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第一章 眠り姫は子作りしたい
37 性教育の時間
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村長宅の二階で寝袋を座布団代わりに使い、持て余した暇な時間にアネットとライラは【氷刃】からの頼まれごとをこなすことにする。
内容的にも男衆が帰ってくる前に済ませてしまった方がいいだろう。
「シャルちゃんのお陰で、誰も欠けることなく依頼を達成できそうで良かったよ。」
「あとはリーダーたちが帰ってきてからの報告次第になりますが、恐らく集落の片付けが済んだら終わりになると思います。魔力はある程度回復できましたか?必要なら、まだマナキャンディがありますよ。」
「私は私に出来ることをしただけよ。気にしないでちょうだい。これ以上魔力を使わないから大丈夫よ。心配してくれてありがとう。」
にこりと笑う今のシャルロッテは、見た目相応の落ち着きを見せていた。
周囲の状況や本人の心境次第で大人と子供を行き来している。そんな印象だ。
これが小さな子供であれば背伸びして大人ぶっているのだろうかとか、そういう微妙なお年頃なのだと思うのだが。シャルロッテの場合は既に身体は大人で、恐らく大人としての精神成熟も済ませている。
それでも子供の様に落ち着きが無いのは、やはり彼女が生きるロストテクノロジーだからだろう。
知識があることと、実際に目にするのとでは色々と違うし、真新しく感じる全てが刺激になっているのだろうと思うのだ。
「実際にはどれくらいか分からないけど、オークとはいえ、シャルちゃんはかなり沢山の魔物を倒したでしょ?今回の反動はかなりきついと思うから、覚悟しておきなよ。」
「男性と違って、女性の反動はなかなかきついものがありますよね。クエスト中よりも体力が要りますし。気を失って。でも、目覚めても反動は落ち着いてなくて。正直、気を失ってようがお構いなしに、私で肉欲を満たすハーネスが憎らしいくらいです。」
「男だろうが女だろうが、普段から性欲はあるっちゃあるけど。強い反動は性欲なんて生易しい表現は合わないものねぇ。男共はつやっつやしてるけども、あたしらはたまったもんじゃないよ。」
「しばらく動きたくないですもんねぇ。声も枯れちゃいますし。」
シャルロッテが女性には反動がこないと信じ切っていることは知っている。それ以外で情欲を抱かないと思っていることも。
でも二人はあえて、女性にも反動が起こることを知っている前提で話した。
これは世間的にも常識なのだと暗に伝えるためだ。
そんな話をされたシャルロッテは当然。
困惑して首を傾げていた。
「反動は、男性のものだけではないの?私も魔物を倒したけれど大丈夫だったわ。反動って、子作りの為に神が定めたシステムでしょう??せいよく……?普段から??」
実際に体感しても情欲を理解できなかったシャルロッテには申し訳ないが、ここで仕方ないねと見過ごしてあげることは出来ない。
なんせ集落を抜きにしても、目の前で多量のオークを討伐しているのだ。
身体はもう大人なのだし、正しい知識を持たないと苦労するのはシャルロッテの方だ。あとはその面倒を見ることになる保護者達である。
「あぁ、そういえばゲイルが言ってたね。シャルちゃんは、外から帰ったときに引いた風邪が長引いてたんだろう?」
確かにその話をゲイルにしたことがある。
唐突に話が変わった事にも首を傾げながら、シャルロッテは頷いた。
「寒季の湖で溺れたふりをしていたせいなの。私は衣服を持っていなかったから、人攫いに間違えられないようにって。」
「あの苦ーい薬を孤児院で飲むのはね。反動が起きた子供だけなんだよ。」
「正しくは、反動が起きた分かっていないので花街を利用できない子供だけ、ですね。聖職者の言う外から戻ったばかりの子の風邪が長引く宣言は、反動が起きてるよって周囲の分かる子供たちに教えるためでもあるんです。そっとしておいてあげてねっていう意味も込めてね。」
