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伝統の縁(でんとうのえにし)
4☆家庭の事情
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ひとまず、宮中警備の滝口臣の局に薫を背負って尋ねた。
力が抜けている状態の人間(?)を背負って寮まで歩くのはキツかった李流は大きく息を吐く。
しっぽと耳が生えたあやかしの薫を怪しんだ宿直の者たちはいたが、話しかければ、正直にあやかしを見つけたのでご報告に…と言うと苦笑いしてご苦労様と言ってくれた。
宮中警備職の中には陰陽寮と同じく不思議な能力を持つ者も多いので察せられた。
代々刀や弓を使ったあやかし退治をするものも多いらしい。
桜庭家も代々受け継ぐ退魔の太刀があるが穢れない乙女しか抜けない条件付きなので男の李流は受け継げなかった。
宮中職員は少し普通と常識が神秘的なのは国民の祝福を祈る祝皇陛下のもとに近いからだと思う。
優しい雰囲気を醸し出す滝口臣は体格がよく男らしい。
未だ独身の優秀な警備長で桜庭家とは遠い親戚だ。
その縁で伝統衛士の仕事を紹介してもらった。
李流は滝口臣も尊敬して、いつか臣さんのような陛下近くで体を張ってお守りする仕事につきたいと思っていた。
今は宮中奥深くの陰陽寮で晴房に陰陽道や神事を叩きこまれているが…やはり将来は皇族殿下のお側に付き添い警護をすることを志す。
臣は李流の為にお茶を用意し、「おつかれさん」
と優しく肩をたたく。
そして、畳の上に寝かされた
きつね耳としっぽを生やした少年を見て微笑んだ。
「瑠香の息子かーこんなに大きくなっているとはね。時が経つのは早いね…」
しみじみと微笑んで薫の頭を優しく撫でると耳がピクピク動いた。
もしかして本当は起きているのでは…と李流は疑うが、
「やっぱり、瑠香様と関係があったのですね…」
姓が同じだった。
遠い親戚が何かと思ったがとても近い関係…
「全く似てなくて気が付かなかった…」
「俺はあんな親父に似なくて良かったと思ってるけどな!」
むくりと起き出して李流を睨む。
「やっぱり起きてたか……」
理不尽に睨まれて、李流もにらみ返す。
「クラスメイトを睨まない!なかよくしろっ!なっ!」
険悪ぽい二人の雰囲気を和ませるように臣はパンパンと背中を叩く。
「は、はい…わかりました」
李流は素直に返事をして、薫は臣に優しい笑顔を向けられて、
「わ、わるかったよ…仲良くするよ…」
耳をひしゃげて言った。
「それにしてもなんでそんなあやかしのコスプレしてるんだ?」
李流は狐のみみとしっぽは本物だとは思うものの信じたくなくてそう言ってしまった。
「こ、コスプレじゃない!生れつきだ!」
狐の姿は卑下されるものではないと薫は思っている。
「薫くんはお母さんの阿倍野の方に似たんだね」
臣はニコニコして理解している。
そして、阿倍野の事を臣の知る範囲で李流に説明して
「わかりました…そういう家系もあるんですね」
桜庭家も女の子しか抜けない刀の一族でもあると理解すれば同じようなものだと腑に落ちた。
「でもどうして西の森にいるんだ?不審者はかわらないのでは?」
薫は耳をひしゃげて、しっぽでパタパタと畳を叩き…
なんて言おうか悩みながらも、白状することに決めた。
「母さんに西の守護を守れっていわれたんだ…」
温和な臣も眉間にシワを寄せる。
「でも、葛葉子さんは…」
五年近く前に亡くなっている…
葬儀にも出席して薫の父を慰めた。それに、大切な学友だった…
薫は臣の記憶を読んで少し切ない顔をしたが、
「……かーさん神様になって縁結びしてるんだ。そして時偶手伝わされてるよ」
ちろっと李流を見て苦笑していった。
死んだとはいえ、縁結びの神の使いとして日々忙しいらしく、この間は桜庭の家にわざわざプリントをとどけにいったことを告白した。
ピン!と李流も察した。
晴房はプリントを持ってきた時支離滅裂なことをいっていた。
もらったプリント用紙は大した内容のものではなくて不思議に思っていたけれど…
「もしかして、母さんとハル様の縁を結んだの……も?」
「うん…かーさんがどうしてもって。結ばれる宿命の二人だからって無理やり…手伝わされた」
納得がやっといった。
普段会うことのない二人が、李流を会すまえに出会うということは不思議な…縁だったが…
「そうか。それはよかった。」
すんなり受け入れる臣。
臣は晴房の事情も知ってるので喜ぶ。
「それで、瑠香はそのこと知ってるのかい?」
瑠香が妻である葛葉子をとても愛していることを知っている臣は、気になって聞く。
そう聞かれた薫はおもいっきり嫌な顔をする。
「教えない……」
「え?どうしてだい?」
「あんなクソ親父なんかに!絶対に!教えてやらないっ!」
突然、薫はムキになる。
「オレたち子供の事なんてどーでも良い父親なんか父親じゃないからっ!」
と感極まって薫は怒鳴り瞳に涙を溜める。
(なんか親近感わく……)
と李流は思った。李流は父親に捨てられた身でもあるからだ。
その考えをのぞき見た薫は目を見開き李流をみる。
だけど、尊敬してる瑠香を悪く言われるのは負に落ちない。
「瑠香さまはハル様より神様のように神々しくて、優しくて仕事も何でもテキパキできて憧れなのに信じられない…薫を捨てたなんて…」
嫌いなはずの父親を素で褒められて薫は照れた。
「そんな……いい性格してないぞ、あの親父は…」
薫のその態度に臣はテレパシーを持ってないが察する。
本当は父親の瑠香を大好きだったのだ。
瑠香のあまりの暴言に仲違いをして後悔していることを親友の臣は知っている。
「まぁ…ともかく、不法侵入だからどうしようか?」
臣はそう言い本題に入る。
「オレも、伝統衛士やりたい!尊敬申し上げる陛下を近くでお守りしたい仕事につきたかったんだっ!
