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桜姫と狐姫
3☆お狐さん
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橘と夢中になって、遊んでいるうちに夕暮れになってしまって、薄暗い森はなおさら闇に近づく。
二人神社の階段で夕日を眺める。
とてもきれいだと思う。
真夏で夕日が沈むまで遊んでしまったということは季節や家の者たちが心配している。
むしろ季節に怒られると思うと焦る。
「もう帰らなきゃ、家の人たちが心配しちゃうわ……って、橘…その姿……」
橘にも急ぐように促すが、橘の姿を見て息を呑む。
狐耳と尻尾が生えていた。
瞳は爛々と輝く青色の妖怪になっていた。
「あっ!わすれてた!」
橘は耳を慌てて両手で隠すが耳が大きくて小さな手では隠しきれない。
そして、バレたことに怯える瞳でこちらを見る。
「橘……お狐様…だったの?」
咲羅子は青ざめた。
ちょっと変わった女の子と遊んでいたはずが、人外だったなんて……
どおりで、このお稲荷さんの神社で見ていたと言うわけだと、納得がいった。
「まさか、もっと遅い時刻の真っ暗になったら妖怪の世界に連れて行こうとかしてた?」
咲羅子は身震いなのか武者震いなのか体が震える。
それよりも、気の合う友達が出来たかと思ったのに《狐のあやかし》だったことの衝撃が強かった……
人ならぬ者を退治してみたいとは思っていたがそれが橘のような可愛いこと言うのも戸惑う原因だった。
青ざめてこちらを見て固まっている咲羅子の様子を察して橘はあわてて、
祈るように手を組み、瞳を潤ませて
「こ、この姿になるのは、大妖怪狐の呪いなのっ!」
橘はそう訴えるように必死に言った。
それは言ってはいけない秘密をいい、危険が迫っているように咲羅子は感じた。
「そうなの⁉︎どうすればその呪いを解くことができるの?」
咲羅子は親身になって、橘の両肩に手を起き真剣な瞳で橘を見る。
どうにかその呪いを解いてあげたいと言う気持ちがつよい。
「うーんと…うーんと…ウー!わかんないっ!」
橘は一生懸命考えても答えが出てこなかった。
「おい!咲羅子!こんなところで何してんだ!探したぞ!」
今日は伝統衛士の仕事が休みで学校から屋敷に帰ったら咲羅子が帰ってきていないというので探しに来てくれたようだ。
「季節兄さん!」
季節が咲羅子の居場所を目星をつけて迎えに来てくれたことことが嬉しい。
橘は咲羅子以外が来たことにびっくりして逃げようとしたが、肩から手を繋ぐことに切り替えた咲羅子から逃げることができなかった。
(あやかしの力でも振り払えないなんて…)
橘は諦めて季節にも狐の姿をさらした。
怯えられるかと思ったら鼻で笑われ頭をなでられた。
悪い人じゃないと橘は思って気を許す。
橘は本当は普通の女の子なのに狐の呪いでこんな姿になった事を咲羅子は季節に説明する。
その話をしている間、橘は気まずそうな顔を背けていたのは、呪いを悲しんでいることだと咲羅子は思って早く呪いを解いてやりたいと思いが強くなった。
季節は顎に手を当てて自分の経験を思い出し、
「昔話だとその呪いをかけた本人をやつっけると呪いは解けるものなんだがな……」
とつぶやくように言った。
「そうなの?」
「たぶんな。俺はよくわからんが、義母さまが昔ばなしで話してくれたぞ」
「母様が……」
咲羅子は去年なくなった母の話を聞き涙ぐむ。
季節は黙ってしゃがんで涙を拭い抱きしめた。
橘に涙を見せたくないのを察してくれた。
橘から手を離した直後、
「橘…!橘よ!」
空から響くような声に合わせてざわざわと稲荷の神社の木々がざわめく。
「こんな遅くまで遊んでいるのではない!早く帰ってくるのだ。おいたが過ぎるともう外には出してやらぬぞ~~…」
今思えばわざとらしい演出でその場にいるものたちを脅す声だった。
そして、橘は風にさらわれるように宙に浮く。
あまりの光景に咲羅子も季節もぽかんと口を開けて浮いていく橘を見つめる。
よく見ると透明な狐耳に狐の尻尾に狩衣の男が橘を抱きかかえているように見える。
「ごめんなさい!咲羅子姐さん!また、明日ここで遊んでくれる?」
「も、もちろんよ!あなたを助けるためにも絶対にまた明日来るわ!その時はその呪いを私が必ず解いてあげる!」
「うん、約束!」
