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第三章 王立学院中等部二年生
201 話し合いと婚約式①
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Side:アシェル14歳 冬
早々に邸から呼び出しがかかると思っていたのに、邸に帰るように指示されたのは終業式の日だった。
つまり、二月の最終週に入ったところだ。
アルフォードは既に卒業式を終えて邸に帰っているので、メルティーとイザベル、マルローネの四人で邸に帰省する。
『おかえりなさいませ。』
イザベルとマルローネの開けてくれた玄関では、使用人達が並んでいて挨拶をしてくれる。
正門を通るので使用人達に連絡が行くのは仕方ないことではあるのだが、アシェルはこの大勢に頭を下げられるのが苦手だ。
「ただいま。」
「ただいまです。」
アシェルが下がって良いという言葉の代わりに手を振ると、さっと使用人達はそれぞれの持ち場へ戻っていく。
アシェル一人なら正門で出迎えは要らないと言づけるのだが、他の三人もいる中ではそれは難しかった。
というよりも、提案して既に却下された後だ。
メルティーはメルティーだけなら出迎えは要らないが、アシェルが居るから使用人の出迎えは必要だと言い。
イザベルとマルローネは、二人の為に使用人が出迎えるのは当たり前のことだと言う。
作業の手を止めさせてまで出迎えをさせなくてもと思うのだが、大人しく出迎えは受けろとイザベルにこんこんと説得されたのだ。
「アシェル様。メルティーお嬢様。荷ほどきとお着替えがお済みになったら、サロンまでくるようにと、旦那様から伝言を預かっております。」
一人残った老齢の執事長ウィリアムが、アベルからの伝言を伝えてくれる。
いつもなら家族の誰か一人くらい出迎えに来るのだが、居ないのは伝言があったからだろうか。
既にサロンに集まってしまっている可能性もある。
「分かった。ありがとう、ウィル。メル、部屋で着替えておいで。僕も着替え終わったら、部屋まで迎えに行くから。」
帰路の馬車の中から少し不安げなメルティーに優しく促せば、マルローネと数人の使用人と一緒に部屋の中へと消えていく。
それを見送って、アシェルも自室へと戻る。
邸に戻ると、アシェルの行く先々でイザベルが。居ない時はその辺りの使用人が扉を開けてくれる。人力自動ドア状態だ。
「アシェル様。お召し物はどうなさいますか?」
イザベルに問われて、アシェルは少し悩む。
夜であれば少し煌びやかな服だし、邸に居た頃のお茶会であれば、それぞれ普段着で参加していた。
ただサロンに既にアベルたちが集まっていると考えると、どのレベルの装いをしているかでアシェルが着るものも変わってくる。
「とりあえず男装で。ベストとジャケットは二種類用意してくれる?ウィルに聞いておけば良かった。」
「そうですね……今から聞いてまいりましょうか?」
イザベルも気付いたのか、少し悩んだうえで返答をくれるが、アシェルは首を振る。
「メルの装いを見たらわかると思うから。あっちは邸に残っていた使用人も部屋に入っていったし、場違いな格好では出てこないはずだから。」
「分かりました。でしたら、こちらのお召し物にお着替えしましょう。」
衣裳部屋の中からイザベルが着るものを見繕ってくれ、それを一つずつ身に着けていく。
ブラジャーを出されたのは、胸潰しは外してコレを付けろということだろう。
メルティーがどちらで呼ぶのか悩みそうなので可能なら胸つぶしを着けていたいのだが、イザベルがそれを許してくれないことも知っているので、大人しく着替える。
暫定で渡されたこのまま夕食に行けそうなベストとジャケットを着て、メルティーのお迎えに行く。
「アシェ……義兄様。お待たせいたしました。」
アシェルの訪室から少しして部屋から出てきたメルティーは、その可愛らしい容姿によく似合うピンク色のドレスだ。
派手では無いものの装飾品も付けているし、アシェルは今の恰好で良さそうだ。
「待ってないから大丈夫だよ。綺麗なピンク色だね。可愛いメルに、とても良く似合ってる。」
アシェルの腕にメルティーの腕が絡まり、エスコートしながらサロンへと歩いていく。
舞踏会で踊る程のボリュームは無いが、それでもメルティーの可愛らしさを引き立てるフリルたっぷりのドレス姿は、隣で可憐な花が咲いたようだ。
「もうアシェ義兄様ったら。お世辞を言っても何も出ませんわよ?」
「お世辞じゃなくて、本当に可愛いと思ってるから。」
「もうっ。」