「……あれが、反動なの?でも私。子作りも交尾もしてないわ。反動は子作りしないと治まらないのでしょう?」
「弱っちい反動なら、別に子作りする必要はないさ。普段からムラムラっと来たからって手を出してたら、際限ないでしょ?ほっとけば治まるくらいの、よわーい反動もあるのよ。それくらいなら、花街に拘束もされないしね。」
「むらむら……?」
「性欲や肉欲、情欲と呼ばれる、子作りしたいな、誰かと触れ合いたいなっていう感情とか欲求のことです。これは反動に限らず、普段から男女ともに抱くことのある感情ですよ。普段からのものは自分で制御できますけどね。じゃないと、普段街中で暮らす民たちは子が成せなくなってしまいますから。反動はムラムラして、すごくエッチしたくなっちゃうんです。反動が強すぎると何回イっても満足できませんけど、反動が強くなければキスするだけでも結構効果があったりするんですよ。」
そういえば身体がおかしくなってしまい泣きながらリュクスに縋った時、リュクスもイったら落ち着くと言っていた。
ライラが言ってるのはリュクスと同じ意味なのだろうか。
「リュクスに……身体が変になった時に治療してもらったの。その時に受け入れて、イったら良いって言われたんだけど。同じ、なのかしら?きすってなぁに?」
その話もシャルロッテが混乱したことも聞いている。
改めて心と身体の成長が伴っていない子供に、反動を理解させないまま手を出すのは危険だと認識したくらいだ。
だが理屈だけでも分かってもらうつもりで、今日は話題にあげている。
実際がどうであれ、頭で理解していればそこまで恐怖を感じないはずだ。というよりも、恐怖したところで反動は軽くなってくれない。
魔物を倒した以上、間違いなく反動はやって来るのだ。
「シャルちゃんは、身体がむらむらしてもそれがよく分からなかったんですね。恐らく同じだと思いますよ。絶頂を迎える、という表現だったりもします。キスっていうのは唇を重ね合わせることなんですけど。反動には相手の体液が効果的なので、唇を重ねたうえで舌を絡めたキスをします。普通のキスと区別して、ディープキスと言ったりもしますね。反動中はどうしてもしたくなってキスしますけど、キスは恋人とだけって人もいますから。反動を抜きにすれば、基本的にキスをするのは好きな相手や伴侶との行為ですし。相手を好きだって言う意思表示にもなるんですよ。全く気にしない人も一定数居ますけれどね。交尾や子作りのことをエッチやセックスというんですけど、エッチって、子種を注いで子作りすることだけをいうんじゃないんです。ムラムラを落ち着けるためだったり愛情表現だったりで、相手やお互いに気持ちよくなる行為のこと全般を言うんですよ。」
ライラが丁寧に説明してくれるが、シャルロッテはその言葉をきちんと受け取りながらも、その意味するところまで理解は及ばなかった。
とりあえずこの前おかしくなったのは、むらむらした状態だということらしい。
「唇を重ねて舌を絡めるのは、口移しではないの?リュクスがそうやってお薬を無理やり飲ませてきたわ。舌が入ってくるから口を閉じれないし、とても合理的なやり方だと思ってたの。」
ついでに魔力を含んだ唾液も貰えて、シャルロッテとしては嬉しい副産物だった。
「まぁ口移しでも間違ってないけど、ただの口移しなら舌を突っ込んだりしないよ。口の中のものを移動したら終わり。そりゃあ反動を散らすためにディープキスされたんだろうね。言ったでしょ。反動が起きた子供だけ、苦ーいお薬を飲まされるって。その理由は口移しで飲ませて唾液を飲ませるのが、相手に知られずに反動を散らせるからさ。それ以外ってなると、誰かとセックスするか。時間はかかるけどオナニーするしかないからねぇ。」
冒険者は反動が身近なため、割と性に関してオープンなことが多い。
花街は反動ではなくてもお金を払えば利用できるのだが、冒険者たちは専ら反動でお世話になりまくっている。
隠すも何も、これだけ倒した後はお互い大変ですね、という話しで終わるのだ。お互いに反動の辛さを知っているからこその会話である。