互いに届かないが小指をだして約束のおまじないをする。
すると橘は夜闇に隠されたように消えた。
二人神社の階段で夕日を眺める。
とてもきれいだと思う。
真夏で夕日が沈むまで遊んでしまったということは季節や家の者たちが心配している。
むしろ季節に怒られると思うと焦る。
「もう帰らなきゃ、家の人たちが心配しちゃうわ……って、橘…その姿……」
橘にも急ぐように促すが、橘の姿を見て息を呑む。
狐耳と尻尾が生えていた。
瞳は爛々と輝く青色の妖怪になっていた。
「あっ!わすれてた!」
橘は耳を慌てて両手で隠すが耳が大きくて小さな手では隠しきれない。
そして、バレたことに怯える瞳でこちらを見る。
「橘……お狐様…だったの?」
咲羅子は青ざめた。
ちょっと変わった女の子と遊んでいたはずが、人外だったなんて……
どおりで、このお稲荷さんの神社で見ていたと言うわけだと、納得がいった。
「まさか、もっと遅い時刻の真っ暗になったら妖怪の世界に連れて行こうとかしてた?」
咲羅子は身震いなのか武者震いなのか体が震える。
それよりも、気の合う友達が出来たかと思ったのに《狐のあやかし》だったことの衝撃が強かった……
人ならぬ者を退治してみたいとは思っていたがそれが橘のような可愛いこと言うのも戸惑う原因だった。
青ざめてこちらを見て固まっている咲羅子の様子を察して橘はあわてて、
祈るように手を組み、瞳を潤ませて
「こ、この姿になるのは、大妖怪狐の呪いなのっ!」
橘はそう訴えるように必死に言った。
それは言ってはいけない秘密をいい、危険が迫っているように咲羅子は感じた。
「そうなの⁉︎どうすればその呪いを解くことができるの?」
咲羅子は親身になって、橘の両肩に手を起き真剣な瞳で橘を見る。
どうにかその呪いを解いてあげたいと言う気持ちがつよい。
「うーんと…うーんと…ウー!わかんないっ!」
橘は一生懸命考えても答えが出てこなかった。
「おい!咲羅子!こんなところで何してんだ!探したぞ!」
今日は伝統衛士の仕事が休みで学校から屋敷に帰ったら咲羅子が帰ってきていないというので探しに来てくれたようだ。
「季節兄さん!」
季節が咲羅子の居場所を目星をつけて迎えに来てくれたことことが嬉しい。
橘は咲羅子以外が来たことにびっくりして逃げようとしたが、肩から手を繋ぐことに切り替えた咲羅子から逃げることができなかった。
(あやかしの力でも振り払えないなんて…)
橘は諦めて季節にも狐の姿をさらした。
怯えられるかと思ったら鼻で笑われ頭をなでられた。
悪い人じゃないと橘は思って気を許す。
橘は本当は普通の女の子なのに狐の呪いでこんな姿になった事を咲羅子は季節に説明する。
その話をしている間、橘は気まずそうな顔を背けていたのは、呪いを悲しんでいることだと咲羅子は思って早く呪いを解いてやりたいと思いが強くなった。
季節は顎に手を当てて自分の経験を思い出し、
「昔話だとその呪いをかけた本人をやつっけると呪いは解けるものなんだがな……」
とつぶやくように言った。
「そうなの?」
「たぶんな。俺はよくわからんが、義母さまが昔ばなしで話してくれたぞ」
「母様が……」
咲羅子は去年なくなった母の話を聞き涙ぐむ。
季節は黙ってしゃがんで涙を拭い抱きしめた。
橘に涙を見せたくないのを察してくれた。
橘から手を離した直後、
「橘…!橘よ!」
空から響くような声に合わせてざわざわと稲荷の神社の木々がざわめく。
「こんな遅くまで遊んでいるのではない!早く帰ってくるのだ。おいたが過ぎるともう外には出してやらぬぞ~~…」
今思えばわざとらしい演出でその場にいるものたちを脅す声だった。
そして、橘は風にさらわれるように宙に浮く。
あまりの光景に咲羅子も季節もぽかんと口を開けて浮いていく橘を見つめる。
よく見ると透明な狐耳に狐の尻尾に狩衣の男が橘を抱きかかえているように見える。
「ごめんなさい!咲羅子姐さん!また、明日ここで遊んでくれる?」
「も、もちろんよ!あなたを助けるためにも絶対にまた明日来るわ!その時はその呪いを私が必ず解いてあげる!」
「うん、約束!」
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すると橘は夜闇に隠されたように消えた。
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