少し照れて、アシェルの腕に顔を埋めるようにして歩くメルティーもとても可愛い。
邸で沢山の人間に傅かれるのは苦手だが、可愛く着飾ったメルティーを見れるのは眼福だ。
制服姿のメルティーも勿論可愛いのだが、ドレス姿はそれと違った良さがあると思う。
サロンの扉の少し手前で立ち止まれば、メルティーが大きく深呼吸する。
「大丈夫ですわ。ありがとうございます。」
「じゃあ行こうか。」
緊張しているようだが笑顔を向けてくれたメルティーを連れ、サロンの扉を潜る。
既にアシェルとメルティー以外の家族は勢ぞろいしていた。
やはりメルティーの装いから察した通り、皆それぞれ夕食時に着るような少しだけ煌びやかな服装だ。
「二人ともお帰り。出迎えに行けなくてすまないね。」
「いいえ。問題ありません。」
「わたくしもです。」
アベルの言葉に返事をしてメルティーの椅子を引き座らせた後、アシェルも空いた席に座る。
サロンのテーブルは円卓だ。
家族揃ってサロンでお茶をしたことが無いのだが、まだ家族になる前に、一度こうしてこの円卓を囲んだなと思う。
席順も食事の時とは違って、その時のままだ。
何故アレリオンとアルフォードは、いつものように間を二席空けていなかったのだろうか。
「さて、全員揃ったね。早速だけれど本題に入ろうか。学院でメルがマリク殿から求婚されて、メルとしてはそれをお受けするつもりでいる……と、アシェからの手紙では聞いているんだけれど、間違いはないかな?」
柔らかい微笑みと穏やかな声でアベルが言う。
威圧感などどこにもないのだが、緊張した面持ちでメルティーは答えた。
「はい。わたくしとしては願ってもない縁談ですわ。」
「それは家の為にと、無理をして出した答えではないんだね?」
「えぇ、と言いたいところですけれど……少なからず考えなかったと言ったら嘘になりますわ。わたくしは養子ですし、いつか嫁ぐのであれば家の為になる方の元へと思っておりましたもの。ただマリクお義兄様から求婚されて、真剣に想いを伝えて頂きましたの。とても良い方ですし、マリクお義兄様とでしたら結婚しても上手くいくんじゃないかと思いますわ。」
メルティーの答えにアベルは少し悩む。
それは、配偶者を決める感覚がアベルとは違うからだ。
ただ、アシェルから手紙を貰った時点でメアリーとしっかり話し合って、政略結婚だった場合は好きでもない、素性もよく知らない人間に嫁ぐことになるのはよくあることだと聞いた。
メアリーとしては血筋的な家格の違いを気にしていたが、先方が気にしないのであれば気心が知れた相手が婚約者になるのは、メルティーのためにもなるだろうということも。
「そうか……。他に、誰か好いた人が居たとかは無いんだね?」
「えぇ。その心配も要りませんわ。特にお慕いしている殿方は居ませんでしたから。」
「マリク殿は獣人の血が濃い方だ。ハーフとはいえ、気質はほとんど獣人と言っていいだろう。アシェの作った抑制剤も効いているから大丈夫だと思うけど……。アシェからちゃんと、獣人の生態について聞いたかい?」
それはアシェルが手紙に、話し合いまでにきっちりメルティーに伝えると書いていたし、ちゃんと伝えた。
リリアーデと一緒に、きっちり性教育もしておいた。
その時に少しだけ、血の繋がりが無いとはいえ家族と行為に至った相手と婚約するのは問題ないのか聞いたのだが、それは別に構わないそうだ。
見境なく個人に貢いで入れあげるようでは問題だが、良識の範囲内で娼館遊びをする殿方も居るので、そういうものだと思えば気にならないらしい。
獣人特有の発情期もあるし、別に今後も必要なのであれば、仮に相手がアシェルだったとしても気にしないそうだ。
結婚相手を決める基準もだが、可愛い見た目に反して、我が家の義妹は超リアリストだった。
「それも問題ありませんわ。首筋に噛みつかれるのは痛いかもしれませんけど、狼獣人の本能らしいですし。それに抑制剤が効いている分、アシェ義兄様の体感した痛みより遥かにマシなはずですわ。傷跡だって、自分で治せますもの。」
「あぁ、傷跡については心配していないよ。恐らくだが、マリク殿もヒールはそれなりに使えるようだしね。そうだろう、アシェ?」
黙って成り行きを見守っていたのに、いきなり話を振られ、アシェルは頷く。
「マリクは獣人としての身体能力に注目されがちですが、魔法も上手く使います。行為中の噛み傷については、メルが勝手に消すよりマリクに任せた方が良いですし、マリクなら問題なくヒールで傷を治せます。抑制剤が効いていれば毎回ヒールをかけようとしてくるはずなので、痛みは伴いますが、傷跡については心配は要らないと思います。」
