世界から性欲が消えた日

シュール主義

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２話

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性欲が消えたー……

それはまだ続いていた。
なぜだ？
性の対象物の構造を全て知ったから？
知らぬが仏だと言うの？
そんなの悲しすぎるよ！！
それじゃ、戦争は無くならないよ！！

幾多の疑問を抱え、空の星は巡る。
空の果てのオーロラよ、僕の悩みを
聴きたもれ。

性欲は生欲と言っていいほど、
僕の人生に指針を示してくれた。
性欲は僕の誇りだった。
たとえ、それが歪んだものであっても。
時には自分の弱さをごまかす手段に
利用したかもしれない。
苦しい時、嬉しい時、
いつも性欲はそばに居てくれた。
サンキュー相棒、お前の存在、まじ尊敬。

何で無くなったんだろう。一時的な物か？
体調は万全だ。
むしろ爆発させたい。対象が有れば向かいたい。
そういう気持ちだけはあるのだが
体が反応しない。
体が黄昏てる。
もしかしたら気候のせいかな？
最近天候変わったからな。

世界全体で今、性欲危機なのかな？
誰か統計取って。
何者かの陰謀なのかな？
テレビからお色気番組が消えたのも
陰謀？
じゃあエロDVDは文化遺産だね。
国で保護してやって。

性欲が湧かないというのは経験としてはある。
そういう魅力を感じない対象というのはいる。
純粋そうでそういう目で見れない、とか
そういう目で見たくない、とか。
その場合は対象と自分との間にジェネレーションギャップが
あるからだ。
自分が大人になったから、自分より
幼い物には性を感じなくなる。
それはある意味必然的な自制なのかもしれない。
度を超えると世界は変態だらけになり未曽有の危機になる。

しかし、僕が湧かないと言っているのは
幼さに対して湧かない、でなく全般的にである。
そうなると、死活問題である。
私の不安を分かってほしい。
性欲のない僕は生きたまま死んでいる様なものだ。
今まで性欲の行くまま生きてきたからだ。
そうなると自分の存在理由まで揺らぐ。

部屋にたまったエロDVDが報われないだろう。
このまま只、死んでいくのか？
否、
こうなればもはや自分で自分をマインドコントロールするしかない。
僕は性欲教祖様だ。
自分にいかに性欲が大切かを教える。
性の対象物に価値を付随させる。
人間、本来生まれてから親と裸の付き合いをしながら
生きていく。
裸は裸それ自体では性の対象とはならない。
文化的に性の価値を付随するから性欲が湧くに
他ならない。
僕は僕の頭を自らごまかすのだ。
そして性欲で明日へ僕の人生を紡ぐのだ。
何だか涙が一筋、頬を伝って来た。

どうか僕を見守ってほしい。
性欲は僕の生きた証なんだ！！
人類に平等に配られた唯一の幸せなんだ！
性欲があるのに僻んでる奴出て来い！！
ぶっ飛ばしてやる！
他に何も望みません。
性欲が湧く幸せを世界が気付けば皆が口々に
ありがとうと言うだろうよ。
核を作る前に大人のおもちゃを作れよ！首脳陣！

世界情勢まで心の枝葉を伸ばし、
私は性欲が生きる世界を模索するのであったー……。

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