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nanaさん

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2章 異世界

殲滅と不穏

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「んじゃクエストも受けたことだし作戦会議と行こうか」

「お、本格的ですね!」

「まずは俺とアリアがスレイブに乗って集落の上空まで飛ぶ」

「ふむふむ」

「んでそこから俺とアリアがそれぞれ技をぶっぱなしてゴブリン達の大半を壊滅させる」

「ほうほう」

「その後俺らが集落に降りたってゴブリンキングと残った残党をぶっ倒す 」

「...脳筋すぎません?」

「こんぐらいがいいんだよ 知らんけど」

「でも上手く行きそうなのが不思議です...」

「じゃあokってことでいいな?」

「okです!」

「それじゃあ早速行こう」


また気だるそうなスレイブを呼び出して乗せてもらい地図に記された地点に向かう


「あれだな...」

明らかに集落っぽい建物やその周りに築かれている木で出来た壁が見える その中には見張り台もあり弓を持ったゴブリンと思われる個体が目を光らせている

「見張りちゃんと居ますねぇ...」

「ご丁寧に堀も壁も建ててあると こりゃ面倒だな やっぱり吹き飛ばす方法で良かったな」

「ですね それじゃあやっちゃいましょうか」

俺とアリアの足裏にプレートを生成し スレイブから降りる

「これ本当に不思議ですね...本当にどうやってるんですか?」

「ま、汎用性の高いスキルだからな そのうち教えるさ」

「絶対いつか教えてくださいね?」

「はいはい、いつかにな」


スレイブはオーブに戻ったので早速狙いを定める

「あの見るからにデカい家に撃つぞ」

「確かにあそこに居そうですね キング」

その家の周りには上位種と思われる鎧を着たゴブリンも居るので合ってると思う

「んじゃ最大火力で...行きたいところだが ちょっと試してみたいことがあってな」

「?」

「合体技...分かるか?」

「よくアニメや漫画であるやつですね!」

「俺らも試してみないか?」

「..良いですね!面白そう!」

「俺が使えるのはこの黒い光を使う魔導と雷術だ」

「私は炎術ですね」

「んじゃあ.....こういうのはどうだ?」

「良いですね..!それじゃあ早速やりましょう!」

「おうよ」





集落のゴブリンキングが居る家目掛けてアリアが炎を溜め始める

炎は密度が高まることで温度もどんどん大きくなり...最終的には白い炎になった

それを集落に向けて解放する

「【白炎砲】!」

レーザーのように集落に向けて瞬間的に放たれる炎のレーザー

その周りには紫色の雷が纏われている



「【紫電】【黒閃砲】」

レーザーと一緒に放たれた黒い光が混ざり合い黒い炎と成り集落に向けて進み続ける

その勢いの影響か空は暗くなり始め 見張り台のゴブリン達も異変を感じ取ったのか空を見上げる

「「【紫炎夜宵】!!」」

黒い空から放たれる紫の閃電を纏った黒い炎はゴブリン達の集落に破滅を齎した

家々は破壊され ゴブリンは燃え塵になり ゴブリン達の長であるゴブリンキングでさえ瀕死の重体になるほどだ

「...」

「....」

「やっちまった...」

「まさかこんな事になるなんて...」

集落周りは跡形もなく消し飛んでいる ゴブリンの上位種達も塵すら残さず消えており 唯一残ってるのは瀕死のゴブリンキングのみ

「...とりあえず仕留めるか」

「ですね」

ゴブリンキングは空から降りてくる俺達を殺意の篭った眼で見てくる

「...」

『...ナニモノダ..アノヨウナチカラ トテモニタイ ノ ニンゲン デハ フツウ ダセナイ チカラダ』

「俺らはただの人間でただの駆け出しの冒険者 依頼を受けてお前達の殲滅に来た」

『タダノニンゲンカ...ワラワセルナ 』

「本当なんだがね...ま、悪ぃが死んでもらう」

『王トシテ ワレハサイゴマデタタカウノミ』

ゴブリンキングはその手に携えた巨大な大剣を持ちこちらに斬りかかってくる

「うおっ!」

「早い!」

『コレデモ ワレハ 王ニ...トクベツナソンザイニナッタモノ ソウカンタンニハヤラレヌ』

流石 ゴブリン"キング"だな ユニーク個体なのもあるのだろうが王としての風格と覚悟がひしひしと伝わってくる

「なら俺らもそれに応えて全力で倒させてもらう」

