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伝統の縁(でんとうのえにし)
17☆家族
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舞台の明かりは篝火だが、照明用ライトも用意されている。
神秘的でもあり現代的な感じは今まで雅楽が続いていた象徴にかんじる。
李流はテントで作った控室の影から観客席をみて緊張するが、大切な家族を探す。
席は確認したので、そこに
母の雪とおじいさんも来てくれていてドキドキする。
だけど、妊娠中なので無理をしてほしくない。
そう思い、叔母と桃都にもチケットを渡した。
二人は事情を知っているのでよく気を使ってくれていて、目ざとい桃都は李流を見つけて手を振ってくれた。
李流も桃都に手を降る。
家族に渡す特等席のチケットは二枚までだ。
晴房は李流に自分の分のチケット渡して李流の思うようにさせてくれた。
「私にも家族ができてチケット渡す人ができて嬉しいぞっ!」
と本気で喜んでいた。
一応親戚といえば瑠香の家族だけだったという。
宮中暮らしで行事以外は合うことはめったになかったらしい。
「にーちゃん来てるかな?」
李流の隣で薫も家族を探す。
あやかしの瞳で煌めかせて探すと良く見える。
「あ。じーさんとばーさんもきてくれた!とーさんが渡してくれたのかな?」
家族が来てくれると嬉しいものだ。
「あ!にーちゃんのとなりに、王谷きてるっ!」
「ほんとだ。」
遠目でよくわからないが、瑠香そっくりの薫の兄の隣に王谷がいた。
「案外素直なやつだな。」
クスッと李流は笑う。
「……俺は信用してないから、今、テレパシーで、にーちゃんに見張っといてって頼んでおいた」
ムッとして王谷を睨む薫に李流は苦笑した。
「それにしても法子内親王殿下は残念だったな…」
「そう…だな…」
仕方ないと思っていても内心残念だったことが顔に出る。
元気な法子様との再会を心待ちにしていた…
法子様はインフルエンザで病み上がりなのでやはり来られなかった…
けれど、法子様にも届くほどの天と地の気を舞に乗せ真剣に義務を果たそうと李流は決意し思う。
☆
雅楽の演奏から始まり、寒さで冴え渡る夜空には星々と満月が輝く。
空に向かって響く雅楽の音色は神秘的で神が降りてきそうな雰囲気だ。
いよいよ李流たちの番になる。
舞楽の衣装は今日が初めて着る。
本番まで本物の衣装を着ないのが習わしだった。
初お披露目でドキドキする。
雅親王殿下は蘭陵王を舞われるので、きらびやかな赤い衣装をきている。
李流たちは赤い衣装がメインのはずの左舞だが、青海波は緑基調の衣装だった。
冠と袍を片肩脱ぎした左の衣の袖は朱色で、縁取られて舞楽の衣装の中で一番艶やかな衣装である。
伝統衛士の武具のデザインイメージもこの青海波からとったものなのかもしれないと思う…
着慣れてなくはない日和服の伝統衣装だが、やはり、袍の長い裾は練習用と違い重みがある。
それは緊張のせいもある…
「あんまり緊張しないで音にあわせて舞いなさい。」
雅親王はリハーサルの時は鬼のように厳しかったが、本番前になると優しいお声を皆にかけて緊張をといてくたさる。
東親王殿下とやはりご兄弟だと感じた。
それと、陛下と似た慈愛の雰囲気を感じる李流だった。
神秘的でもあり現代的な感じは今まで雅楽が続いていた象徴にかんじる。
李流はテントで作った控室の影から観客席をみて緊張するが、大切な家族を探す。
席は確認したので、そこに
母の雪とおじいさんも来てくれていてドキドキする。
だけど、妊娠中なので無理をしてほしくない。
そう思い、叔母と桃都にもチケットを渡した。
二人は事情を知っているのでよく気を使ってくれていて、目ざとい桃都は李流を見つけて手を振ってくれた。
李流も桃都に手を降る。
家族に渡す特等席のチケットは二枚までだ。
晴房は李流に自分の分のチケット渡して李流の思うようにさせてくれた。
「私にも家族ができてチケット渡す人ができて嬉しいぞっ!」
と本気で喜んでいた。
一応親戚といえば瑠香の家族だけだったという。
宮中暮らしで行事以外は合うことはめったになかったらしい。
「にーちゃん来てるかな?」
李流の隣で薫も家族を探す。
あやかしの瞳で煌めかせて探すと良く見える。
「あ。じーさんとばーさんもきてくれた!とーさんが渡してくれたのかな?」
家族が来てくれると嬉しいものだ。
「あ!にーちゃんのとなりに、王谷きてるっ!」
「ほんとだ。」
遠目でよくわからないが、瑠香そっくりの薫の兄の隣に王谷がいた。
「案外素直なやつだな。」
クスッと李流は笑う。
「……俺は信用してないから、今、テレパシーで、にーちゃんに見張っといてって頼んでおいた」
ムッとして王谷を睨む薫に李流は苦笑した。
「それにしても法子内親王殿下は残念だったな…」
「そう…だな…」
仕方ないと思っていても内心残念だったことが顔に出る。
元気な法子様との再会を心待ちにしていた…
法子様はインフルエンザで病み上がりなのでやはり来られなかった…
けれど、法子様にも届くほどの天と地の気を舞に乗せ真剣に義務を果たそうと李流は決意し思う。
☆
雅楽の演奏から始まり、寒さで冴え渡る夜空には星々と満月が輝く。
空に向かって響く雅楽の音色は神秘的で神が降りてきそうな雰囲気だ。
いよいよ李流たちの番になる。
舞楽の衣装は今日が初めて着る。
本番まで本物の衣装を着ないのが習わしだった。
初お披露目でドキドキする。
雅親王殿下は蘭陵王を舞われるので、きらびやかな赤い衣装をきている。
李流たちは赤い衣装がメインのはずの左舞だが、青海波は緑基調の衣装だった。
冠と袍を片肩脱ぎした左の衣の袖は朱色で、縁取られて舞楽の衣装の中で一番艶やかな衣装である。
伝統衛士の武具のデザインイメージもこの青海波からとったものなのかもしれないと思う…
着慣れてなくはない日和服の伝統衣装だが、やはり、袍の長い裾は練習用と違い重みがある。
それは緊張のせいもある…
「あんまり緊張しないで音にあわせて舞いなさい。」
雅親王はリハーサルの時は鬼のように厳しかったが、本番前になると優しいお声を皆にかけて緊張をといてくたさる。
東親王殿下とやはりご兄弟だと感じた。
それと、陛下と似た慈愛の雰囲気を感じる李流だった。
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