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番外編
逆さの時森
しおりを挟む『祈り姫』の修行は厳しかった。
神社の巫女して修行する、年齢様々な者たちも交えて修行に励む。
すべての祝詞を覚え、神々の御名を覚え、体力つくりに、護身術の、古武術に滝行、掃除洗濯……
皇女だからといって容赦なく、他の巫女仲間と十年の修行をする。
日和国は、伝統の特殊職業者は幼い頃から専門の勉強に励み、二十歳になる頃にはその道の達人になる制度が密かにあった。
国を背負う若者育成でもあり、伝統を守ることも大切だからだ。
さらに、『祈り姫』は古代の歴史を守り、衣瀬の地に天照神の住まいを探した初代の巫女姫の巫女を斎宮でもあり、『祈り姫』だった。
その斎宮の真似ではないけれど、ご神体の苗をもち、良き土地にその苗を植える伝統があった。
法子は夜遅くになっても帰ってこれなかった。
さすがに、巫女長たちは慌てるが、当の法子は、不思議な現象に思考停止をしていた。
『祈り姫』となる姫は法子ひとりだというのに、もう一人、巫女が良き場所を見つけ、焚き火をしていた。
どこか、神々しくもあって、この地に住まう尊き神かと思った。
神だと思われた少女は法子と年の頃は同じなのに大人びて、美しかった。
「そなたも、祈り姫か?」
「になる予定じゃ」
そなたもということは、この人も『祈り姫』か?尚更混乱する。
現在、『祈り姫』になれるのは法子一人なのだから。
「ここは、『逆さの森』というらしいの。時を超えて会えないものに会える場所らしい」
「ということは、過去か未来の、『祈り姫』か?」
不思議と納得がいった。
そういう場所なので、すっと理解するのだろう。
「私は法子」
「我も宝子」
「同じ名じゃな。」
「漢字が違う。」
地面に枝で書いて示す。
どこかで見たことあるような。
と法子は思った。
夜が明けるまで、ここで明かすことにする。
同じ巫女姫どうし、気が合う。
どこか、法子は宝子を李流に似ていると思った。
優しいく、何でも受け入れてくれる雰囲気が似ている。
だから、話しやすいのかと。
「法子は、恋をしたことがあるか?」
「しておるぞ。こないだも夢で接吻するほどに」
「その年で接吻か、羨ましいな。どんな感じだった?」
大人びていた宝子は法子と同い年のくらいの表情をして興味津々だった。
「夢だから現実ではないのだが、柔らかいような、ふわふわした感じだったような、し、所詮夢だからの!わからん」
突然、法子は照れだす。
「その夢いつか、叶うと見えるよ」
「わかるのか?」
「歴代の中でも初代様と同じ力をもっているらしいからの」
「私は持ってない……だけど、『祈り姫』としての心得は会得しておる」
「私はまだわからなんだ、教えてくれ」
「愛しい人を思って祈る事じゃ!そうするといずれは巡って自分も幸せになれる。それが祈ること、祈り姫の幸せじゃ」
「愛しき者か…私に出来るかの?自分の未来は見えないから困るの。
だけど、そなたが幸せの顔をしておると、なぜだか、こちらまで幸せになる。」
「いつも辛い時や、ふとしたときは好きな者の顔を思い出すからの。きっと宝子も好きな者が見つかるぞ」
「そなたに言われると元気が出るな。法子も希代の『祈り姫』じゃ」
他愛のない話をしていて眠ってしまった。
気がつけば、宝子はきえていて、立派な桜の木が植えられていた。
枯木でとても美しかった。
宝子のように神々しくもあった。
法子も、その木の隣に苗を植える。
偶然二人の祈り姫が出会ったありえない奇跡の縁の証に……
「という話があったのよ。不思議だったわー……」
「ほ、法子さま、それ本当ですか?」
あまり、お化けとか信じたくない李流は青ざめて見える。
陰陽寮に所属していた時に怨霊と退治したとき以来、苦手らしい。
「嘘を付いていると思うのか?」
じっと、李流を見る法子はつい昔言葉がでた。
「いいえ、そんなことはありません」
それが本当だったら、曾祖母と法子はあったことになる。
信じると恐ろしい摩訶不思議な出来事なので、青ざめていた。
「あの祈り姫も幸せな人生であればよいけれど……」
「そうですね……」
幸せかどうかはわからない。
ニダの国に嫁ぎ、波乱な人生を送られた。
けれど、その曾祖母の縁は今、法子と共にいる縁につながっている。
不思議な縁に感謝したくなった李流は法子を抱きしめ、おでこにキスをした。
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