14 / 161
橘と威津那の巡り合いと探り合い
13☆思わぬごまかし
しおりを挟む
「君に出会う前から……そう十年前から君のこと探してたんだよ」
橘はドキドキと胸が高鳴る。
愛の告白みたいで期待してしまっている。
威津那は橘の頭を優しくなでながら、見つめながら当時のことを思い出す。
あの当時、さらなる力を求めていた。
どさくさにまぎれて、九尾の血筋の少女を攫おうとしていた。
だけど、帝国軍人としての誇りが強くて幼女拉致をあの時は諦めた。
狐の力に頼るよりも自分の力で敵国を倒せると思っていたから……
十年前は闇の念が表の世界に現れていた…
有り余る漂う恨みの念を己の怒りも相まって密かに敵の軍隊をしに追いやった。
けれど世界の運命を、権威も権力も何もない一人の呪術者が勝てるわけなかったのだ……
わかっていたが……結果を変えたかった……
変えられる力を黒御足の一族は持っているはずなのだと信じていた。
皇を導く神の一族の助言一つで宿命を変えることすらできるのだから……
さらに、イズナの血筋も入っているために、
『我らが一族が封印した九尾の狐を復活させれば世界は変わる……
すべてを支配し日和国が世界を支配できるのだ…』
と、幼い頃から、父に教えてもらっていた。
『そして、もう一度あの混沌をもたらさなければ我が国が徐々に壊れていく…壊れる前に我々の手で日和を破壊しもとに戻さねば……』
本来ならば我が国の皇になられる父がそうおっしゃられていた。
それには阿倍野の白狐の娘が必要だった。
阿倍野の娘は巫女の家系で九尾の狐の媒体。
更に、普通の人間なら耐えられないだろうが、あやかしの依代ならば、耐えられるだろう……
自分の手のひらを見れば橘の未来を見ることができた。
空襲のとき誘い出しておきながら助けたのが初めての出会いだった。
そのときは妖力を奪う呪術を兄がかけ、攫う予定なのを威津那が自制心を発揮して今に至る。
更に、彼女と結婚することが見えた。
結婚する時は、白狐だった。
その変化がどうしてなのか、未来を見通す瞳は近くの未来は見えない…
橘が半妖だから尚更なのかもしれない。
一番重要なことなのに……
「ずっと、君のことを忘れられなかった…」
これは本心だ。
だけど、恋心とはまだわからない……
正直、世界を変える道具の一つとしか思えないのだ。
橘は顔を赤くして瞳を潤ませる。
(嬉しすぎる…両思いだったなんて…ずっと私のことを思っていてくれたなんて……)
ポロポロと感極まって涙があふれる。
「ひっく、ううっ…」
威津那は本気でびっくりして、撫でていた手を離す。
泣くとは思わなかった。
「ごめん、僕なにか悪いこと言ったかな?」
「言ってないけど…でも私を思ってくれていたことが嬉しくて」
「うん……妖狐である君がどうしても、イズナの家系の者としては欲しくて欲しくてずっと思っていたんだよ…
……僕のもとに来てくれるかい?」
「………はぁ?」
橘はどすの聞いた声を出した。
桜庭の姫が乗り移るかのごとくにだ。
あと一押しだけれどもう無理な気がする何かが間違った。
それを威津那は気がついているのに口が勝手に出る。
「…君のことを本気で可愛く思っているよ。妹みたいに」
「……妹……」
さらに、尻尾と耳が逆立っている。
威津那は自分でも悪い癖だと思う……
女性慣れをしてなくて思わずごまかしてしまう言葉が出るなんて自分でも思わなかった。
(工作員失格だ……)
橘の涙を見て本気で慌てふためくとは思ってもいなかった。
計算が狂った。
計画通りに口説けなかったことが内心恥ずかしすぎる。
「もう、騙されないわよ!バァァアカ!」
橘は威津那の腹に膝蹴りを食らわせて怒りに任せて走ったら、途中姿がすっぽり消えた。
「きゃぁぁぁ!異界の落とし穴ァァ!」
という言葉が聞こえた。
「橘さん!」
がさりと、異界のヤブから槐寿が現れた。
「足を転ばされて迷子になるとは思いませんでしたよ……」
威津那を恨み目でみる。
「それにしても…異界とは面白いですね、人の会話がささやき声でも私の耳に届きましたよ?」
迷いながらも、人の声を頼りに異界から迷わず合流できたようだ。
合流できても、橘が穴に落ちてどうなっているのかわからない。
「………あなたは……本当に危険な男ですね。桜庭の姫がここに来ていたら瞬殺でしたね。」
