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1★王子様の魔法の薬
しおりを挟むどうして僕は、皆から避けられるの?
僕は…じゃないのに
また昔の夢を見てるみんなが僕を恐れている。
またくり返すんじゃないかと
何を繰りかえすというの?
ある国に『魔法使い』に憧れる王子様がおりました。
ジュダ王子は城で見つけた魔法の研究室に入り浸り薬の調合をしていました。
今年で十四歳になる末の王子は深い海の色の瞳に癖毛かかった金色の髪は長く頭の天辺に縛り上げている、一目で身分のあるものだとわかる品性が漂っていたが、その姿は黒いローブ身を包み、まるで魔法使いのようでした。
手にした瓶の液体は綺麗な紫色。
けれど、ぐつぐつと煮えて気泡を上げる様は毒薬にも見える。
そのなかに最後の調合薬を入れようとスポイトで吸い上げた時、後ろで机の上にあったビンが割れる。
「バカ猫がっ!!よくも引っかいたな!!懲らしめてやる!」
王子の近衛を務めるグレイは猫に手を思いっきり引っ掻かれ、この研究室を住まいにしていた、ネコを本気になって追い掛ける。
彼は長身で細身の体格だが近衛だけあって運動神経がよくまだ少年らしさが残るが凛々しい顔立ちをしてる。
そんな彼の顔には猫のひっかき傷が三本赤い線になっていた。
猫を捕まえようと広いが書物や薬瓶がひしめき合う部屋を遠慮なしに走り腰にさしている剣が壁にあったモノをひっくり返す。
猫も棚に登って、ところ狭しと置いてある薬の瓶を遠慮なく落として計算したようにグレイの頭にぶつけるのだ。
この研究室を見つけて以来何時ものことになりつつあるのだが、いいかげんジュダ王子も怒りを溜めていた。
「うっるさいっ!」
そう怒鳴ると、今作っている薬を瓶に素早く入れてグレイと猫めがけて、投げ付けた。
「なっ!何するんですか王子!
飲んじゃったじゃないですか!何かヤバい効果とか、ヤバいモンなんじゃないでしょうね!?」
薬をかけられた事にグレイは恐怖を覚えて蒼白な顔で王子に詰め寄る。
ジュダはその言葉を聞いて、うむ~と顎に手を置いて真剣に何かを考えてる風で
「黙らせる薬は失敗におわちゃったかぁ…」
最後に、ちっ!と舌打ちした。
「だ…黙らせる薬って…どういう…?」
「だってネコとグレイうるさいんだモン!どうして失敗しちゃったんだろー?」
悪びれもせずにジュダはむしろ自分の失敗に腹が立っている。
口調は子供で冗談のように聞こえるけれど、そう言う時こそジュダは本気の時が多い。
そんな王子にグレイは頬をひきつらせ訪ねる。
「成功した時の対処法も考えましたか?」
「え?必要あるの?」
「お、王子…」
グレイはそのまま黙ってしまった。
ジュダの無責任発言に、効果があったらしい。
「また失敗か?いい加減に、自分の才能に気づけバカ王子」
「グレイ…?」
ジュダはグレイを睨むが、けして俺じゃない!と必死に顔と手を動じに横に振る。
「確かに、グレイにしては透きとおる良い声してたよね?」
辺りをキョロキョロと見渡してみる。
ここには自分とグレイと猫しかいない。
「ん?…もしかして……猫が喋っ…た?」
ネコを注目する。
横にしていた体をシャンとして座りジュダを見返した。
「私が喋ったのが、分かるのか?」
猫は口を細かく動かしてそう喋った。
ジュダとグレイは一瞬時が止まった。
「ええええ!!?猫!?」
ジュダは時が動き出すとに大声で叫び猫の両脇を捕まえ抱き上げて見上げる。
「お前、喋れるのか!?」
「猫としては喋っていたが、人の言葉に聞こえるか?」
猫も驚き問い返す。
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