抑制剤を作っている最中も、薬の完成間際はヒールをかけようとしてくれていたし、三人でした時も口を離してすぐヒールをかけてくれていた。
それを思い出しながら言葉を口にすると、メアリーが口を開く。
「旦那様。メルの場合は事前に本人が了承の上だし、抑制剤がキッチリ出来上がっているから良いようなものですけれど……。わたくしは依頼とはいえ、薬の効いていない獣人の相手をアシェルにさせたことを怒りましたよね?そして、アシェルにわざわざ思い出させないようにと……わたくしの話、ちゃんと聞いていらっしゃったかしら?」
娘の婚約者となりそうな相手と行為に至ったのかと、アシェルが怒られるのかと思った。
のだが、メアリーの怒りの矛先はアベルのようだ。
メアリーはメイディーへ来た抑制剤作りの依頼のことを知っていたらしい。
メアリーがこんな風に、アベルに苦言を呈すのは初めて見る気がする。
「うっ……メア。それは何度も話しただろう?あの依頼は、私が受けるわけにはいかなかったと。」
「それは承知しましたけれど、思い出させるようなことを言うなと言っているのです。いくらアンジェラ様が良いとおっしゃっても、本来ならば求婚を受けている最中の、それも貴族令嬢にさせる依頼では無かったこと。きちんと理解しておられますか?メイディーが創薬のためなら自身を簡単に差し出すのも知っていますけれど、だからと言って。娘を発情期の獣人に差し出すのは違うと言っていますよね?」
既に何度か二人で話し合ったことがあるニュアンスだが、メアリーが純粋にアシェルのことを心配してくれているのが、どこか不思議で、少しだけ嬉しい。
ただ、アシェルの為に内緒にせず依頼を回してくれたアベルが不憫だ。
「メアリーお義母様。僕のことでしたら気になさらないでください。僕としては、お父様が隠さずに僕に依頼を回してくれて、本当に嬉しかったので。」
「でも……アシェルは閨教育もまだだったでしょう?それなのにいきなり獣人となんて……。それに、アークエイド殿下は納得されたの?」
「その点についても心配しないでください。今はメルとマリクの婚約をどうするのかって話ですし。」
「……それもそうね。ただ、何か辛いことがあったら相談して頂戴?相談しにくいかもしれないけれど。」
「分かりました。」
ようやくメアリーが落ち着いて、アベルはほっと胸を撫で下ろした。
流石にアシェルが色恋関係に慣れていそうだとは、メアリーに言えていなかったのだ。
ただ何度もこの件で話し合ったので、そろそろどうにかしてメアリーに伝えなくてはと考えている。
「……少し話が逸れてしまったけれど、メルはそう言った身体的な違いも含めて、マリク殿と婚約することに異論はない……ということで良いかい?」
「はい。お義父様達もそれで良いのでしたら。」
「私はメルが決めた相手なら、余程変な相手でない限り反対するつもりはないよ。アンとアルも、良いかい?」
初めからずっと黙って話を聞いていたアレリオンとアルフォードは頷く。
「僕達としても異論はないです。テイル家であれば、メルが嫁ぐのに申し分ない相手ですしね。きっとマリク殿なら、メルを大事にしてくれるでしょう。」
「俺も異論はありません。ただ……メル。本当に無理はしてないんだな?婚約式をすると、やっぱり無理です、とは言えなくなるぞ?」
「もう、アル兄様は心配性ですわね。大丈夫ですわ。それに、発情期中は皆様がガードしてくださってましたけど、発情期が終わってからはマリク義兄様と過ごす時間も増えましたのよ。色々な話も聞けて、とても楽しく過ごしていますわ。」
確かにメルティーの言う通り、マリクの発情期中はメルティーとは一定の距離を開けるようにさせていたし、マリクもソレを守っていた。
その上、マリクが本能に負けたとしても対応できるように、必ずエラートと男性陣の誰かが付いていた。
発情期が終わってからはお昼は一緒に摂るようになったし、昼休みいっぱいは二人で楽しそうにお喋りしている。
パトリシアとエスカは、アシェル達と一緒に空気を読んで退場している。
因みにアシェルにしてくるモフモフタイムを、メルティーにも行うようになった。
本当は朝一に匂いを付けに行きたいらしいのだが、流石に目立つので、それは無事に婚約が済んでからするように言いつけてある。
マーキングの代わりに、自身の匂いを付けたブレスレットを護身用に渡しているそうだ。
「そうか。一緒に居るのは見かけてるから知ってる。メルが納得してるなら良いんだ。」
「アシェは手紙で賛成だと言っていたが、意見は変わっていないかい?」
「はい。僕もマリクなら、メルを任せても良いと思います。」