臣さま!お願いだ!いや、おねがいします!」
土下座して薫はお願いをする。
「親の許可が必要だよ。」
臣は優しく、にっこり微笑んでそう言った。
「うぅ!」
痛いところつかれた薫は困った顔をする。
「今夜は瑠香さま陰陽寮にいるから頼めばいいじゃないか。」
「絶対っ嫌だッ!」
カッとなった薫は、金に瞳を光らせて叫び逃げ出して闇の森に消えていった。
「あはは、性格は葛葉子さんそっくりかな?」
わざと親子対面を強制させようと思って失敗した。
それは残念だけど仲直りする日も近いと思う…予感がする。
「ほんと、ご苦労様。李流君。この事は俺が瑠香に伝えておくから心配しなくていいよ。」
李流から伝えなくていいよということかと察する。
「はい…わかりました」
「学校では仲良くするんだよ」
「はい。努力いたします」
仲良くなれるかなぁとは思うものの、いろいろと自分と共通点があってさらに薫に興味が湧いた。
臣は今夜の事がとても嬉しくて、恐れ多くも学友であられた東親王殿下にも連絡を取り今後の親子関係を見守ることにした。
力が抜けている状態の人間(?)を背負って寮まで歩くのはキツかった李流は大きく息を吐く。
しっぽと耳が生えたあやかしの薫を怪しんだ宿直の者たちはいたが、話しかければ、正直にあやかしを見つけたのでご報告に…と言うと苦笑いしてご苦労様と言ってくれた。
宮中警備職の中には陰陽寮と同じく不思議な能力を持つ者も多いので察せられた。
代々刀や弓を使ったあやかし退治をするものも多いらしい。
桜庭家も代々受け継ぐ退魔の太刀があるが穢れない乙女しか抜けない条件付きなので男の李流は受け継げなかった。
宮中職員は少し普通と常識が神秘的なのは国民の祝福を祈る祝皇陛下のもとに近いからだと思う。
優しい雰囲気を醸し出す滝口臣は体格がよく男らしい。
未だ独身の優秀な警備長で桜庭家とは遠い親戚だ。
その縁で伝統衛士の仕事を紹介してもらった。
李流は滝口臣も尊敬して、いつか臣さんのような陛下近くで体を張ってお守りする仕事につきたいと思っていた。
今は宮中奥深くの陰陽寮で晴房に陰陽道や神事を叩きこまれているが…やはり将来は皇族殿下のお側に付き添い警護をすることを志す。
臣は李流の為にお茶を用意し、「おつかれさん」
と優しく肩をたたく。
そして、畳の上に寝かされた
きつね耳としっぽを生やした少年を見て微笑んだ。
「瑠香の息子かーこんなに大きくなっているとはね。時が経つのは早いね…」
しみじみと微笑んで薫の頭を優しく撫でると耳がピクピク動いた。
もしかして本当は起きているのでは…と李流は疑うが、
「やっぱり、瑠香様と関係があったのですね…」
姓が同じだった。
遠い親戚が何かと思ったがとても近い関係…
「全く似てなくて気が付かなかった…」
「俺はあんな親父に似なくて良かったと思ってるけどな!」
むくりと起き出して李流を睨む。
「やっぱり起きてたか……」
理不尽に睨まれて、李流もにらみ返す。
「クラスメイトを睨まない!なかよくしろっ!なっ!」
険悪ぽい二人の雰囲気を和ませるように臣はパンパンと背中を叩く。
「は、はい…わかりました」
李流は素直に返事をして、薫は臣に優しい笑顔を向けられて、
「わ、わるかったよ…仲良くするよ…」
耳をひしゃげて言った。
「それにしてもなんでそんなあやかしのコスプレしてるんだ?」
李流は狐のみみとしっぽは本物だとは思うものの信じたくなくてそう言ってしまった。
「こ、コスプレじゃない!生れつきだ!」
狐の姿は卑下されるものではないと薫は思っている。
「薫くんはお母さんの阿倍野の方に似たんだね」
臣はニコニコして理解している。
そして、阿倍野の事を臣の知る範囲で李流に説明して
「わかりました…そういう家系もあるんですね」
桜庭家も女の子しか抜けない刀の一族でもあると理解すれば同じようなものだと腑に落ちた。