ただこうやって説明を交えながら話すのは若干の気恥ずかしさもある。
そしてこの説明できちんと理解できるだろうかという不安もあった。
自分達は同年代の男達の反動に釣られて理解したので、シャルロッテのように困惑しなかっただけだ。否応が無しに理解せざるを得なかったともいう。
男の方が身体的に分かりやすい分、女よりも反動や性欲を理解しやすいのだ。
「おなにぃ……?」
既に理解できないことだらけのシャルロッテは、首を傾げたまま硬直していた。
マザーに教えて貰って子作りの知識も反動の知識もバッチリだと思っていたのに、シャルロッテの知識は時代遅れだったようだ。
女性冒険者がいるから反動についても新しい認識が生まれたのだろう。
だとしたらマザーが知らなくても当然だ。古き時代は男の冒険者しかいなかったのだから。
反動中の子作り以外に相手と交わりたい思うのは、獣人の発情期だけだと思っていたのだが、それも違うらしい。
そういえば子作りの知識は聞いたが、愛情表現の方法を習ったことは無いなと思った。
好きになった相手や血を繋ぐために必要な相手と夫婦になることを知っているが、好きだという表現をどうするかということは聞いていなかったのだ。
そもそも好きとはどういった感覚なのだろうか。
「自慰とか、自分で慰めるとかっていうんだけど。ムラムラする時にね、自分のおっぱいを揉んだり、クリ弄ったり、おまんこに指とかそれ用の魔道具挿れて欲を満たすんだよ。あはは、そんな顔しなくても大丈夫。今無理に理解する必要はないさ。とりあえず身体がおかしいなって思ったら、リュクスに聞いてみな。二回もシャルちゃんのムラムラに対応してるんだから、本当に風邪なのか、シャルちゃんの肉欲を満たせば良いのか。そこはリュクスが判断してくれるよ。もしリュクスが居ない時は【氷刃】の誰かに、だね。絶対に、見ず知らずの男に聞くんじゃないよ?」
「シャルちゃんに嘘ついて、好き勝手エッチな事だけされる可能性が高いですからね。そういう男は相手のことなんて一切考えてないので、女性にはつらいだけのエッチになりがちですし。そういうエッチを経験すると、エッチって痛いし怖いばっかりで嫌なものだって思うことがあるんです。そうなると、男の人が怖いって普段から話したりできなくなったり。そもそも冒険者を続けられなくなったりします。お互い反動中だと物凄く激しいエッチになるので、ちょっと怖いかもしれませんが。今回の反動はほとんどシャルちゃんばかりでしょうから。リュクス君に相手をしてもらうのが一番だと思いますよ。」
あまりの情報量に頭はパンク寸前だ。
これでも沢山のことを勉強して、沢山のことを覚えていると思っていたのに、初めて聞く単語や内容が多すぎた。
おっぱいは分かるが、クリとおまんこってどこのこと?と聞くことすらできず。
自分の中で噛み砕いた結果、リュクスに頼めばどうにかなるらしいという結論に落ち着いた。それしか正しく理解できなかった。
しかしリュクスは子作りしたくないと言っていたのだ。果たして、仮に反動の相手だったとしても交尾——ではなくエッチをしてもらえるのだろうか。
どうやら人間はエッチやセックスというようだ。
「とにかく、リュクスに頼めばいいのよね?子作りは拒否されたけど、反動の相手をしてもらえるかしら。女性でも花街に行けば娼婦に反動を散らしてもらえるの?それとも自分でオナニー?をして散らすしかないのかしら。」
花街に居るのは娼婦だけ。
そう思っているからこその問いに二人は、そういえばそこもだったわねと苦笑する。
「いいや。花街に行けばちゃんとセックスしてもらえるよ。娼婦じゃなくて男娼。つまり男の人にね。そういう仕事をしてる男の人もいるのさ。一応、好みでどっちも選べるから、同性を希望する場合もあるけどね。片手で足りるくらいの魔物ならオナニーして散らしてもいいけど、そもそもやり方を知らないでしょう?子供を作るのと肉欲は別物だし、シャルちゃんの身体は物凄く魅力的なのよ。リュクスなら嫌がらないと思うし、必要な事だって理解してればちゃんとヤってくれるから。安心してお任せしちゃえばいいのよ。」
