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桜庭の姫の婚約者を召喚してみる大魔法
9☆日和国に復員
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「ここは夢か天国か?天国が見せている幻か?」
約束を誓った相手が妙齢の美女になって自分に抱きつき泣く。
もし夢や天国ならば笑顔で迎えてほしいと思うが、
「ここは、現実よ。季節…」
咲羅子は泣きながら笑ってそう答える。
その姿はドキリとするほど可愛いかった。
泣き虫なところは変わらない、自分が守ってやらなければならない唯一の愛おしい女……
と思うと天国や幻ではないなと咲羅子の言葉を信じる。
「現実か…それは良かった」
そう言って、咲羅子の頭をポンポンとあやすように撫でる仕草は十年前と、変わらなくて朔羅子はうれしさが増してまた泣いてしまう。
「現実だと受け入れてもらってよかったの。受け入れられないものは精神から狂ってしまうものおるじゃて……」
と晴綛は言う。
確かにそうかもしれないと、季節も思う。
いや、なりかけた。
突然異国から日和に帰って来れるなんて思ってもいなかった。
帰るときは御霊になったときだとかたく信じていた。
「咲羅子にとても逢いたいと、切実に思っていた時に連れて来られたせいかな…国の独立も大体のところ終わったところで、ふと、お前のことを思っていた……そしたら、すぐに逢えるなんてな…すごい奇跡だ…」
「私もあなたのこと思っていたし、みんなあなたの帰りを待っていたのよ…」
母君の祈り姫宝子様と咲羅子の願いがみんなの力を借りて召喚されたのだ。
とてもみんなに…とくに、大っ嫌いだった威津那にも感謝だ。
「俺はこんな形で日和に帰ってきてしまったが、みんな俺が裏切ったとか死んだとか思っているんじゃ……」
帰ってきた現実をだんだん実感してくると仲間たちのことが心配になってきた。心配かけることも心苦しい。
「ああ、大丈夫、きっと、無数のカラスと大鴉に襲われてさらわれたー!って騒ぎになっているから」
不自然に目標物(季節)を不信を残して捉える事は威津那の元スパイの美学に反するのでそこまで演出して攫ってきた。
その言葉で思い出す。
大烏を目の前で見たとき、わけの分からない現象に恐怖したが、導きのカラスが迎えに来てくれたとはおそれ多いとは思ったのだ。
「戦地からの復員お疲れ様です……桜庭季節殿……」
赤い瞳を微笑ませて威津那は敬礼した。
同じ軍人だった男だと理解し、季節は軍人の敬礼した。
日和帝国軍人同士で歳も近く何か感じるものがあるのだろうと皆思うし季節の苦労が更にみんな感じて、高良までも涙ぐんでしまっている。
「咲羅子姐さんよかったね。これで結婚できるね」
と橘は二人を祝福する。
「そ、そうねって……」
咲羅子も感傷的な気持ちが落ち着くと現実に戻ってしまい、顔を歪める。
「季節、すごく臭い……!私と結婚する前に早くお風呂入って、体洗って!」
咲羅子は鼻をつまんでやな顔をする。
百年の恋も覚める顔をしていた。
照れ隠しもあるかもしないが臭いのは本当だった。服も汚れている。
暇があれば洗うが同じ軍服を着ている。
「仕方ないだろ!ずっと戦い続きで忙しかったんだ。身なりなんて考えられなかった。」
季節は少しムッとして淡々と答える。
「それはそうだけど……」
苦労はわかる。
命懸けだったのも……
けれど、咲羅子は『汚い臭い不潔』は、とても許せない事なのだ。
それは昔っからのことで季節も思い出した。
「こんな不潔な男に近づこうとする女いなかったのは当然か……」
と、わざと口にして納得する。
「ホント?」
「お前と約束して以来、女遊びはしてない。」
以前はしていたと言うことか…と大人になって咲羅子は理解する。
「俺にはお前一人いれば何もいらないんだよ……それほど咲羅子お前を愛してる…」
「季節……その言葉は体をきれいにしてから言って…私がいいと言うまで……なんなら私が季節を隅々まで洗ってあげましょうか?」
本気で嫌がってる。
絶望していて季節の愛の告白すら耳に入ってないようだ。
「もう、咲羅子姐さん雰囲気ぶち壊しすぎ!」
と、流石に橘は注意する。
「妖怪アカ舐めに洗って貰えばきれいになるぞい」
と、あやかしの棟梁である晴綛はそう言った。
「いや、それだけは勘弁してください……」
妖狐の晴綛が言うと本当のことに思える。
「では、阿倍野屋敷の自慢のお風呂使ってくださいな」
と、流花は進める。
「そうしなさいよ!季節!私も手伝ってあげるから!」
「いや、女の手なんか借りられるか!」
「じゃ、男の僕と高良君と紺太で洗いましょうか?隊長」
と威津那はそう提案して季節を勝手に『隊長』と呼ぶ。
「なんで、勝手に決めるんだよ!僕たちだってヘトヘトだよ!ね!高良?」
「そうだな。もう終わったなら今すぐ帰りたい。紺太はうちに来るか?」
「うん!いく!高良の家お泊まりもしたい!」
わいわいガヤガヤと平和そうな会話をしている日和に戻ってきて
(日和は戦争に負けたけれど…幸せは取り戻せたんだな……)
そう思うと、季節は無意識に涙を溢れ出し止まらなくなっていた。
「平和な日和に還って来れてよかった……生きていて、よかった……」
そう、季節がいう言葉を威津那はとても同感して改めて思う。
戦勝国が、作った偽りの平和であろうとも、平和を実感できるのならばそれを大切にすることも守ることを心に誓う。