「メアも良いかい?」
「メルもテイル家も良いと言っているんですもの。わたくしは反対ではないけれど、恐れ多いだけですわ。旦那様やテイル家が望んでいるのに、否とは言いませんわ。」
メアリーが小さなため息とともに考えを述べる。
メルティーが連れ子であることを気にしているようだが、マリクは間違いなく血筋なんて気にしないし、キルルだってそうだろう。
ニクスはどうか知らないが、連れ子だからと差別するような人間には見えない。
「じゃあメイディー家としては、メルとマリク殿の婚約には賛成、ということでテイル家にお伝えしておくよ。というよりも、ニクスが早く返事を寄こせってうるさくてね。実はそこで、ずっとデインが待っているんだよね。」
話しを締めようとしたアベルは、苦笑しながらサロンから続く庭園を指さした。
デインとは恐らく窓際に待機している、ニクスがテイムしたデザートイーグルの名前なのだろう。
最初から話し合いが終われば、デインに手紙を持たせるつもりだったのだろう。
アベルがサクッと一筆書いて、壁際で待機していたウィリアムに手渡す。
その手紙を足に括り付けてもらったデインは、空へと羽搏いていった。
そんなわずかな時間に、アルフォードにちょんちょんと脇腹を突かれる。
今日のアシェルの左右には、昔のようにアレリオンとアルフォードが座っているのだ。
「なぁ、アシェ。記憶のこと、言わなくて良いのか?婚約式までするとなると、しばらく邸には居ないとだろ。」
こっそりと話してくれたのだが、こちらに注意を向けたアレリオンも気付いたようで、アレリオンも会話に参加してくる。
「僕も話せるのなら話してしまった方が良いと思うな。決めるのはアシェだけど……。こうやって父上と義母上とゆっくり時間を取れることなんて、中々ないと思うからね。もし話をするのなら、アシェが聞かせても良いと思う使用人以外は全員下がらせるよ。」
「アル兄様……アン兄様……。今日はメルが婚約するかどうかって言う大事な話で、おめでたい話の席ですし……。僕の話をすると雰囲気ぶち壊しですよ?また時間が出来た時にでも——。」
「って言って、アシェは話さないだろ?」
「だろうね。僕らやメル。イザベルだって知ってるんだから。父上達には話したくないかい?」
「話したくないと言うか……気味が悪いと思われませんかね?」
アシェルの一番の心配は、アベルやメアリーから……いや、他の使用人達もだ。
自分が理解できないものを見る恐れや軽蔑を含んだような、あの嫌な眼をされないかが心配なのだ。
幼馴染たちはリリアーデという“授け子”がいたから、すんなり受け入れてくれたんだと思う。
ただ、自分の子どもが授け子でもないのに前世の記憶持ちなんて。得体のしれない記憶を持っているなど、普通は嫌がるんじゃないだろうか。
「アシェは心配しすぎなんだよ。父上達は大丈夫だから。逆に、ずっと隠したままの方が心配されるぞ。」
「そうだね。僕だって理由を知らずに、あの何も映していないアシェをまた見ることになったらと思うと……そっちの方が不安だし、怖いと思うからね。」
ずっとメルティーの話だけだと思っていたので、心の準備が全く出来ていなかった。
ただ、なんだかんだで夏に話す機会も無かったし、記憶をきっちり思い出してから時間が経てば経つほど、アシェルが記憶持ちだと話しにくくなってしまうだろう。
小さな深呼吸をして、アシェルは頷く。
「お兄様達が……そうしたほうが良いと思うなら。ただ……もう話しを聞いている人と、サーニャ、ウィル、エリックは良いけど……他の人には聞かせたくないです。」
「うん、分かったよ。良く決断したね。父上に話しの時間を貰ったりは僕がするから、アシェはアシェが話しても良いと思うことを、父上達に話してあげて。まぁ、父上なら大雑把にじゃなくて、ある程度のエピソードも聞きたがると思うけどね。僕は治療の為に全部聞いたから、アシェが抑制剤作りに抵抗が無かったことも分かってるけど、アルだって触りしか聞いてないんだろう?」
「まぁ、アビーも一緒だったし、簡単な話しか聞いてないな。変に思い出させるのもどうかと思ったし。」
確かに幼馴染に、というよりもリリアーデと話している時に少しだけ詳しい話はしたが、基本的にあまり詳しい話はしていない。
というよりも、孤児の話なんて、話していても聞いていても楽しい話じゃないのだ。
「孤児の話なんて、普通聞きたくないと思います。」
「でも、その記憶にある薫のことも全部含めて、今のアシェが居るんだろう?大丈夫だよ。」
宥める様に優しくアレリオンが頭を撫でてくれる。
それを見て、子供達が何かを話していることにアベルが気付いたようだった。
