臣と野薔薇の恋愛事情

花咲マイコ

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ドキドキ両親に挨拶

1☆当然の事

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「お父さんに挨拶しに行くのドキドキするけど、ちゃんとしなくちゃね……」
 緊張した面持ちの臣は野薔薇を優しく見つめて、そう言った。
 きちっとしたスーツ姿の臣を見つめて野薔薇はぽーっと見惚れて顔を真っ赤にしていた。
「かっこよすぎでつ……臣さん!」
 話がちょっと噛み合わなかった気もするけど、臣はニコッと優しい笑顔をして、
「ありがとう。野薔薇ちゃんもいつも以上に可愛いよ」
 スーツを用意するという臣に、合わせるように、急遽、薫の叔母である真陽にフォーマル着を何着か見繕ってもらい自宅に帰るだけなのに、白いワンピースに、淡いピンク色のリボンのカチューシャに胸元より下にピンクのレースのリボンが縫い付けられて子供っぽく見えなくはないが妊婦にも見えなく無いひらひらレースのドレスワンピースだ。
 靴下もおそろいのピンクに白いパンプス。
 淡い交互の色合いはバランスが良い。
 恋して愛されている野薔薇のオーラにあっていた。
 着せ替え人形だった葛葉子の変わりを見つけて大満足だった。

 薫が真陽を呼ばなかったらいつも通りのジャージスタイルで実家や臣の実家にもお邪魔していたかもしれない。
 素ですこし感覚がズレてる子飛ばれてしまう。
「今後洋服を見繕う時は私を呼ぶように!」
 と言ってくれて、野薔薇は頼りになる強い味方を得た。
 幼い頃何度か会った事があったので真陽のパワフルさを知っていたけれど……
 先に真陽に妊娠したことを報告すれば、いいアドバイスが貰えたかもしれないと思った。
(携帯番号知らなかったから無理でしたけど……ね。)
 そう思いため息を吐き三日前の両親のことを思う。


 野薔薇は臣と両思いで生涯を共に過ごす約束をしてもらい、陰陽寮の皆からは祝福してもらい、安心し嬉しすぎて、翌日うきうき気分で妊娠の報告を電話越しで両親に話したら、

「すぐにでも連れてこい!」
 と、両親に怒鳴られた。

「まさか、男と付き合ったことの無い大事な一人娘が十八歳も歳上の男と一晩で出来て結婚を決めてしまうなんて、とんでもない!」
 と、怒られた。
 怒っているのとパニックになっているのが電話越しに感じた。
 野薔薇はまさか怒られるとは思っていなかったために浮かれていた気分を叩きのめされた。
(祝福してくれると思ったのに……)
 無意識にお腹を触って落ち着こうと心がける。
 心の起伏は妊娠初期にも影響あるかもしれないと既に母親としての気概は出来ていた。
 野薔薇は親からの電話を切って、最大限にしょんぼしてしまった。
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