俺は大槌を取り出し紫の雷を纏わせる

アリアも双剣を取り出し炎を纏わせた


ゴブリンキングの大剣の一振に対し まずアリアがそれを避け ゴブリンキングの片腕を切り落とす

俺はゴブリンキングの大剣を受け止め衝撃操作と重力操作を使い跳ね返しそのまま 首を斬り落とす

『ミゴトダ...クイハナイ....』

そう言いゴブリンキングの眼から光が消えて行った

「...ゴブリンキングが瀕死だったから良かったが...こりゃ最初ぶっ飛ばさなかったらどんだけ苦労してたんだろうな」

「相当大変だったでしょうね...」

『ユニーク個体を撃破しました プレイヤー名 アルバ  プレイヤー名 アリア は条件を満たした事によりそれぞれ蒼月の試練と紅月の試練を開始しました このアナウンスはプレイヤー本人には聞こえていません』



ゴブリンキングの死体をインベントリに入れ 少しゴブリン達の集落だった場所を歩いてみる

「あんだけ広かった集落がこんな一瞬にして消えるんだもんな 恐ろしいな」

「それをやったのは私達なんですけどね」

「俺は今ステータスを見るのが怖いよ」

「私もです...」


話しながら歩いてると 丁度ゴブリンキングが居た家の跡地に辿り着く

「また...宝箱か」

「ハイゴブリンの時より豪華ですね」

「中身は...またスキルオーブと...これは...」

スキルオーブが1つと何かの紋章が掘られた短剣が二つ

それぞれ赤い宝石と青い宝石が埋め込まれている

「...スキルオーブは俺は持ってるしアリアにやるよ」

「分かりました ですがこの短剣はどうします?」

「うーむ...好きな色の方を選ぶか」

「そうしますか 特に何か分かるわけでもないですし」

「んじゃせーので選ぶぞ」

「はーい」

「「せーの」」

アリアが取ったのは赤い宝石が埋め込まれた短剣

俺が取ったのは青い宝石が埋め込まれている短剣だ

「丁度別れたな」

「ですね それにしても一体これは...」

「明らかに重要そうだよな」

「ユニーク個体でしたし 何か関わってたのかもしれませんね」

「ありそうだな "キング"って付いてるしな」

「まぁ私達には何も分かりませんが...とりあえず帰ってギルド長達に報告しに行きましょう!」

「だな 今頃不安になってるかもしれない」

そのまま俺達はまた気だるげなスレイブに乗せてもらいイルバニアに戻って行った...




『...ふむ ユニーク個体でありゴブリンキングの中でも目まぐるしい成長を遂げていたポーンがやられたか』

魔物の馬に跨り帰っていく2人の冒険者を水晶越しに観察する存在が居た

そいつはあのゴブリンキングの事をポーンと呼び それが倒されたことに対して驚いた様子は無い

『所詮奴は捨て駒当然の存在 殺られても不思議では無いでしょう』

その存在に話しかける影が1つ

『だけど不思議な事にポーンを倒したのは駆け出し冒険者と呼ばれる 本来 我々なら赤子の手をひねるように倒せる強さの人間だ』

その存在の呟きに対して答えるのはまた別の影

『強さは今はどうでもいいの 大事なのは例の短剣が奪われたこと 奴らがその重要性に気づいて無いうちに取り返さないと』

『そうだな...万が一 我らが主の邪魔となる"あの存在"を復活させるような事があったらとんでもない 主にも報告しておこう』

『...それがいいでしょう 私達の目的を果たす為 これは重大な事です ですが今回 あの短剣をポーンに一任した貴方にも責任があるのでは無いですか?"ルーク"』

『....そうだな 俺に責任がある だから今度は俺が...取り返してこよう』

『任せたぞ "ルーク"』

『失敗は許されないわよ』

『主の邪魔になるものは全て消せ 良いですね?』

『...了解だ』

『それに...他にもまた"面倒事"が起こったみたいだし 私はそっちの対処に行くわ』

『面倒事..."剣"か?』

『いいえ、"選ばれた"みたい』

『...また..か いつの時代にも何度も何度も始末してきたが...一体いつになったら終わるのだ..?』

『全て我らの主次第だ その為にも各自 使命を全うしろ』

そうして存在達は順に姿を消していき各自がやるべき事をしに行った

だが残った影が1つ "ルーク"と呼ばれた1つの影

『冒険者 アルバとアリア..か...お前達は一体何者だ?この世界に突然現れ このような力を持っている...気になるな...』

そう呟き "ルーク"と呼ばれた影も姿を消した



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