アシェルにどうする?と視線で問いかけてくるアレリオンに、頷いて見せた。
早々に邸から呼び出しがかかると思っていたのに、邸に帰るように指示されたのは終業式の日だった。
つまり、二月の最終週に入ったところだ。
アルフォードは既に卒業式を終えて邸に帰っているので、メルティーとイザベル、マルローネの四人で邸に帰省する。
『おかえりなさいませ。』
イザベルとマルローネの開けてくれた玄関では、使用人達が並んでいて挨拶をしてくれる。
正門を通るので使用人達に連絡が行くのは仕方ないことではあるのだが、アシェルはこの大勢に頭を下げられるのが苦手だ。
「ただいま。」
「ただいまです。」
アシェルが下がって良いという言葉の代わりに手を振ると、さっと使用人達はそれぞれの持ち場へ戻っていく。
アシェル一人なら正門で出迎えは要らないと言づけるのだが、他の三人もいる中ではそれは難しかった。
というよりも、提案して既に却下された後だ。
メルティーはメルティーだけなら出迎えは要らないが、アシェルが居るから使用人の出迎えは必要だと言い。
イザベルとマルローネは、二人の為に使用人が出迎えるのは当たり前のことだと言う。
作業の手を止めさせてまで出迎えをさせなくてもと思うのだが、大人しく出迎えは受けろとイザベルにこんこんと説得されたのだ。
「アシェル様。メルティーお嬢様。荷ほどきとお着替えがお済みになったら、サロンまでくるようにと、旦那様から伝言を預かっております。」
一人残った老齢の執事長ウィリアムが、アベルからの伝言を伝えてくれる。
いつもなら家族の誰か一人くらい出迎えに来るのだが、居ないのは伝言があったからだろうか。
既にサロンに集まってしまっている可能性もある。
「分かった。ありがとう、ウィル。メル、部屋で着替えておいで。僕も着替え終わったら、部屋まで迎えに行くから。」
帰路の馬車の中から少し不安げなメルティーに優しく促せば、マルローネと数人の使用人と一緒に部屋の中へと消えていく。
それを見送って、アシェルも自室へと戻る。
邸に戻ると、アシェルの行く先々でイザベルが。居ない時はその辺りの使用人が扉を開けてくれる。人力自動ドア状態だ。
「アシェル様。お召し物はどうなさいますか?」
イザベルに問われて、アシェルは少し悩む。
夜であれば少し煌びやかな服だし、邸に居た頃のお茶会であれば、それぞれ普段着で参加していた。
ただサロンに既にアベルたちが集まっていると考えると、どのレベルの装いをしているかでアシェルが着るものも変わってくる。
「とりあえず男装で。ベストとジャケットは二種類用意してくれる?ウィルに聞いておけば良かった。」
「そうですね……今から聞いてまいりましょうか?」
イザベルも気付いたのか、少し悩んだうえで返答をくれるが、アシェルは首を振る。
「メルの装いを見たらわかると思うから。あっちは邸に残っていた使用人も部屋に入っていったし、場違いな格好では出てこないはずだから。」
「分かりました。でしたら、こちらのお召し物にお着替えしましょう。」
衣裳部屋の中からイザベルが着るものを見繕ってくれ、それを一つずつ身に着けていく。
ブラジャーを出されたのは、胸潰しは外してコレを付けろということだろう。
メルティーがどちらで呼ぶのか悩みそうなので可能なら胸つぶしを着けていたいのだが、イザベルがそれを許してくれないことも知っているので、大人しく着替える。
暫定で渡されたこのまま夕食に行けそうなベストとジャケットを着て、メルティーのお迎えに行く。
「アシェ……義兄様。お待たせいたしました。」
アシェルの訪室から少しして部屋から出てきたメルティーは、その可愛らしい容姿によく似合うピンク色のドレスだ。
派手では無いものの装飾品も付けているし、アシェルは今の恰好で良さそうだ。
「待ってないから大丈夫だよ。綺麗なピンク色だね。可愛いメルに、とても良く似合ってる。」
アシェルの腕にメルティーの腕が絡まり、エスコートしながらサロンへと歩いていく。
舞踏会で踊る程のボリュームは無いが、それでもメルティーの可愛らしさを引き立てるフリルたっぷりのドレス姿は、隣で可憐な花が咲いたようだ。
「もうアシェ義兄様ったら。お世辞を言っても何も出ませんわよ?」
「お世辞じゃなくて、本当に可愛いと思ってるから。」
「もうっ。」
少し照れて、アシェルの腕に顔を埋めるようにして歩くメルティーもとても可愛い。
邸で沢山の人間に傅かれるのは苦手だが、可愛く着飾ったメルティーを見れるのは眼福だ。
制服姿のメルティーも勿論可愛いのだが、ドレス姿はそれと違った良さがあると思う。