それにこの勉強会では、絶対に実践や実演はしないでくれとお願いされている。
口頭での勉強は必要だが、変に経験させて人前でも行えるものだと思わせたくないらしい。
というのは建前で、恐らく例え同性だろうとシャルロッテの痴態を見せたり仕込むような真似が嫌なのだろう。
会話の端々で青い涼し気な瞳に、嫉妬や執着というどす黒い炎が燃え上がっていたのだから。
年の離れた【氷刃】は【雷帝の裁き】の面々にとって息子のようなものだ。
リュクスの変化は目に見えて分かる上に、それが人間的な成長を見せていて嬉しく思う反面。
ローレンのコンラッドへの執着具合を知っているリュクスは、果たしてどれくらい惚れた相手に執着するのか、束縛するのか。少し怖い部分もある。
出来ればあれが恋人同士の普通だとは思ってほしくないところだ。
ローレンは獣人故に仕方ないと思われることもあるのだが、人間であれほど執着したり束縛すると、かなり重たい男になるのは間違いない。
シャルロッテがそうと認識出来るかどうかはおいておいてだ。
だがシャルロッテが相手であれば、少ししつこいくらいで丁度いいのではないだろうか。
惚れたとかを抜きにして、目の離せない危なっかしさは確かにあるのだ。
見た目も時折見せる姿も大人なのに、彼らが子供扱いするのも何処か分かってしまう純真さがある。
これからのリュクス次第だが、シャルロッテがどう思うかは置いておいて。近くにリュクスが居れば虫よけにもなるだろう。少なくとも冒険者は無駄に突っかからない。
冒険者ランクが高いという事は、それだけでトラブルが向こうから逃げていくのである。
神官長の孫はシャルロッテと強き者を交わらせたいと願っている上に、今回のこともお膳立てされたような展開だ。
リュクスの恋心についても理解を示しているので、間違いなく反動の相手をリュクスにさせるだろう。
今回の話で、少しは情欲に関係する行為や感覚を怖がらなくなればいいなと、二人は娘を持つ親のような気持になっていた。
ライラには子供はいないし、アネットには息子がいるだけなので、初めて娘を持った気分だ。
シャルロッテは分かったわと頷いて、お昼寝のためか寝袋に潜り込んだ。
実際にお昼寝であり、パンクしそうな頭を整理するためでもある。
耳を澄ませば階下から騎士達が村長を脅す声が聞こえる。
村長は宣言通り、一家総出で理由を付けて騎士達を追い返してくれていた。
どうやら病人を連れて帰ってきたため、今は休んでいるということにしているらしい。
二人は顔を見合わせ、ライラが頷いた。
もし押し入られた時、仮病を使う役を決定したのだ。
腹芸に向いてなさそうなシャルロッテに伝える必要はないだろう。
10分ほどして。
静かなので寝ていると思っていたシャルロッテが起き上がった。
「あの……お昼寝の為に、抱っこして欲しいの。ううん、添い寝でも良いわ。いつも誰かにくっついて寝てるから、なんだか眠れなくて。」
シャルロッテがもしかしたらお昼寝したがるかもしれないことも、普段はリュクスが抱っこしてあげていることも、夜は添い寝をしていることも。居ない時は孤児院のチビ達が全身に張り付いてお昼寝しているらしいことも聞いている。
その微笑ましいお願いにライラが応え、隣で添い寝をしてあげた。
ライラは魔法使いとしての役割なので、ローブの下に急所を守る最低限の皮鎧を付けているだけである。
ビキニアーマーのアネットよりも適任だと思ったのだ。
昨夜も思ったのだが、抱きしめてあげることで安心したのだろう。
ウトウトしだしたかと思うとすぐに寝入った。
アネットはそれを見て子育てを思い出すわと笑い。
ライラも孤児院で過ごした日々を思い出していた。
お昼寝のシャルロッテを起こして夕食を終え、窓から見える燃える山を見て依頼の完了を確信したので眠ることにする。
ライラの添い寝と寝かしつけの元、シャルロッテは朝までぐっすり眠ったのだった。
ちなみに少食だとは聞いていたが、多量の魔力を使ったにも関わらずシャルロッテの食事量は、いつもより少し多いだけだった。
