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番外編
桜庭家の新たな家族
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夏の盛り、李流は母の約十七年振りの出産に立会う。
すごく、力んで苦しそうな母のうめき声に心臓が締め付けられる。
頑張れ頑張れ!無事に生まれてきてくれ!と心の中で何度も願う。
昼、丁度に
兄弟のうぶ声が聞こえ始めた。
三人無事に生まれた。
女の子二人に男の子一人。
晴房は、雪の出産に残念ながら立ち会えない。
出産は血を伴うもので穢れとなるために会えない昔の風習を厳守するのも仕事だからだ。
たとへ、不思議な力で、レッドスパイを霊的に生まれ変わらせる裏仕事をしていても、体裁は整える。
それでも雪は構わない。
ハルを信頼しているから。
ハルの仕事に理解をし、代わりに李流を物忌期間にして付き添わせてくれたから……
李流に兄弟を作って上げたかったけど、諦めていた……
けれど今日三人も生まれてきてくれた……
ありがとう……晴房さん……
全てに感謝申し上げたい……
「母さん、ハル様から名前預かってきたよ」
晴房が名前を決めてきた立派な和紙に達筆な文字のを母に見せる。
楓、向日葵、若葉
季節に合わせた名前らしい。
祖父の名前が実は季節(きせつ)という名前……季節繋がりが良かろうという祖父との決定だった。
桜庭姓。
晴房はお祖父さんの案で、祖父の養子になり、雪と結婚という体裁を整えた。
祖父さんはこだわると言う事を聞かない……
そういう所が、晴房と気があったらしく仲がよい。
旧来の親友にあった感じだそうだ。
時代に精神年齢が合うだけではと思うが。
それにしても、まさか兄弟が3人も増えるとは思ってなかった。
「李流の生まれた頃に似てるわね。三人ともお兄さん似よ。」
うふふっと幸せそうに微笑む。
お兄さんか……
ずっと一人っ子だったのに急に兄弟が出来るともっとしっかりせねばと思った。
晴房は一週間ぶりに雪に会う。
晴房も子供たちにメロメロで幸せそうだった。
「パパ上ですよー!」
「パパ上って……」
李流は吹き出した。
「李流もパパ上と呼んで構わぬぞ」
「遠慮しておきます」
「じゃあ、私はママ上ね?」
ニコニコ微笑みながら言った。
「母さん……」
「私にも見せろ!」
お祖父さんが割り込んできた。
「ジジ上じゃぞ?」
「……」
家族仲が良い事はいい事だ……
少し疎外感をこの年になって感じながら思った……
「りゅーにい!赤ちゃん見せて!」
桃都がチャイムも押さずに言えに上がってきて、
楓をじっと見る。
楓はキャッキャと桃都が来たことを喜んでる様だった。
「僕のお嫁さんは楓ちゃんで決定かな?」
「残念、楓は男の子だ。」
「えっ?」
「意地悪しないの。」
「若葉はどう?」
手を差し出すとぎゅっと小指を握った。
「ちぃさぁい!かわいいね!」
頬を赤らめて言う桃都もかわいい。
純粋バイオな桃都は誰とでも仲良くなれるけれど、晴房に扇でつつかれて、退かされる。
「ハル様!大人気ない!」
李流はすかさず、晴房を叱る。
「……いずれはお主のものになるのだ、父として 若葉を今だけは独占させろ」
「てへ、お墨付き貰っちゃった」
めげない桃都に李流は頭をポンポンと撫でる。
「あら、かわいい!私にも見せて」
何事にも動じない向日葵を抱き上げる。
普通なら、親じゃなきゃヤダと楓と若葉は泣き出すのに、向日葵は無表情で泣かない。
肝の座った子になるなとみんな思う。
けれど、李流にだっこされると、笑顔になるからかわいいし、お兄ちゃん子にもなりそうだ。
桃都の母だけではなく親戚全員集まり出して、賑やかな祝福の家族だけの祭が始まった。
晴房は最初、戸惑っていたけれど、皆のあたたかさに何故だか胸があつくなって雪の背に子どものように隠れて泣いた。
人としてこんな感情は初めてで大の大人になって、感情が揺らいだらしい。
(この様な家族を守るためにレッドスパイを排除して国を守らねばな……)
と新たな決意をもつ。
晴房は大きな考えで家族を守ろうと思った。
レッドスパイにも家族はいるだろうが、国を揺るがす事は、多くの国民の大切な家族を無くすことになる。
家族とそばに常にいなくとも、国を守る事は家族を守れるのだから……
その事を桜庭の家族は分かっているらしく、安心する晴房だった。
