22 / 26
22
しおりを挟む
~~~
「レオナさんが行方不明? あの団長様が?」
「らしいぜ。しかも、レオナさんが率いていた騎士たちも行方をくらませてるみてぇだ」
「近頃、物騒なことが多いな。聞いたところによると、辺境の村が女、子どもを残し、全滅したらしい」
「こえぇな、おい。この王都は大丈夫なのか?」
「大丈夫だろ。世界を救った勇者様が結界を張ってくださってるみてぇだし」
「流石、勇者様。ならこの王都は安泰だな」
「あぁ、よかったぜ」
道ゆく人々。
その会話を聞き足を止め、ルリとマリは手を繋ぎ鼻歌を囀る。
赤と青の髪。そして、赤と青の双眸。加えて赤と青のローブ。
背丈も同じなら、顔立ちもそっくり。
唯一違うのは、ルリが女でマリが男だということ。
「ねぇっ、お兄ちゃん」
「なんだい?」
「今のお話。聞こえた?」
「うん。聞こえたよ」
「どう思う?」
「うーん。最高」
聞こえてきた物騒な出来事。
それに笑顔を見せ、「女、子どもを残して全滅。聞くだけで楽しそうじゃないか」そう声を響かせ、マリは瞳を輝かせる。
それに倣い、ルリもまた瞳を輝かせ続けた。
「お兄ちゃんっ。その村に行ってみようよ」
「いいね、それ。行こう行こう。女、子ども。ついでに餌の調達も捗りそうだ」
「うんっ。ゴウメイさんの横流し。それを待つより早いかも」
互いに頷き合う、二人。
そして二人は無邪気に駆け出し、惨劇という名の喜劇が行われた村にその胸を高鳴らせたのであった。
~~~
「グルルル」
血の臭い。
それに誘われ、廃れた村へと現れたダークウルフの群れ。
その群れを見渡し、ジークは無機質に行使する。
「収納する。お前たちの記憶を」
ダークウルフ。
一度喰らった獲物の味を覚え、その匂いを覚えどこまでも追跡する漆黒の狼。集団で行動し、帰巣本能が強い。
その魔物がこれほどまでに群れを為し、この廃れた村に現れた理由。それをジークは知る必要があった。
【収納物】
ダークウルフの群れの記憶×25
ジークを囲む、25頭のダークウルフ。
その記憶を収納し、ジークは取り出す。
そして瞼を閉じ、記憶を再生するジーク。
"「ほらっ、今日は食べ放題だよ。たくさん食べろっ。この村は勇者様に仇を為した村。勇者様が壊滅を進言した村。だからなにをしても許される」"
"「あはははッ、泣いてるの!? 痛いの? 苦しいの? もっと泣き叫んでよ。魔物たちの食卓。それを華やかにする為にね」"
ぐちゃッ
べきッ
朧げに見える、二人の幼い者の姿。
赤と青に身を包み、歪んだ笑顔を浮かべる幼い魔物使いの姿。加えて、故郷の村人たちが食い散らかされる様。それをはっきりと。
開かれる、ジークの瞼。
そこに蠢くは、闇。
じりじりとジークに詰め寄る、ダークウルフたち。
その魔物たちを見据え、ジークは呟く。
「収納する。24頭の心臓を」
瞬間。
24頭ダークウルフたちは目から光を無くし、即死。
その場で卒倒し、口から泡を吹きその命を散らす。
残った一匹のダークウルフ。
「……っ」
死んだ仲間たちに表情を変え、脱兎の如き速さでその場から逃げ去っていく。
それを見据え、ジークは更に力を行使した。
【収納物】
千里眼×2
透視×2
それを取り出し、逃げるダークウルフを目で追うジーク。
ダークウルフの帰巣本能。
それを辿れば、奴等の居場所が掴める。
そうジークは確信していた。
「レオナさんが行方不明? あの団長様が?」
「らしいぜ。しかも、レオナさんが率いていた騎士たちも行方をくらませてるみてぇだ」
「近頃、物騒なことが多いな。聞いたところによると、辺境の村が女、子どもを残し、全滅したらしい」
「こえぇな、おい。この王都は大丈夫なのか?」
「大丈夫だろ。世界を救った勇者様が結界を張ってくださってるみてぇだし」
「流石、勇者様。ならこの王都は安泰だな」
「あぁ、よかったぜ」
道ゆく人々。
その会話を聞き足を止め、ルリとマリは手を繋ぎ鼻歌を囀る。
赤と青の髪。そして、赤と青の双眸。加えて赤と青のローブ。
背丈も同じなら、顔立ちもそっくり。
唯一違うのは、ルリが女でマリが男だということ。
「ねぇっ、お兄ちゃん」
「なんだい?」
「今のお話。聞こえた?」
「うん。聞こえたよ」
「どう思う?」
「うーん。最高」
聞こえてきた物騒な出来事。
それに笑顔を見せ、「女、子どもを残して全滅。聞くだけで楽しそうじゃないか」そう声を響かせ、マリは瞳を輝かせる。
それに倣い、ルリもまた瞳を輝かせ続けた。
「お兄ちゃんっ。その村に行ってみようよ」
「いいね、それ。行こう行こう。女、子ども。ついでに餌の調達も捗りそうだ」
「うんっ。ゴウメイさんの横流し。それを待つより早いかも」
互いに頷き合う、二人。
そして二人は無邪気に駆け出し、惨劇という名の喜劇が行われた村にその胸を高鳴らせたのであった。
~~~
「グルルル」
血の臭い。
それに誘われ、廃れた村へと現れたダークウルフの群れ。
その群れを見渡し、ジークは無機質に行使する。
「収納する。お前たちの記憶を」
ダークウルフ。
一度喰らった獲物の味を覚え、その匂いを覚えどこまでも追跡する漆黒の狼。集団で行動し、帰巣本能が強い。
その魔物がこれほどまでに群れを為し、この廃れた村に現れた理由。それをジークは知る必要があった。
【収納物】
ダークウルフの群れの記憶×25
ジークを囲む、25頭のダークウルフ。
その記憶を収納し、ジークは取り出す。
そして瞼を閉じ、記憶を再生するジーク。
"「ほらっ、今日は食べ放題だよ。たくさん食べろっ。この村は勇者様に仇を為した村。勇者様が壊滅を進言した村。だからなにをしても許される」"
"「あはははッ、泣いてるの!? 痛いの? 苦しいの? もっと泣き叫んでよ。魔物たちの食卓。それを華やかにする為にね」"
ぐちゃッ
べきッ
朧げに見える、二人の幼い者の姿。
赤と青に身を包み、歪んだ笑顔を浮かべる幼い魔物使いの姿。加えて、故郷の村人たちが食い散らかされる様。それをはっきりと。
開かれる、ジークの瞼。
そこに蠢くは、闇。
じりじりとジークに詰め寄る、ダークウルフたち。
その魔物たちを見据え、ジークは呟く。
「収納する。24頭の心臓を」
瞬間。
24頭ダークウルフたちは目から光を無くし、即死。
その場で卒倒し、口から泡を吹きその命を散らす。
残った一匹のダークウルフ。
「……っ」
死んだ仲間たちに表情を変え、脱兎の如き速さでその場から逃げ去っていく。
それを見据え、ジークは更に力を行使した。
【収納物】
千里眼×2
透視×2
それを取り出し、逃げるダークウルフを目で追うジーク。
ダークウルフの帰巣本能。
それを辿れば、奴等の居場所が掴める。
そうジークは確信していた。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる