生で野外実習に出ていて脱落しなかった生徒の一部が、有志で参加してくれている。

加護持ちも居れば、高位貴族が多く魔法も色々使えるし、武術系もしっかり幼少のころから習っている者も多い。
魔法に関しては、それこそ強烈な攻撃魔法から、嫌がらせ系の魔法、仲間を強くする支援系までバリエーション豊かに使うことが出来るだろう。

なんならメイディーの三人は、恐らく高位貴族の膨大な魔力量で攻撃魔法を使うであろうアビゲイルとリリアーデの予備魔力タンクにもなれる。
還元率的に、緊急時の対応になるだろうが。

そこに加わる【朱の渡り鳥】は居心地が悪いだろうが、彼らはBランクだし高位貴族と面識があるのはプラスになるだろう。キルルなんてSランク冒険者だ。
やはり王都には高ランク冒険者は居ないらしく、左右の配置になっている冒険者たちにCランクが多く配置されていた。

ロバートは第一騎士団の精鋭数名と、第一騎士団長のコンラート公爵、息子のダリルも参戦予定だそうだ。
ここにエラートとガルドを加えて、交代で攻撃を捌く盾役をこなすらしい。
上手く魔物の攻撃を捌くにはコツや連携も必要なので、下手に他の生徒が参加しない方が邪魔にならなくて良いだろう。

冒険者のサポーターをこなしているのはトーマだけだが、救護テントにはリリアーデ達の妹で、グレイニールの婚約者であるシルフィードも来るらしい。
医療班はシルフィードが普段から共に仕事をしているスタッフで、腕には自信があるそうだ。

メルティーも補給部隊として動くらしい。前線に居るのは心配だが、結界の中なら少しは安心できる。

「まぁね。でも、まさかティエリア先輩とカナリア嬢。イザーク君にミルル先輩にユーリ先輩って……これ、絶対【シーズンズ】繋がりで、団体様で申し込んできたでしょ。確かに皆、野外実習には参加してたし、脱落もしてないから有志だけど……。ティエリア先輩も王立学院生の有志で良いのかな……。まぁアン兄様とグレイ殿下もOBだし括り的には一緒か。おやっさんと、ユリウス先輩が一緒なのも大丈夫なの?冒険者ギルドの跡取り居なくならない??ユリウス先輩のお姉さんはもう結婚してるから、最悪養子取ればどうにかなるのかな……。あと……僕はベルが来るなんて聞いてない。アン兄様も知らないっぽかったから、グレイ殿下は僕だけに情報を教えてくれたのかな……。」

皆がどういう話を聞いているのか分からないが、アシェルの思う疑問点や心配点をつらつらと口にする。
分からないことや気になることがあれば聞かれるだろう。

「イザベルもか?さっきの兄上の話しでは聞いてないが……。いや、王立学院生の有志と言っていたな。もしかしてそこか?」

「そうじゃないかな。今回は暇を出しても、頑なに残るって言ってたから。最初から一緒に来るつもりだったんだろうね。」

きっとイザベルは、事前にアシェルに言ったら反対されると思って隠していたのだろう。

間違いなく反対するし、今だってどうにか説得して最前線になんて来ないで欲しい。
グリモニアとアベルの居る後方に、補給部隊として配置でも良いんじゃないかと思う。

「……ベルのこと考えると他のことが考えられなくなるから、とりあえず後で考えよう……。基本的な戦い方は変わらないと思うけど、想像以上に豪華すぎるから、一番激戦区だけど少しは休む時間も取れそうだよね。」

「少しどころじゃない。上手く回せば負傷者を除いても、普段の野営での仮眠程度には睡眠を取れるぞ。三の森の魔物の強さを考えると、かなり余裕があると思う。勿論向こうは数で攻めてくるから、負傷する恐れはあるけど。」

「正直羨ましいくらいの戦力だわ。流石に地方じゃ、魔法を使える人間は限られているもの。高ランクの冒険者に魔法使いは居るには居るけれど、アシェみたいにバフをかけてくれる人ってまずいないしね。それに結界みたいな安全エリアがあるのは大きいわ。」

スタンピード経験者の双子からお墨付きを貰える。
こうやって備えが十分かどうか知れるだけでも、気持ち的にかなり助かる。

「バフについては魔力操作もだけど、人体の構造をしっかり理解と把握してないと使えないからね。リリィなら、練習すれば使えるようになると思うけど?」

「私には無理よ。必要最低限のことは分かるけれど、別に人体に詳しい訳じゃ無いもの。傷の処置は出来ても、人間の身体機能や伝達物質なんかは専門外だわ。それに繊細な魔力操作は苦手なのよ。それならまだ、シルの方が見込みあるわよ。」