小食なのを気にされていただけだとシャルロッテは思っていたが、実は吐き戻しが無いかもしっかりチェックされていたのだった。
内容的にも男衆が帰ってくる前に済ませてしまった方がいいだろう。
「シャルちゃんのお陰で、誰も欠けることなく依頼を達成できそうで良かったよ。」
「あとはリーダーたちが帰ってきてからの報告次第になりますが、恐らく集落の片付けが済んだら終わりになると思います。魔力はある程度回復できましたか?必要なら、まだマナキャンディがありますよ。」
「私は私に出来ることをしただけよ。気にしないでちょうだい。これ以上魔力を使わないから大丈夫よ。心配してくれてありがとう。」
にこりと笑う今のシャルロッテは、見た目相応の落ち着きを見せていた。
周囲の状況や本人の心境次第で大人と子供を行き来している。そんな印象だ。
これが小さな子供であれば背伸びして大人ぶっているのだろうかとか、そういう微妙なお年頃なのだと思うのだが。シャルロッテの場合は既に身体は大人で、恐らく大人としての精神成熟も済ませている。
それでも子供の様に落ち着きが無いのは、やはり彼女が生きるロストテクノロジーだからだろう。
知識があることと、実際に目にするのとでは色々と違うし、真新しく感じる全てが刺激になっているのだろうと思うのだ。
「実際にはどれくらいか分からないけど、オークとはいえ、シャルちゃんはかなり沢山の魔物を倒したでしょ?今回の反動はかなりきついと思うから、覚悟しておきなよ。」
「男性と違って、女性の反動はなかなかきついものがありますよね。クエスト中よりも体力が要りますし。気を失って。でも、目覚めても反動は落ち着いてなくて。正直、気を失ってようがお構いなしに、私で肉欲を満たすハーネスが憎らしいくらいです。」
「男だろうが女だろうが、普段から性欲はあるっちゃあるけど。強い反動は性欲なんて生易しい表現は合わないものねぇ。男共はつやっつやしてるけども、あたしらはたまったもんじゃないよ。」
「しばらく動きたくないですもんねぇ。声も枯れちゃいますし。」
シャルロッテが女性には反動がこないと信じ切っていることは知っている。それ以外で情欲を抱かないと思っていることも。
でも二人はあえて、女性にも反動が起こることを知っている前提で話した。
これは世間的にも常識なのだと暗に伝えるためだ。
そんな話をされたシャルロッテは当然。
困惑して首を傾げていた。
「反動は、男性のものだけではないの?私も魔物を倒したけれど大丈夫だったわ。反動って、子作りの為に神が定めたシステムでしょう??せいよく……?普段から??」
実際に体感しても情欲を理解できなかったシャルロッテには申し訳ないが、ここで仕方ないねと見過ごしてあげることは出来ない。
なんせ集落を抜きにしても、目の前で多量のオークを討伐しているのだ。
身体はもう大人なのだし、正しい知識を持たないと苦労するのはシャルロッテの方だ。あとはその面倒を見ることになる保護者達である。
「あぁ、そういえばゲイルが言ってたね。シャルちゃんは、外から帰ったときに引いた風邪が長引いてたんだろう?」
確かにその話をゲイルにしたことがある。
唐突に話が変わった事にも首を傾げながら、シャルロッテは頷いた。
「寒季の湖で溺れたふりをしていたせいなの。私は衣服を持っていなかったから、人攫いに間違えられないようにって。」
「あの苦ーい薬を孤児院で飲むのはね。反動が起きた子供だけなんだよ。」
「正しくは、反動が起きた分かっていないので花街を利用できない子供だけ、ですね。聖職者の言う外から戻ったばかりの子の風邪が長引く宣言は、反動が起きてるよって周囲の分かる子供たちに教えるためでもあるんです。そっとしておいてあげてねっていう意味も込めてね。」
「……あれが、反動なの?でも私。子作りも交尾もしてないわ。反動は子作りしないと治まらないのでしょう?」
「弱っちい反動なら、別に子作りする必要はないさ。普段からムラムラっと来たからって手を出してたら、際限ないでしょ?ほっとけば治まるくらいの、よわーい反動もあるのよ。それくらいなら、花街に拘束もされないしね。」