サロンの扉の少し手前で立ち止まれば、メルティーが大きく深呼吸する。
「大丈夫ですわ。ありがとうございます。」
「じゃあ行こうか。」
緊張しているようだが笑顔を向けてくれたメルティーを連れ、サロンの扉を潜る。
既にアシェルとメルティー以外の家族は勢ぞろいしていた。
やはりメルティーの装いから察した通り、皆それぞれ夕食時に着るような少しだけ煌びやかな服装だ。
「二人ともお帰り。出迎えに行けなくてすまないね。」
「いいえ。問題ありません。」
「わたくしもです。」
アベルの言葉に返事をしてメルティーの椅子を引き座らせた後、アシェルも空いた席に座る。
サロンのテーブルは円卓だ。
家族揃ってサロンでお茶をしたことが無いのだが、まだ家族になる前に、一度こうしてこの円卓を囲んだなと思う。
席順も食事の時とは違って、その時のままだ。
何故アレリオンとアルフォードは、いつものように間を二席空けていなかったのだろうか。
「さて、全員揃ったね。早速だけれど本題に入ろうか。学院でメルがマリク殿から求婚されて、メルとしてはそれをお受けするつもりでいる……と、アシェからの手紙では聞いているんだけれど、間違いはないかな?」
柔らかい微笑みと穏やかな声でアベルが言う。
威圧感などどこにもないのだが、緊張した面持ちでメルティーは答えた。
「はい。わたくしとしては願ってもない縁談ですわ。」
「それは家の為にと、無理をして出した答えではないんだね?」
「えぇ、と言いたいところですけれど……少なからず考えなかったと言ったら嘘になりますわ。わたくしは養子ですし、いつか嫁ぐのであれば家の為になる方の元へと思っておりましたもの。ただマリクお義兄様から求婚されて、真剣に想いを伝えて頂きましたの。とても良い方ですし、マリクお義兄様とでしたら結婚しても上手くいくんじゃないかと思いますわ。」
メルティーの答えにアベルは少し悩む。
それは、配偶者を決める感覚がアベルとは違うからだ。
ただ、アシェルから手紙を貰った時点でメアリーとしっかり話し合って、政略結婚だった場合は好きでもない、素性もよく知らない人間に嫁ぐことになるのはよくあることだと聞いた。
メアリーとしては血筋的な家格の違いを気にしていたが、先方が気にしないのであれば気心が知れた相手が婚約者になるのは、メルティーのためにもなるだろうということも。
「そうか……。他に、誰か好いた人が居たとかは無いんだね?」
「えぇ。その心配も要りませんわ。特にお慕いしている殿方は居ませんでしたから。」
「マリク殿は獣人の血が濃い方だ。ハーフとはいえ、気質はほとんど獣人と言っていいだろう。アシェの作った抑制剤も効いているから大丈夫だと思うけど……。アシェからちゃんと、獣人の生態について聞いたかい?」
それはアシェルが手紙に、話し合いまでにきっちりメルティーに伝えると書いていたし、ちゃんと伝えた。
リリアーデと一緒に、きっちり性教育もしておいた。
その時に少しだけ、血の繋がりが無いとはいえ家族と行為に至った相手と婚約するのは問題ないのか聞いたのだが、それは別に構わないそうだ。
見境なく個人に貢いで入れあげるようでは問題だが、良識の範囲内で娼館遊びをする殿方も居るので、そういうものだと思えば気にならないらしい。
獣人特有の発情期もあるし、別に今後も必要なのであれば、仮に相手がアシェルだったとしても気にしないそうだ。
結婚相手を決める基準もだが、可愛い見た目に反して、我が家の義妹は超リアリストだった。
「それも問題ありませんわ。首筋に噛みつかれるのは痛いかもしれませんけど、狼獣人の本能らしいですし。それに抑制剤が効いている分、アシェ義兄様の体感した痛みより遥かにマシなはずですわ。傷跡だって、自分で治せますもの。」
「あぁ、傷跡については心配していないよ。恐らくだが、マリク殿もヒールはそれなりに使えるようだしね。そうだろう、アシェ?」
黙って成り行きを見守っていたのに、いきなり話を振られ、アシェルは頷く。
「マリクは獣人としての身体能力に注目されがちですが、魔法も上手く使います。行為中の噛み傷については、メルが勝手に消すよりマリクに任せた方が良いですし、マリクなら問題なくヒールで傷を治せます。抑制剤が効いていれば毎回ヒールをかけようとしてくるはずなので、痛みは伴いますが、傷跡については心配は要らないと思います。」
抑制剤を作っている最中も、薬の完成間際はヒールをかけようとしてくれていたし、三人でした時も口を離してすぐヒールをかけてくれていた。
それを思い出しながら言葉を口にすると、メアリーが口を開く。