本当なら槐寿もそうしてやりたいところだが二人も陰陽師をなくしてしまったらどうなるかわからないので短絡的なことはしない。
あとでじっくり料理してやろうとは思う。
「ほんと、君でよかったよ。」
威津那に屈託のない笑顔でそう言われて、槐寿はため息を吐いて、
「好きな女の子への気持ちはわかってくれそうだしね」
「気持ちはすごくわかるけれど、あのベタなごまかしはないでしょう……」
本気の呆れ声で言われた。
だが、本気に橘を好きなのだと確信した。
「まぁ、そんなことよりも早く橘や、みんなを救いに行こうか、橘の居場所は僕にはわかるんだよ……」
黒い羽をどこからか取り出して口元で呪を唱えると、人が乗れるほどの、大きなカラスが首輪代わりに垂ををつけて現れて、威津那は槐寿とともに乗る。
「こんな力を持っていたんですね……」
そして、威津那はカラスに命令すると橘が落ちた穴に向かってすごい速さで入っていった。
「あの子の一部の狐の毛を数本むしって飲み込んで自分の体に入れて相手と繋がる呪術なんだよ。だからあの子の居場所がわかるんだ…このことは内緒だよ」
「なんだか変態みたいな呪術ですね」
「ここから落としてもいいんだよ?」
「もうしわけございません」
橘に迫るために槐寿を異界で迷子にさせた威津那ならやりかねないので逆らうことは今は黙っていようと心に決めた。
陰陽寮は異能の者を集めているというが、この力は陰陽寮長と力が張れるのでは……と槐寿は思う。
異界は正確に通らないと一生出られないことがある。
橘が無事に妖怪の場所に辿り着ければいいのだけど……
やはり赤い瞳は遠い未来を見えても近いこうなることの未来を見ることは苦手だった。
橘はドキドキと胸が高鳴る。
愛の告白みたいで期待してしまっている。
威津那は橘の頭を優しくなでながら、見つめながら当時のことを思い出す。
あの当時、さらなる力を求めていた。
どさくさにまぎれて、九尾の血筋の少女を攫おうとしていた。
だけど、帝国軍人としての誇りが強くて幼女拉致をあの時は諦めた。
狐の力に頼るよりも自分の力で敵国を倒せると思っていたから……
十年前は闇の念が表の世界に現れていた…
有り余る漂う恨みの念を己の怒りも相まって密かに敵の軍隊をしに追いやった。
けれど世界の運命を、権威も権力も何もない一人の呪術者が勝てるわけなかったのだ……
わかっていたが……結果を変えたかった……
変えられる力を黒御足の一族は持っているはずなのだと信じていた。
皇を導く神の一族の助言一つで宿命を変えることすらできるのだから……
さらに、イズナの血筋も入っているために、
『我らが一族が封印した九尾の狐を復活させれば世界は変わる……
すべてを支配し日和国が世界を支配できるのだ…』
と、幼い頃から、父に教えてもらっていた。
『そして、もう一度あの混沌をもたらさなければ我が国が徐々に壊れていく…壊れる前に我々の手で日和を破壊しもとに戻さねば……』
本来ならば我が国の皇になられる父がそうおっしゃられていた。
それには阿倍野の白狐の娘が必要だった。
阿倍野の娘は巫女の家系で九尾の狐の媒体。
更に、普通の人間なら耐えられないだろうが、あやかしの依代ならば、耐えられるだろう……
自分の手のひらを見れば橘の未来を見ることができた。
空襲のとき誘い出しておきながら助けたのが初めての出会いだった。
そのときは妖力を奪う呪術を兄がかけ、攫う予定なのを威津那が自制心を発揮して今に至る。
更に、彼女と結婚することが見えた。
結婚する時は、白狐だった。
その変化がどうしてなのか、未来を見通す瞳は近くの未来は見えない…
橘が半妖だから尚更なのかもしれない。
一番重要なことなのに……
「ずっと、君のことを忘れられなかった…」
これは本心だ。
だけど、恋心とはまだわからない……
正直、世界を変える道具の一つとしか思えないのだ。
橘は顔を赤くして瞳を潤ませる。
(嬉しすぎる…両思いだったなんて…ずっと私のことを思っていてくれたなんて……)
ポロポロと感極まって涙があふれる。
「ひっく、ううっ…」
威津那は本気でびっくりして、撫でていた手を離す。
泣くとは思わなかった。
「ごめん、僕なにか悪いこと言ったかな?」
「言ってないけど…でも私を思ってくれていたことが嬉しくて」