「むらむら……?」
「性欲や肉欲、情欲と呼ばれる、子作りしたいな、誰かと触れ合いたいなっていう感情とか欲求のことです。これは反動に限らず、普段から男女ともに抱くことのある感情ですよ。普段からのものは自分で制御できますけどね。じゃないと、普段街中で暮らす民たちは子が成せなくなってしまいますから。反動はムラムラして、すごくエッチしたくなっちゃうんです。反動が強すぎると何回イっても満足できませんけど、反動が強くなければキスするだけでも結構効果があったりするんですよ。」
そういえば身体がおかしくなってしまい泣きながらリュクスに縋った時、リュクスもイったら落ち着くと言っていた。
ライラが言ってるのはリュクスと同じ意味なのだろうか。
「リュクスに……身体が変になった時に治療してもらったの。その時に受け入れて、イったら良いって言われたんだけど。同じ、なのかしら?きすってなぁに?」
その話もシャルロッテが混乱したことも聞いている。
改めて心と身体の成長が伴っていない子供に、反動を理解させないまま手を出すのは危険だと認識したくらいだ。
だが理屈だけでも分かってもらうつもりで、今日は話題にあげている。
実際がどうであれ、頭で理解していればそこまで恐怖を感じないはずだ。というよりも、恐怖したところで反動は軽くなってくれない。
魔物を倒した以上、間違いなく反動はやって来るのだ。
「シャルちゃんは、身体がむらむらしてもそれがよく分からなかったんですね。恐らく同じだと思いますよ。絶頂を迎える、という表現だったりもします。キスっていうのは唇を重ね合わせることなんですけど。反動には相手の体液が効果的なので、唇を重ねたうえで舌を絡めたキスをします。普通のキスと区別して、ディープキスと言ったりもしますね。反動中はどうしてもしたくなってキスしますけど、キスは恋人とだけって人もいますから。反動を抜きにすれば、基本的にキスをするのは好きな相手や伴侶との行為ですし。相手を好きだって言う意思表示にもなるんですよ。全く気にしない人も一定数居ますけれどね。交尾や子作りのことをエッチやセックスというんですけど、エッチって、子種を注いで子作りすることだけをいうんじゃないんです。ムラムラを落ち着けるためだったり愛情表現だったりで、相手やお互いに気持ちよくなる行為のこと全般を言うんですよ。」
ライラが丁寧に説明してくれるが、シャルロッテはその言葉をきちんと受け取りながらも、その意味するところまで理解は及ばなかった。
とりあえずこの前おかしくなったのは、むらむらした状態だということらしい。
「唇を重ねて舌を絡めるのは、口移しではないの?リュクスがそうやってお薬を無理やり飲ませてきたわ。舌が入ってくるから口を閉じれないし、とても合理的なやり方だと思ってたの。」
ついでに魔力を含んだ唾液も貰えて、シャルロッテとしては嬉しい副産物だった。
「まぁ口移しでも間違ってないけど、ただの口移しなら舌を突っ込んだりしないよ。口の中のものを移動したら終わり。そりゃあ反動を散らすためにディープキスされたんだろうね。言ったでしょ。反動が起きた子供だけ、苦ーいお薬を飲まされるって。その理由は口移しで飲ませて唾液を飲ませるのが、相手に知られずに反動を散らせるからさ。それ以外ってなると、誰かとセックスするか。時間はかかるけどオナニーするしかないからねぇ。」
冒険者は反動が身近なため、割と性に関してオープンなことが多い。
花街は反動ではなくてもお金を払えば利用できるのだが、冒険者たちは専ら反動でお世話になりまくっている。
隠すも何も、これだけ倒した後はお互い大変ですね、という話しで終わるのだ。お互いに反動の辛さを知っているからこその会話である。
ただこうやって説明を交えながら話すのは若干の気恥ずかしさもある。
そしてこの説明できちんと理解できるだろうかという不安もあった。
自分達は同年代の男達の反動に釣られて理解したので、シャルロッテのように困惑しなかっただけだ。否応が無しに理解せざるを得なかったともいう。
