40 / 117
第一章
34話
……き、緊張したぁ……。建国記念日の挨拶を思い出して大きなため息をつく。もう建国記念日から3日は経ったのだけれど、あの時を思い出すと未だに鳥肌が立つ。あの日は色々と予想外だったのだ。
まずあんなに人が多いとは思っていなかった。大勢が集まるとは聞いていたけれどまさか声が届かなさそうなほど遠くまで人がいるとは思わないじゃない!まぁ、ルーク様によると例年よりも多かったらしいけれど。それから次に、私が登場した瞬間に沈黙が走ったことも予想外だった。何なの?期待外れだったとでもいうのかしら?そして、最後に国王陛下からの無茶振り。あれは酷かった。本来私は黙っているだけでよかったはずなのに。あの時の陛下の顔はニヤニヤした私を見た時のルカルド様にそっくりだった。もう正直自分が何を言ったのかは覚えていない。けれどそれを言った後会場は静かになって自分が硬直したことは覚えている。その後はずっと固まってしまっていたので何も耳に入ってこなかった。退場の時には固まった私をルーク様がエスコートという名の強制連行で連れ出してくださった。何度思い出しても本当に酷い話だ。
ちなみに、挨拶が終わってからはメルルやラナと一緒に屋台をまわって遊んだ。初めて女友達とデートができたのでそこに関しては満足している。挨拶に関する記憶を消したならあの日はとても楽しい一日だった。お友達や周りの人々は挨拶のことを褒めてくれたけれどあれは絶対にお世辞だと思う。今頃世間では「白雪令嬢」なんてでたらめだったなんて噂されていることだろう。
「フィリア様?どうかしたんですか?」
「?……あ、いいえ、何でもありません」
今日はレオン様とカイ様が遊びにきている。澄んだ瞳でこちらを覗いているレオン様はやはり天使だ。もうこの天使のお顔だけを目に焼き付けて、挨拶でのことはもう忘れることにしよう。うん、それがいいわね。
「そういえばフィリア様、あと少しでカイが『お兄様』になるんですよ!」
「……お兄様?」
「レオン様、言葉が足りなさ過ぎですよ」
「あ。えっと……もうすぐカイのお家に赤ちゃんが生まれるんです!」
「まあ!そうなんですか!おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
まさかの話題だった。おめでたくもあるけれど驚きが大きい。ラブリリの設定にそんな話あったかしら?十二歳下の弟か妹がいるなんて聞いたことがないけれど……。実はいたけれどゲーム内では描かれなかったということ?
「早く会いたいなぁ……。絶対可愛いですよね」
まるで夢を見るお姫様のような顔をしてレオン様がそう呟いた。可愛い物好きのレオン様にとってはもちろん赤ちゃんも守備範囲にバッチリ入っているのだ。まぁ、かく言う私も赤ちゃんには会ってみたいのだけれど……。とにかく、赤ちゃんが元気に産まれてこられますように。
まずあんなに人が多いとは思っていなかった。大勢が集まるとは聞いていたけれどまさか声が届かなさそうなほど遠くまで人がいるとは思わないじゃない!まぁ、ルーク様によると例年よりも多かったらしいけれど。それから次に、私が登場した瞬間に沈黙が走ったことも予想外だった。何なの?期待外れだったとでもいうのかしら?そして、最後に国王陛下からの無茶振り。あれは酷かった。本来私は黙っているだけでよかったはずなのに。あの時の陛下の顔はニヤニヤした私を見た時のルカルド様にそっくりだった。もう正直自分が何を言ったのかは覚えていない。けれどそれを言った後会場は静かになって自分が硬直したことは覚えている。その後はずっと固まってしまっていたので何も耳に入ってこなかった。退場の時には固まった私をルーク様がエスコートという名の強制連行で連れ出してくださった。何度思い出しても本当に酷い話だ。
ちなみに、挨拶が終わってからはメルルやラナと一緒に屋台をまわって遊んだ。初めて女友達とデートができたのでそこに関しては満足している。挨拶に関する記憶を消したならあの日はとても楽しい一日だった。お友達や周りの人々は挨拶のことを褒めてくれたけれどあれは絶対にお世辞だと思う。今頃世間では「白雪令嬢」なんてでたらめだったなんて噂されていることだろう。
「フィリア様?どうかしたんですか?」
「?……あ、いいえ、何でもありません」
今日はレオン様とカイ様が遊びにきている。澄んだ瞳でこちらを覗いているレオン様はやはり天使だ。もうこの天使のお顔だけを目に焼き付けて、挨拶でのことはもう忘れることにしよう。うん、それがいいわね。
「そういえばフィリア様、あと少しでカイが『お兄様』になるんですよ!」
「……お兄様?」
「レオン様、言葉が足りなさ過ぎですよ」
「あ。えっと……もうすぐカイのお家に赤ちゃんが生まれるんです!」
「まあ!そうなんですか!おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
まさかの話題だった。おめでたくもあるけれど驚きが大きい。ラブリリの設定にそんな話あったかしら?十二歳下の弟か妹がいるなんて聞いたことがないけれど……。実はいたけれどゲーム内では描かれなかったということ?
「早く会いたいなぁ……。絶対可愛いですよね」
まるで夢を見るお姫様のような顔をしてレオン様がそう呟いた。可愛い物好きのレオン様にとってはもちろん赤ちゃんも守備範囲にバッチリ入っているのだ。まぁ、かく言う私も赤ちゃんには会ってみたいのだけれど……。とにかく、赤ちゃんが元気に産まれてこられますように。
あなたにおすすめの小説
噂の悪女が妻になりました
はくまいキャベツ
恋愛
ミラ・イヴァンチスカ。
国王の右腕と言われている宰相を父に持つ彼女は見目麗しく気品溢れる容姿とは裏腹に、父の権力を良い事に贅沢を好み、自分と同等かそれ以上の人間としか付き合わないプライドの塊の様な女だという。
その名前は国中に知れ渡っており、田舎の貧乏貴族ローガン・ウィリアムズの耳にも届いていた。そんな彼に一通の手紙が届く。その手紙にはあの噂の悪女、ミラ・イヴァンチスカとの婚姻を勧める内容が書かれていた。
ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
第二回ドリコムメディア大賞一次選考通過作品。
ドジな公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間、前世の記憶を取り戻したのだ。
そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強騎士の恋愛物語になるはずです。でも、その騎士も訳アリで…。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。
皆様のお陰でHOTランキング第4位になりました。有難うございます。
小説家になろう、カクヨムでも連載中です。
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜
ゆうき
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。
エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。
地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。
しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。
突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。
社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。
そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。
喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。
それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……?
⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎
水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います
黒木 楓
恋愛
伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。
異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。
そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。
「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」
そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。
「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」
飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。
これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!
山田 バルス
恋愛
この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
声が震える。けれど、涙は流さなかった。
屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
そう、小さく、けれど確かに誓った。