「でもどうして西の森にいるんだ?不審者はかわらないのでは?」
薫は耳をひしゃげて、しっぽでパタパタと畳を叩き…
なんて言おうか悩みながらも、白状することに決めた。
「母さんに西の守護を守れっていわれたんだ…」
温和な臣も眉間にシワを寄せる。
「でも、葛葉子さんは…」
五年近く前に亡くなっている…
葬儀にも出席して薫の父を慰めた。それに、大切な学友だった…
薫は臣の記憶を読んで少し切ない顔をしたが、
「……かーさん神様になって縁結びしてるんだ。そして時偶手伝わされてるよ」
ちろっと李流を見て苦笑していった。
死んだとはいえ、縁結びの神の使いとして日々忙しいらしく、この間は桜庭の家にわざわざプリントをとどけにいったことを告白した。
ピン!と李流も察した。
晴房はプリントを持ってきた時支離滅裂なことをいっていた。
もらったプリント用紙は大した内容のものではなくて不思議に思っていたけれど…
「もしかして、母さんとハル様の縁を結んだの……も?」
「うん…かーさんがどうしてもって。結ばれる宿命の二人だからって無理やり…手伝わされた」
納得がやっといった。
普段会うことのない二人が、李流を会すまえに出会うということは不思議な…縁だったが…
「そうか。それはよかった。」
すんなり受け入れる臣。
臣は晴房の事情も知ってるので喜ぶ。
「それで、瑠香はそのこと知ってるのかい?」
瑠香が妻である葛葉子をとても愛していることを知っている臣は、気になって聞く。
そう聞かれた薫はおもいっきり嫌な顔をする。
「教えない……」
「え?どうしてだい?」
「あんなクソ親父なんかに!絶対に!教えてやらないっ!」
突然、薫はムキになる。
「オレたち子供の事なんてどーでも良い父親なんか父親じゃないからっ!」
と感極まって薫は怒鳴り瞳に涙を溜める。
(なんか親近感わく……)
と李流は思った。李流は父親に捨てられた身でもあるからだ。
その考えをのぞき見た薫は目を見開き李流をみる。
だけど、尊敬してる瑠香を悪く言われるのは負に落ちない。
「瑠香さまはハル様より神様のように神々しくて、優しくて仕事も何でもテキパキできて憧れなのに信じられない…薫を捨てたなんて…」
嫌いなはずの父親を素で褒められて薫は照れた。
「そんな……いい性格してないぞ、あの親父は…」
薫のその態度に臣はテレパシーを持ってないが察する。
本当は父親の瑠香を大好きだったのだ。
瑠香のあまりの暴言に仲違いをして後悔していることを親友の臣は知っている。
「まぁ…ともかく、不法侵入だからどうしようか?」
臣はそう言い本題に入る。
「オレも、伝統衛士やりたい!尊敬申し上げる陛下を近くでお守りしたい仕事につきたかったんだっ!
臣さま!お願いだ!いや、おねがいします!」
土下座して薫はお願いをする。
「親の許可が必要だよ。」
臣は優しく、にっこり微笑んでそう言った。
「うぅ!」
痛いところつかれた薫は困った顔をする。
「今夜は瑠香さま陰陽寮にいるから頼めばいいじゃないか。」
「絶対っ嫌だッ!」
カッとなった薫は、金に瞳を光らせて叫び逃げ出して闇の森に消えていった。
「あはは、性格は葛葉子さんそっくりかな?」
わざと親子対面を強制させようと思って失敗した。
それは残念だけど仲直りする日も近いと思う…予感がする。
「ほんと、ご苦労様。李流君。この事は俺が瑠香に伝えておくから心配しなくていいよ。」
李流から伝えなくていいよということかと察する。
「はい…わかりました」
「学校では仲良くするんだよ」
「はい。努力いたします」
仲良くなれるかなぁとは思うものの、いろいろと自分と共通点があってさらに薫に興味が湧いた。
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