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4☆月化草
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「あれが月化草…?」
大きな森の中に、大きな岩が船の先端のように突き出ている。
そこに、月へ向かうようにいくつもの、先が丸るまった茎のようなものが、月を目指して、伸びていた。
現時点、村の入り口から森まで距離はあるが、それでもかなり、大きく見える。
実際はどのくらい大きいのだろうか…
月化草は観光名物らしく、満月に向かって、草がのびていく特徴があり、それは月への道を示すかのように輝き、幻想的な光景が見られるという。
現在は細く輝く三日月なので、草は仄かに弱々しく輝いて見える程度だ。
ここの管理をしている村長に王子の権限でその月化草を採る了承を得た。
「採るといっても何処から摘み取るおつもりですか?」
突然の訪問と申し出に冷や汗をかきながら中年で小太りの村長は王子に尋ねる。
「う~ん…」
そこまで考えていなかったジュダはグレイに抱かれてるジュカ猫の方を見る。
「根元からだ」
とジュカ猫は答えた。
猫が喋ったと村長が度胆を抜いたかとちょっとわくわくして反応をみたが、グレイが喋ったのかと思われ驚きもしていなかった。
村長はそれだけは御勘弁ぉぉ!と泣きつくわけでもなく、
「ああ…道の方は観光客も訪れられるようになっておりますので、森をすぐに抜けられますが、月化草に続く道は根元が所々に突き出ていて危のうございますので御注意なさってくださいね。」
と快くおくってくれた。
(二人だけであの月化草を切れるはずもない)
と思っているからかもしれない。
採ってきたら今度こそ度胆を抜くかも知れないと思いジュダはバカにされた事に仕返しはしなかった。
「王子、俺一人で先に取りに行ってきましょうか?」
森を抜けるみちを行きながらグレイは言う。
王子の側近兼護衛たるもの、王子に危険なことをさせるのは避けたい。
「いいや、月化草は少しでも魔術の知識があるものがよい。その知識を活かして魔術を理解し、草の力も理解できる。理解できぬ者が持ってしまったら、魔草は力を発揮できなくなる。
だからジュダにやらせるのだ」
村長の言うとおり、岩の管理人や岩を登る事が趣味な民たちが自ら、足場を築き誰でも訪れられる観光スポットになっている。
ただ、近付かないのは月化草へ続く岬の道だった。
遠くから眺める観光が目玉にもなっているらしい。
その道をジュダ王子達は慎重に歩いて岬を目指して歩き時には登る。
自分では面倒な道は歩きたくないジュカ猫はグレイに抱かれて、ふと王子に聞く。
「どうして魔法使いになりたいんだ?」
「国のみんなを幸せにしたいから…」
王子の視線は月化草をじっとまじめに見つめながら答えたが
「に、きまってるじゃん。」
おどけてジュカ猫に屈託無く微笑んだ。
「そうか…だがな…魔法の力は決して良いものではない…」
「御先祖様のジュカはそれで死んだから?」
「王子!そういうことは遠回しに言葉を選ぶように…」
遠慮知らずのジュダ王子をグレイは嗜める。
例え猫でも今は人と喋れる相手なので気を使うものだと思う。
「今は猫として生きているからな。グレイの気使いは無用だ…死んだといわれても…実感は湧かない。」
感慨もなくジュカ猫はそういった。
大きな森の中に、大きな岩が船の先端のように突き出ている。
そこに、月へ向かうようにいくつもの、先が丸るまった茎のようなものが、月を目指して、伸びていた。
現時点、村の入り口から森まで距離はあるが、それでもかなり、大きく見える。
実際はどのくらい大きいのだろうか…
月化草は観光名物らしく、満月に向かって、草がのびていく特徴があり、それは月への道を示すかのように輝き、幻想的な光景が見られるという。
現在は細く輝く三日月なので、草は仄かに弱々しく輝いて見える程度だ。
ここの管理をしている村長に王子の権限でその月化草を採る了承を得た。
「採るといっても何処から摘み取るおつもりですか?」
突然の訪問と申し出に冷や汗をかきながら中年で小太りの村長は王子に尋ねる。
「う~ん…」
そこまで考えていなかったジュダはグレイに抱かれてるジュカ猫の方を見る。
「根元からだ」
とジュカ猫は答えた。
猫が喋ったと村長が度胆を抜いたかとちょっとわくわくして反応をみたが、グレイが喋ったのかと思われ驚きもしていなかった。
村長はそれだけは御勘弁ぉぉ!と泣きつくわけでもなく、
「ああ…道の方は観光客も訪れられるようになっておりますので、森をすぐに抜けられますが、月化草に続く道は根元が所々に突き出ていて危のうございますので御注意なさってくださいね。」
と快くおくってくれた。
(二人だけであの月化草を切れるはずもない)
と思っているからかもしれない。
採ってきたら今度こそ度胆を抜くかも知れないと思いジュダはバカにされた事に仕返しはしなかった。
「王子、俺一人で先に取りに行ってきましょうか?」
森を抜けるみちを行きながらグレイは言う。
王子の側近兼護衛たるもの、王子に危険なことをさせるのは避けたい。
「いいや、月化草は少しでも魔術の知識があるものがよい。その知識を活かして魔術を理解し、草の力も理解できる。理解できぬ者が持ってしまったら、魔草は力を発揮できなくなる。
だからジュダにやらせるのだ」
村長の言うとおり、岩の管理人や岩を登る事が趣味な民たちが自ら、足場を築き誰でも訪れられる観光スポットになっている。
ただ、近付かないのは月化草へ続く岬の道だった。
遠くから眺める観光が目玉にもなっているらしい。
その道をジュダ王子達は慎重に歩いて岬を目指して歩き時には登る。
自分では面倒な道は歩きたくないジュカ猫はグレイに抱かれて、ふと王子に聞く。
「どうして魔法使いになりたいんだ?」
「国のみんなを幸せにしたいから…」
王子の視線は月化草をじっとまじめに見つめながら答えたが
「に、きまってるじゃん。」
おどけてジュカ猫に屈託無く微笑んだ。
「そうか…だがな…魔法の力は決して良いものではない…」
「御先祖様のジュカはそれで死んだから?」
「王子!そういうことは遠回しに言葉を選ぶように…」
遠慮知らずのジュダ王子をグレイは嗜める。
例え猫でも今は人と喋れる相手なので気を使うものだと思う。
「今は猫として生きているからな。グレイの気使いは無用だ…死んだといわれても…実感は湧かない。」
感慨もなくジュカ猫はそういった。
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