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第1部 エド・ホード
第14話 世界のはじまりと四大霊剣
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「かなり壮大な話にはなるんだけど」
ラルフさんの話によれば、宇宙のはじまりには混沌だけがあった。魔術者たちはそれを〈ラフマ〉と呼ぶが、名前はもちろん便宜的なものに過ぎない。ラフマ以前には何があったか。それは誰にもわからない。仮に〈ラフマ2〉があったと仮定しても、さらにその元になったものは? 〈ラフマ3〉が、〈ラフマ4〉が……。宇宙原初の問題は、無限に後退してしまう。
「では誰がラフマに秩序を見出し、混沌から空と大地を想像したのか。僕たちはその創造主を、便宜的に神様と呼ぶ」
神は言葉で世界を創った、とラルフさんは言った。生まれて間もない赤ん坊は、花と茎との区別がつかない。花と蝶との区別がつかない。蝶と空との区別がつかない。そこで親は言葉を教えて、次第にかつての赤ん坊は、世界の形を理解していく。神はちょうど赤ん坊のように、言葉によって混沌を規定し、光と闇を、天と地を、空と海を、次々に〈ラフマ〉から生み出していった。
「魚を創り、植物を創り、動物も創り終えたころ、神は自分によく似た者を創った。なんだかわかるかい?」
「人間?」
僕が呟くと、ラルフさんは首を横に振った。
「天使さ」
神は自分と同じ〝規定の力〟を持つ天使を四柱、地上の世界に生み落とした。が、天使たちは一柱を除き、新たな創造をしないばかりか、すでに地上にあるものを、手当たり次第に我がものにしようとした。怒った神は天使たちを規定しなおし、四つの武器に変えてしまった。
「そのあとでようやく、僕たち人間が生み出された」
「四つの武器というのは?」
「四大霊剣と呼ばれるものだよ。人間は通常、自然の法則を超越できない代わりに、実物的な肉体を持ち、その両手に届く範囲のものを、物理的に変化させることができる。魔術者たちはそれに加えて、〈ラフマ〉や〈アート〉、〈精霊〉なんかの力を使って、自然法則をねじ曲げられるわけだけれど――このあたりはまた詳しく説明するね――四大霊剣の力は絶大で、その他の魔術の比じゃないんだ。しかし君はその一つを、どういうわけか自力で跳ね返した」
あまりに壮大な話に、僕は何から尋ねていいかわからなくなった。
「お腹が減っただろう? 話は一旦これくらいにして、下のレストランを案内するよ」
まだまだ聞くべきことがあるはずだったが、僕はラルフさんにつられるように立ちあがると、部屋を出てエレベーターに乗った。
ラルフさんの話によれば、宇宙のはじまりには混沌だけがあった。魔術者たちはそれを〈ラフマ〉と呼ぶが、名前はもちろん便宜的なものに過ぎない。ラフマ以前には何があったか。それは誰にもわからない。仮に〈ラフマ2〉があったと仮定しても、さらにその元になったものは? 〈ラフマ3〉が、〈ラフマ4〉が……。宇宙原初の問題は、無限に後退してしまう。
「では誰がラフマに秩序を見出し、混沌から空と大地を想像したのか。僕たちはその創造主を、便宜的に神様と呼ぶ」
神は言葉で世界を創った、とラルフさんは言った。生まれて間もない赤ん坊は、花と茎との区別がつかない。花と蝶との区別がつかない。蝶と空との区別がつかない。そこで親は言葉を教えて、次第にかつての赤ん坊は、世界の形を理解していく。神はちょうど赤ん坊のように、言葉によって混沌を規定し、光と闇を、天と地を、空と海を、次々に〈ラフマ〉から生み出していった。
「魚を創り、植物を創り、動物も創り終えたころ、神は自分によく似た者を創った。なんだかわかるかい?」
「人間?」
僕が呟くと、ラルフさんは首を横に振った。
「天使さ」
神は自分と同じ〝規定の力〟を持つ天使を四柱、地上の世界に生み落とした。が、天使たちは一柱を除き、新たな創造をしないばかりか、すでに地上にあるものを、手当たり次第に我がものにしようとした。怒った神は天使たちを規定しなおし、四つの武器に変えてしまった。
「そのあとでようやく、僕たち人間が生み出された」
「四つの武器というのは?」
「四大霊剣と呼ばれるものだよ。人間は通常、自然の法則を超越できない代わりに、実物的な肉体を持ち、その両手に届く範囲のものを、物理的に変化させることができる。魔術者たちはそれに加えて、〈ラフマ〉や〈アート〉、〈精霊〉なんかの力を使って、自然法則をねじ曲げられるわけだけれど――このあたりはまた詳しく説明するね――四大霊剣の力は絶大で、その他の魔術の比じゃないんだ。しかし君はその一つを、どういうわけか自力で跳ね返した」
あまりに壮大な話に、僕は何から尋ねていいかわからなくなった。
「お腹が減っただろう? 話は一旦これくらいにして、下のレストランを案内するよ」
まだまだ聞くべきことがあるはずだったが、僕はラルフさんにつられるように立ちあがると、部屋を出てエレベーターに乗った。
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