祈り姫☆恋日和

花咲マイコ

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好きすぎて触れたくて(読み切りラブ)

清いままでいたいのは?

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「李流ってそんなにモテるの!?」
 法子は驚きと同時に納得する。

「背も高く細身なのに男らしくモデル体型で、性格も良くて優しくて、美形でダメな所を探せという方が無理よね」
「よくそこまで褒められるな。さすが恋仲でいらっしゃる。」
 今日の護衛当番は李流の親友で信頼されている。
 彼の名前は香茂薫かもかおる
 李流の繊細さな男らしさとは、真逆な男らしい線の太い精悍な男だ。
 李流と同い年で同僚の宮廷警備職。
 小庭でお茶を楽しんでいる所、警護をしてくれる彼もお茶に入れて李流のことを聞いた。

「そうですね、侍女仲間も李流殿のことを目をつけてる人は多いですよ。」
「法子様と付き合っているの知っているのに、虎視眈々とねらってます。」

 とし子とみや子は言う。

 ちょうど、護衛のシフト交代で休みを頂いた李流が法子が用意した、御茶会に来た。

「ちゃんと護衛をしてるか?薫」
「うーっす!茶頂いちまった!」
「打ち解けているみたいだな……」
 恐れ多くも勤務時間にお茶をいただくな。
 と心の中で思い、こいつの性分だから仕方がないと溜息をついて諦めた。
 法子は李流の腕をがしりと掴み、

「女の人に、さ、誘われたりしたことあるの?」
 凄んで聞く。
「さぁ…どうでしょう。」
 李流は和やかな顔でごまかした。
 嫉妬してもらえているのが嬉しかったから曖昧に答えると、

「あるに決まってんだろ!」
 薫が豪快に言う。
 宮様の前であろうと口が悪い。
「薫!」

 薫の口を塞ごうとしたら、腕を取られて逆に李流の方が薫に手で口を塞がれる。

 ツーチャンネルの権化ともいわれる口のワルさを持つ親友らしい薫はいう。

 警備仲間で有名な美人侍女に李流は手紙で誘われて、通称逢引廊下で二人話しているところを俺は見たんだ。

 法子はショックを受け、李流を睨む。
 荒御魂が吹き出しそうだった。

 そこで、女に壁ドンされていたんだ。

「えっ!?」
 むぐぐ!
 流石にガタイがよく馬鹿力と言われる薫に李流は身動きできない。
 暴れる李流を他所に話をつづける。

「そんなに、いい身体してるのに、経験ないと恥ずかしいですわよ。私が手取り足取りおしえてあげましょうか?」
 と迫られていたんだ。

 そしたら、こいつ無表情で、

「病気やケガレを伝染られるよりマシです」
 
「って、素で言いやがって!
一部の侍女に嫌われてるんだよ!」

 わっははは!と豪快に言う笑ってい李流を開放する。
 李流は仕返しに脇腹に肘鉄を入れて黙れとジェスチャーするが、頑丈な体の持ち主は黙らない。

「なんで誘いを断ったんた?もったいねぇー。経験詰めよ!男だったらよー」
「初めては法子さまに捧げたいし……はっ!」
  李流は本心をつい言ってしまって、ハッとして、色々恥ずかしくなって真っ赤になった。

 その様子を見たものは心の中で

(純血乙女が、ここにいるっ!)
 なんだか、萌えてしまうほど可愛い!と思った。

「すみません!今日はこれで失礼します!」
 といって逃げる。

「愛されてんなー姫さん!」

 法子も李流の思いに嬉しくて頬を赤らめる。
 私のために清い体でいてくれているなんて!しかも、大の男が!

「降嫁されるまえにいろいろ仕込んでおくから安心していてくだせぇ!では!李流のやつを連れ戻して俺は上がらせてもらいますね」

 そう言って李流を捕まえに行った。

「法子様大丈夫ですか?薫殿はデリカシーが全く無いから」
 顔が真っ赤な法子をみてとし子は心配する。
「ほんと乙女の敵ですわね!」
 口を開かなければカッコいいのにと二人でため息を吐く。

「李流殿は素晴らしい方ですね。
それにくらべ、薫殿はどなたにも手を出しているみたいですね。」

「あ、でも。
如月殿にプロポーズしてるらしいですよ。」

「落ちねぇ女こそたまらねぇ!とか。」
 如月は時たま、警護に入ってくれる女性近衛だ。

「でも、あの二人真逆なのに親友てところが萌えますけど。」
「いろいろ仕込むって、男同士で?」
 法子も冗談でいって、オタクな乙女三人は軽いBL話に盛り上がった。

 それにしても薫はどことなく、晴房に似ていると思った。
 無理やり担ぎ上げられ、法子の部屋に届けられた李流は言う。
「ルカ様曰く従兄弟だからか?と嘆いてました。」
ん?と法子は首を傾げる
「ルカとも関係があるのか?」

「ルカ様の息子です。
ハル様いわく口のワルさは瓜二つらしいです。」

「ハルと、ルカの特徴をとったのが薫か。」
 最強だなと、法子は苦笑いした。

「どうやって出会ったの?」

「偶然クラスメイトで、母と、ハル様の縁を最初に結んだ張本人。
別に要らなきプリントをわざわざ持ってきて、母もそれに気づかすハル様と出会って、今の桜庭家があるのです。」

 巡り巡って縁は結ばれた。
 縁とは不思議だと李流はしみじみと思った。
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