VRMMOでスナイパーやってます

nanaさん

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ある【剣聖】の配信

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別視点も書いてみました


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「やぁ こんにちは 今日はついに東の森こと黒夢の森の攻略を行うよ」

『よっ!待ってました!』
『この時を待っていたぞ...!!』
『北攻略の時みたいな神回期待』

「攻略するメンバーは僕が居るパーティのブレインソード 魔法使いの最上位プレイヤーのウィザーさん達率いる魔導の探求 傭兵であるレグルスさん達が率いる疾風の剣の3パーティで攻略していくよ」

『最前線のパテだぁ...』
『掲示板で話題に上がってる奴ら程ぶっ飛んでないけどこの人たちも中々ヤバいんだよなぁ...』
『これは攻略も余裕か?』


「今までこのメンバーで黒夢の森の攻略をしてきたからね そう生半可なものじゃないと思うよ」

「そうだぞお前ら 俺らの努力はお前らの思ってる程 やわなもんじゃあねぇ」

「2人とも落ち着きなさい これから攻略なんだから」

「そうだな...俺の我儘に付き合ってくれた仲間の分も今回の攻略は成功させねぇとな」

『兄貴だ...』
『感情に振り回されまくってるけど兄貴分なんだよなぁ...』

「やかましいわ!!さっさと行くぞ」

「それじゃあ皆の準備も出来ただろうし出発しよう」




「...何かおかしい」

「...そうね いつもならもう魔物達が襲ってきてるはず...」

「この森に何か異変が起きてやがる...」

「まるで誰かが狩り尽くしたみたい」

『ここまで静かな時あったか?』
『普通ならもう黒い鳥がこっちに猛スピードで飛んで来てるんだけどなぁ』
『イベントの予兆?』

「...分からない とりあえず進んでみよう」

「お前ら警戒しとけ 何が来るか分からねぇ」

「そうね..気配察知に何か引っかかった?」

「いや..何も引っかかってません!!」

「そうか..なら進むしかない」

しばらくすると奥から戦いの音が聞こえてくる

剣を打ち合い魔法を放つ音が聞こえてきた

「まさか...横取りは許さねぇ...」

「落ち着いてレグルス まだそうとは決まってない 住民の人かもしれない」

「急ごう 仮にどちらであっても助ける必要はある」

『攻略組並に強い人達がいるって事?』
『住民か..それとも別の有名プレイヤーか...』
『お嬢の配信見てきたけど相変わらず魔物をデストロイしてたぞ』
『筋肉王子は相変わらず筋トレだ 二姫や炎帝もここ最近見てない』

「一体誰が...」




しばらく進みボスエリアの寸前のところで


『ワールドアナウンス!!黒夢の森のユニークボス【黒夢】のエルダートレントが討伐されました』

ワールドアナウンスが鳴った それが意味するのはボスが倒されたことである

ボスエリアに着くとそこには...



息を切らして地面に座り込む軍服を着た仮面の少女が居た...


「なっ...」

「倒されてる...」

「彼奴の仕業か?」

『嘘だろ?』
『あんな服装...見たことない 恐らく住民だと思われる』
『とりあえず本人に話を聞いてみない?』
『マズイ レグルスが暴走する』


「はぁ...はぁ...」

「ったくここまで来たのに横取りだァ!?許せねぇなぁ...俺らがこんだけ努力してきたのによォ!!!」

「待て!!レグルス!!」

『マズイ』
『レグルスの放った矢が運悪く刺さってしまった...』
『心臓じゃなくて良かった...だけどあの状態じゃ致命傷に近い』


「うっ...」

「離せ!!彼奴を殺らなきゃ気がすまねぇ!!こいつらの!!仲間の時間を無駄に帰しやがった野郎を!!!」

「馬鹿野郎!!何をしてるんだ!!あんな幼い少女を!!」

「そうよ!!ごめんね!今回復魔法をかけるから...」

『レグルスの気持ちは分かるがやりすぎだ』
『あの子可哀想...』
『こりゃ炎上だな...』
『ただでさえ出血してたあの子にあの一撃は死ぬぞ』
『ゲームの世界とはいえ彼女らは生きている』