「うん……妖狐である君がどうしても、イズナの家系の者としては欲しくて欲しくてずっと思っていたんだよ…
……僕のもとに来てくれるかい?」
「………はぁ?」
橘はどすの聞いた声を出した。
桜庭の姫が乗り移るかのごとくにだ。
あと一押しだけれどもう無理な気がする何かが間違った。
それを威津那は気がついているのに口が勝手に出る。
「…君のことを本気で可愛く思っているよ。妹みたいに」
「……妹……」
さらに、尻尾と耳が逆立っている。
威津那は自分でも悪い癖だと思う……
女性慣れをしてなくて思わずごまかしてしまう言葉が出るなんて自分でも思わなかった。
(工作員失格だ……)
橘の涙を見て本気で慌てふためくとは思ってもいなかった。
計算が狂った。
計画通りに口説けなかったことが内心恥ずかしすぎる。
「もう、騙されないわよ!バァァアカ!」
橘は威津那の腹に膝蹴りを食らわせて怒りに任せて走ったら、途中姿がすっぽり消えた。
「きゃぁぁぁ!異界の落とし穴ァァ!」
という言葉が聞こえた。
「橘さん!」
がさりと、異界のヤブから槐寿が現れた。
「足を転ばされて迷子になるとは思いませんでしたよ……」
威津那を恨み目でみる。
「それにしても…異界とは面白いですね、人の会話がささやき声でも私の耳に届きましたよ?」
迷いながらも、人の声を頼りに異界から迷わず合流できたようだ。
合流できても、橘が穴に落ちてどうなっているのかわからない。
「………あなたは……本当に危険な男ですね。桜庭の姫がここに来ていたら瞬殺でしたね。」
本当なら槐寿もそうしてやりたいところだが二人も陰陽師をなくしてしまったらどうなるかわからないので短絡的なことはしない。
あとでじっくり料理してやろうとは思う。
「ほんと、君でよかったよ。」
威津那に屈託のない笑顔でそう言われて、槐寿はため息を吐いて、
「好きな女の子への気持ちはわかってくれそうだしね」
「気持ちはすごくわかるけれど、あのベタなごまかしはないでしょう……」
本気の呆れ声で言われた。
だが、本気に橘を好きなのだと確信した。
「まぁ、そんなことよりも早く橘や、みんなを救いに行こうか、橘の居場所は僕にはわかるんだよ……」
黒い羽をどこからか取り出して口元で呪を唱えると、人が乗れるほどの、大きなカラスが首輪代わりに垂ををつけて現れて、威津那は槐寿とともに乗る。
「こんな力を持っていたんですね……」
そして、威津那はカラスに命令すると橘が落ちた穴に向かってすごい速さで入っていった。
「あの子の一部の狐の毛を数本むしって飲み込んで自分の体に入れて相手と繋がる呪術なんだよ。だからあの子の居場所がわかるんだ…このことは内緒だよ」
「なんだか変態みたいな呪術ですね」
「ここから落としてもいいんだよ?」
「もうしわけございません」
橘に迫るために槐寿を異界で迷子にさせた威津那ならやりかねないので逆らうことは今は黙っていようと心に決めた。
陰陽寮は異能の者を集めているというが、この力は陰陽寮長と力が張れるのでは……と槐寿は思う。
異界は正確に通らないと一生出られないことがある。
橘が無事に妖怪の場所に辿り着ければいいのだけど……
やはり赤い瞳は遠い未来を見えても近いこうなることの未来を見ることは苦手だった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
陰陽師と伝統衛士
花咲蝶ちょ
ファンタジー
祈り姫の番外編
日本によく似た異世界の日和国には陰陽寮が存在した。
陰陽寮長、晴房と副長、瑠香は神の化身という特殊な存在であり部下達も超能力を持っており、そして陰陽師見習い兼宮中を伝統の衣装を着て見回る愛国心溢れる若者が伝統衛士として目に見えないあやかしを入れない様に見守る仕事をする、桜庭李流と香茂薫。
そして、陰陽寮の監督で上司である中務の宮東親王はオカルト好きな悪癖を持っていた。
事あるごとに持ってくる怪しいものに巻き込まれる日々な物語
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写と他もすべて架空です。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる