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「ねーっ、お兄ちゃん。あの人、なにをしてるの?」
ジークの仕草。
それが意味することを理解できず、小首を傾げるルリ。
「もしかしてこのダークドラゴンにビビっちゃったのかな? そうだよねっ、そうだよねっ。きっとそうだよ。ふふふっ。怖いなら怖いって言えばいいのに」
一人納得し、ルリはジークを嘲る。
しかし、そこでルリは疑問を抱く。
「それにしても、お兄ちゃん」
周囲を見渡しーー
「魔物たち、こないね。いつもならすぐに駆けつけてきてくれるのに」
魔物誘引×∞
それを使ったにも関わらず、一向に現れない魔物たち。
その現実。
それに、ルリはマリの袖を引っ張り問いを投げかける。
「ねぇ、お兄ちゃん。どうしてか、知ってる? 魔物のみんなっ。調子が悪いのかな? お兄ちゃんの可愛がってた、ケルベロス。その子も、来てないし」
その無邪気な問い。
マリはそれに、焦りを悟られないように答えた。
「う、うん。魔物のみんな、調子が悪いみたいだ。だ、だから。今は、こ、このダークドラゴンだけであの人間の相手をしよう」
マリには、わかっていた。
こちらを見据える、ジークの姿。
その背から漂う、漆黒の闇。
その中に無限に等しい魔物たちの気配が蠢いていることを。
そしてそれは、ダークドラゴンも同じだった。
世界中の魔物の蠢き。
それをジークの中に見定め、ジークから少しでも距離を置こうとするダークドラゴン。
先程までの勢い。それを完全に喪失させて。
「る、ルリ。こ、ここは一回、違うことをして遊ぼう」
「えーっ、やだ。だって、あの人。わたしたちこと舐めてるもんっ」
兄の言葉。
それに拗ね、ふくれっ面を晒すルリ。
「あれー? もしかして、お兄ちゃん。あの人こわがりさんに怯えてるの? 臆病だねっ、お兄ちゃん」
「お、怯える? こ、このぼくがかい? そそそ。そんなことーー」
ありえない。
そう響かんとした、声。
しかし、それを遮ったのはジークの殺気に満ちた意思の表明。
「出てこい」
【収納物】
世界中の魔物×∞
その中から、ジークは取り出す。
ワイバーン×300
フェアリー×200
スライム×150
ケルベロス×35
サラマンダー×30
スケルトン×100
ゴブリン×250
ジークの足元。
そこに広がる、闇。
そこから、収納されし魔物たちはその姿を現す。
「わーっ、すごい。あの人も魔物を呼べるんだ」
能天気なルリ。
しかし、その能天気さとは対照的にマリは唇を震わせ顔を真っ青にする。
「に、逃げろ。逃げるんだッ、ダークドラゴン!!」
「グァォォン!!」
マリの命。
それに応え、ダークドラゴンはその場から飛び去ろうとした。
だが、ジークはそれすらも許さない。
「収納する。魔物誘引を」
【収納物】
魔物誘引×∞
ルリとマリの力。
それを収納し、ジークはそれを取り出し使用する。
刹那。
ダークドラゴンはルリとマリを見放し、頭の上から振り払わんとした。
激しく羽ばたき、旋回し、まるで自分に付着したゴミを捨て去らんとするかのように。
「おッ、お兄ちゃん!!」
「くッ、くそ!!」
いとも簡単に振り落とされ、地へと落下する二人。
しかし幸いにも、二人は無傷だった。
だが、それは二人にとって最悪の幕開け。
「クソ餓鬼が二匹」
眼前でこちらを見下ろす、ジーク。
そして周囲を取り囲む、魔物の群れ。
加えて、ジークの側には血を滴らせ壊れた笑みを浮かべるレオナの姿。
「ひっ、ひぃ」
「……っ」
互いに抱き合い、ルリとマリは涙目を晒す。
その姿。それは、天敵に囲まれた被捕食者そのもの。
そんな二人は、しかし悪びれることはない。
「な、なにをそんなに怒ってるのっ? わ、わたしたちはなにもしてない。た、ただ餌を与えただけだもんっ」
「そ、そうだ。か、かわいいペットに美味しい餌を与えたい。そう思うのは飼い主として当然のことだろ!! む、むしろ感謝してほしいくらいだ。餌になった村人たちにはね!! ぼ、ぼくたちのぺ、ペットたちの餌。そそそ。それになれたことを」
「……」
「ほ、ほら。なにも言えないじゃないか。なにか言いたいことがあるならーー」
「なら、てめぇらも餌になれ。新鮮な生き餌に」
吐き捨て、ジークは行使する。
「収納する、お前らの死を」
漆黒に包まれ不死身になる、二人。
そして更に、ジークは行使した。
魔物誘引×∞
を取り出し、魔物たちを見渡し「餌の時間だ」と声を響かせる。
瞬間。
魔物の群れは一斉にルリとマリに襲いかかる。
絶叫する、二人。
しかし二人は死なない。
加えて。
【収納物】
範囲治癒×2
ジークはそれを取り出し、二人に施す。
その結果。
二人は食われる度に再生を繰り返し、喰われ続けることしかできなくなってしまう。
「ころしてッ、ごろしてください!! あぐぃッ」
「ぃダァいッ、しにたいッ、じにたい!!」
そんな叫び。
それを響かせながら。
ジークの仕草。
それが意味することを理解できず、小首を傾げるルリ。
「もしかしてこのダークドラゴンにビビっちゃったのかな? そうだよねっ、そうだよねっ。きっとそうだよ。ふふふっ。怖いなら怖いって言えばいいのに」
一人納得し、ルリはジークを嘲る。
しかし、そこでルリは疑問を抱く。
「それにしても、お兄ちゃん」
周囲を見渡しーー
「魔物たち、こないね。いつもならすぐに駆けつけてきてくれるのに」
魔物誘引×∞
それを使ったにも関わらず、一向に現れない魔物たち。
その現実。
それに、ルリはマリの袖を引っ張り問いを投げかける。
「ねぇ、お兄ちゃん。どうしてか、知ってる? 魔物のみんなっ。調子が悪いのかな? お兄ちゃんの可愛がってた、ケルベロス。その子も、来てないし」
その無邪気な問い。
マリはそれに、焦りを悟られないように答えた。
「う、うん。魔物のみんな、調子が悪いみたいだ。だ、だから。今は、こ、このダークドラゴンだけであの人間の相手をしよう」
マリには、わかっていた。
こちらを見据える、ジークの姿。
その背から漂う、漆黒の闇。
その中に無限に等しい魔物たちの気配が蠢いていることを。
そしてそれは、ダークドラゴンも同じだった。
世界中の魔物の蠢き。
それをジークの中に見定め、ジークから少しでも距離を置こうとするダークドラゴン。
先程までの勢い。それを完全に喪失させて。
「る、ルリ。こ、ここは一回、違うことをして遊ぼう」
「えーっ、やだ。だって、あの人。わたしたちこと舐めてるもんっ」
兄の言葉。
それに拗ね、ふくれっ面を晒すルリ。
「あれー? もしかして、お兄ちゃん。あの人こわがりさんに怯えてるの? 臆病だねっ、お兄ちゃん」
「お、怯える? こ、このぼくがかい? そそそ。そんなことーー」
ありえない。
そう響かんとした、声。
しかし、それを遮ったのはジークの殺気に満ちた意思の表明。
「出てこい」
【収納物】
世界中の魔物×∞
その中から、ジークは取り出す。
ワイバーン×300
フェアリー×200
スライム×150
ケルベロス×35
サラマンダー×30
スケルトン×100
ゴブリン×250
ジークの足元。
そこに広がる、闇。
そこから、収納されし魔物たちはその姿を現す。
「わーっ、すごい。あの人も魔物を呼べるんだ」
能天気なルリ。
しかし、その能天気さとは対照的にマリは唇を震わせ顔を真っ青にする。
「に、逃げろ。逃げるんだッ、ダークドラゴン!!」
「グァォォン!!」
マリの命。
それに応え、ダークドラゴンはその場から飛び去ろうとした。
だが、ジークはそれすらも許さない。
「収納する。魔物誘引を」
【収納物】
魔物誘引×∞
ルリとマリの力。
それを収納し、ジークはそれを取り出し使用する。
刹那。
ダークドラゴンはルリとマリを見放し、頭の上から振り払わんとした。
激しく羽ばたき、旋回し、まるで自分に付着したゴミを捨て去らんとするかのように。
「おッ、お兄ちゃん!!」
「くッ、くそ!!」
いとも簡単に振り落とされ、地へと落下する二人。
しかし幸いにも、二人は無傷だった。
だが、それは二人にとって最悪の幕開け。
「クソ餓鬼が二匹」
眼前でこちらを見下ろす、ジーク。
そして周囲を取り囲む、魔物の群れ。
加えて、ジークの側には血を滴らせ壊れた笑みを浮かべるレオナの姿。
「ひっ、ひぃ」
「……っ」
互いに抱き合い、ルリとマリは涙目を晒す。
その姿。それは、天敵に囲まれた被捕食者そのもの。
そんな二人は、しかし悪びれることはない。
「な、なにをそんなに怒ってるのっ? わ、わたしたちはなにもしてない。た、ただ餌を与えただけだもんっ」
「そ、そうだ。か、かわいいペットに美味しい餌を与えたい。そう思うのは飼い主として当然のことだろ!! む、むしろ感謝してほしいくらいだ。餌になった村人たちにはね!! ぼ、ぼくたちのぺ、ペットたちの餌。そそそ。それになれたことを」
「……」
「ほ、ほら。なにも言えないじゃないか。なにか言いたいことがあるならーー」
「なら、てめぇらも餌になれ。新鮮な生き餌に」
吐き捨て、ジークは行使する。
「収納する、お前らの死を」
漆黒に包まれ不死身になる、二人。
そして更に、ジークは行使した。
魔物誘引×∞
を取り出し、魔物たちを見渡し「餌の時間だ」と声を響かせる。
瞬間。
魔物の群れは一斉にルリとマリに襲いかかる。
絶叫する、二人。
しかし二人は死なない。
加えて。
【収納物】
範囲治癒×2
ジークはそれを取り出し、二人に施す。
その結果。
二人は食われる度に再生を繰り返し、喰われ続けることしかできなくなってしまう。
「ころしてッ、ごろしてください!! あぐぃッ」
「ぃダァいッ、しにたいッ、じにたい!!」
そんな叫び。
それを響かせながら。
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