桜庭一族は、新たな晴房と三つ子を受け入れて素晴らしい宴となった。
すごく、力んで苦しそうな母のうめき声に心臓が締め付けられる。
頑張れ頑張れ!無事に生まれてきてくれ!と心の中で何度も願う。
昼、丁度に
兄弟のうぶ声が聞こえ始めた。
三人無事に生まれた。
女の子二人に男の子一人。
晴房は、雪の出産に残念ながら立ち会えない。
出産は血を伴うもので穢れとなるために会えない昔の風習を厳守するのも仕事だからだ。
たとへ、不思議な力で、レッドスパイを霊的に生まれ変わらせる裏仕事をしていても、体裁は整える。
それでも雪は構わない。
ハルを信頼しているから。
ハルの仕事に理解をし、代わりに李流を物忌期間にして付き添わせてくれたから……
李流に兄弟を作って上げたかったけど、諦めていた……
けれど今日三人も生まれてきてくれた……
ありがとう……晴房さん……
全てに感謝申し上げたい……
「母さん、ハル様から名前預かってきたよ」
晴房が名前を決めてきた立派な和紙に達筆な文字のを母に見せる。
楓、向日葵、若葉
季節に合わせた名前らしい。
祖父の名前が実は季節(きせつ)という名前……季節繋がりが良かろうという祖父との決定だった。
桜庭姓。
晴房はお祖父さんの案で、祖父の養子になり、雪と結婚という体裁を整えた。
祖父さんはこだわると言う事を聞かない……
そういう所が、晴房と気があったらしく仲がよい。
旧来の親友にあった感じだそうだ。
時代に精神年齢が合うだけではと思うが。
それにしても、まさか兄弟が3人も増えるとは思ってなかった。
「李流の生まれた頃に似てるわね。三人ともお兄さん似よ。」
うふふっと幸せそうに微笑む。
お兄さんか……
ずっと一人っ子だったのに急に兄弟が出来るともっとしっかりせねばと思った。
晴房は一週間ぶりに雪に会う。
晴房も子供たちにメロメロで幸せそうだった。
「パパ上ですよー!」
「パパ上って……」
李流は吹き出した。
「李流もパパ上と呼んで構わぬぞ」
「遠慮しておきます」
「じゃあ、私はママ上ね?」
ニコニコ微笑みながら言った。
「母さん……」
「私にも見せろ!」
お祖父さんが割り込んできた。
「ジジ上じゃぞ?」
「……」
家族仲が良い事はいい事だ……
少し疎外感をこの年になって感じながら思った……
「りゅーにい!赤ちゃん見せて!」
桃都がチャイムも押さずに言えに上がってきて、
楓をじっと見る。
楓はキャッキャと桃都が来たことを喜んでる様だった。
「僕のお嫁さんは楓ちゃんで決定かな?」
「残念、楓は男の子だ。」
「えっ?」
「意地悪しないの。」
「若葉はどう?」
手を差し出すとぎゅっと小指を握った。
「ちぃさぁい!かわいいね!」
頬を赤らめて言う桃都もかわいい。
純粋バイオな桃都は誰とでも仲良くなれるけれど、晴房に扇でつつかれて、退かされる。
「ハル様!大人気ない!」
李流はすかさず、晴房を叱る。
「……いずれはお主のものになるのだ、父として 若葉を今だけは独占させろ」
「てへ、お墨付き貰っちゃった」
めげない桃都に李流は頭をポンポンと撫でる。
「あら、かわいい!私にも見せて」
何事にも動じない向日葵を抱き上げる。
普通なら、親じゃなきゃヤダと楓と若葉は泣き出すのに、向日葵は無表情で泣かない。
肝の座った子になるなとみんな思う。
けれど、李流にだっこされると、笑顔になるからかわいいし、お兄ちゃん子にもなりそうだ。
桃都の母だけではなく親戚全員集まり出して、賑やかな祝福の家族だけの祭が始まった。
晴房は最初、戸惑っていたけれど、皆のあたたかさに何故だか胸があつくなって雪の背に子どものように隠れて泣いた。
人としてこんな感情は初めてで大の大人になって、感情が揺らいだらしい。
(この様な家族を守るためにレッドスパイを排除して国を守らねばな……)
と新たな決意をもつ。
晴房は大きな考えで家族を守ろうと思った。
レッドスパイにも家族はいるだろうが、国を揺るがす事は、多くの国民の大切な家族を無くすことになる。
家族とそばに常にいなくとも、国を守る事は家族を守れるのだから……
その事を桜庭の家族は分かっているらしく、安心する晴房だった。
桜庭一族は、新たな晴房と三つ子を受け入れて素晴らしい宴となった。
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