「旦那様。メルの場合は事前に本人が了承の上だし、抑制剤がキッチリ出来上がっているから良いようなものですけれど……。わたくしは依頼とはいえ、薬の効いていない獣人の相手をアシェルにさせたことを怒りましたよね?そして、アシェルにわざわざ思い出させないようにと……わたくしの話、ちゃんと聞いていらっしゃったかしら?」
娘の婚約者となりそうな相手と行為に至ったのかと、アシェルが怒られるのかと思った。
のだが、メアリーの怒りの矛先はアベルのようだ。
メアリーはメイディーへ来た抑制剤作りの依頼のことを知っていたらしい。
メアリーがこんな風に、アベルに苦言を呈すのは初めて見る気がする。
「うっ……メア。それは何度も話しただろう?あの依頼は、私が受けるわけにはいかなかったと。」
「それは承知しましたけれど、思い出させるようなことを言うなと言っているのです。いくらアンジェラ様が良いとおっしゃっても、本来ならば求婚を受けている最中の、それも貴族令嬢にさせる依頼では無かったこと。きちんと理解しておられますか?メイディーが創薬のためなら自身を簡単に差し出すのも知っていますけれど、だからと言って。娘を発情期の獣人に差し出すのは違うと言っていますよね?」
既に何度か二人で話し合ったことがあるニュアンスだが、メアリーが純粋にアシェルのことを心配してくれているのが、どこか不思議で、少しだけ嬉しい。
ただ、アシェルの為に内緒にせず依頼を回してくれたアベルが不憫だ。
「メアリーお義母様。僕のことでしたら気になさらないでください。僕としては、お父様が隠さずに僕に依頼を回してくれて、本当に嬉しかったので。」
「でも……アシェルは閨教育もまだだったでしょう?それなのにいきなり獣人となんて……。それに、アークエイド殿下は納得されたの?」
「その点についても心配しないでください。今はメルとマリクの婚約をどうするのかって話ですし。」
「……それもそうね。ただ、何か辛いことがあったら相談して頂戴?相談しにくいかもしれないけれど。」
「分かりました。」
ようやくメアリーが落ち着いて、アベルはほっと胸を撫で下ろした。
流石にアシェルが色恋関係に慣れていそうだとは、メアリーに言えていなかったのだ。
ただ何度もこの件で話し合ったので、そろそろどうにかしてメアリーに伝えなくてはと考えている。
「……少し話が逸れてしまったけれど、メルはそう言った身体的な違いも含めて、マリク殿と婚約することに異論はない……ということで良いかい?」
「はい。お義父様達もそれで良いのでしたら。」
「私はメルが決めた相手なら、余程変な相手でない限り反対するつもりはないよ。アンとアルも、良いかい?」
初めからずっと黙って話を聞いていたアレリオンとアルフォードは頷く。
「僕達としても異論はないです。テイル家であれば、メルが嫁ぐのに申し分ない相手ですしね。きっとマリク殿なら、メルを大事にしてくれるでしょう。」
「俺も異論はありません。ただ……メル。本当に無理はしてないんだな?婚約式をすると、やっぱり無理です、とは言えなくなるぞ?」
「もう、アル兄様は心配性ですわね。大丈夫ですわ。それに、発情期中は皆様がガードしてくださってましたけど、発情期が終わってからはマリク義兄様と過ごす時間も増えましたのよ。色々な話も聞けて、とても楽しく過ごしていますわ。」
確かにメルティーの言う通り、マリクの発情期中はメルティーとは一定の距離を開けるようにさせていたし、マリクもソレを守っていた。
その上、マリクが本能に負けたとしても対応できるように、必ずエラートと男性陣の誰かが付いていた。
発情期が終わってからはお昼は一緒に摂るようになったし、昼休みいっぱいは二人で楽しそうにお喋りしている。
パトリシアとエスカは、アシェル達と一緒に空気を読んで退場している。
因みにアシェルにしてくるモフモフタイムを、メルティーにも行うようになった。
本当は朝一に匂いを付けに行きたいらしいのだが、流石に目立つので、それは無事に婚約が済んでからするように言いつけてある。
マーキングの代わりに、自身の匂いを付けたブレスレットを護身用に渡しているそうだ。
「そうか。一緒に居るのは見かけてるから知ってる。メルが納得してるなら良いんだ。」
「アシェは手紙で賛成だと言っていたが、意見は変わっていないかい?」
「はい。僕もマリクなら、メルを任せても良いと思います。」
「メアも良いかい?」
「メルもテイル家も良いと言っているんですもの。わたくしは反対ではないけれど、恐れ多いだけですわ。旦那様やテイル家が望んでいるのに、否とは言いませんわ。」
メアリーが小さなため息とともに考えを述べる。