男の方が身体的に分かりやすい分、女よりも反動や性欲を理解しやすいのだ。
「おなにぃ……?」
既に理解できないことだらけのシャルロッテは、首を傾げたまま硬直していた。
マザーに教えて貰って子作りの知識も反動の知識もバッチリだと思っていたのに、シャルロッテの知識は時代遅れだったようだ。
女性冒険者がいるから反動についても新しい認識が生まれたのだろう。
だとしたらマザーが知らなくても当然だ。古き時代は男の冒険者しかいなかったのだから。
反動中の子作り以外に相手と交わりたい思うのは、獣人の発情期だけだと思っていたのだが、それも違うらしい。
そういえば子作りの知識は聞いたが、愛情表現の方法を習ったことは無いなと思った。
好きになった相手や血を繋ぐために必要な相手と夫婦になることを知っているが、好きだという表現をどうするかということは聞いていなかったのだ。
そもそも好きとはどういった感覚なのだろうか。
「自慰とか、自分で慰めるとかっていうんだけど。ムラムラする時にね、自分のおっぱいを揉んだり、クリ弄ったり、おまんこに指とかそれ用の魔道具挿れて欲を満たすんだよ。あはは、そんな顔しなくても大丈夫。今無理に理解する必要はないさ。とりあえず身体がおかしいなって思ったら、リュクスに聞いてみな。二回もシャルちゃんのムラムラに対応してるんだから、本当に風邪なのか、シャルちゃんの肉欲を満たせば良いのか。そこはリュクスが判断してくれるよ。もしリュクスが居ない時は【氷刃】の誰かに、だね。絶対に、見ず知らずの男に聞くんじゃないよ?」
「シャルちゃんに嘘ついて、好き勝手エッチな事だけされる可能性が高いですからね。そういう男は相手のことなんて一切考えてないので、女性にはつらいだけのエッチになりがちですし。そういうエッチを経験すると、エッチって痛いし怖いばっかりで嫌なものだって思うことがあるんです。そうなると、男の人が怖いって普段から話したりできなくなったり。そもそも冒険者を続けられなくなったりします。お互い反動中だと物凄く激しいエッチになるので、ちょっと怖いかもしれませんが。今回の反動はほとんどシャルちゃんばかりでしょうから。リュクス君に相手をしてもらうのが一番だと思いますよ。」
あまりの情報量に頭はパンク寸前だ。
これでも沢山のことを勉強して、沢山のことを覚えていると思っていたのに、初めて聞く単語や内容が多すぎた。
おっぱいは分かるが、クリとおまんこってどこのこと?と聞くことすらできず。
自分の中で噛み砕いた結果、リュクスに頼めばどうにかなるらしいという結論に落ち着いた。それしか正しく理解できなかった。
しかしリュクスは子作りしたくないと言っていたのだ。果たして、仮に反動の相手だったとしても交尾——ではなくエッチをしてもらえるのだろうか。
どうやら人間はエッチやセックスというようだ。
「とにかく、リュクスに頼めばいいのよね?子作りは拒否されたけど、反動の相手をしてもらえるかしら。女性でも花街に行けば娼婦に反動を散らしてもらえるの?それとも自分でオナニー?をして散らすしかないのかしら。」
花街に居るのは娼婦だけ。
そう思っているからこその問いに二人は、そういえばそこもだったわねと苦笑する。
「いいや。花街に行けばちゃんとセックスしてもらえるよ。娼婦じゃなくて男娼。つまり男の人にね。そういう仕事をしてる男の人もいるのさ。一応、好みでどっちも選べるから、同性を希望する場合もあるけどね。片手で足りるくらいの魔物ならオナニーして散らしてもいいけど、そもそもやり方を知らないでしょう?子供を作るのと肉欲は別物だし、シャルちゃんの身体は物凄く魅力的なのよ。リュクスなら嫌がらないと思うし、必要な事だって理解してればちゃんとヤってくれるから。安心してお任せしちゃえばいいのよ。」
それにこの勉強会では、絶対に実践や実演はしないでくれとお願いされている。
口頭での勉強は必要だが、変に経験させて人前でも行えるものだと思わせたくないらしい。