「許せない...」

「えっ?」

「何がゆるせないだ あぁ?!!横取りしやがってよ!!俺らがどれだけ時間かけたのか分かってんのか!?」

『時間をかけたのは分かるが...』
『彼女からしたら恐らくただ生きるために戦ってだけなのに...って感じよね』
『住民とプレイヤーの認識の差が出たな』


「貴方達に...絶対に奪わせない...!!」

「ちょ、ちょっと待って!!悪いのは此奴だから!!一旦 落ち着きましょう?」

『これまずくない?』
『消耗してるとはいえユニークボスとタイマン張れる実力のある住民に敵対認定されたらまずい 下手したら冒険者で金級レベルの実力の住民だぞ』
『とりあえず落ち着かせないと...』
『あれ?なんか様子がおかしくないか』


「うっ...ああっ...」

「なんだ?様子がおかしいぞ?」

「だ、大丈夫か!?君!!」

『頭を抱えて何か呻き声を出してる...』
『戦闘の後遺症か?』
『とりあえず回復してやれ!!』
『ん?いつの間にか仮面が変わってる...』

彼女は自身が身につけてるピエロの仮面に手をかけ叫んだ

「くっ..あぁ...いくよ...【道化クラウン】!!!」

彼女がその仮面を勢いよく外すと同時に大量の血が飛び出る

「なっ...」

「様子がおかしい...あれはなんだ!?」

「何かのイベントか!?」

『明らかに致死量の出血なんだが?』
『これイベント?』
『もしかしてイベントなら選択間違えたんじゃ...』
『イベントなんだろうが知らないがあの瀕死の少女にトドメ刺そうとしたことは許せない』

「あはっ..」

「っ!?」

「なんだこの悪寒は...?」

「あはははははっ!!!」

彼女の笑いとともに彼女を蒼い炎が包み込んでいく

『ええっ!?』
『覚醒...ってやつ?』
『マジモンのイベントだ...』
『神回』

「あはは...人の手柄を奪うとは...よろしくありませんね?」

炎が晴れた先に居たのは

赤と緑の髪に道化師の衣装

そして...ピエロの仮面を身に付けた謎の人物だった

『姿が...変わった?』
『声や雰囲気も変わってるぞ!?』
『あれは一体なんなんだ....』
『まさに道化師だなありゃ...』


「なっ...」

「なんだあれは..見たことがない...」

「あんなの初めて...」

「くっ...何が起こったか知らねぇがしねぇっ!!」

そのピエロの仮面をつけた道化師はレグルスが放った矢をノールックで掴んだ

「なっ!?」

「おやぁ...いけませんよ?まだ話の途中ですのに...まったく...あの激戦を制した勝者を横から討ち取るなんて美しくない...エンターテインメント性が無い!!そんな事をした貴女方に魅せてあげましょう 貴方達のような手柄を横から掻っ攫う賊とは違う真の勝者の力を!!」

『嘘だろ?』
『動体視力と反射神経バケモンかよ...』
『やっぱりタイマンして勝ったのか...』
『敵認定されてない?これ...』
『え?何?戦うのこれ?』


『レイドボス【道化】が出現しました』

「なっ!?」

「レイドボスだって!?」

「あんな少女が...?」

「ちっ...だがいい 倒す理由が出来たもんなぁ!!!」

『嘘だろ!?』
『レイドボスとか初耳だぞ...』
『明らかに負けイベ』
『選択肢ミスったなこりゃ』
『そら瀕死の時に矢をいきなりぶち込まれたらそうなるわ...』
『住民からしたら激闘の末に勝利した後 横取りされて殺されそうになったわけだからな...』

「Ladies and gentleman!!今宵始まりますは美しい演武劇 悪しき賊とそれを打ち倒す道化師の圧倒的な戦いでございます 舞台は月明かり照らす静かな森 残念ながら観客のお方は居られません...さぁ始めましょう!この愉快な演武劇を!!」

「さっきからごちゃごちゃうるせぇなぁ!!」

「さぁ まず最初に戦いますのは 不届き者である弓使いの盗賊でございます!!」

レグルスから無数に放たれた矢はまるで手品のように道化師が被っているシルクハットに吸い込まれて消えていった

「なっ!?」

『手品かよ!?』
『何あれ!?スキルなのか!?』
『レイドボスの能力...なのか?』

「さぁ 次に皆様にお見せしますのは美しい白鳩でございます!!是非ご覧あれ!」

その道化師のシルクハットから物凄い数の白鳩が飛び出てきてレグルスを襲い始めた

レグルスのパーティメンバーが必死に救出しようとするが彼らも巻き込まれ始める

『酷すぎる』
『どうやって勝つんこれ』

「なら本体を叩くまでだ!!」

白鳩はレグルスに体当たりをし 嘴で突き刺し 視界を白で埋め尽くす

レグルスならまだ大丈夫と思っていたけど...