「リリィは大雑把だし、興味がないことは全く覚える気が無いからな。僕もリリィには無理だと思う。」

「事実とは言え、なんだかデュークに言われるとイラっとするわね。」

「アシェルさんっ。それって、私も練習したら使えるようになりますか??」

「アーニャとトーマも、頑張って勉強すれば使えるようになるかもしれないけど……。それにはまず、最低限ヒールで傷を綺麗にできるようになるところから始めないとダメかな。ヒールで綺麗に組織の再生を出来ないようだと、人体への理解が足りてないからね。練習するなら、冒険者ギルドの講習会への参加がおすすめだよ。」

「なるほど。もし参加できそうなときがあったら行ってみますね。」

アーニャの向上心は本当に微笑ましい。

ヒールは使えるようになると便利だが、しっかり基本を叩きこんでおかないと表面だけ傷が閉じて、中は悲惨なんていうこともあり得る。
是非しっかり勉強した上で使ってほしい魔法の一つだ。

「しっかし、アシェルは頭良いんだな。魔法の術式もそうだし、さっきのおやっさんの名前から写真がどうのって言ってたのも、覚えてたってことだろ?」

「貴族名鑑ってなんか分厚い奴だよな。チラッと見かけたことあるけど、あれを一部でも咄嗟に思い出せるってすげぇよな。まるでみたいだぜ。」

ガルドの言葉に続いたジンの言葉に、アシェルはピクリと反応する。

決して嫌味で言っているわけではないのは分かっている。だが、ジンにとっては誉め言葉だったとしても、にとっては嫌味でしかない。
——散々言われた軽蔑を籠めた言葉だ。

「ジンさん!アシェルさんに謝ってくださいっ、早くっ。」

トーマが珍しく慌てているが、ジンにはきっといつも通りの、優しく微笑んでいるアシェルに見えているに違いない。

幼馴染達はさすがに緊迫した空気に気付いたようで、そっと【朱の渡り鳥】のメンバーを庇う配置に付いたのが分かる。

「アシェ、大丈夫か?少し席を外すか?」

慌てて駆け寄ってきたアークエイドにそう言われるが、アシェルは首を振る。

「ううん、大丈夫。だけど、ジン。」

真っすぐにジンを見て名前を呼べば、何故空気が変わったのかが分かっていない姿が眼に入る。

「な、なんだ。俺なんかまずいこと言っちまったか?」

「悪気がないのは分かってるんだけど……。モノ扱いしないでくれるかな?歩いたり動いたりする事典や電卓扱いされるの、大嫌いなんだよね。今回は許すけど、次は無いから。」

「悪かったっ。二度とそんな風に言わねぇから。」

何がアシェルの地雷を踏みぬいたのかを理解したジンが、慌てて頭を下げて謝ってくれる。

「うん。次は気を付けてくれたら良いから。今回はちゃんと誉め言葉として受け取っておくよ。ありがとう。」

にこっとお礼を言ったアシェルに、幼馴染達とトーマが安堵する。

「あぁ、本当にすまない。」

「ううん、もう気にしないで。それより、ビースノートで何か面白いこと無かったの?あ、トーマ。素材はスタンピードが終わったら貰うから、もう少し預かっててね。今新しい素材を貰っちゃうと、実験室から離れたくなくなっちゃうから。」

「分かりました。預かっているお金はどうしますか??」

「それも素材と一緒で良いよ。」

「ビースノートって、かーさんの国だけど、行ったことないんだよねー。やっぱり人族には寒かったー?」

獣人の国なので、純血なら自前の毛皮があって寒さはそこまで気にならないらしい。

だがそこを訪れるハーフや多種族は、それなりに対策をして行かなくてはいけない国だ。

「私達はしっかり防寒着を着こんで行ったわよ。それでも寒かったわ……霜焼けが出来ちゃって、弓を引きにくくて困っちゃったのよ。」

「こっちだと魔物討伐に火魔法は厳禁ですけど、向こうは逆に推奨してるんですよね。熱さに弱い魔物が多いし、ちょっとくらい火を使っても極寒なのですぐに消えちゃうんですよ。」

ユウナとアーニャの言葉を皮切りに、魔の森やダンジョンとは違う魔物の生態や、ランクアップクエストのことなどを色々話してくれた。

それよりも楽しかったのは、移動の乗合馬車の話だった。
各地に移動する旅人から聞いた話を、アシェル達にも教えてくれる。

ナイトレイ地方というよりも、王都と魔の森くらいにしか行ったことのないアシェルには、どの話も真新しいことで楽しかった。

こうしてしっかりとお互い交流をして、アシェル達は王立学院へと戻った。
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