祈り姫

番外編

家族で買物中の出来事。

　晴房と並んでベビーカーを押していると、カメラを持ったレポーターに声をかけられた。

「若いお父さんですねー？」

「お幾つですか？」
「29歳です。そして、隣にいるのも息子だ」

　ガシっと晴房は李流の肩を抱く。

「えっ？ご兄弟ではなく？」

「私が十二歳の時に李流が生まれた……計算だな」

　ハッハッハーと笑いながらなぜだか自慢する。
　レポーターの人は答えに困る。

「余計なことを言わないでハル様…」

「なにしてるの二人とも？」
　若葉を抱いて、二人に合流する。

「母さん。ハル様が余計な事を……」

「お母様ですか？
お母様もお若いですね（世辞？）お幾つですか？」

「二十六です」

　さらりと十もサバ読む。

「そうですか…そうですよね、ありがとうございます。」

そう言い、他の人にインタビューをしに逃げた。

「どちらの年を本気にしたかしらね？」

うふふと黒い笑みをする。

「母さん……」

　母は腹黒い時がたまにある。

「雪は二十歳と言っても過言じゃないぞ♡」
「ありがとう晴房さん」

　二人があまりにもラブラブ過ぎて、
　息子なんてやってられっかー！
という気分に時たまなる李流だった。