あやかしと神様の子供たち

花咲マイコ

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高良の宝石

6♡お見合い

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 お見合いは七夕の日になった。
 運命的な出会いをし彼女を美しいと言ってしまった日から数日間、この日を待ち侘びていた。
 お見合い直前まで清く正しい逢引をしていた。
 その間どんどんお互いに惹かれていった。
 橘が彼女のことを『ルーちゃん』と言うように、オレもルーちゃんと言う名前しか知らずそう呼んでいた。

 今日、初めて彼女、ルーちゃんの名前を知った。
 名前は祭宮瑠陽衣まつりみやルビィ

 七月生まれなので、誕生日石のルビーの当て字で、恥ずかしくて嫌いらしい。
「すごい、名前でしょ?私恥ずかしくて名乗れなかったんです…」
 そういって顔を赤らめて少し涙目だった。
 本気で名前を嫌がっているようだ。
 だけど、オレはルビーの由来は美しいし気に入った。
「オレの名前は高良……は宝の言霊に通じてるんだ。
 キミの名前は宝石のルビー……
 その名前はこの縁を繋いだ素敵な名前だ」
 オレはそう言霊を紡いでルビィの名前を嫌う気持ちを和らげたかったし、恥ずかしいキザな言霊をルーちゃんの前だと素直に口に出してしまって困る。
 ルーちゃんもそんな素のオレを受け入れてくれた。
「そんなふうに初めてですしすごく嬉しいです!」
 ルーちゃんは瞳をキラキラと輝きオレを見つめる。
 その表情が一番好きだ…出会った日のことを思い出す。
 あの時すでに告白をしてしまったのだと…
 そして、後悔はない、今ここでお見合いという形で出会えたことに感謝する。
《なんじゃなんじゃ、お前らそこまでの仲だったかー?》
 一通り互いを紹介した晴綛様は後は若い二人だけでと言いながら襖の隙間から二人の様子を覗き見てニコニコ顔だった。
 それは晴綛様と犬猿の仲の掌典長も同じだった。
 だが、掌典長は複雑な表情だった。
(実はこの二人、仲が良かったのでは……)
 幼馴染だったとも聞いている……
 隠居したら仲良くなっていたらいいなと思う。
 二人に監視されて居た堪れなくて、日本庭園を散歩しようと言うことになった。
 庭は前日の雨で滑りやすくなっていた。
「わー、鯉も綺麗ですね…」
 危険だろうと手を取ろうとしたら、池の石に足をルーちゃんは引っ掛けて池に転びそうになった!
「きゃっ!」
「!」
 咄嗟のことにオレはルーちゃんを支え抱いた。
「危なかった……」
「あの……手が…っ!」
「なっ!」
 オレの手はルーちゃんの懐に突っ込んでた。
 華奢な体の脇下まで手が入っていて支えていて単の上で生肌ではなかったが焦る。

「ご、ごめん!」
 事故で突っ込んでしまった手を見ながら、安心させるように微笑んだと思う。
「ペチャパイでわかんなかったから大丈夫だ」
 頭で思うよりも口が先走ってしまった。
 オレはとんでもないことを言った気づきサーと青ざめる。
「な、な、しつれいなっ!高良さんのバカっ!」
 ルーちゃんは胸元を隠して威嚇するように怒る。
 これは百年の恋も冷められたかもしれない!でも確認したいけどルーちゃんの心は特殊能力で覗けなかった!

《それは、早すぎるぞ!高良よ!》
《さすがは安倍野の親戚じゃ!手を出すの早すぎだっ。》
 晴綛様と掌典長の興奮した同じことを考えがこちらまで響いてくる。

 互いに微妙な雰囲気が流れる。
 オレはフラれると思うと絶壁に立たされた気分だ。
「ペチャパイは…ダメですか……?」
「ダメじゃない!胸が大きいのより良い…」
 言霊を吐くのではなく、テレパシーで伝えた。
「胸の大きい人と付き合ったことあるんですか…?」
 なおさら不審な目で見られた。
 胸が大きいのが苦手なのは、タヌさんにされたトラウマがある。
 おっぱいが嫌いではないが、デカ過ぎに恐怖を感じる。
 あ、だから、色気で押してくる女たちに嫌悪を湧いていたのか……
 その時のことお思い出し笑いをしてしまった。
「亡くなった友達に悪戯されたんだ…その時に苦手になったんだ。」
 紺太の事をルーちゃんに話したことがある。
「どんな悪戯ですか?」
「狐と狸に化かされた悪戯だよ」
「面白い話は好きですよ?いつか聞かせてくださいね?」
 ルーちゃんは瞳を輝かせた。
 ギクシャクした雰囲気が解けて良かったと思う。
 オレは改めてルーちゃんと向き合う。
 瞳が合う。
 ルーちゃんの瞳は星のように煌めいていて美しい。
 蝉の声は聞こえないが、今日羽化した蝶が数匹オレたちの周りを舞っている。
 オレは覚悟を決めて
「ルビィさん!好きだ…結婚して、家族になってほしい。」
「は、はいっ!よろしくお願いします!私も……っ」
 ルーちゃんは煌めく瞳から涙を落としてオレに抱きついた。
 そんなスキンシップされたら思わず、
《そして…子供作りたい…!》
 と強く思ってしまう。
ルビィは顔を真っ赤にする。
「なっ!直接的すぎます。こんな公の場所で…」
「言葉に出してないけど……」
「んん?どこから?」
 オレはその疑問気にづき焦り伝えてない事を伝える。
《香茂家の家系の能力でテレパシーも使えるんだ…人の心も覗くこともできる。なぜだかわからないが…》
「えっ…」
 ルーちゃんは青ざめる。
 怖いと思われただろうか?
 告白する前に香茂家の血筋の能力を伝えておけば良かったとこうかいするが、ルーちゃんは頬を子供のようにわざと膨らませて、

「私はそんなの使えないのでずるいです。」
ということは、能力を肯定されている。
「能力持ってんだから仕方ない、オレの溢れる思いが、届いてしまうのは許してくれ…」
 普段なら人の心を覗いて楽しむ事をしていたのに、好きな人に自分の心が聞かれてしまうのはとても恥ずかしいと感じて顔が赤い。
 これはオレの心を一方的に伝えるのは自分の本心を伝えているものだと思うと、他人の心を楽しく覗いていた事を反省する。
 そして、この思いをどう抑えて聞かれないようにすればいいのか考えものだと悩む。
「私の考えてることずっと…覗いてたり…してましたか?」
 ルーちゃんは顔を真っ赤にして聞く。
 女子が考えるような考えをバレるのはまずいだろう……
「安心して、君の心を読むことはできないんだ……」
 天然で能力で心を覗けない稀の人間は多々いる中にルーちゃんも入っていると、説明も付け加えた。
「それもずるいです…他の女性の気持ちはわかって、私の気持ちがわからないなんて…私の気持ち高良さんに伝われば良いのに……」
 うるうるした瞳でこちらを見つめられて、
 思考より本能が反応が早かった。
「んんっ…!」
 思わず彼女の唇を奪ってしまった……
 
 ルビィが、愛おしすぎて……
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