そうすることによって橘と幸せな人生が歩めるのだから……
後に帰ってきた季節の仲間たちに経緯の不思議を語って信用してもらえて無事である事を互いに喜んだのだった。
約束を誓った相手が妙齢の美女になって自分に抱きつき泣く。
もし夢や天国ならば笑顔で迎えてほしいと思うが、
「ここは、現実よ。季節…」
咲羅子は泣きながら笑ってそう答える。
その姿はドキリとするほど可愛いかった。
泣き虫なところは変わらない、自分が守ってやらなければならない唯一の愛おしい女……
と思うと天国や幻ではないなと咲羅子の言葉を信じる。
「現実か…それは良かった」
そう言って、咲羅子の頭をポンポンとあやすように撫でる仕草は十年前と、変わらなくて朔羅子はうれしさが増してまた泣いてしまう。
「現実だと受け入れてもらってよかったの。受け入れられないものは精神から狂ってしまうものおるじゃて……」
と晴綛は言う。
確かにそうかもしれないと、季節も思う。
いや、なりかけた。
突然異国から日和に帰って来れるなんて思ってもいなかった。
帰るときは御霊になったときだとかたく信じていた。
「咲羅子にとても逢いたいと、切実に思っていた時に連れて来られたせいかな…国の独立も大体のところ終わったところで、ふと、お前のことを思っていた……そしたら、すぐに逢えるなんてな…すごい奇跡だ…」
「私もあなたのこと思っていたし、みんなあなたの帰りを待っていたのよ…」
母君の祈り姫宝子様と咲羅子の願いがみんなの力を借りて召喚されたのだ。
とてもみんなに…とくに、大っ嫌いだった威津那にも感謝だ。
「俺はこんな形で日和に帰ってきてしまったが、みんな俺が裏切ったとか死んだとか思っているんじゃ……」
帰ってきた現実をだんだん実感してくると仲間たちのことが心配になってきた。心配かけることも心苦しい。
「ああ、大丈夫、きっと、無数のカラスと大鴉に襲われてさらわれたー!って騒ぎになっているから」
不自然に目標物(季節)を不信を残して捉える事は威津那の元スパイの美学に反するのでそこまで演出して攫ってきた。
その言葉で思い出す。
大烏を目の前で見たとき、わけの分からない現象に恐怖したが、導きのカラスが迎えに来てくれたとはおそれ多いとは思ったのだ。
「戦地からの復員お疲れ様です……桜庭季節殿……」
赤い瞳を微笑ませて威津那は敬礼した。
同じ軍人だった男だと理解し、季節は軍人の敬礼した。
日和帝国軍人同士で歳も近く何か感じるものがあるのだろうと皆思うし季節の苦労が更にみんな感じて、高良までも涙ぐんでしまっている。
「咲羅子姐さんよかったね。これで結婚できるね」
と橘は二人を祝福する。
「そ、そうねって……」
咲羅子も感傷的な気持ちが落ち着くと現実に戻ってしまい、顔を歪める。
「季節、すごく臭い……!私と結婚する前に早くお風呂入って、体洗って!」
咲羅子は鼻をつまんでやな顔をする。
百年の恋も覚める顔をしていた。
照れ隠しもあるかもしないが臭いのは本当だった。服も汚れている。
暇があれば洗うが同じ軍服を着ている。
「仕方ないだろ!ずっと戦い続きで忙しかったんだ。身なりなんて考えられなかった。」
季節は少しムッとして淡々と答える。
「それはそうだけど……」
苦労はわかる。
命懸けだったのも……
けれど、咲羅子は『汚い臭い不潔』は、とても許せない事なのだ。
それは昔っからのことで季節も思い出した。
「こんな不潔な男に近づこうとする女いなかったのは当然か……」
と、わざと口にして納得する。
「ホント?」
「お前と約束して以来、女遊びはしてない。」
以前はしていたと言うことか…と大人になって咲羅子は理解する。
「俺にはお前一人いれば何もいらないんだよ……それほど咲羅子お前を愛してる…」
「季節……その言葉は体をきれいにしてから言って…私がいいと言うまで……なんなら私が季節を隅々まで洗ってあげましょうか?」
本気で嫌がってる。
絶望していて季節の愛の告白すら耳に入ってないようだ。
「もう、咲羅子姐さん雰囲気ぶち壊しすぎ!」
と、流石に橘は注意する。
「妖怪アカ舐めに洗って貰えばきれいになるぞい」
と、あやかしの棟梁である晴綛はそう言った。
「いや、それだけは勘弁してください……」
妖狐の晴綛が言うと本当のことに思える。
「では、阿倍野屋敷の自慢のお風呂使ってくださいな」
と、流花は進める。
「そうしなさいよ!季節!私も手伝ってあげるから!」
「いや、女の手なんか借りられるか!」
「じゃ、男の僕と高良君と紺太で洗いましょうか?隊長」
と威津那はそう提案して季節を勝手に『隊長』と呼ぶ。
「なんで、勝手に決めるんだよ!僕たちだってヘトヘトだよ!ね!高良?」
「そうだな。もう終わったなら今すぐ帰りたい。紺太はうちに来るか?」
「うん!いく!高良の家お泊まりもしたい!」
わいわいガヤガヤと平和そうな会話をしている日和に戻ってきて
(日和は戦争に負けたけれど…幸せは取り戻せたんだな……)
そう思うと、季節は無意識に涙を溢れ出し止まらなくなっていた。
「平和な日和に還って来れてよかった……生きていて、よかった……」
そう、季節がいう言葉を威津那はとても同感して改めて思う。
戦勝国が、作った偽りの平和であろうとも、平和を実感できるのならばそれを大切にすることも守ることを心に誓う。
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