というのは建前で、恐らく例え同性だろうとシャルロッテの痴態を見せたり仕込むような真似が嫌なのだろう。
会話の端々で青い涼し気な瞳に、嫉妬や執着というどす黒い炎が燃え上がっていたのだから。
年の離れた【氷刃】は【雷帝の裁き】の面々にとって息子のようなものだ。
リュクスの変化は目に見えて分かる上に、それが人間的な成長を見せていて嬉しく思う反面。
ローレンのコンラッドへの執着具合を知っているリュクスは、果たしてどれくらい惚れた相手に執着するのか、束縛するのか。少し怖い部分もある。
出来ればあれが恋人同士の普通だとは思ってほしくないところだ。
ローレンは獣人故に仕方ないと思われることもあるのだが、人間であれほど執着したり束縛すると、かなり重たい男になるのは間違いない。
シャルロッテがそうと認識出来るかどうかはおいておいてだ。
だがシャルロッテが相手であれば、少ししつこいくらいで丁度いいのではないだろうか。
惚れたとかを抜きにして、目の離せない危なっかしさは確かにあるのだ。
見た目も時折見せる姿も大人なのに、彼らが子供扱いするのも何処か分かってしまう純真さがある。
これからのリュクス次第だが、シャルロッテがどう思うかは置いておいて。近くにリュクスが居れば虫よけにもなるだろう。少なくとも冒険者は無駄に突っかからない。
冒険者ランクが高いという事は、それだけでトラブルが向こうから逃げていくのである。
神官長の孫はシャルロッテと強き者を交わらせたいと願っている上に、今回のこともお膳立てされたような展開だ。
リュクスの恋心についても理解を示しているので、間違いなく反動の相手をリュクスにさせるだろう。
今回の話で、少しは情欲に関係する行為や感覚を怖がらなくなればいいなと、二人は娘を持つ親のような気持になっていた。
ライラには子供はいないし、アネットには息子がいるだけなので、初めて娘を持った気分だ。
シャルロッテは分かったわと頷いて、お昼寝のためか寝袋に潜り込んだ。
実際にお昼寝であり、パンクしそうな頭を整理するためでもある。
耳を澄ませば階下から騎士達が村長を脅す声が聞こえる。
村長は宣言通り、一家総出で理由を付けて騎士達を追い返してくれていた。
どうやら病人を連れて帰ってきたため、今は休んでいるということにしているらしい。
二人は顔を見合わせ、ライラが頷いた。
もし押し入られた時、仮病を使う役を決定したのだ。
腹芸に向いてなさそうなシャルロッテに伝える必要はないだろう。
10分ほどして。
静かなので寝ていると思っていたシャルロッテが起き上がった。
「あの……お昼寝の為に、抱っこして欲しいの。ううん、添い寝でも良いわ。いつも誰かにくっついて寝てるから、なんだか眠れなくて。」
シャルロッテがもしかしたらお昼寝したがるかもしれないことも、普段はリュクスが抱っこしてあげていることも、夜は添い寝をしていることも。居ない時は孤児院のチビ達が全身に張り付いてお昼寝しているらしいことも聞いている。
その微笑ましいお願いにライラが応え、隣で添い寝をしてあげた。
ライラは魔法使いとしての役割なので、ローブの下に急所を守る最低限の皮鎧を付けているだけである。
ビキニアーマーのアネットよりも適任だと思ったのだ。
昨夜も思ったのだが、抱きしめてあげることで安心したのだろう。
ウトウトしだしたかと思うとすぐに寝入った。
アネットはそれを見て子育てを思い出すわと笑い。
ライラも孤児院で過ごした日々を思い出していた。
お昼寝のシャルロッテを起こして夕食を終え、窓から見える燃える山を見て依頼の完了を確信したので眠ることにする。
ライラの添い寝と寝かしつけの元、シャルロッテは朝までぐっすり眠ったのだった。
ちなみに少食だとは聞いていたが、多量の魔力を使ったにも関わらずシャルロッテの食事量は、いつもより少し多いだけだった。
小食なのを気にされていただけだとシャルロッテは思っていたが、実は吐き戻しが無いかもしっかりチェックされていたのだった。
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