メルティーが連れ子であることを気にしているようだが、マリクは間違いなく血筋なんて気にしないし、キルルだってそうだろう。
ニクスはどうか知らないが、連れ子だからと差別するような人間には見えない。
「じゃあメイディー家としては、メルとマリク殿の婚約には賛成、ということでテイル家にお伝えしておくよ。というよりも、ニクスが早く返事を寄こせってうるさくてね。実はそこで、ずっとデインが待っているんだよね。」
話しを締めようとしたアベルは、苦笑しながらサロンから続く庭園を指さした。
デインとは恐らく窓際に待機している、ニクスがテイムしたデザートイーグルの名前なのだろう。
最初から話し合いが終われば、デインに手紙を持たせるつもりだったのだろう。
アベルがサクッと一筆書いて、壁際で待機していたウィリアムに手渡す。
その手紙を足に括り付けてもらったデインは、空へと羽搏いていった。
そんなわずかな時間に、アルフォードにちょんちょんと脇腹を突かれる。
今日のアシェルの左右には、昔のようにアレリオンとアルフォードが座っているのだ。
「なぁ、アシェ。記憶のこと、言わなくて良いのか?婚約式までするとなると、しばらく邸には居ないとだろ。」
こっそりと話してくれたのだが、こちらに注意を向けたアレリオンも気付いたようで、アレリオンも会話に参加してくる。
「僕も話せるのなら話してしまった方が良いと思うな。決めるのはアシェだけど……。こうやって父上と義母上とゆっくり時間を取れることなんて、中々ないと思うからね。もし話をするのなら、アシェが聞かせても良いと思う使用人以外は全員下がらせるよ。」
「アル兄様……アン兄様……。今日はメルが婚約するかどうかって言う大事な話で、おめでたい話の席ですし……。僕の話をすると雰囲気ぶち壊しですよ?また時間が出来た時にでも——。」
「って言って、アシェは話さないだろ?」
「だろうね。僕らやメル。イザベルだって知ってるんだから。父上達には話したくないかい?」
「話したくないと言うか……気味が悪いと思われませんかね?」
アシェルの一番の心配は、アベルやメアリーから……いや、他の使用人達もだ。
自分が理解できないものを見る恐れや軽蔑を含んだような、あの嫌な眼をされないかが心配なのだ。
幼馴染たちはリリアーデという“授け子”がいたから、すんなり受け入れてくれたんだと思う。
ただ、自分の子どもが授け子でもないのに前世の記憶持ちなんて。得体のしれない記憶を持っているなど、普通は嫌がるんじゃないだろうか。
「アシェは心配しすぎなんだよ。父上達は大丈夫だから。逆に、ずっと隠したままの方が心配されるぞ。」
「そうだね。僕だって理由を知らずに、あの何も映していないアシェをまた見ることになったらと思うと……そっちの方が不安だし、怖いと思うからね。」
ずっとメルティーの話だけだと思っていたので、心の準備が全く出来ていなかった。
ただ、なんだかんだで夏に話す機会も無かったし、記憶をきっちり思い出してから時間が経てば経つほど、アシェルが記憶持ちだと話しにくくなってしまうだろう。
小さな深呼吸をして、アシェルは頷く。
「お兄様達が……そうしたほうが良いと思うなら。ただ……もう話しを聞いている人と、サーニャ、ウィル、エリックは良いけど……他の人には聞かせたくないです。」
「うん、分かったよ。良く決断したね。父上に話しの時間を貰ったりは僕がするから、アシェはアシェが話しても良いと思うことを、父上達に話してあげて。まぁ、父上なら大雑把にじゃなくて、ある程度のエピソードも聞きたがると思うけどね。僕は治療の為に全部聞いたから、アシェが抑制剤作りに抵抗が無かったことも分かってるけど、アルだって触りしか聞いてないんだろう?」
「まぁ、アビーも一緒だったし、簡単な話しか聞いてないな。変に思い出させるのもどうかと思ったし。」
確かに幼馴染に、というよりもリリアーデと話している時に少しだけ詳しい話はしたが、基本的にあまり詳しい話はしていない。
というよりも、孤児の話なんて、話していても聞いていても楽しい話じゃないのだ。
「孤児の話なんて、普通聞きたくないと思います。」
「でも、その記憶にある薫のことも全部含めて、今のアシェが居るんだろう?大丈夫だよ。」
宥める様に優しくアレリオンが頭を撫でてくれる。
それを見て、子供達が何かを話していることにアベルが気付いたようだった。
アシェルにどうする?と視線で問いかけてくるアレリオンに、頷いて見せた。
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