「なっ..がぁっ!?」

「レグルス!!?くっ...皆!!戦うしかない!!」

レグルスがデスしてしまった

皆に戦闘準備をさせ僕は1人 レイドボスに突っ込む

白鳩を斬り落としつつ僕は【道化】を切り裂こうとするが

「さぁ踊りましょう!!」

「なっ!?」

【道化】は跳躍して僕の斬撃を避け そのまま剣に着地しその上でタップダンスを踊り出した

『余裕ありすぎだろ...』
『完全に遊ばれてるな...』
『どうやって勝つんだよ...』

「舐めないで!!」

ウィザーさんの魔法が何発も放たれるもそれは【道化】が華麗に振り抜いたトランプによってかき消される

『トランプ1枚で魔法消してくるのかよ...』
『恐らくステータスに圧倒的な差があるんだろうな...』

「嘘でしょ!?」

「ざーんねんながら真でございます!!」

僕による剣の猛攻をトランプを使って片手でいなしながら【道化】はニヤリと笑う

「隙ありっ!!」

その瞬間僕は【道化】を斬り裂いた...と思いきや その身体はトランプに変わり身体を構成していたトランプがパラパラと落ちていく

「嘘っ!?」

『は?』
『何それ?』
『無敵じゃんそんなの...』
『いつの間にか転移してないか!?』

「さぁ お次はお手玉でございます!!」

何処から出したのか分からない大玉に乗りながら【道化】は3つの..爆弾をお手玉しながら僕達に近づいていく

『ピエロそのものだな』
『振る舞いや言葉から道化師なるものを感じる』
『このイベント 1回限りとかじゃないよね?』

「どっから出したのよ!!!」

「めちゃくちゃ過ぎる」

「勝てねぇ...」

「おやぁ?どうやら演武劇はもう終幕の予感がしますね..ならば最後は派手に飾りましょう!!」

『なんか大技出てきそうなんだが...?』
『冗談きついぜ...?』
『マジかよ』

手に持っていた爆弾をこちらに投げて来て今度は何処からか取り出した投げナイフを使い

爆弾に向かって投げてきた

「マズイ!!全員防御体制!!」

「それでは終幕フィナーレです!!」

『あぁ...』
『一体どれだけのレベル差が...』
『最後まで華麗だった...』


「それではまたお会いしましょう」

そうして悪しき賊を下した【道化】は優雅にお辞儀をして何処かへと去って行った
 





「...負けてしまった」

「まさかこんなことになるなんて...」

「...くそっ!!」

「レグルス 君の気持ちはよく分かる だが...住民である彼らは僕達とは違う 一度死んだら終わりなんだ」

「...すまねぇ 感情に振り回されていた...」

「まずレグルスがする事はあの少女こと【道化】に会って謝る事ね...」

「いつ謝れるかは分かんねぇが...今思うと..俺のやってしまったことは相当残酷なことだと自覚した...俺はなんてことを....」

『自分で気づけるだけまだマシだな』
『反省出来て偉い』
『結局あの少女は何者だったんだろうか?』
『そもそも何故あそこに居たのか...』
『何かのイベントフラグだったんだろうけど』
『覚醒?したとこかっこよかったなぁ...』

「私もさっさと回復してあげれば良かったわ...」

「僕も戦闘するのではなく対話をするべきだった..」

後悔してる僕たちの傍を見覚えのある少女が通っていく...ってあれ?

『ん?』
『あれ?もしかして...』
『いや再会早っ!?』
『すっげぇ呑気にクレープ食ってやがる...』

「もしかして君は...」

予想以上に早く 僕達と彼女の邂逅は早かった

「...面倒事の予感」

衝撃のあまり僕達は彼女のその呟きを聞き流していた

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